カテゴリー「『田茂神家の一族』」の記事

『田茂神家の一族』通信 ファイナル/初日!

12月25日(月)

 私たちが学生だったころ(30余年前)、紀伊國屋ホールは「いつかはここで芝居ができるようになりたい」という憧れの劇場であった。

 恐らくそれは現在の学生たちにとっても変わらないのではないかと想像するのだが、その劇場で、こうして仕事をさせていただいている幸運! まずはそのことに感謝である。
 余談だが、紀伊國屋ホールにたどり着く手前には「いつかはシアター・トップスで」という前段階があった。そのシアター・トップスも今はもう無いのだが。

 さて、紀伊國屋ホールは『田茂神家の一族』ツアーの中で最も舞台が狭い会場である。そして、ロビーから客席へ入場するルートが限られている会場でもある。それらはこの作品に少なからず影響を与えるので、本番前に位置関係と出入りにかかわる部分を抜粋して場当たり。

 とは言え、この劇場のコンパクトさは、この作品には有利に働いていると思う。
 なにしろ『田茂神家の一族』は「有権者数105名」という小さな村のお話しである。公民館か小学校の体育館あたりが作品の舞台であると考えると、このコンパクトさはむしろ臨場感を高める方向に作用する。

 そして。

 ふた月ぶりに観た『田茂神家の一族』は、芝居もこなれ、メリハリも効いて、一段と楽しめる作品になっていた。
 ツアーに同行していない私は、各地のお客様の反応と今日のお客様の反応を比べることができないが、2年前の初演と比較すると、より良い反応であるように感じられた。

 終演後はロビーにて初日の乾杯。劇団を愛する大勢の人々が参加されていて、末席の私はその景色にただただ圧倒されていた。

 「続けること」の何という尊さであろう。

 これで『田茂神家の一族』通信ファイナルはお終いである。わずか2回ではあったが、ご愛読ありがとうございました。

 紀伊國屋ホールの『田茂神家の一族』は28日まで。シアタークリエの『ドッグファイト』は30日までである。ご興味のある方は、どうぞ劇場へ。

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『田茂神家の一族』通信 ファイナル

12月24日(日)

 紀伊國屋ホールへ。

 10月27日の花巻からスタートした『田茂神家の一族』ツアー〈後編〉も、ここ東京・新宿の紀伊國屋ホールでフィナーレを迎える。

 劇団東京ヴォードヴィルショー公演、三谷幸喜/作『田茂神家の一族』は、2015年3月に福島で初演されたシチュエーション・コメディである。
 今年めでたく再演の運びとなり、まず旅公演〈前篇〉として1月28日の所沢から3月12日の新潟までが敢行された。

 半年ほどお休みした後、旅公演の〈後編〉は上記の通り花巻から始まった。そしてその最終公演地がここ、紀伊國屋ホールなのである。
 紀伊國屋ホールでの作業は昨晩の搬入から始まっている。今日は仕込みと照明のフォーカス合わせ、そして道具調べ・明かり合わせである。

 1年に及んだ『田茂神家の一族』2017ツアーの掉尾を飾る東京公演は明日が初日。わずか4日間、4回のみのステージである。師走の慌ただしい時期ではあるが……

 どうぞお見逃しなく。

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『田茂神家の一族』通信 ツアー〈後半〉 初日

10月27日(金)

 昼過ぎから幾つかの場面の場当たり。場当たりの後、ゲネプロ。

 ところが、ゲネプロが機材のトラブルで1時間に渡って中断。劇場にイヤな雰囲気が漂い始める。やがて再開されたゲネプロも随所で集中を欠き、稽古場最後の通しとは比べるべくもなかった。
 ゲネプロが終わった時、既に時刻は開場まで30分を切っていた。『田茂神家の一族』は開演時刻の15分前にはキャストの“仕事”がスタートするので、スタッフ&キャストに残された時間はほんの僅かであった。

 その僅かな時間で駄目出しを済ませ、客席に回り15分前から始まるキャストの“仕事”を眺めつつ、開演を待つ。そして定刻の18時30分。朳(えぶり)村の村長選挙に先立つ合同演説会が始まった……。

 結論から言えば、とても良い出来の初日であった。旅公演〈後半〉に向けての稽古で修正したことのほぼ全てが機能し、ドラマの持つ構造も今までで一番クッキリと伝わってきたように思う。

 『田茂神家の一族』の、ふた月に及ぶ旅がいよいよ始まった。最終公演地=東京まで、皆さんどうぞ良い旅を!

