訃報 吉井澄雄さん
照明デザイナーの吉井澄雄さんが亡くなった。
吉井さんは日本の舞台照明の第一人者でいらした。劇団四季の創立メンバーのおひとりであり、オペラやミュージカル、新劇、スーパー歌舞伎……と幅広いジャンルで大きな功績を残された。私がこの仕事を始めたころ(1980年代です)は東宝などの大劇場の照明もほぼ一手に引き受けていらした。私との接点はその時代にある。
私は大学卒業後、すぐに東宝演劇部に所属して演出部として仕事を始めた。20代の私は特に森繁久彌さんの座組に付くことが多かったのだが、その照明デザインのほとんども吉井さんのお仕事であった。私は演出部なので吉井さんが明かりを作る時間にも毎回お付き合いした。
そのつながりで森繁さんの『佐渡島他吉の生涯』を演出させていただいた(森繁さん、井上思さんと共同で)時が、吉井さんと演出家としてご一緒した唯一の機会であった。
駆け出しの演出家である私は、舞台稽古でもすぐに演出席を立って舞台に駆け上がりたくなってしまうのだが、吉井さんは「君はここにいなさい」と優しくたしなめてくださった。
日本の舞台照明を近代化し、照明デザイナーの地位を向上させたのは間違いなく吉井さんである。そして多くの優秀な後継者を育てられた。
ご冥福をお祈りいたします。
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