カテゴリー「『浪人街』」の記事

坂本龍一さん

 坂本龍一さんが亡くなった。

 坂本さんとご一緒したのは2004年の舞台『浪人街』の時である。坂本さんは作品のテーマ曲を書き下ろしてくださった。

 『浪人街』は“痛快娯楽大チャンバラアクション時代劇”とでも呼ぶべき作品だったのだが、坂本さんはそこに静謐な、どちらかと言えばミニマルな楽曲を書かれた。それは図らずも「観客の生きる現代」と「作中の時代」の橋渡しをする役割を担う楽曲となった(坂本さんは意図されていたのかも知れない)。

 大学時代、眼鏡をかけた同級生がいた。
 「目が悪いの?」と尋ねると「度は入っていない」と言う。よくよく聞いてみると「教授に憧れて」と言うのがその眼鏡の理由であった(教授は坂本さんの愛称である)。私たちの世代にとって坂本さんはアイコンであった。

 ご冥福をお祈りいたします。

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ワダエミさん

 ワダエミさんの訃報が届いた。

 ワダエミさんとは『浪人街』(2004年/青山劇場)でご一緒した。
 『浪人街』は何もかもが桁違いの大作であった。クリエイティブ・チームにアカデミー賞(日本のではない。ハリウッドのである)の受賞者が2人もいる……というような感じである。そのおひとりがワダエミさんであった(もうひとりは坂本龍一さん)。

 『浪人街』の衣装は全点がワダさんのデザインによるオーダーメイドであった。衣装デザインを依頼するにあたってワダさんは「糸を染めるところからやります」とおっしゃった。当時チャン・イーモウ監督とのコラボレーションが続いていたワダさんは、中国にお付き合いのある染色工房などが沢山おありだったのだと思う。
 どうしてそんな手間のかかるやり方が可能だったのかと言うと、『浪人街』では準備期間にも桁違いの期間が取られていたからである。ワダさんと最初に衣装の打ち合わせをしたのは2002年の10月9日。本番の1年半以上も前のことである。

 衣装は稽古開始前に全点が出来上がっていた。稽古で衣装を着用して初日までに着古した感じにして欲しい、というのがワダさんの狙いであった。

 あんな仕事のやり方は二度とできないだろう。

 通常、私は「衣裳」と言う漢字を使うのだが、ワダさんの場合は「衣装」である。ワダさんご自身のこだわりであった。

 ご冥福をお祈りいたします。

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『フラガール』通信

6月14日(土)

 

  稽古前に衣裳打ち合わせ。その後、立ち稽古。

 

  稽古は、まどか先生が稽古場でひとり踊っているのを紀美子たちが目撃するシーン、久世星佳さん扮する紀美子の母親・千代が紀美子を連れ帰ったシーンを当たった後、幾つかあるアクションがらみの場面の手順を付ける。
  紀美子の親友・早苗が父親に暴力を振るわれるシーンやまどかの炭住に借金取りが現れるシーンなどである。

 

  『フラガール』のアクション担当は渥美博さんである。私の作品の殆どで、渥美さんはアクションや立ち回りを作り出してくれている。
  『浪人街』の演劇史に残る大立ち回りや『プライベート・ライヴズ』の常軌を逸した夫婦喧嘩、『ジキル&ハイド』の連続殺人など、挙げればきりがない。

  渥美さんのアクションは手数(てかず)が多い。そしてスピードが速い。舞台で見栄えがするしユーモアもあり、何よりもリアルである。
  阿部力さん扮する洋二朗と借金取りとの格闘も、炭住と言う空間とその場にある物を巧みに利用している。そして速い。
  格闘の後の俳優たちは本当に息が上がっているのだが、その「本当」こそが渥美さんのアクションの真骨頂であろう。

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『プライベート・ライヴズ』通信

8月14日(月)

 

 停電の被害に遭われた方はいらしただろうか。我が家は無事だったのだが、葛山さんのお宅は止まったそうだ。それもシャワー中に、しかも泡だらけの時にお湯が出なくなったらしい。

 

 さて、きょうは盛り沢山な1日であった。

 詳しく書くとネタバレになってしまうので余り触れない様にするが、まずは葛山さんが××××の手ほどきを受ける。次にフランス人メイド・ルイーズ役の詩梨さんがフランス語の特訓を受ける。正確に言うと、「フランスなまりの英語」と言う設定の日本語をフランスなまりで喋る特訓を受ける。

 

 稽古は、2幕の今までに当たった場面ををさらった後、2幕の最後に用意されているエリオットvsアマンダのアクション・シーンを作る。アクション・コーディネイトは渥美博さんである。
 渥美さんは『浪人街』の演劇史に残る殺陣を作り出した人物で、今年は『ハゲレット』でも素晴らしい剣劇場面を作ってもらった。渥美さんのアクションはスピードが速いことと手数が多いことが特徴なのだが、幸い葛山さんも久世さんも身体能力に優れた俳優なので、渥美さんも安心して色々な技を盛り込んでいる。当然ながら俳優は汗びっしょりである。

 

 葛山さんのお宅のお湯が復旧していると良いのだが。

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