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2023年3月の記事

『ジキル&ハイド』 東京公演千穐楽

3月28日(火)

 3月11日に開幕した『ジキルハイド』東京公演が千穐楽を迎えた。

 『ジキル&ハイド』の日本初演は2001年。タイトルロールは鹿賀丈史さんで、このヴァージョンは2003年、2005年、2007年に再演された。石丸乾二さんを迎えたニュー・ヴァージョンの初演は2012年。このヴァージョンは2016年、2018年と再演を重ね、そして5年ぶりの今回である。

 私の演出作品の中では最も繰り返し(そして長期にわたって)上演されているミュージカルなのだが、「今回の上演で初めて接した」という声を少なからず受け取った。と同時に「チケットが入手困難となり追加公演が実施された」のも今までになかったことである。

 何が言いたいのかと言うと、『ジキル&ハイド』は我々作り手の感覚では「ずっと上演され続けていた」なのだが、実は今回の上演で「再発見された」のではないかと言うことである。

 その受け取りが正しいのか、正しかったのならなぜそうなったのか……はご興味のある方にご考察いただきたいのだが、今回寄せられた小さくない反響のお陰で『ジキル&ハイド』が新たな生命を得たことは紛れもない事実であろう。

 次の『ジキル&ハイド』がいつ、どのような形で現れるのか、今はまだ分からない。が、再発見されてしまった『ジキル&ハイド』をこのまま捨て置くことはもはや許されないことだろう。

 さて。

 11年に及んだ石丸さんのヘンリー&エドワードも残りのツアーをもって見納めである。

 石丸さん、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。石丸さんとの11年は宝物です。

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『アニー』2023 Weekly

3月27日(月)

 稽古は順調に進んでいる。

 今年が2019年以来の「2幕(途中休憩あり)=フル・ヴァージョン」での上演になることは既に記した。何しろ4年ぶりのフル・ヴァージョンである。その4年の間に「1幕(休憩なし)=短縮ヴァージョン」を2回上演しているので、なんと言うか、稽古していると時々ちょっとした混乱が起きる。短縮ヴァージョンでは割愛されていた台詞がフル・ヴァージョンにはあったり、短縮ヴァージョンにあったエピソードがフル・ヴァージョンにはなかったり……するからである。

 今回のキャストには「短縮ヴァージョンしか経験していない人」「フル・ヴァージョンしか経験していない人」「両ヴァージョンを経験している人」「今回が初参加の人」の4種類がいて、「両ヴァージョンを経験している人」にも「よく覚えている人」と「忘れちゃった人」がいる。そのせいでちょっとした愉快な混乱が時々起きるのである。因みに私は「両ヴァージョンを経験」しているが「たまに錯覚する人」である。

 話は変わるが、『アニー』ファンの皆さんには「本物の犬が舞台に登場する」ことはお馴染みであろう。犬の名は「サンディ」と言うのだが、 そのサンディ役のわんちゃんは2019年から「メープル」と「家康」の2匹が演じてくれていた。そのメープルが勇退することになり、後任には「おこげ」が選ばれた。

 サンディマニアの方は(いらっしゃると仮定して)その名前にご記憶がおありになるかも知れない。このブログにも「おこげ」に触れた記事が残されているので、ご興味のある方はこちらからどうぞ。

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『アニー』2023 Weekly

3月20日(月)

 丸美屋食品ミュージカルアニー2023の稽古が始まっている。

 ブロードウェイ・ミュージカル『アニー』は1977年4月21日にニューヨークのアルヴィン劇場(現在のニール・サイモン劇場)で初演の幕を上げた。そのシーズンのトニー賞ではミュージカル部門の作品賞を含む7部門で受賞し、1983年1月2日にクローズするまでに2377回の上演を重ねた。
 日本では1978年に日生劇場で東宝の製作により初演された。現在まで続く日本テレビ製作の『アニー』は1986年が初演で、以来その歴史は今日まで脈々と受け継がれている。

 その歴史ある『アニー』が上演されなかった年がある。2020年である。
 ご承知のように2020年は新型コロナ感染症が世の中のあらゆることを止めてしまったことで記憶される年である。『アニー』も(既に稽古には入っていたのだが)全公演が中止となった。