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『田茂神家の一族』通信

10月26日(木)

 花巻に来ている。

 花巻に降り立つのはこれが初めてである。学生時代に観た、井上ひさしさんによる宮沢賢治の評伝劇『イーハトーボの劇列車』の中で、登場人物のひとりである鉄道の車掌さんが、しきりに「花巻~、花巻~」と言っていたのを思い出す。花巻は宮沢賢治の生まれ故郷であり、「わんこそば」発祥の地でもあるらしい(盛岡発祥だ、という説もあるそうですが)。
 2015年の『田茂神家の一族』初演では福島に初めて降り立った。劇団東京ヴォードヴィルショーさんとのお仕事では、東宝のツアー公演などではなかなか行かない土地に立ち寄るので楽しい。

 スタッフさんは朝から搬入、そして仕込みである。
 『田茂神家の一族』は、既に今年前半の旅で何カ所も回っているし、そもそも大道具と呼べそうな舞台美術がほとんど無い。なので、会場の花巻市文化会館では至って落ち着いた空気が流れていた。

 スタッフの作業がひと段落した所で音楽場面の場当たり。
 今までの稽古場では舞台の実寸が取れなかったので、奥行きや袖周りの出入りなどは若干嘘をついていた。その部分を、今日は実寸で改めて当たる。

 予定されていたメニューを無事に消化して今日の作業は終了。明日は客席周りを当たり、リニューアルしたフィナーレを当たり、その後ゲネプロ。

 更にその後、旅公演〈後半〉の初日である。

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『田茂神家の一族』通信

10月24日(火)

 稽古場最終日。今日も通し稽古である。

 昨日、今日と通してみて、“改善が必要”と感じられた個所が概ね解消されていることを確認してひと安心。通し稽古の後、残されたいくつかの箇所をしつこく手直し。

 『田茂神家の一族』の旅公演〈後編〉は、10月27日(金)の岩手/花巻市文化会館から始まる。今回は、稽古日数は決して潤沢ではなかったかも知れないが、『田茂神家の一族』の集大成と呼ぶにふさわしい仕上がりになっていると思う。

 明日は稽古は無し。スタッフは花巻へ。

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『田茂神家の一族』通信

10月23日(月)

 通し稽古。

 『田茂神家の一族』は、今年の1月から3月にかけて行われた旅公演〈前半〉のために稽古し直された。そして今、旅公演〈後半〉のために再度稽古し直されている。楽曲やステージングなどにも、その都度手が入れられた。
 2015年の初演をご覧くださった方にも是非もう一度ご覧いただきたい。そう思えるような進化を遂げている。

 今日の通し稽古の様子では、上演時間は約1時間50分。これに短いカーテン・コールがプラスされるが、全体でも1時間55分は超えないあたりに落ち着くだろう。
 ただし、途中休憩は無いので、お手洗いなどのご用は開演前にお済ませくださいますように。

 そしてもうひとつ。
 開演前の場内やロビーでは、登場人物が何やら仕事をしている姿などをご覧いただくことができるはずである。お時間に余裕のある方は、少し早目にご来場されることをお勧めいたします。

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『田茂神家の一族』通信

10月21日(土)

 今日も立ち稽古。

 区切るブロックを昨日より長めにして、流れも重視して稽古。ラストまでひと通りあたった後、中盤からラストまでを通す。
 今日も色々な場面で発見があった。発見すること自体がまず嬉しく、それらをひとつずつクリアして行くのも楽しい。“みんなで芝居を作っている”と言う実感がある。

 ところで、この『田茂神家の一族』であるが、佐藤B作さんによれば今回のツアーが“ファイナル”になると言うことである。
 そのファイナル・ツアーの最終地=東京/紀伊國屋ホールのチケットが明日発売となる(詳細はこちら)。

