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2020年8月の記事

『ローマの休日』通信

8月30日(日)

 歌稽古。その後、音楽班の皆さん、演出部の皆さんと音楽打ち合わせ。

 打ち合わせのテーマは、“台詞BGM”や“シーン・チェンジ音楽”など「ミュージカル・ナンバーではない音楽」を検証することであった。
 「音楽がどこから始まりどこで終わるのか」や「台詞の分量や芝居のタイミングとマッチしているか」、或いは「舞台転換は成立しているか」などが1曲ずつ検証された。

 今回の『ローマの休日』は再演ではあるが、脚本にも細かな改訂が施され、舞台美術とその転換方法も一新されている。大島ミチルさんも全ての譜面を書き直しているので、それらを擦り合わせておくことは極めて重要な作業になる。

 観客が目にし耳にするものは、あくまでもさりげなく、自然に流れて行かなければならない。が、観客にそう見えそう聞こえるためには、今日のような緻密な作業の積み重ねが必要となる。

 我々にとっては“オリジナル・ミュージカルならではの醍醐味”のひとつでもあるのだが。

 

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『ローマの休日』通信

8月29日(土)

 歌稽古。そしてミュージカル・ナンバー「それが人生」をステージング。

 「それが人生」は、ローマ在住のアメリカ人新聞記者=ジョー・ブラッドレーがカメラマンのアーヴィング・ラドヴィッチや仲間の新聞記者たちと歌うナンバー。ジョーの登場場面で歌われる。
 一昨日手を付けた「カット!」とはまた違って男同士のちょっと乱暴なやり取りが楽しく、男声のみのハーモニーも心地よい。

 ジョーを演じるのは加藤和樹さんと平方元基さんで(Wキャスト)、アーヴィングは太田基裕さんと藤森慎吾さん(同じくWキャスト)、そして仲間の新聞記者は上條駿さん、田中秀哉さん、森雄基さんである。

 それにしても稽古の、稽古場の何と楽しいことだろう。

 この楽しさがいつまでも続きますように。

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トークショー『My Story -素敵な仲間たち-』

 スペシャル・トークショー『My Story-素敵な仲間たち-』の開催が決まった。

 ホスト役は山口祐一郎さんで、山口さんと素敵なゲストの皆さんがスリリングな(または先の読めない)トークを繰り広げることになる。
公演の詳細、ゲストの顔触れや公演日時、チケット情報などは公式サイトをご覧いただきたい。

 また、LIVE映像配信も予定されているのだが、“詳細は後日”とのことである。続報をお待ちください。

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『ローマの休日』通信

8月27日(木)

 歌稽古。そしてミュージカル・ナンバー「カット!」のステージング。

 「カット!」は美容院の場面で歌われるナンバーで、「髪の毛を切って欲しい」と願うアン王女と美容師のマリオとのやり取りが描かれる。マリオを演じるのは岡田亮輔さんである。
 振付の桜木涼介さんがキュートな振りを次々と付けて行く。今日のところはまだラフではあるが、とてもチャーミングなナンバーに仕上がりそうである。振付助手は弓野梨佳さんである。

 (「全ての道はローマに通ず」第6回)
 ザルツブルクから帰国した翌月、1997年の6月6日に映画版『ローマの休日』のビデオが支給された。6月9日に自宅でビデオを鑑賞、改めて「映画の完成度の高さ」を思い知る。

 こうして『ローマの休日』と私との付き合いは始まった。その付き合いが20年以上にも及ぼうとは、その時の私は知る由もなかった。
 (第1部終わり)

 

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『ローマの休日』通信

8月26日(水)

 そして歌稽古。

 歌稽古も2巡目に入っている。“音取り”が中心だった1巡目と比べると歌がより“音楽的”になっているので、楽曲が秘めていた魅力がいよいよ光を放ち始めたように感じる。

 次はより“演劇的”になりたい。

 (「全ての道はローマに通ず」第5回)
 ブロードウェイ・ミュージカルを演出する機会が私にも巡ってきた。『サウンド・オブ・ミュージック』(1998年3月~/日生劇場)である。

 『サウンド・オブ・ミュージック』は実話をもとに製作されたミュージカルである。駆け出しの演出家だった私は「物語の舞台となった土地を見ておきたい」と考え、仕事の合間にザルツブルクに旅立った。

 ザルツブルクからの帰り、立ち寄ったウィーンのホテルに日本から国際電話が入った。“視察”とはいえプライベートな旅である。その旅先にわざわざ国際電話……? 訝りながら電話に出た私に相手は告げた。

 「『ローマの休日』を演出して欲しい」

 それが1997年5月14日である。
 (第6回につづく)

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『ローマの休日』通信

8月25日(火)

