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配信決定! ミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』


12月12日(金)

 12月12日は十二国記の日。

 世の中が『十二国記』7年ぶりの新刊刊行決定!の報せに沸き立つ中、日生劇場では昼の部、夜の部共にスペシャル・カーテンコールが行われた。どの辺りがスペシャルだったのかと言うと、まずミュージカル本編には登場しない中嶋陽子の新たな衣裳がお披露目された。

 通常のカーテンコールの後、山田章博さんの描く陽子のイラスト(『「十二国記」画集〈第一集〉久遠の庭』の表紙になっている)が舞台の背後に大きく映し出され、そのイラストを立体化した新衣裳を纏った柚香さんが登場、キャスト一同を舞台に呼び込む。そして、昼の部では加藤梨里香さん、太田基裕さん、玉城裕規さん、相葉裕樹さん、柚香さんが、夜の部では加藤さん、原田真絢さん、章平さん、牧島輝さん、柚香さんがご挨拶。
 ご挨拶に続いて「ミュージカル『十二国記 —月の影 影の海—』配信決定!」の発表が。騒然となった場内にキャノン砲が放たれ色鮮やかなメタルテープが舞った。

 話は変わる。

 原作小説を未読の方から「あらすじや人間関係、十二国記特有の用語……など、観劇前の予習は必要ですか?」 と尋ねられることがあるのだが、私は「その必要はない」と思っている。物語の主人公である中嶋陽子も「何の予備知識もなしで十二国へ連れ去られた」からである(個人の感想です)。

 今いる場所がどこなのか分からない。目の前の人が誰なのかもわからない。自分がなぜ疎まれるのか、どこに向かえばいいのかもわからない。が、言葉は通じ、時々こちらの世界のことを教えてくれる人が現れる。が、耳で聞いただけでは字面も浮かばず、言葉の意味もわからない……。

 「知らない」「分からない」状態が陽子を不安にし孤独にもし恐怖を呼び起こす。反対に十二国の世界を少しずつ知って行くことが陽子を安心させ好奇心も少しずつ蘇る。

 私は「劇場でお客様にも陽子と同じ体験をしてもらいたい」と願ってこのミュージカルに取り組んだ。原作の小説が「陽子の一人称で書かれている」ことは『十二国記』では何よりも大切にしなければならないルールだと考えたからである(個人の感想です)。

 物語の終盤になっても陽子は「……私は何ひとつ理解できないままここに連れてこられました。私はただ、死にたくなくて。元の世界に帰りたくて……」と言っている。

 私たちの日常では便利なものや安心がすぐ手の届くところにある。でも時にはそれらを頼らずに……ガイドブックを持たない、添乗員さんに頼らない旅に出てみる必要があるように思う。

 少ない手がかりから全体を想像する。それこそが演劇の醍醐味であろう。『十二国記 ―月の影 影の海―』はそういうミュージカルなのである。

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