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『THE BEST/New HISTORY COMING』通信

1月17日(金)

 歌稽古。そして振り付け/ステージング。

 帝国劇場は他のどの劇場とも異なる舞台機構を持っている。

 回り舞台(我々は「盆」と呼ぶ)は直径が9間(けん。1間は約181.8cm)で、大半の大劇場が備える「8間盆」よりひと回り大きい。
 盆の中には「迫り(せり)」と呼ばれる昇降装置が設けられていて、キャストや大道具・小道具などを乗せて昇降する。「大迫り(おおぜり)」が2基、「中迫り(ちゅうぜり)」が2基あり、4基のすべてが2階建て構造になっている。帝劇の奈落が深いのは(最下層は地下6階になる)2階建ての迫りを可能にするためである。
 更に、盆の外には「小迫り(こぜり)」が4基あり、その内の2基は上下(かみしも=舞台に向かって右側と左側)の花道に設置されている。花道の小迫りは特に「スッポン」と呼ばれる。

 その他にもスライディング・ステージ、ワゴン・ステージ、傾斜ステージ……などを備えていたのだが、長年の間に使われなくなったり、撤去されてしまった舞台機構もある。

 近年は劇場の舞台機構を利用しない作品も増えた。帝劇自慢の舞台機構を実際にはご覧になったことのない方も少なくないのではなかろうか。

 (前日よりつづく)帝劇での演出作品6本目はイーストウィックの魔女たち(2003年12月)である。『イーストウィックの魔女たち』は、『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』をプロデュースしたキャメロン・マッキントッシュさん製作の、『レ・ミ……』や『……サイゴン』とはかなり毛色の異なるミュージカルであった。
 ピューリッツァー賞作家、ジョン・アップダイク氏の同名の小説と、その映画版を原作としたダークなミュージカル・コメディで、一路真輝さん、涼風真世さん、森公美子さんの3人が帝劇の客席上空をフライングする場面が話題となった。その3人の住む街に現れる謎の男=ダリルを陣内孝則さんが演じた。

 この頃になると帝劇で上演されるミュージカルも名作の再演だけでなく、新しい作品、野心的な作品、ブロードウェイ以外で製作された作品……が増えて行く。
 この年(2003年)帝劇で上演された作品は8本。そのうちミュージカルは6本、10か月がミュージカルであった。(つづく)

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