カテゴリー「日記/2025年」の記事

『TDV』2025 愛知!

6月7日(土)

 名古屋の御園座『ダンス オブ ヴァンパイア』が開幕した。

 御園座では2019年12月以来の『TDV』である。
 御園座は東京のBrillia HALLと比べると舞台の間口も奥行きもひと回り大きく、その分、舞台の闇が深まったようにも感じる。歌舞伎の上演を想定して作られている劇場なので、客席最後列からでも舞台が近く感じるのも美点だろう。その代わりに1階客席には「横通路」が無いので、客席の使い方も東京とは微妙に異なってくる。

 今日のキャストは伯爵/山口祐一郎さん、サラ/フランク梨奈さん、アルフレート/寺西拓人さん、伯爵の化身/佐藤洋介さんである。クコール役の駒田一さんはこちらがご当地らしく、そのことに触れた「クコール劇場」の映像もやがて公式Xで公開されるだろう。

 明日は早くも2回公演。ダブルキャストの「もうひとり」も明日中にはデビューする。

 愛知公演は6月15日(日)まで。全席完売で、当日券の販売はございません……だそうですが。

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『TDV』2025 東京千穐楽

5月31日(土)

 今月の10日に開幕した『ダンス オブ ヴァンパイア』東京公演が千穐楽を迎えた。

 前回の上演から6年ぶりの再演と言うことで、この作品をご存じない方や、知ってはいても観劇したことは無い方も少しずつ増えていただろうと思われる。6年のブランクはキャスト/スタッフの顔触れも今までになく大きく変えた。劇場すら帝劇からBrilliaに変わった。

 それらのことが『ダンス オブ ヴァンパイア』の受け取られ方に少なからず影響を与えるのではないか、と危惧しないではなかった。だが、開幕後は今までと同様に、いや今まで以上に多くのお客様に楽しんでいただけているように感じている。
 だとすればそれは、上演するにはいささか困難がつきまとうこの大作に全力で取り組んでくださった全キャスト、全スタッフ、そしてオーケストラの皆さんの熱意と執念の賜物だろう。この場を借りて関係者全員に感謝と敬意を表したい。

 さて。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』はこの後、名古屋大阪福岡へと向かう。プロフェッサー役の石川禅さんとは昨日で、クコール役の伊藤今人さんとは今日でお別れである(お2人は東京公演のみのご出演であった)。

 禅さん、今人さん、お疲れさまでした! また会えますように!

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緒方規矩子さんを偲ぶ会

5月21日(水)

 緒方規矩子(きくこ)さんを偲ぶ会へ。

 緒方さんは日本の舞台衣裳デザイナーの草分けであり第一人者でいらっしゃったが、今年2月7日に96歳で惜しくも亡くなった。
 その功績や手がけられた数々の作品を語るには私は余りにも不適格である。なのでご一緒した作品のことだけを簡単に記したい。

 緒方さんと初めてご一緒したのは、私が演出家デビューして間もない1998年、ブロードウェイ・ミュージカルの金字塔『サウンド・オブ・ミュージック』の時であった。
 主人公の家庭教師・マリア役は大地真央さんで、緒方さんは既に宮本亜門さん演出の『サウンド・オブ・ミュージック』の時に衣裳デザインを担当されていらした(その時のマリアも真央さん)のだが、演出が私に変わった時に真央さんと共に緒方さんも続投され、新たなデザインを何点か起こしてくださった。

 次にご一緒したのは、やはりブロードウェイ・ミュージカルのクラッシックである『南太平洋』であった。
 第二次世界大戦中の南太平洋の島々が舞台で、駐留するアメリカ海兵隊と従軍看護婦たちをはじめ、「バリ・ハイ」と呼ばれる架空の島の人々の衣裳をデザインしていただいた。
 「バリ・ハイ」の人々の衣裳をデザインする作業は、アジアの風俗や民族衣裳に強く関心を抱かれていた緒方さんに打って付けであるように私には感じられた。米兵の衣裳は作るよりも実物を調達する方がリアルでいいのよ……と、ニューヨークの衣裳屋さんから大量の軍服を調達されたりもした。

 緒方さんとの3作品目は帝劇発のオリジナル・ミュージカルとして製作された『風と共に去りぬ』。
 南北戦争を時代背景とする大河ドラマの大勢の登場人物を、当時アシスタントをされていた前田文子さんや西原梨恵さんの手を借りながら描き上げてくださった(前田さんも西原さんも今では第一線で活躍する衣裳デザイナーである)。
 主人公のスカーレット・オハラを演じたのは『サウンド・オブ・ミュージック』に続いて大地真央さんで、2幕のある場面で「スカーレットのドレスの色と大道具のレット・バトラー邸の大階段の色がかち合う」と言う事件があったのだが、美術デザイナーの堀尾幸雄さんが緒方さんに譲歩して大階段は別の色に塗り替えられた。

 最後にご一緒したのは三島由紀夫/作の『鹿鳴館』であった。
 上記3作品とは異なり和物で、佐久間良子さん、平幹次朗さんをはじめとする錚々たるキャストの大メロドラマに相応しい華やかで重厚な衣裳を緒方さんはデザインしてくださった。

 偲ぶ会は渋谷のオーチャードホールのロビーを会場として開かれた。ロビーには緒方さんがデザインされた衣裳の実物がデザイン画と共にディスプレイされていた。『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアと『風と共に去りぬ』のスカーレットの衣裳も並んでいた。

 ご冥福をお祈りいたします。

 

 

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『TDV』2025 ダブルキャスト初日!

