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2022年7月の記事

『ヘアスプレー』通信

7月30日(土)

 立ち稽古。1幕1場のミュージカル・ナンバー「最高にいかしたやつら」を振り付け。

 『ヘアスプレー』の振付は原田薫さん、NOPPOさん、MEDUSAさんの3人。今日のナンバーは原田さんのご担当である。
 「最高にいかしたやつら」は“コーニー・コリンズ・ショー″のテーマ曲で、番組の冒頭でコーニー(上口耕平さんが演じる)と番組レギュラーの男子&女子によって歌われ、踊られる。60年代ぽいロックンロール・テイストの楽曲で、原田さんの振付も60年代テイスト。

 固有名詞ではないが、ヴェルマがコーニーに向かって「デトロイトの音楽なんてかけないでよ」と釘を刺すくだりがある。
 アメリカのミシガン州デトロイトで1950年代の終わり頃に生まれて世界中に広まったのはソウル・ミュージックやR&Bであるが、ヴェルマはデトロイト発祥のモータウン・レコードが広めた音楽(モータウン・サウンドと呼ばれる)のことがお気に召さないらしい。

 で、『ヘアスプレー』に登場する固有名詞シリーズその2「コニー・フランシス」。

 コニー・フランシスは50年代後半から60年代にかけて大活躍した女性歌手である。アメリカ、ニュージャージー州生まれのイタリア系で、“女性初のロックンロール歌手”と称された。ヴェルマはデトロイトの音楽を評価するコーニーに向かって彼女の名前を持ち出すことになる。

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『ヘアスプレー』通信

7月29日(金)

 立ち稽古に入る。1幕1場の芝居部分より手を着ける。

 『ヘアスプレー』では“ティーンエイジャー向けの生放送の音楽番組「コーニー・コリンズ・ショー」が毎週月曜日から金曜日の夕方に放送されている”設定である。主人公のトレイシーとその親友のペニー(清水くるみさんが演じる)も学校から走って帰宅してテレビに噛りつく……。

 『ヘアスプレー』に登場する固有名詞シリーズその1「プレスリー」。

 これはご存知の方も少なくないと思うのだが、1950年代から60年代にかけて一世を風靡したアメリカのロック・ミュージシャン、エルヴィス・プレスリーのことである。
 「コーニー・コリンズ・ショー」のプロデューサーであるヴェルマ(瀬奈じゅんさんが演じる)が、番組の若き人気スター、リンク(三浦宏規さんが演じる)に向かって「(あなたは)まだプレスリーじゃないのよ」と辛辣に告げている。

 現在映画館で上映中の『エルヴィス』(バズ・ラーマン監督)ではエルヴィス・プレスリー伝説の裏側が描かれている(らしい)

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『ヘアスプレー』通信

7月27日(水)

 昨日とは打って変わって少人数での稽古。稽古後は演出部の高梨さん・松尾さんと小道具の打ち合わせ。

 『ヘアスプレー』が舞台としているのは1962年のアメリカ、メリーランド州ボルティモア。主人公のトレイシーは“踊ることが好きで好きでたまらない”高校生である。

 翻訳劇や翻訳ミュージカルではよくあることなのだが、台詞や歌詞にときどき“固有名詞”が登場する。
 1977年のフィラデルフィアを舞台にしたミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』にもその傾向はあったし、1985年のニュージャージーを舞台にしたミュージカル『ウェディング・シンガー』は「これでもか」と言うくらい固有名詞の連続であった。

 『ヘアスプレー』にも固有名詞が結構登場する。大抵の場合はその固有名詞を知らなくてもストーリーを追うのに影響はないので安心していただいていいのだが、知っていれば『ヘアスプレー』を更に楽しめることもまた事実であろう。

 なので、このブログでも劇中に登場する固有名詞を折に触れてご紹介していこうと思う。「大きなお世話」だと思われる方はどうぞ読み飛ばしてください。(でも今日はやらない)

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『ジキル&ハイド』再演決定!

