カテゴリー「日記/2017年」の記事

『アニー』通信

3月25日(土)

 おさらいデー。幾つかの場面とミュージカル・ナンバーをおさらい。

 ミュージカル『アニー』はブロードウェイの歴史に残る大ヒットを記録した。そうなると当然のように続編製作の話が出る。

 『アニー』の続編は、『アニー2:ミス・ハニガンの逆襲(原題)』のタイトルで1989年にワシントンD.C.のケネディ・センターでトライアウトが行われた。
 手掛けたのはもちろんマーティン・チャーニン、チャールズ・ストラウス、トーマス・ミーハンの3人である。が、劇評はあまねく否定的で、改善のための大幅な改訂が繰り返されたにもかかわらず、ブロードウェイに進出することはできなかった。

 しかし、続編製作の試みはそれで終わらない。

 今度は『アニー・ウォーバックス(原題)』のタイトルで、1992年に幾つかの地方都市でトライアウトが行われた。
 チャーニン/ストラウス/ミーハンが再結集し、製作ワークショップが行われたのは(最初の『アニー』と同じ)グッドスピード・オペラハウスであった。

 元々の計画では、『アニー・ウォーバックス』はトライアウトの後、ブロードウェイを目指すことになっていた。が、必要な資金を集めることができず、計画を変更して規模を縮小し、1993年にオフ・ブロードウェイのバラエティ・アーツ劇場でオープンに漕ぎ着けた。
 この公演はヒットし、そのヒットを足掛かりにブロードウェイへの引っ越しが企てられた。が、相応の劇場を見つけることができず、またしてもブロードウェイ進出は叶わなかった。 

 チャールズ・ストラウスには『バイ・バイ・バーディ』の続編『Bring Back Birdie』(1981)と言う作品もあるのだが、こちらも(ブロードウェイまでは辿り着いたものの)わずか4回の上演で幕を閉じている。

 歴史に残る作品は、才能ある人たちがどんなに努力を重ねても、それだけでは生まれないのである。

 ところで……

 “続編”の翻訳上演にご興味のある方はいらっしゃいませんか?(つづかない)

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『アニー』通信

3月24日(金)

 2幕の真ん中あたりまで作る。

 ミュージカル『アニー』は、脚本を手掛けたトーマス・ミーハンのブロードウェイ・デビュー作である。ミーハンは、これでトニー賞の“ベスト・ミュージカル脚本”を受賞した。
 
 ミーハンの活躍の場もブロードウェイにとどまらない。映画、テレビにも多くの作品を残しているし、雑誌「ニューヨーカー」の長年に渡る寄稿者でもある。
 ミーハンのブロードウェイ・ミュージカルには、『アニー』の他にも『プロデューサーズ』(2001/メル・ブルックスと共作)や『ヘアスプレー』(2002/マーク・オドネルと共作)などの大成功作がある。近年も『ヤング・フランケンシュタイン』(2007/メル・ブルックスと共作)や『ロッキー』(2012=ハンブルク、ブロードウェイでは2014/シルベスター・スタローンと共作)など、精力的に話題作を発表している。(つづく)

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『アニー』通信

3月23日(木)

 2幕をどんどん作る。

 ミュージカル『アニー』の音楽を手懸けたチャールズ・ストラウスは、ブロードウェイのソング・ライターとして長い経歴を誇っている。

 ストラウスのブロードウェイ・デビュー作は『バイ・バイ・バーディ』(1960)。後に映画化、テレビ化(2度も。直近は昨年)されることになる大ヒット作である。
 手掛けたブロードウェイ・ミュージカルの中には『ゴールデン・ボーイ』(1964)、『アプローズ』(1970)など、日本でも翻訳上演された作品もある。映画音楽も書いていて、中でも有名なのは『俺たちに明日はない』(1967/今年のアカデミー賞授賞式で作品賞を『ラ・ラ・ランド』と発表した、気の毒なウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイ主演)だろう。

 多作なストラウスではあるが、フロップ(失敗作)も少なくない。最大のヒット作は、やはり『アニー』になるだろう(『アニー』は第31回トニー賞の“ベスト・オリジナルスコア”を受賞。受賞者はストラウスとチャーニン)。

