『THE BEST/New HISTORY COMING』通信
1月18日(土)
振付/ステージング。
お! 初めて今までと違う稽古メニューだ。
『イーストウィックの魔女たち』の話をもう少し。
キャメロン・マッキントッシュさんは『イーストウィック……』が帝劇で上演されることを危惧されていた。帝劇と言う劇場には『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』のような壮大でドラマティックな作品が相応しいと感じていらしたからである。
『レ・ミ……』や『……サイゴン』のようにオリジナル公演と同じ演出で上演される作品を「クローン」と呼ぶのだが、『イーストウィック……』の日本版はクローンではなく独自の日本版を作ることが決まっていた。
マッキントッシュさんは日本版の演出を担当する私にこう尋ねた。「帝劇でどうやってミュージカル・コメディを演出するつもりなのか?」 その回答が私たちの日本版である。
脚本・作詞のジョン・デンプセイさんと音楽のダナ・P・ロウさんが初日をご観劇くださり、大喜びされたことが私たちに勇気と自信を与えてくれた。
(前日よりつづく)帝劇での演出作品7本目は『ダンス オブ ヴァンパイア』(2006年7~8)である。『エリザベート』『モーツァルト!』に続くウィーン劇場協会製作のミュージカル第3弾で、脚本・作詞は『エリザ……』『モー……』同様ミヒャエル・クンツェさん、音楽はその2作とは異なりジム・スタインマンさんである。
後に『ダンス オブ ヴァンパイア』は繰り返し再演される人気作になるのだが、初日近辺の客席には空席も見受けられ「まだ様子見」という空気も漂っていた。それが日増しにお客様が増え、千穐楽には当日券を求めるお客様が1200人に及んだらしい。
キャストの魅力と作品本来の力が認知された結果だと思うが、それには公式サイトの果たした役割も大きかっただろう。「リー君」と名乗るコーモリが稽古場や舞台裏の様子を脱力感満載にレポートする……それが予想外に好評を博した。
このブログにもこの時期くらいから以降は多くの記事が残されている。ネットの波が演劇界にも波及し、マスコミの取材を経なくても作り手の思いをお客様に届けることが可能になったのである。(つづく)
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