 翌2021年は「感染症対策としての緊急避難的措置」として、上演時間を短縮し登場キャストの人数も減らした「1幕ヴァージョン」での『アニー』の上演が試みられた。通常ではオーケストラが生演奏する音楽もこの年は録音したものを使用した。
 にも関わらず、春の東京公演は初日のみ公演しただけで2日目以降は中止となった。夏のツアーでも一部の公演が中止となった。

 昨年(2022)の『アニー』も「1幕短縮ヴァージョン」であった。が、オーケストラの生演奏は復活した。春の東京公演も夏のツアーも中止になることは免れたが、そのためにキャスト、オーケストラ・メンバー、スタッフの全員がどれほど神経をすり減らしたことだろう。

 さて。

 今年の『アニー』は待ちに待ったフル・ヴァージョンである。オーケストラももちろん生演奏である。
 まだまだコロナ以前のようには行かないが、世の中も少しずつ元の生活を取り戻しつつある。関係者全員が、そして劇場にいらっしゃるお客様が心置きなく『アニー』を楽しめるようになって行けば嬉しい。

 このブログには私が演出を担当するようになった2017年以降の『アニー』通信が残されている。上で触れた期間の記事もあるので、ご興味のある方はこのページ右側の「カテゴリー」欄にある『アニー』をクリックしてご覧ください。

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『SHINE SHOW!』上演決定!

 SHINE SHOW!(シャイン・ショウ)は、とある複合オフィスビルで毎年開催されている「そのビルに勤める会社員たちによるカラオケ大会」を舞台にした冨坂友さん/作の群像劇コメディである。 

 カラオケ大会の話なので(社員のショウ、ですね)当然のことながら歌唱場面は登場する。が、『SHINE SHOW!』はミュージカルではない。あくまでも歌唱場面のあるストレート・プレイである。

 大事なことなのでもう1度。

 『SHINE SHOW!』はミュージカルではない。ストレート・プレイである。

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ダブルキャスト初日! 『ジキル&ハイド』

3月12日(日)

 ダブルキャストの4人も無事に初日を迎えた。

 昨日も今日も「夜の本番」の前にゲネプロをやっているので、ダブルキャストではないキャスト、オーケストラ、スタッフの皆さんは実質「2日連続で2回公演」である。その前の3日間もほぼ終日舞台稽古だったので、とにかく皆さんお疲れさまでした。

 昨夜の初日も大変すばらしい出来であったのだが、今夜もまた昨晩に勝るとも劣らないエキサイティングな一夜となった。
 昨日に続いて観劇されたワイルドホーンさんも柿澤さんのジキル/ハイドを大絶賛。カーテンコールで柿澤さんが登場するや否や真っ先に立ち上がって拍手をしたのはワイルドホーンさんであった。

 そして今夜は鹿賀丈史さんがご観劇。言うまでもないが鹿賀さんは初代(2001~2007)のジキル/ハイドである。
 鹿賀さんは終演後、楽屋を訪ねて柿澤さんの労をねぎらってくださった。あの役の大変さを誰よりもご存じなのは鹿賀さんである。

 明日からはダブルキャストのシャッフルが始まる。どんな化学変化が現れるだろう。ぜひもう1度、初回とは異なるキャストで『ジキルハイド』をご覧いただきたいと思う。

 これで『ジキル&ハイド』通信/Weeklyはおしまいである。ご愛読ありがとうございました。
 次は『アニー』2023Weekly。早く気持ちを切り替えなくては……(汗)

 ミュージカル『ジキル&ハイド』東京公演は3月28日(火)まで。そののち名古屋・山形・大阪へ参ります。

 また会おうジキル!

