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『オトコ・フタリ』通信

12月1日(火)

 今日も通し稽古。

 稽古後の“ノート”のことを何と言うか?

 いきなり分かりづらい文章で恐縮だが、今日のノートでそんな話になった。
 『オリ』の稽古場では“ノート”と言っているが、(11月22日のブログでも触れたように)かつてはそれは“ダメ出し”と呼ばれていた。が、最近ではそう呼ばない現場が増えているように思う。

 そのように変わって来たのはいつ頃からだろう?
 私が演劇を始めた学生時代(もう40年も前ですが)、稽古後に演出家がキャストやスタッフに指示を出すことは当然のように“ダメ(駄目)出し”と呼ばれていた。大学を出て東宝に入ってからもずーっとそうであった。

 20世紀の終わり近くになって、英語圏で上演された作品を翻訳上演する際にオリジナルの演出家を招聘するケース――例えば東宝では『レ・ミゼラブル』(1987年日本初演)や『ミス・サイゴン』(1992年日本初演)など――が増えてきた。
 海外の演出家が来日して稽古を進めるようになると、彼らは“ダメ出し”の意味で“Note”と言う単語を用いることが分かった。改めて考えてみれば、“ダメ出し”と言う用語にはネガティブなイメージが付きまとうが、それに対して“ノート”は簡潔で実にクリーンな用語である。

 だったら“ダメ出し”のような「ダメであること」を前提にした「ダメな所を指摘しまくる」ようなイメージの用語は使うのをやめて、これからは“ノート”で行こう……みたいな話が、恐らくは至る所で交わされたのであろう。それで今日では“ノート”と呼ぶ現場が増えているのだろう、と思う。

 話が長くなったが、時代の流れに鈍感な演出家ではいたくないので言葉のチョイスには注意を払いたい、と私も思った次第である。
 私は油断すると“ダメ出し”と言ってしまう。それは刷り込まれた習慣によるもので他意は全くないのだが、「だったらもっとポジティブな言葉に変えてしまえばいいのではないか」と言う話で今日の“ノート”は盛り上がったのであった。

 『オリ』の稽古場では、これからはそれを「お茶会」と呼ぶことになった。演出家の話を聞く時に「お茶とお菓子OK」なのは言うまでもない。
 
 稽古後は照明打ち合わせ。照明デザイナーの服部さん、舞台監督の山本さん、演出助手の末永さんと。

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コメント

「お茶会」良いですね!
和やかで楽しいお稽古場の雰囲気が伝わってきます。

とうとう12月に入りましたね!
今年は自粛自粛の空気の中で、あっという間に時間が過ぎ去って来てしまったように思います。
…かと思うのに、長い時間を耐えて来た様にも感じて、ある意味で人生の中で忘れがたい、忘れられない一年を過ごして来た訳ですが。

そして、いつの間にか「オトコ・フタリ」も初日まで2週間を切っているんですね。
昨日の先生のお言葉ではないですが、本当にこのまま全員無事に、何事もなく初日の幕が開いて千秋楽まで滞りなく歩を進めていただける様、心から祈って応援してます!
※突っ走るという表現は、今回のゆったりとした楽しいお稽古場には相応しくなさそうでしたので(笑)

投稿: neko-hutari | 2020年12月 2日 (水) 01時28分

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