 “Tomorrow”1曲だけでも、人々の記憶に永遠に残り続けるに違いない。(つづく)

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『アニー』通信

3月22日(水)

 2幕の稽古に入る。

 ミュージカル『アニー』の作詞を手掛けたのは、アメリカの作詞家、脚本家、演出家=マーティン・チャーニンである。

 チャーニンが作詞を手掛けたブロードウェイ・ミュージカルには、オスカー・ハマースタインと死別後のリチャード・ロジャース(『サウンド・オブ・ミュージック』『南太平洋』『王様と私』他)と組んだ『Two by Tow』(1970)、『I Remember Mama 』(1979)などもあるが、代表作はやはり『アニー』になるだろう。
 Internet Broadway Databaseなどを見てみると、『ウェストサイド物語』初演(1957)のキャストとして名前が載っていたりもするので、若き日はミュージカル・アクターであったようだ。

 1960年代にはオフ・ブロードウェイやナイトクラブのショーなどに書いたり演出したりするようになり、1970年代は活躍の場をテレビ界に移し、幾つかのエミー賞を取っている。
 やがてブロードウェイに戻り、いくつかの演出作品を発表し、そして『アニー』を生み出すことになる。1977年のことである。

 『アニー』ブロードウェイ初演の演出を手掛けたのもチャーニンであった。(つづく)

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『アニー』通信

3月21日(火)

 東京では桜の開花が宣言された。一歩一歩、春が(そして初日が)近づいてくる。

 稽古の方は1幕のラスト・シーンに手を付けた。これで1幕のほぼ全場面に手を付けたことになる。
 毎度記していることだが、まだ“手を付けた”だけであって道のりは遠い。登山で言えば“ようやく登山口に辿り着いた”あたりだろう。山に登るのはこれからである。

 明日は2幕に着手する。「1幕の頭に戻って復習したい」気持ちも無くはないのだが、ここはやはりラスト・シーンまで行ってみるべきだろう。

 ……と言うワケで、稽古のペースは落とさずにどんどん行ってみるつもり。

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『アニー』通信

3月19日(日)

 ここ数日は1幕にある大きなミュージカル・ナンバーを作っている。「I Think I’m Gonna Like It Here」と「N.Y.C.」である。

 「I Think I’m Gonna Like It Here」は1幕4場にあるナンバーで、アニーがグレースに連れられてウォーバックスの屋敷を訪れる様子が描かれる。
 「N.Y.C.」は1幕5場のラストから始まり、“ナンバーの丸々1曲が1幕6場”と言う扱いになっている。描かれるのはウォーバックスがアニーとグレースを連れてニューヨークの街に出かけて行く様子である。

 どちらも“複数の主要人物”とその人物たちに絡む“大勢の人々”を手際よく見せることが求められる楽曲である。それを踏まえると、ステージングはどうしても複雑にならざるを得ない。
 当然、形にするのにはそれなりに時間が必要となる。結果、連日長時間に渡るステージング、と言う日々が続いている。

 ミュージカルを作るのはとても“楽しい作業”である。それは間違いない。が、それが“楽な作業”であった試しは、ほとんどない。

 連日、辛抱強くお付き合いくださっているキャスト&スタッフの皆さんに、この場をお借りして心より感謝。ご褒美(?)に明日は稽古OFF。

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『アニー』通信

3月18日(土)

 オリバー・ウォーバックスを演じるのは藤本隆宏さんである。

 ハニガンはウォーバックスのことを「世界一金持ちの独身男性」だと言っている。が、それはハニガンが愛読している怪しげなゴシップ雑誌から仕入れた情報らしいので、正確かどうかはちょっと疑わしい。
 しかし“独身男性”であることと、超のつく“大金持ち”であることは紛れもない事実である。『アニー』の物語設定が“1933年のニューヨーク”であることは以前記した通りだが、大恐慌でガタガタになった経済状況の下では、たとえウォーバックスでも企業経営は困難を極めたに違いない。

 藤本さんも“初めてご一緒する方”のおひとりである。
 演じるウォーバックスは、強引で、わがままで、気が短くて、とても子供っぽい男なのだが、稽古場の藤本さんは、佇まいも穏やかだし物腰も柔らかい。