 ブロードウェイ・ミュージカル『ジキルハイド』の再演が決まった。

 第1報はこちらからどうぞ。

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『ヘアスプレー』通信

7月26日(火)

 歌入り読み合わせ。

 一昨日の“みんなで全曲歌ってみた”もかなり濃密だったのだが、今日はそれを遥かに凌ぐ充実ぶりであった。翻訳の浦辺千鶴さんと訳詞の高橋亜子さんも顔を見せてくださり、止まっていた時計が動き出したかのようである。

 実は今朝、アラームを掛けた時刻より1時間半も前に目が覚めてしまった。歌入り読み合わせのことが気がかりだったのか、まるで遠足の朝の子供である。だが終わってみればかなりの手応えである。今夜からは枕を高くして寝られるだろう。

 稽古後は振り付け打ち合わせ。3人いらっしゃる振付家のおひとり、MEDUSAさんと。

 

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『ヘアスプレー』通信

7月25日(月)

 キャストの何人かがSNSに「『ヘアスプレー』のコーラスの難易度が高い」ことを記しているが、そうなのである。難易度が高いのである。なので今日もコーラス稽古。

 話は変わるが、昨夜の夢に渡辺直美さんがご登場。「ニューヨークの街を私が直美さんにガイドする」というシチュエーションであった。どう考えても“私がガイドしてもらう方”であろう。

 直美さん、20ドル以内で美味しいお店があったら是非教えてください(ないのか!?)

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『ヘアスプレー』通信

7月24日(日)

 全キャスト(の内の参加可能な皆さん)が集合。今まで個別に稽古していたミュージカル・ナンバーを“一同顔をそろえて”歌ってみるデー。

 幕開きの「グッドモーニング・ボルティモア」からフィナーレの「ビートは止められない」まで、音楽的な確認と調整を加えながら1曲ずつ歌ってみる。チェックしてくださるのは音楽監督の八幡茂さんである。

 マスクも外せず、席と席の間も離れているが(隣の人との間にはパーティションも立っている)、それでも顔を合わせての稽古は格別である。
 演劇界では「その公演のために集まった全員」のことを“カンパニー”と呼ぶのだが、チーム『ヘアスプレー』は今日ようやくカンパニーとなったように思う。1曲歌い終わるごとに拍手と歓声が起こる、『ヘアスプレー』らしい熱を帯びた歌稽古であった。

 この楽しさと喜びを皆さんにも早く味わっていただきたい。

 9月17日の開幕が待ちきれない。

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『ヘアスプレー』通信

7月23日(土)

 プリンシパル・キャストの皆さんの歌稽古も鋭意進行中である。

 『ヘアスプレー』では“ほとんど出ずっぱり”の渡辺直美さんが歌うナンバーが誰よりも多い。他の皆さんのナンバーは直美さんと比べると実はそれほど多くなく、なので歌稽古に費やす時間も直美さんが抜きん出て多い。

 直美さんのミュージカル経験としては2010年に銀河劇場で上演されたミュージカル『FAME~フェーム~』がおありなのだが、『ヘアスプレー』は直美さんのそれ以来の本格的なミュージカルということになる。気合も入ろうと言うものである。

 それにしても『ヘアスプレー』に集まったキャストのなんと多彩なことだろう。私も今までに何度もご一緒した方もいらっしゃれば、今回初めてご一緒する方も少なくない。プリンシパル・キャストでは山口祐一郎さん、瀬奈じゅんさん、石川禅さん、上口耕平さん以外の皆さんが“初めまして”である。

 明日も歌稽古。プリンシパル・キャストの皆さんとアンサンブルの皆さんがいよいよ合流する (予定)

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『ヘアスプレー』通信

7月21日(木)

 新型コロナ感染症の感染者数が“過去最大”を更新し続けている。

 各地の劇場から届く公演中止の知らせも増加の一途をたどり、多くの稽古場から悲痛な声も伝わって来る。
 演劇界の大半では体調不良者が1人出れば公演でも稽古でもその時点で中止となる。直ちに関係者全員のPCR検査が行われ、全員の陰性が確認されてようやく再開の流れとなる。巷間では行動制限の是非も取りざたされているが、これはもう立派な行動制限であろう。

 劇場や稽古場の安全を担保するためには必要な措置である。が、公演の中止に至れば経済的な損失も発生するし、観劇を楽しみにされていたお客様の交通費や宿泊費も無駄になる。

