カテゴリー「日記/2020年」の記事

『ローマの休日』通信 仕事納め

12月31日(木)

 2020年が暮れようとしている。

 どなたにとってもそうであったに違いないが、私にとっても忘れられない1年であった。

 3月の日大芸術学部演劇学科での実習発表『パパ・アイ・ラブ・ユー』を皮切りに、『アニー』『ヘアスプレー』『巌流島』と4作品が立て続けに公演中止となった。やるべき仕事、出かけるべき現場が無くなり途方に暮れていた私は、『ローマの休日』の台本・音楽づくりに専念することで春から夏を耐え忍んだ。

 その『ローマの休日』も公演中止に追い込まれるのではないか……と一時は思われた。が、幸いなことにそうはならなかった。『ローマの休日』の準備と稽古に打ち込むことで夏から秋も乗り切って、そして今日を迎えている。

 その『ローマの休日』もいよいよ公演最終地・福岡での幕が上がる。2度のゲネプロを無事に終え、明日が初日である。
 年末も年末、大晦日の夜までお付き合いくださったキャスト、オーケストラ、公演スタッフ、そして劇場スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

 さて。

 2021年はどんな年になるだろう。
 人類にとって2021が良い年でありますように。

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『オトコ・フタリ』東京千穐楽

12月30日(水)

 『オリ』東京公演が千穐楽を迎えた。

 ご来場くださった皆さん、ご声援くださった皆さん、心より御礼申し上げます。そして公演の安全を維持するために心を砕いてくださって全ての皆さんにも。いくら感謝してもしきれません。

 劇場を取り巻く現在の環境は過酷を極める。劇場周辺での“残念なニュース”も毎日のように耳に入る。「こんな時に劇場かよ」というお考えももちろんあるだろう。
 しかし「こんな時だからこそ劇場なのだ」と私たちは(少なくとも私は)考える。ご来場くださる方が1人でもいらっしゃる限り劇場は開けられるべきである、と私は思う。(ただし、できる限りの感染症対策を施した上で)

 『オリ』は、このあと大阪(1月15日~17日/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)と愛知(1月23日・24日/刈谷市総合文化センター アイリス)での公演が控えている。それまでは暫しの休息である。

 皆さん、どうぞ良い休日を。

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『ローマの休日』通信 愛知公演開幕

12月19日(土)

 ミュージカル『ローマの休日』愛知公演が開幕した。

 愛知公演の会場は名古屋・伏見の御園座(みそのざ)である。

 御園座は明治29年(1896)に創業した大変に歴史のある劇場で、何度かの建て替えを経て、現在の劇場は2018年に開場した。
 新劇場になってからは昨年の『ダンス オブ ヴァンパイア』に続いての訪問となるが、建て替えの以前にも随分とお世話になっている。20代で私が演出部だった時代に、森繁久彌さんの公演などで何度となく訪れた。思い出も少なくないが、それはまた別の話。

 さて『ローマの休日』である。

 客席は間隔を開けた配置で販売されている。それでも今日は少なくないお客様がご来場くださった。ダブルキャストは王女が土屋太鳳さんでアーヴィングが太田基裕さん。ジョーは愛知以降は加藤和樹さんのシングルである。

 人と接することを避けることが日常となっている今では、客席のお客様の息遣いに触れただけでも胸が熱くなる。それに加えてオーケストラの生演奏、舞台上の“マスクをしていない”人々の交流。表情が見えることがこんなにも雄弁であったとは。

 カーテン・コールでは立ち上がって拍手してくださる方々も。この日を待ち望んでいたのは我々だけだは無かったのだなぁ……。

 明日はダブルキャストのもうひと組、朝夏まなとさんと藤森慎吾さんの初日である。キャストのシャッフルは明後日から始まる。

 『ローマの休日』愛知公演は12月25日(金)まで。
 ご無理のない範囲でどうぞよろしくお願いいたします。

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『オトコ・フタリ』通信 初日!

12月12日(土)

 まずは無事に初日の幕が下りたことをご報告したい。

 シアタークリエには、最近の困難な社会状況の中、それでも少なくないお客様がご来場くださった。が、観劇を望みながらご来場を断念された方もまた少なからずいらっしゃるだろう。

 私たちが従事する“パフォーミング・アーツ”は、お客様にご覧いただくことで完成する。そういう意味で、ご来場くださったおひとりおひとりには心から感謝したい。
 と同時に、遠くから思いを寄せてくださる皆さんにも私たちの気持ちをお伝えしたい。私たちは劇場を愛してくださるすべての方々のお力で毎日の幕を開けることができるのである。

 『オリ』もたくさんのお力を頂いてようやく開幕に漕ぎ着けた。
 観客の反応のまるでない稽古場から、今日初めて笑い声と拍手の中で恭一郎や冬馬や好子の悪戦苦闘を観察したわけであるが、何度も繰り返し見て“よく知っている”はずの物語が、今日はまるで初めて観るかのように新鮮に生き生きと感じられた。ゲネプロでさえ未完成だった『オリ』が完成したのである。

 『オリ』は“愛”についての物語である。物語の中では「愛に迷う、愛から逃げる男たちが本当の愛を見つけるまで」が描かれる。

 劇場は特別な場所である。劇場にはキャストもスタッフも、そしてお客様も、みんな「愛」を手に集まってくる。その愛で、今日のシアタークリエも満たされた。

 明日も、明後日も、いつまでも満たされますように。

 (『オリ』通信 おわり)

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『オトコ・フタリ』通信

12月11日(金)