5月11日(日)

 公演2日目。ダブルキャストの城田優さん、中村麗乃さん、寺西拓人さん、伊藤今人さん、加賀谷一肇さん、そして武田真治さんの初日。

 昨日に劣らず、今日のお客様も大変温かく我々を迎えてくださった。今日は初参加のキャストが昨日よりも格段に多かったので、お客様の拍手や歓声がキャスト一同をどれほど勇気づけたことだろう。キャスト全員もその声援にしっかりと応える熱演を見せた。

 カーテンコールでは伊藤今人さんの進行で中村さん、寺西さん、武田さん、城田さんがご挨拶。そののち、「みんなで踊ろう」コーナーに突入、今人さんの「テンションだ!」という発言に煽られて会場は一段とヒートアップした。

 昨日に続いてご観劇くださったクンツェさんから、終演後に舞台裏で「この『ダンス オブ ヴァンパイア』はいま現在、世界最高の『ダンス オブ ヴァンパイア』です」とのお言葉をいただいた。
 クンツェさんは私たちの日本版を「アイロニーが全編に渡って感じられるのがいい」ともおっしゃっていた。この場合の“アイロニー”という言葉の解釈に相応しそうな文章をネット上で見つけたので引用させていただくと……

 【ironyという語はよく“皮肉” と訳されます。皮肉というのは事実を遠回しに言ったり、わざと正反対を言ったりして、相手を批判したりからかったりすることですね。また、意図したこととは異なったり、逆になったりすることを指して、“皮肉な結末”、“運命の皮肉”などと言う場合もあります】

 クンツェさんのおっしゃる「アイロニー」のことを考えながら『ダンス オブ ヴァンパイア』を観直してみるのも意味深いことのように思われる。
 『ダンス オブ ヴァンパイア』は第一級のエンターテインメント・ミュージカルだが、エンターテインメントなだけではなく、誰かをからかったり、何かを批判したり……しているに違いない。

 これで2025年の『TDV』通信はひとまずおしまいである。ご愛読ありがとうございました。

 チケット難が叫ばれているので大変恐縮なのであるが……東京公演は5月31日(土)まで。そののち愛知、大阪、福岡にも参ります。

 ではまた。劇城で!

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『TDV』2025 初日!

5月10日(土)

 『ダンス オブ ヴァンパイア』が6年ぶりに戻ってきた。すばらしい初日だったのではないかと思う(個人の感想です)。

 今日のダブルキャストは山口祐一郎さん、フランク莉奈さん、太田基裕さん、駒田一さん、佐藤洋介さん、そして石川禅さんであった。客席にはオリジナル・プロダクションを手掛けたウィーン劇場協会の皆さんとともに脚本・作詞のミヒャエル・クンツェさんのお姿も。クンツェさんに我々の日本版をご覧いただくのは2006年の帝劇初演以来である。

 カーテンコールでは駒田一さんの進行で太田さん、フランクさん、石川さん、そして山口さんが初日スペシャルのご挨拶。そしてクンツェさんにも客席から一言いただいた。
 「みんなで踊ろう」のコーナーが終わり、オーケストラがエグズィット・ミュージックを演奏し終えてもお客様の拍手は鳴りやまず、もう一度幕が上がる。キャスト一同にクンツェさんと指揮の塩田さんも加わってお客様の歓声にこたえ、ようやく初日の公演は終了した。

 明日はダブルキャストの「もうひと組」の初日。

 明日もすばらしい公演でありますように。

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『アニー』東京公演千穐楽 そして『TDV』通信

5月7日(水)

 丸美屋食品ミュージカル『アニー』東京公演が千穐楽を迎えた。

 今日は昼公演のみ。ダブルキャストはチーム・バケツの登板である。チーム・モップのみんなは昨日が千穐楽なのであった。
 ご来場くださった皆さん、応援してくださった皆さん、ありがとうございました。キャスト、オーケストラ、スタッフの皆さん、お疲れさまでした。

 2025年の『アニー』はこのあと8月に上田、大阪、金沢、そして名古屋に赴く。ひと回り大きくなっているはずのアニーと孤児たち、ダンスキッズに会いにいらしてください。

 さて。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』は舞台稽古が佳境。
 今までの稽古場でも、段取り……というか約束事……というか、テクニカルなことの整理整頓に大半の時間が費やされてきたのだが、それは劇場入りしてからもあまり変わらない。

 きっとそうは見えていないだろうが、『ダンス オブ ヴァンパイア』は実はテクニカル命のミュージカルなのである。

 (明日もがんばります……)

