カテゴリー「『I Do! I Do!』」の記事

祝100回! 『I Do! I Do!』

5月2日(金)

  豊島区立舞台芸術交流センター「あうるすぽっと」へ。

  あうるすぽっとは、昨年の9月に東池袋にオープンした新劇場である。私は今日初めて足を踏み入れたのだが、客席数301のこじんまりとした、今回の出し物である『I Do! I Do!』には打って付けと思われる劇場であった。

  まったくの余談であるが、ここから1、2分の所に、私が大学時代に三谷(幸喜)君に誘われて始めた東京サンシャインボーイズが旗揚げ公演を行った劇場があった。
  「池袋とまとハウス」と言う名前の、小さいビルの地下の、恐らく元は駐車スペースであったであろう場所に設けられた小劇場がそれで、今日「あうるすぽっと」に入る前に久しぶりにその場所を訪ねてみたのだが、既にビルごと姿を消していた。
  とまとハウスは我々が旗揚げする少し前にオープンし(たのだと思う)、その後いつまで営業していたのか、それは知らない。が、以後とまとハウスの名前はついぞ聞いたことがないので、劇場としての歴史はそれほど長くなかったのではないかと思う。恐らく演劇史的には「三谷幸喜が東京サンシャインボーイズの旗揚げ公演を行った劇場」としてのみ記録されるのではないだろうか。
  数年前にはまだビル自体は健在で、かつてのとまとハウスの痕跡も認めることができたのだが・・・。感慨深い。

  閑話休題。

  ブロードウェイ・ミュージカル『I Do! I Do!』が初日を迎えた。そして今日は村井国夫さんと春風ひとみさんにとって記念すべき100回目の公演であった。
  お2人は2002年以来断続的にこの作品を上演して来たので、もはや自家薬籠中の、と言っても良いくらいの作品である筈だが、それでもお2人はなお、再演の度毎に台本とスコアに1から当たり直し、まるで新作に取り組む時の様な情熱とエネルギーで稽古をし直されるのである。
  今回も、「夫婦間に巻き起こる様々な波風を今まで以上に自然に力まずに演じたい」と言うことで細かく稽古をし直した。

  その成果は、今日の舞台に十分表れていたのではないだろうか。
  終演後、劇場ロビーで100回を記念した小宴が開かれたのだが、挨拶がひと段落するや否や村井さんと春風さんが寄っていらして、私に今日の感想を求められた。私は正直に思った通りのことを申し上げた。
  「今までで一番良かったんじゃないですか?」
  村井さんが受けられた感触も同様のものであるらしかった。

  その、今が最も旬な『I Do! I Do!』村井さん&春風さんバージョンは、あうるすぽっとでは明後日(4日)までの上演である。

  どうかお見逃しのない様に。

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日芸、そして『I Do!』

4月24日(木)

  午前中は日芸で授業。

  例年と比べると今年は生徒数が少ないので、ひとりひとりのキャラクターも今年は早く掴めそうである。
  私の担当する「演出実習Ⅱ」は演劇学科演出コースの1年生のための授業であるが、演劇を学ぶ大学の学生だと言っても、その大半は先月まで高校生だった訳である。演劇経験や劇場体験も決して人並み以上ではないだろう。
  なのでまずは、演出について考察することと並行して、現在の演劇状況を知ることをやっている。
  それにしても、生徒たちは演劇に対して余りにも無垢である。翻って、では今の自分は演劇とどう対峙しているだろうか。
  学生たちと付き合う様になってありがたいのは、毎年この時期になると、そのことを思い出させてくれることである。