 芝居作りがたまらなく面白いのは、時としてこんな落差に出会うことがあるからだと思う。

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『アニー』通信

3月17日(金)

 アニーの孤児院暮らしに転機が訪れるのは、“世界有数の大富豪にして実業家であるオリバー・ウォーバックス”の秘書=グレース・ファレルが孤児院を訪ねて来た時である。

 グレースによれば、ウォーバックスは「クリスマス前の2週間、自宅に孤児を招いて過ごさせたい」と考えているらしい。その幸運な孤児を選ぶために、グレースは孤児院にやってきたのだ。
 応対したハニガン(姉の方。以後“ハニガン”と言ったら「姉=孤児院の責任者」のことである)は、「だったらアニー以外の孤児から選ぶように」進言する……。

 グレース・ファレルを演じるのは彩乃かなみさんである。
 彩乃さんは宝塚歌劇団のご出身で、ご一緒するのは今回が初めてである。が、歌劇団では瀬奈じゅんさん(何回もご一緒している)の相手役を務めていらした方なので、とても親近感を(一方的に)感じている。

 さて。

 『アニー』の稽古がスタートして1週間が過ぎた。
 新作ミュージカルの稽古が“時間との戦い”になることは火を見るよりも明らかなことなので、連日、とにかく必死にメニューを消化している。時に“取りこぼし”も無くはないが、まずは順調な1週間だったと思う。
 子供のキャストも含めて“今回が初めまして”の方は少なくないのだが、そんな皆さんのキャラクターや性格も少しずつ見えてきたので、日々の稽古は楽しい。

 明日も“まだ手を付けていない”場面とミュージカル・ナンバーの稽古が組まれている。なので……

 予習します。

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『アニー』通信

3月16日(木)

 アガサ・ハニガンには刑務所から戻ったばかりの、ちょっと怪しげな弟がいる。ダニエル・ハニガンである。

 物語の中では、アガサのことをその名前で呼ぶ人は出てこない。そしてダニエルも、皆が呼ぶのはニックネームの“ルースター”である。
 英語のルースター“Rooster”には「うぬぼれ屋」とか「生意気な男」と言う意味があるのだが、と同時に「雄鶏(おんどり)」の意味もある。日本語で“ルースター”と言ってもそのどちらにもならないのだが、物語の中で時々ルースターが“ニワトリの鳴きまね”を披露して得意がっているのには、実はそう言うワケがある。

 そのルースターが、姉の勤務先である孤児院に、リリー・セントレジスと言うちょっぴり変わった名前のガール・フレンドを連れて現れる。ルースターが現われた目的は……。
 ルースターを演じるのは青柳塁斗さん、リリーを演じるのは山本沙也加さんである。

 お2人とご一緒するのは今回が初めてなのだが、個性的で生き生きとしたルースターとリリーになると嬉しい。

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『アニー』通信

3月15日(水)

 孤児院の責任者=アガサ・ハニガンを演じるのはマルシアさんである。

 マルシアさんとは『ジキルハイド』(2001年~2007年)と『イーストウィックの魔女たち』(2007年~2008年)でご一緒した。
 『ジキルハイド』はマルシアさんのミュージカル・デビュー作であった。マルシアさんは主人公=ヘンリー・ジキルに思いを寄せる娼婦=ルーシーを圧倒的な迫力で演じ、芸術祭賞演劇部門新人賞や菊田一夫演劇賞に輝いた。
 今回は“ほぼ10年振り”となる再会である。マルシアさんらしい、パワフルでゴージャスなハニガンになるだろう。

 ところで、『アニー』のメイキング特別番組が放送されることが発表された。オンエアは4月8日(土)の10時30分から、日本テレビにて(関東ローカル)である(詳細はこちら)。
 
 毎年『アニー』開幕直前に放送されているこの「特番」には“季節の風物詩”となっているような印象がある。が、いつから続いているのか、放送されなかった年があるのか……などは、不勉強な私はよく知らない。
 それはともかく、4月8日の放送と言うことは“稽古の追い込み”や“劇場に入ってからの様子”などは残念ながら取り上げられないことになる。が、アニーのオーディションに参加してくれた子供たちの喜びや悔しさ、選ばれた子供たちの頑張り……などはご覧いただけるものと思われる。

 どうぞお楽しみに。

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