古谷一行さん
古谷一行さんが亡くなった。
古谷さんと初めてご一緒したのは『サウンド・オブ・ミュージック』(1998年/日生劇場)。私の初めてのブロードウェイ・ミュージカルで、古谷さんはフォン・トラップ大佐を演じてくださった。
2作目は世界的ベストセラー小説『マディソン郡の橋』の世界初の舞台化(1999年/天王洲アートスフィア、他。2001年に再演)で、主人公と恋に落ちるカメラマン=ロバート・キンケイドが古谷さんの役。
続くアガサ・クリスティ/作の本格ミステリー『検察側の証人』(2002年/ル・テアトル銀座、他)では勅選(ちょくせん)弁護人のウィルフリッド・ロバーツ卿を演じていただいた。
最後にご一緒したのは谷崎潤一郎さんの小説を原作とした喜劇『台所太平記』(2015年/明治座)で、古谷さんは原作者を思わせる小説家=千倉磊吉(らいきち)を飄々と演じてくださった。
『サウンド・オブ・ミュージック』では舞台上でギターを弾きながら「エーデルワイス」を歌っていただいた(弾き語り!)。『検察側の証人』では“法律用語満載”の台詞と格闘しながら「覚えられないよ……」とこぼされ、『台所太平記』では稽古を終えようとする私にいつも「もっと稽古しようよ!」とねだられた。
稽古が好きで好きでたまらない“稽古の虫”でいらっしゃった。
ご冥福をお祈りいたします。
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