  夜は『I Do! I Do!』の稽古場へ。

  今日は1幕を通し、その後、細かい部分の確認を。
  『I Do! I Do!』の出演者は2人きりだが、2人の出演者と同じくらい重要な役割を担っているのがミュージシャンである。
  私たちの『I Do! I Do!』ではミュージシャンも2人きり。冴咲賢一さんと天野裕子さんのお2人で、それぞれがキーボードといくつかのパーカッションを操っている。お2人も、もうずいぶん長いこと『I Do! I Do!』に参加してくださっているので、村井さん、春風さんとの呼吸もお見事である。何より作品の流れを理解した演奏をしてくださるのが素晴らしい。

  『I Do! I Do!』は、ある夫婦の新婚からリタイアまでを(その間の夫婦仲を)綴った洒落たミュージカル・コメディである。
  作品の性質上、1幕ではどうしても若作りをして青春時代を演じなければならないのだが、今日のお2人の青春時代はとてもチャーミングでしたよ。

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『I Do! I Do!』と「3人の受賞を祝う会」

4月20日(日)

  『I Do! I Do!』の稽古場へ。

  『I Do! I Do!』のことは3月31日の日記にも記したが、『ファンタスティックス』で成功したミュージカル・ライター・チームのトム・ジョーンズとハーベイ・シュミットが、ブロードウェイの大物プロデューサー、ディヴィッド・メリックに招かれて作った出演者2人だけのブロードウェイ・ミュージカルである。
  オープニングは1966年12月5日で、46th Street Theaterにて560回に及ぶロングランを記録している。オリジナルのキャストはロバート・プレストンとメリー・マーティンの2人で、プレストンはこれでトニー賞の最優秀ミュージカル男優賞を受賞した。演出・振付はガワー・チャンピオンであった。

  村井国夫さんと春風ひとみさんのコンビでの上演は2002年から。私はそれ以前に川崎麻世さんと高嶺ふぶきさんのコンビでも演出させてもらっている。
  そして今回、村井さんと春風さんのお2人はめでたく上演回数100回を迎えることになるのだが、東池袋での記念公演の後は、静岡方面の演劇鑑賞会主催のツアーに出ることになっている。
  ちなみに、昨年の夏から舞台美術を一新した。演出やステージングに大きな変更はないのだが、舞台美術に関しては、実はこれで3ヴァージョン目である。

  夜は「3人の受賞を祝う会」へ。

  3人とは、照明デザイナーの服部基さん、美術デザイナーの堀尾幸男さん、照明デザイナーの原田保さんで、服部さんが紀伊國屋演劇賞を、堀尾さんが朝日舞台芸術賞を、そして原田さんが読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞されたので、それを祝う会が開かれたのである。
  会場は飯田橋駅近くの、お堀に面した素敵なカフェで、賑やかだが寛いだ、素敵な会であった。

  普段表舞台で取り上げられることの少ないスタッフに光が当たるのは本当に嬉しい。服部さん、堀尾さん、原田さん、おめでとうございます!

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『I Do! I Do!』のこと、そして『レベッカ』通信

3月31日(月)

  稽古前に『I Do! I Do!』打ち合わせ。

  『I Do! I Do!』は1966年に初演されたブロードウェイ・ミュージカルで、オン・ブロードウェイ作品なのに「出演者がたった2人」と言うチャーミングなミュージカル・コメディである。
  作者は『ファンタスティックス』のトム・ジョーンズとハーベイ・シュミットで、日本でも様々な顔ぶれで上演されて来たことはご承知の通り。

  現在のコンビは村井国夫さんと春風ひとみさんで、お2人はこれまで、こつこつと全国を回って地道に上演を重ねて来た。そしてこの度、このコンビでの上演回数がめでたく100回を迎えることとなった。
  その記念すべき100回目を迎えるのは5月2日(金)で、会場は東池袋あうるすぽっと、その日は19時の開演である。

  あうるすぽっとでの公演は3日(土)の12時30分と17時、そして4日(日)の12時30分にも行われる。そしてその後、各地の演劇観賞会主催のツアーへと旅立つことになっている。
  未見の方はこの機会にぜひごどうぞ。