 東京公演は僅か4ステージである。どうぞお見逃しのありませんように。

 明日は稽古OFF。明後日はいよいよ通し稽古。

 ……だが、台風21号の行方が気がかり。

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『田茂神家の一族』通信

10月20日(金)

 立ち稽古。

 幕開きからラスト・シーンまで、幾つかのブロックに区切って、まず思い出し。
 と同時に、改善すべきポイントに手を入れる。特に物語の中盤からラストに向けてを大きく調整。これにはとても手応えを感じた。

 今だから白状するが、『田茂神家の一族』の初演は台本の完成が稽古開始ギリギリになって、私自身は準備不足のまま稽古初日を迎えた。そのせいか、今回改めてこの作品と向き合っていると、様々な個所に発見……と言うか、見落としがあるように感じられた。
 再演は、それらを改善する千載一遇のチャンスである。上でも記したように、今日の調整で「若干中だるみ」と思われていたシークェンスが劇的に生まれ変わった。

 新生『田茂神家の一族』にどうぞご期待ください。

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『田茂神家の一族』通信

10月19日(木)

 田茂神家の一族の稽古へ。

 三谷幸喜/作のコメディ『田茂神家の一族』は、佐藤B作さん率いる劇団東京ヴォードヴィルショーの第71回公演である。2015年3月に初演され、今年、一部のキャストを入れ替えて再演となった。
 1月から3月にかけて埼玉・所沢を皮切りに前半の旅公演が行われ、そして今月27日の岩手・花巻から後半の旅公演が始まる。その思い出し稽古である。最終公演地は12月25日~28日の東京・新宿/紀伊國屋ホールである。

 旅を再開するにあたって2カ所ほど手を入れることにした。
 1カ所は台詞を一部カットして芝居の運びを変える。もう1カ所はラストシーンの音楽を新曲と差し替える。それに伴いラスト・シーンのステージングも新たにやり直すことになる。音楽は園田容子さん(生演奏です!)、振付・ステージングは吉本由美さんである。

 今日はキャスト全員で、改めて読み合わせ。前半の旅を経験して、私の知っている『田茂神家の一族』より遥かに面白くなっている。と同時に、幾つかの改善点も発見した。明日からの立ち稽古の中で、それらをひとつずつ潰して行きたい。

 今日から1週間ほどの短い〈通信〉ではあるが、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。

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初日 『田茂神家の一族』通信

1月28日(土)

 所沢ミューズ/マーキー・ホールへ。『田茂神家の一族』の初日。

 直し作業の大半は昨日、ゲネプロの後に済ませている。なので、今日は大きな作業などはない。
 開演の2時間前に全体集合。体を動かした後、注意事項の確認と事務連絡。その中で“今日はほぼ満席”であることが報告される。天候にも恵まれ幸先のよい初日である。

 今日の開演時刻は14時。だが『田茂神家の一族』は“なんとなく始まってしまう”芝居なので、私自身には高揚感のようなものはない。その“なんとなく”が上手く行くことを願う緊張感のようなものはなくはないが。
 幸い、芝居は上手く“なんとなく”始まった。そして、始まってしまえばもう止めようがない。『田茂神家の一族』の命運はキャストの皆さんに委ねられた。

 今日のお客様は、この“どう楽しめばよいのか”いささか分かりにくい(かも知れない)芝居を、とても上手に楽しんでくださった。劇団東京ヴォードヴィルショーがここで公演を打つのは5回目なのだそうだが、そのお陰かも知れない。
 所々、初日らしい“ヒヤヒヤ”もなくはなかったが、それでも芝居の終わりにはたくさんの拍手を頂いた。

 カーテン・コールでは劇団を代表して佐藤B作さんがご挨拶。その幕が下りるや否や、キャストもスタッフも一斉に撤収作業にかかる。
 連日自宅から劇場に通っていたので錯覚しそうになるが、今日は紛れもない旅(ツアー)初日なのであった。

 劇団東京ヴォードヴィルショー第71回公演、三谷幸喜/作『田茂神家の一族』の旅が始まった。次の目的地は厚木である。

 皆さん、どうぞ良い旅を!

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