 歌稽古。並行して舞台美術周りの打ち合わせ。

 美術デザイナーの松井さん、照明デザイナーの高見さん、映像デザイナーの栗山さんがお付き合いくださり、演出部の皆さんが何日も費やしてまとめてくれた“シミュレーション”の結果をたたき台にして、「幕開きからラストシーンまで」の舞台美術、照明、映像、そしてシーン・チェンジの手順などを一気呵成に整理。

 ちょっと見えてきたかも。

 (「全ての道はローマに通ず」第4回)
 新聞報道で“『ローマの休日』ミュージカル化”を知った時、私は「演出家は決まっている」ものと思っていた。大抵の場合、主要なキャストとクリエイティブ・チームは作品の上演が発表される時点では決まっているものだからである。「へぇ~……」という他人事のような感想になったのはそういうわけであった。

 私が『ローマの休日』の演出を命じられたのは1997年の5月14日であった。新聞報道から8か月が経っていた。
 (第5回につづく)

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『ローマの休日』通信

8月24日(月)

 歌稽古。並行して音響デザイナーの山本浩一さんと音響周りの確認と打ち合わせ。

 今回の『ローマの休日』は、現時点ではオーケストラピットを使用する予定である。大島ミチルさんが新たなオーケストレーションで全曲のスコアを書いてくださったので(まだ書いている途中かも?)、オーケストラで聞くのが楽しみ!

 (「全ての道はローマに通ず」第3回)
 しかし、当時の東宝内には「遠くない将来、大劇場ではミュージカルが主流になる」という見通しが既にあったと思われる。

 『レ・ミゼラブル』の帝劇での上演は1987年に始まっていたし、『ミス・サイゴン』も1992年にレパートリーに加わっていた。宮本亜門さんや小池修一郎さんといった新世代の演出家も(30代で!)招かれていた。

 『ローマの休日』をオリジナル・ミュージカルとして製作するという判断も、その流れの中にあったに違いない。
 (第4回につづく)

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『ローマの休日』通信

8月23日(日)

 歌稽古。そして今日も“あること”のレッスン。

 (昨日のつづき)
 新聞で『ローマの休日』のミュージカル化を知ったくらいなので、その時点の私は関係者ではなかった。前年(1995年)に演出家デビューしたばかりの私は、まだ本格的なミュージカルを演出した経験も皆無だった。

 その頃の演劇界は現在ほどミュージカルの上演が盛んではなかった。

 1996年に帝劇で上演された作品は9本。だが、そのほとんどは山本富士子さん、佐久間良子さん、浅丘ルリ子さん、十朱幸代さん、浜木綿子さん、池内淳子さんら、大女優を座長とした日本物のストレート・プレイであり、ミュージカルは『屋根の上のヴァイオリン弾き』1本だけであった。
 (短期連載「全ての道はローマに通ず」第2回終わり。第3回につづく)

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『ローマの休日』通信

8月22日(土)

 歌稽古。歌稽古はもうしばらく続く。

 歌稽古と並行して、今日は“あること”のレッスン。
 これはキャストの大半に受講してもらうことになるレッスンである。何と言っても舞台はローマだからね。

 話は変わる。

 映画『ローマの休日』がミュージカル化されることを知ったのは1996年の9月であった。
 稽古場(今は無き用賀のファクトリー)でたまたま目にした新聞に「東京宝塚劇場建て替え」という記事が載っていた。その記事に「東宝が『ローマの休日』をオリジナル・ミュージカルとして舞台化する」ことも記されていたのである。

 「へぇ~……」

 というのが、その時の私の率直な感想であった。(つづく)

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『ローマの休日』通信

8月21日(金)

 稽古場では連日“絶賛歌稽古中”である。そして演出部の皆さんとは連日“絶賛シミュレーション中”。
 どちらもなかなか手ごわい。

 今回の再演ではクリエイティブ・チームにも新たな顔ぶれが配された。
 ご紹介しておくと、振付は桜木涼介さん、美術は松井るみさん、照明は高見和義さん、映像は栗山聡之さん、音響は山本浩一さん、衣裳は前田文子さん、ヘアメイクは岡田智江さんである。アクションの渥美博さんだけが前回公演の経験者である。

 舞台美術も衣裳も照明もダンスも……あらゆる部分がリニューアルされている。ミュージカル・ナンバーの内の何曲かは外され、新しい楽曲が幾つか書き加えられた。

 そのことに触れた大島ミチルさんのTwitterはこちら

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『アニー』特番 放送のお知らせ

 丸美屋食品ミュージカル『アニー』の特番が放送されることが発表された。(公式サイトへはこちらからどうぞ)

 『アニー』の特番は、毎年初日の2週間ほど前に(関東エリアであれば東京公演初日の2週間ほど前に)放送されるのが恒例となっている。番組ではオーディションの風景や稽古場の様子、近年ではアニー役の2人がどこかに出かけてゆく姿などが紹介されてきた。