  さて、『レベッカ』はオケ付き通し稽古。

  作曲者/編曲者のシルヴェスター・リーヴァイ氏をお迎えして、いやが上にも稽古場は盛り上がる(緊張する?)。出演者もスタッフも大半は『エリザベート』『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』の関係者なので、お互いが既に顔なじみで、リーヴァイ氏も多くの懐かしい顔に嬉しげであった。
  私自身は一昨年の12月にウィーンでお目に掛かって以来の再会であった。ウィーン行きの目的はもちろん開幕間もない『レベッカ』を鑑賞することであったのだが、打ち合わせのために訪れたリーヴァイ氏の仕事場でのことは生涯忘れられない思い出となっている。

  リーヴァイ氏のウィーンでの仕事場はシェーンブルン宮殿の中にある。改めて記す必要もないと思われるが、ハプスブルグ家の離宮である、ユネスコの世界遺産に登録されている、あのシェーンブルン宮殿である。
  打ち合わせを終えると、氏は私に「何かリクエストはないか?」と尋ねた。仕事場のグランド・ピアノで1曲弾いてくださるとおっしゃるのである。
  咄嗟のことだったのだが、私はその瞬間に頭に浮かんだ曲をお願いした。氏の作曲したミュージカル『エリザベート』の「夜のボート」であった。

  オーストリア皇后エリザベートがフランツ・ヨーゼフ1世と暮らした宮殿の一室で、『エリザベート』の作曲者自らが私のために演奏する「夜のボート」。
  私の人生の中でも特別な瞬間であった。

  オケ付き通し稽古の間、リーヴァイ氏には音楽監督の甲斐正人さんと私の間に座って頂いた。通し稽古を鑑賞しながら、音楽的なリクエストがあれば直接甲斐さんと話ができるようにしておくためであった(と言っても通訳さんが間に入るのだが)。
  リーヴァイ氏から音楽的なアドヴァイスを頂く、と言うことは、『ハムレット』の稽古場にシェイクスピアが来てくれて駄目出ししてくれるようなものである。
  これはありがたい。

  通し稽古は、私自身はとても良い出来であったと感じた。明日は2回目の、そして稽古場最後のオケ付き通し稽古であるが、今日の出来を明日も再現できる様であれば安心して劇場入りすることができるのだが。

  シアタークリエでは『放浪記』も無事に千穐楽を迎え、既に『レベッカ』の仕込が始まっている。稽古後に覗いた舞台では、運び込まれた大道具の隙間で照明チームがムーヴィング・スポットの調整をしていた。

  『レベッカ』初日まであと6日。

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『I Do! I Do!』今年もやってます

8月15日(水)

  村井国夫さんと春風ひとみさん共演のブロードウェイ・ミュージカル『I Do! I Do! ~結婚物語~』。今日はその舞台稽古であった。

  『I Do! I Do! ~結婚物語~』は、『ファンタスティックス』の作者、トム・ジョーンズとハーベイ・シュミットによる1966年初演のブロードウェイ・ミュージカルである。最大の特徴は、オン・ブロードウェイの作品であるにも関わらず出演者がたったの2人だ、と言うことであろう。
  我が国でも1969年に越路吹雪さんと平幹二朗さんのコンビで初演されて以来、様々なカンパニー、配役で上演され続けてきた名作ミュージカルである。

  村井さんと春風さんの『I Do! I Do! ~結婚物語~』は2002年に初演され、以後2003年、2005年と上演されて来た。
  面白いことに、
村井さんは春風さんとコンビを組む以前に平みちさんと、春風さんも夏夕介さんと、それぞれこの作品に取り組まれた過去がある。

  今回は神奈川地区の演劇鑑賞会での上演が中心となっているので、残念ながら会員以外の方にご覧いただける機会が限られている。その限られた機会は9月15日と16日の2日間、場所は兵庫県立芸術文化センター中ホールである。

  お見逃しなく。

  (・・・って言われてもねえ)

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