 切ない……(泣)

 次回は明るいことを書く (つもり)

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『ヘアスプレー』通信

7月20日(水)

 『ヘアスプレー』は、当初2020年の6~7月に上演されることになっていた。なので、2020年が明けた頃から様々な準備も本格化していた。舞台美術、衣裳とヘアメイク、振付……などであるが、それらの全てが中途半端な形で止まってしまった(台本の翻訳と訳詞の作業は先行していたために作業を終えていた)。

 今回の『ヘアスプレー』再起動に当たってまず手を着けたのは、止まったままになっていたそれぞれの作業を再開することであった。

 打ち合わせと言うものは、大抵の場合「次回は2週間後ね」とか「次回までに“この部分”は具体的にしておいてね」などと言って終わるものである。
 その次回が「2年後」になってしまった。話がどこまで進んでいたのか、解決すべき課題は何だったのか、そもそも何をしている途中だったのか……。

 それぞれの作業を再開させてはみたものの私自身のモチベーションがイマイチ上がらない。これは一体……?

 芝居作りは(ミュージカルでもストレートプレイでも)、開幕日に照準を合わせて、そこに向かってカンパニー全体の力を「寄せて」「集めて」「高めて」行く作業だ、と言えると思う。少なくとも演出家である私のアプローチはそのようになっている。
 そのアプローチをとることが、どうやら自分でも気が付かないうちに自分のモチベーションを高めていたらしい。急に「再開!」と号令をかけてられても、モチベーションは「待ってました!」とはなってくれないようである。

 面倒くさいヤツだなぁ。

 仕事には長年の間に習慣づけされたやり方(ルーティーン)と言うものがある。ルーティーンにはルーティーンになるだけの意味があったのだなあ(遠い目)。

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『ヘアスプレー』通信

7月19日(火)

 稽古場では現在歌稽古が進行中である。

 ミュージカルの稽古ではどの作品でもそうだと思うが、「まずは歌稽古から」稽古に入るのがスタンダードとなっている。ミュージカル・ナンバーの構造や仕掛けなどを共有して、コーラスのある楽曲では「誰がどのパートを担うのか」を確認し、必要であれば音取りをする。

 歌稽古を進めてみて思い知ったのだが、『ヘアスプレー』の場合、コーラス稽古が一筋縄では行かない。コーラスが複雑で難易度が高いだけでなく、コーラスが多用されていて、そのコーラスを「誰に振るのが最善なのか」も台本と譜面からは簡単には推し量ることができない。だからである。

 その結果、歌稽古の時間が長くなる。特にアンサンブルの皆さんの歌稽古が長くなる。

 そんな困難な作品で歌唱指導を務めてくださるのは山口正義さんとちあきしんさん、歌唱指導助手は柳本奈都子さん(キャストのひとりでもある)、稽古ピアノは宇賀村直佳さんと若林優美さんである。

 音楽班の皆さん、どうぞよろしくお願いします。

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『ヘアスプレー』通信

7月16日(土)

 緊急事態宣言はまず東京都・他6府県に発出された。4月16日には実施区域が全国に拡大され、そして5月4日には実施期間を5月31日まで延長することが発表された。

 さすがにこの日程では初日を遅らせたりスタッフを増員したりでは乗り切れない。ゴールデン・ウィーク頃からの稽古開始を模索していた『ヘアスプレー』カンパニーの命運はこの時ついに尽きた。

 この辺りのことを記したブログが残されている。先行きもまるで見通せず、いま思えば気持ち的には一番しんどかった頃である。

 ご興味のある方はこちらからどうぞ。

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『ヘアスプレー』通信

7月15日(金)

 緊急事態宣言は2020年4月7日に発出され、期間は5月6日までの1か月間とされていた。緊急事態措置の必要がなくなった場合には速やかにそれを解除することも謳われていた。

 予定されていた4月の第2週から稽古に入ることができなかった『ヘアスプレー』は、緊急事態が解除され次第稽古をスタートすることになった。初日は6月14日であったが、仮に稽古のスタートが5月7日になるとすると(それ以前に緊急事態が解除され稽古を始められる可能性もあるのだが)初日まではおおよそ1か月。新作ミュージカルをゼロから立ち上げるにしては稽古期間があまりにも短い。