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開幕! 『ジキル&ハイド』

3月11日(土)

 『ジキル&ハイド』が初日を迎えた。

 大勢のお客様がご来場くださり、まずそのことだけで私は胸が一杯であった(何しろ20年以上かかわっている作品なので……)。

 そしてフランク・ワイルドホーンさんと5年ぶりの再会。開口一番、ワイルドホーンさんは「ニュー・ヴァージョンの『ジキル&ハイド』がもうすぐ観られるよ!」と教えてくださった。これは今までの物とはストーリーの展開が異なるらしい(早速調べてみたのだが……これかな?)。

 「きっと君は好きだと思うよ」
 それを聞いて私はもう胸が一杯(以下略)。

 それはともかく。

 初日の公演は定刻に始まり、無事にカーテン・コールまで進行した。
 1幕のハイライトとなるナンバー「時が来た」ではショー・ストップになり、私はまたまた胸が(略)。

 カーテン・コールでは私も舞台に上がった。『ジキル&ハイド』では初日の恒例となっているのだが、ワイルドホーンさんをご紹介するためである。ワイルドホーンさんはいつものように、カンパニー一同に温かい、ねぎらいの言葉をくださった。横で聞いていた私は(略)。

 私は「1人でも多くのお客様にご覧いただけることが何よりも喜びである」みたいなことを喋った。東京公演は既にチケットの入手が困難らしいので山形や名古屋などにお出かけください、みたいなことも申し上げたのだが……

 ごめんなさい。名古屋もほぼ完売らしい。どうぞ山形か大阪にご来場ください。

 さて。

 明日はダブルキャストのもうひと組(柿澤さん、真彩さん、桜井さん、そして上川さん)の初日である。

 その前に“やらなければならないこと”はやっぱり残っているのだが。

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『ジキル&ハイド』通信

3月10日(金)

 予定されていたスタッフの作業、そして舞台稽古を(概ね)順調に終えた。

 今回の『ジキル&ハイド』は主要な幾つかの役がダブルキャストになっているので、舞台稽古にもその分時間が掛かるのである。加えて、5年ぶりの再演で、この5年の間に照明機材(ムービング・スポット)が新世代の物に更新されているので、照明のリデザインにも今まで以上に時間が必要となる。

 そんな困難な条件の下での5日間であったが、我々は上手く乗り切ったと思う。その遂行にご尽力くださったカンパニー・スタッフ、劇場スタッフの全員に感謝を申し上げたい。

 さて。

 明日は初日。ダブルキャストは石丸さん、笹本さん、Amiさん、そして石井さんである。開演時刻は17時30分だが、その前にまだ“やらなければならないこと”が残っている。

 それが上手く片付き、最高の初日を迎えられますように!

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『ジキル&ハイド』Weekly

3月6日(月)

 ピアノでの通し稽古(2回)、オーケストラとキャストの合わせ(オケ合わせ)、オケ付き通し稽古(2回)……と“稽古場最終週のメニュー”を無事に消化し、昨日で稽古場での全行程を終えた。本日から東京国際フォーラムホールCに場所を移しての作業が始まっている。

 言うまでもないことだが、ミュージカル『ジキルハイド』の作者はフランク・ワイルドホーンさん(音楽)とレスリー・ブリカッスさん(脚本・作詞)のお2人である。
 『ジキル&ハイド』のワールド・プレミアが行われたのは1990年。劇場はテキサス州ヒューストンのアレイ・シアターであった。ブロードウェイのプリマス・シアターに登場したのは1997年。日本初演はその4年後、2001年であった。

 日本初演の会場は日生劇場で、オープニング・ナイトは11月5日であった。ワイルドホーンさんは『ジキル&ハイド』が日本で上演される度に初日に駆けつけてくださるのたが、2001年の初日に駆けつけてくださったのはブリカッスさんであった。
 ブリカッスさんは初日のカーテン・コールで舞台に上がられ、日本カンパニーに最大級の賛辞をくださった。そしてその夜、私はブリカッスさんご夫妻と会食するという栄に浴した。

 その時のことを記した文章が残っている。このページの右側にある「カテゴリー」欄の「アーカイブ」に所蔵されているのだが、こちらをクリックしていただけば直接そのページに飛ぶことができる(20年以上前の文章なので……。乱筆乱文ご容赦ください)。もうひとつ、ブリカッスさんの訃報に接した時のブログがこちら。ブリカッスさんは2021年の10月19日に亡くなった。

 ブリカッスさんは、ワイルドホーンさんと手がけられたもう1本のミュージカルシラノが日本で上演された際にも初日(2009年5月5日/日生劇場)にご来場くださることになっていた。が、直前になってその予定はキャンセルされた(そのことに触れたブログはこちら)。

 ブリカッスさんとの再会は叶わぬ夢となった。

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