 今年も当初は4月の第2週辺りでの放送が予定されていたはずである。が、それ以前に東京公演の中止が決まり、放送の機会は失われた。その後夏のツアーの中止も決まり、今年の特番は幻となった……と思っていた。

 その特番の放送が決定した。当初のものとは内容は異なるだろうが、どうぞご覧ください。

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『ローマの休日』通信

8月19日(水)

 現在、稽古場では歌稽古が進行中。

 今回の『ローマの休日』の音楽監督は竹内聡さん。音楽の編曲・オーケストレーションは全て大島ミチルさんが手がけるのだが、大島さんはニューヨーク在住なので、現場での判断は竹内さんに委ねられている。
 歌唱指導は山川高風さん、やまぐちあきこさん、高野絹也さんの3人。稽古ピアノはベテランの国井雅美さんと中條純子さん。以上の皆さんで歌稽古は進められている。

 そこに指揮の若林裕治さんを加えて、以上が今回の音楽チームである。

 スタッフサイドでは「舞台をどのように使うのか」の検討作業が進行中。
 舞台監督の佐藤博さん、演出助手の鈴木ひがしさん、そして演出部の皆さんと、音楽を口ずさみながら舞台模型を動かして、シーンチェンジのシミュレート。

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『ローマの休日』通信

8月18日(火)

 帝劇などで上演されるミュージカルは、ニューヨークやロンドン、ウィーンなどで上演された作品の翻訳上演である場合が多い。が、『ローマの休日』は海外製ミュージカルの輸入ではなく、脚本・音楽・歌詞を我々で作ったオリジナル・ミュージカルである。

 映画のストーリーをもとに脚本を書いたのは堀越真さん。堀越さんは帝劇をはじめとする大劇場で数々の脚本を執筆されてきた。私は『春朧(はるおぼろ)』(1999年/帝劇)や『虹の橋』(2004年/御園座)といった日本物の舞台でご一緒してきた。ミュージカルでは『風と共に去りぬ』(2001年/帝劇)でも苦楽を共にした。

 ミュージカルの要となる音楽は大島ミチルさん。大島さんの作曲活動は映画やテレビドラマ、アニメ、ゲーム、CMと多岐に及ぶ。エンターテインメントのための音楽だけでなく、交響曲や合唱曲などにも精力的に取り組んでいらっしゃる。そして最近、アメリカの映画芸術科学アカデミー(あのアカデミー賞の!)から会員に招待されたらしい。そんな大島さんの近況はご本人のTwitterをどうぞ。

 そして作詞は斉藤由貴さん。斉藤さんは私の演出デビュー作『君となら』(PARCO劇場/1995年)に(キャストとして)出演してくださった。その後も『きららの指輪たち』(PARCO劇場/1998年)や『Chanson de 越路吹雪 ラストダンス』(シアタークリエ/2012年)などで(キャストと演出家として)ご一緒した。作詞家としての斉藤さんとはミュージカル『シンデレラストーリー』(青山劇場/2003年)でもお付き合いがある。

 今回の再演では、その3人(と私)が再集合した。初演からさすがに20年以上経っているので、脚本や音楽、歌詞をイチから見直して稽古に臨むことになった。

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『ローマの休日』通信

8月17日(月)

 ミュージカルローマの休日の稽古が始まった。

 ミュージカル『ローマの休日』は1953年に製作された同名のアメリカ映画を原作としている。
 映画版の主演は当時のハリウッドを代表する二枚目スターのグレゴリー・ペックと、まだ新人であったオードリー・ヘップバーン。オードリーはこの役でアカデミー主演女優賞を獲得した。監督はアカデミー監督賞に3度輝く名匠ウィリアム・ワイラーで、日本ではその年に公開された外国映画の配給収入で1位になっている。

 映画版の『ローマの休日』は製作国のアメリカでも映画史にその名を刻んでいる。1999年には国立フィルム保存委員会により「国立フィルム登録簿」に登録すべき価値のある作品の1本に選ばれた。
 日本でもその人気は高く、「午前10時の映画祭」などのクラッシック映画の劇場再公開にも何度となく登場した。テレビの洋画劇場でも繰り返し放送され、私も「城達也さんと池田昌子さん(と広川太一郎さん)による日本語吹き替え版」で初めてこの映画に接した。

 ミュージカル版の『ローマの休日』は1998年の10月1日に東京/青山劇場で初演(ワールド・プレミア)の幕を開けた。その後、大阪、名古屋、福岡と巡演し、2000年の3月に東京/帝国劇場に凱旋した。

 今回の公演はそれ以来、20年ぶりの再演である。初日は10月4日(日)。それまでのひと月半、どうぞよろしくお付き合いください。

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