 初日を遅らせることや短期間の稽古に対応するためにスタッフを増員すること……などが急遽検討されることになる。(つづく)

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『ヘアスプレー』通信

7月14日(木)

 2020年を振り返ると、新型コロナの感染者数が急増したのが2月の後半で、政府はその対応策としてイベント開催の自粛要請を出した。学校や劇場は要請を受け入れて直ちに休校や公演中止の対応を取った。
 が、感染者数は減ることなく増え続け、当初2週間とされた自粛の要請期間も延長された。学校の休校も劇場の公演中止もなし崩し的に延長されることになる。

 4月に入ると緊急事態宣言が7都府県に、続いて全国に発出される事態となる。劇場の再開を睨んで自粛要請期間中も稽古や準備を細々と進めていたカンパニーも、事ここに及んで稽古場のクローズを決断。演劇業界の機能は完全に停止した。

 キャストに台本と譜面が配られ稽古に入るばかりとなっていた『ヘアスプレー』も稽古を始めることができないでいた。(つづく)

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『ヘアスプレー』通信

7月12日(火)

 渡辺直美さん以外のメインキャストが発表されたのは2019年4月。ブロードウェイ初演ではハーヴェイ・ファイアスタイン(『ラ・カージュ・オ・フォール』の脚本を書いた!)が演じ、映画版ではジョン・トラボルタが演じて話題となったトレイシーの母親=エドナ役に山口祐一郎さんが配役され、ミュージカル界が騒然となる。

 11月には公式サイトがリニューアル、主要なキャストが扮装したメイン・ヴィジュアルやコメント・ムービーが公開された。12月にはFNS歌謡祭に「チーム・ヘアスプレー」が登場、ミュージカル・ナンバー「ビートは止められない」を披露した。

 2020年3月にはプロモーション映像も公開された。我々は4月第2週の稽古開始に向けて着々と準備を進めていた。(つづく)
 

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『ヘアスプレー』通信

7月11日(月)

 ヘアスプレーの稽古が始まった。

 ブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』は2002年にニール・サイモン劇場で開幕した。原作としているのは1988年(日本では1989年)に公開されたジョン・ウォーターズ脚本・監督の同名の(ミュージカルではない)映画で、2003年のトニー賞では13部門にノミネートされ、ベスト・ミュージカルを含む8部門で受賞した。
 ミュージカル版『ヘアスプレー』は2009年まで続演される大ヒットとなり、映画化も行われて(アダム・シャンクマン監督)2007年に公開された。ツアー版の来日公演も2007年と2009年に行われ、そちらをご覧になった方もいらっしゃるはずである。

 翻訳上演が待たれていたミュージカル『ヘアスプレー』であったが、渡辺直美さんを主人公のトレイシー役に迎えての日本版上演が発表になったのは2019年3月のことであった。(つづく)

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『奇人たちの晩餐会』大千穐楽

7月10日(日)

 『奇人たちの晩餐会』が大阪、長野、愛知での公演を経て福岡に辿り着いた。会場は博多座で、今日がその大千穐楽。

 各地でご来場くださった皆さん、そしてご声援くださった皆さん、本当にありがとうございました。愛之助さんをはじめとするキャスト、スタッフ、公演関係者の皆さん、本当にお疲れさまでした。

 終息に向かうのではないかと感じられたコロナの感染者数の推移が、ここへ来てまたもや増加に転じている。公演中止の知らせも相変わらず各地から届く。
 そんな中で今日を迎えられたことには感謝しかない。が、私たちと公演中止になったカンパニーの感染症対策に大きな違いがあったとも思われない。私たちは運が良かったのだとしか言いようがない。

 そんな心境ではあるのだが、全公演を全うできたことは素直に喜びたい。そして(ご本人がカーテン・コールのご挨拶でおっしゃっていたことだから書いてもいいのだと思うのだが)今朝のシャワーで本当にギックリ腰にになってしまった(ギックリ腰と言う設定だった)戸次さん、どうぞ次のお仕事に影響が出ませんように。

 いつの日にか、愛すべき奇人たちと再会できることを信じて(その前にキャストの皆さんとご飯食べに行けますように)

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