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『TDV』2025 Weekly

5月2日(金)

 稽古場最終日。

 ピアノでの通し稽古を重ねた後、ついにオーケストラが稽古場に。キャストとの「オケ歌合わせ」に2日、そして「オケ付き通し稽古」に2日。今日で稽古場でのすべてのメニューを消化した。

 それにしても、久しぶりに聞く生オケでの『ダンス オブ ヴァンパイア』の音楽はやはり“圧倒的”である。クコール役の伊藤今人さんは「涙が出ました」とおっしゃっていた。私も、稽古を終え帰宅しても、ベッドに入り目を瞑っても、夢の中でさえも、『ダンス オブ ヴァンパイア』の音楽が頭の中で鳴り響いている。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』の音楽には強い中毒性があるのだ。

 さて。

 東京建物Brillia HALLでは仕込みが始まった。来週から始まる舞台稽古に向けて各セクションの作業が続く。
 リー君のゆる~いレポートも第2弾が登場。公演グッズの情報も公式サイトにUPされ、否が応でも開幕気分が盛り上がる。

 まだ「やらなければいけないこと」がてんこ盛りなのに~(泣)

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『TDV』2025 Weekly

4月25日(金)

 通し稽古が始まっている。

 上演時間は今のところ1幕が1時間15分弱、2幕が1時間20分弱……と言った感じになっている。幕間休憩は恐らく25分で、カーテンコールを合わせると全体では「3時間前後……?」になるのではなかろうか。
 もう少し稽古を重ね、そして劇場入りしてテクニカルが確定したところで根拠のある上演時間が見えてくるだろう。

 本日より別スタジオでオーケストラのリハーサルもスタート。指揮は(なんと『ダンス オブ ヴァンパイア』には初参加だという)塩田明弘さんである。

 稽古場で過ごすのもあと1週間である。

 

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『アニー』2025 初日!

4月19日(土)

 40年目のアニーが初日を迎えた。昼公演はチーム・モップの、夜公演はチーム・バケツのそれぞれ初日であった。

 昨日行われた囲み取材の様子が色々な媒体で取り上げられているが、そこに登場していたわんちゃんが「家康(イエヤス)」である。
 『アニー』にはアニーと仲良しになる「サンディ」という名前の野良犬が登場するのだが、そのサンディ役をダブルキャストで務めているのが「家康」と「おこげ」である。家康がチーム・モップ、おこげはチーム・バケツのサンディ役なのだが、今回は、スタンバイ・キャストというか、アンダースタディと言うか、3人目のサンディが控えている。

 『アニー』に登場するサンディを「わんわん大サーカス」さんが引き受けてくださるようになったのは2019年から。家康はその時から出演しているので今年で7年目のベテランである。おこげはその時点ではアンダースタディで、家康と共に正キャストを務めていたのは「メープル」であった。おこげはメープルの卒業に伴って正キャストに昇格した(おこげの初登場に触れたブログはこちら)。

 その時のおこげと同様に、将来の正キャストを睨んでスタンバイしていたのは「まつり」である。
 まつりは、実は昨年もスタンバイをしていた。サンディとしては出演していないが、「野犬狩り」の場面に抱きかかえられて捕獲される野良犬役では登場していたのでお気づきの方もいらっしゃるかもしれない。

 舞台には大勢のキャストやオーケストラの生演奏など、わんちゃんにとってはいきなりだと怖がってしまうかも知れない要素が少なくないので、サンディ役を教えるにしても時間を掛けて少しずつ慣れさせて行く必要がある。殊にまつりはとても怖がり屋さんなので、わんわん大サーカスのトレーナーさんも「2025年公演のどこかでデビューできればいいな」くらいに考えていらしたようなのだが、ここにきてまつりの成長が著しく、なのでついに今日の夜公演でチーム・バケツのサンディとして無事にデビューを飾った。

 まつり、 初舞台おめでとう!

 丸美屋食品ミュージカル『アニー』は5月7日まで東京・初台の新国立劇場中劇場で上演中。
 夏休みには恒例のツアーもあります。

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『TDV』2025 Weekly

4月18日(金)

 全場面をあたり終え、稽古は2巡目に入っている。

 前回の上演から5年が経過していることもあって稽古はとても新鮮である。ダブルキャストのアルフレートとサラ、そしてシャガール、レベッカ、マグダ、ヘルベルトが新キャストであること、伯爵さま、教授、クコールが新たにダブルキャストになったことも新鮮に感じる大きな理由だろう。新鮮であるということは、裏返せば「忘れている」と言うことでもあるのだが。

 帝劇での上演を想定してデザインされた『ダンス オブ ヴァンパイア』は東京建物 Brillia HALLではどのような見え方になるのだろう。Brillia HALLに私がまだそれほど馴染みがないので、個人的にはその部分に興味津々である。帝劇を想定した舞台美術をBrillia HALLにはめ込む作業は一苦労ではあるのだが。

 日本初演は2006年の7~8月。20年目のヴァンパイアである。

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