 今日も午前中はスタッフだけで転換稽古。

 『オリ』の場面転換は実にさりげない。
 ご覧いただいた皆さんにそう感じていただければ今日の午前中には意味があったということになる。

 午後は舞台稽古、昨日の続きで2幕の後半をあたる。
 諸々の確認を済ませて大休憩。ゲネプロに備える。

 ゲネプロの直前にマスコミの皆さんによる囲み取材(東宝演劇部のTwitterはこちら)。
 既にたくさんのレポートが写真と共にUPされている。新情報もチラホラと。

 そしてゲネプロ。これでお客様にご覧いただくための準備はすべて整った。

 明日は初日。開演時刻は18時30分である。

 今日のお昼は、衣裳デザイナーの前田文子さんが「テンションが上がる」とおっしゃって楽しみにしている“鳥のお弁当”であった。
 
 無事に召し上がることができたであろうか。

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『オトコ・フタリ』通信

12月10日(木)

 午前中はスタッフだけでテクニカル・リハーサル。
 グランド・ミュージカルだったら“時間との戦い”になるであろう局面も、『オリ』の規模ではゆとりを持って進められる。そのことは作品のクォリティに直結するので、とにかくがありがたい。

 午後はお祓い(おはらい)からスタート。
 初日の開演前に行われることが多いお祓いを今回はこのタイミングで。関係者一同が集まって公演の安全と成功を祈願する。

 そして舞台稽古。幕開きから2幕の前半までを丁寧に当たる。
 芝居そのものは稽古場で入念に稽古を重ねているので、芝居以外のこと――大道具との関係や照明がらみの箇所、客席からの見え方……などなど――に重点を置いて調整を加える。

 キャストの皆さんをはじめ、各セクションの機動的な動きのお陰で予定のメニューを予定より少し早く終える。
 稽古後はスタッフの直し作業をいくつか。明日に備える。

 明日は舞台稽古の続き。そしてゲネプロ。

 今日はカレーでもお赤飯でもなかった(けど、とても美味しくいただきました!)

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『オトコ・フタリ』通信

12月9日(水)

 午前中は昨日の続き、フォーカス合わせ。午後から照明合わせ。

 舞台美術に関しては稽古場で模型を見ているので、劇場入りして実物を見てもイメージ通り……と言うか、まあ想定を大きく外れるということはほとんどない(東宝舞台さんがとても丁寧に仕上げてくださった!)。
 しかし照明は(稽古の最終段階で入念に打ち合わせはするのだが)、実際のことは劇場でデザインされるまで全く分からない。照明デザインが完成するまでのプロセスは中々スリリングである。

 今日の照明合わせでも、服部基さんが作り出す明かりはいい意味で想像と異なっていた。『オリ』はミュージカルではないので、明かりも現実的だし、Cueの数もそれほど多いわけではない。が、デザインのひとつひとつが的確で、そして効果的である。

 話は変わる。

 今日のお弁当はお昼が“カレー”、夜が京橋で百年の歴史があると言う老舗の“お赤飯のお弁当”であった。

 それはともかく、明日はいよいよ舞台稽古。
 その前にテクニカル・リハーサルとお祓い(おはらい)。

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『オトコ・フタリ』通信

12月8日(火)

 シアタークリエで仕込み作業が始まった。

 今日と明日はスタッフの作業のみで稽古は無しである。
 1日目の今日は朝から各セクションの搬入・仕込みが行われ、夜のご飯の頃までには舞台美術もあらかた組み上がった。その後、照明のフォーカス合わせ。順調に推移し1日目を終える。

 明日は今日の続き。そして照明合わせ。

 田渕久美子さんが先日の通し稽古にいらした時のことをブログに書いてくださっている。写真付きである。
 こちらからどうぞ。

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『ローマの休日』通信

12月8日(火)

 『ローマの休日』は現在、愛知/御園座公演(12月19日初日)と福岡/博多座公演(2021年1月1日初日)に向けての稽古の真っ最中である。

 『ローマの休日』では舞台転換に劇場機構を多用している。
 劇場機構と言うのは“回り舞台”とか“迫り(せり)”などの舞台設備のことを言うのであるが、帝劇と御園座や博多座とではその劇場機構(のサイズや位置)が異なるので、各劇場の機構に合わせて大道具の飾り方や転換の手順、キャストの位置や動線などを調整する必要が出てくる。

 東京公演終了後、既にひと月以上経ってもいるので、“思い出し”を兼ねて全国ツアー・ヴァージョンの稽古が行われているのである。

 今日の稽古場は、帝劇公演に向けて稽古していた9月の稽古場とは何だか印象が違っていた。みんな楽しそう……と言うか、みんな9月の稽古時より仲良しになっている!

 しかし、考えてみればそれも当然であろう。9月の稽古の後、キャストの皆さんは1か月に及ぶ本番を一心同体で乗り切ってきたわけである。仲良くならない方がどうかしている。

 と言うわけで、稽古場のあまりにも楽しそうな雰囲気にちょっと気おされた私であった。

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『オトコ・フタリ』通信

12月7日(月)

 稽古場最終日。もちろん通し稽古。

 昨日と同様に“程よく力の抜けた”いい感じの通し稽古であった。それでいてドラマティックな個所ではそれなりに緊迫感もあり、とてもバランスのよい出来の最終日だったと思う。
 音楽も“ファイナル・ミックス(完成版)”に差し替えられた。と言っても、昨日まで使用していた“仮ミックス”と大きな違いはないのだが。

 そして最後の“お茶会”。最後なので、思い残すことのないように気になったことを逐一お伝えする。
 お茶会の後は“劇場入りしてからの諸注意”(楽屋はいつから使えます、とか、お弁当はいついつあります、とか)。そして“舞台稽古の進め方”についての簡単な説明。

 11月1日に始まった“がんばらない”稽古もこれで全行程を終了した。
 明日からシアタークリエで仕込み作業が始まる。

 開幕まであと5日!

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