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『TDV』通信

10月23日(水)

 振り固めと2幕のおさらい。

 稽古場には劇場で皆さんがご覧になるような舞台美術や照明は無い。衣裳やヘアメイクも無い。オーケストラもいない。伴奏はピアノ1台で、歌はマイクを使わない生歌である。代わりに稽古場にあるのは、生身のキャストによる歌やダンスや演技が手に取るように伝わる“距離の近さ”である。そして、好きな場所から(望むなら真後ろからでも、アクティング・エリアの中からでも)それを眺められる“自由な視点”がある。

 稽古場で「夜を感じろ」や「永遠」「フィナーレ」などを見ていると、人間の凄さや素晴らしさをひしひしと感じて時々私は胸が熱くなる。これと同じ感覚を劇場の客席でも味わって欲しい。稽古を見ながら私が考えているのはそんなことである。
 劇場には舞台美術があり照明があり、衣裳やヘアメイクもあり、オーケストラもPA設備もある。が、それらがお客様の心を動かすのではないだろう。それらと生身のキャストの表現が一体となった時、劇場でも稽古場で私が感じるのと同様な体験が生まれるのではないだろうか。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』がそんな作品の1本になりますように。

 別稽古場ではオーケストラのリハーサルが始まった。こちらの稽古場では明日から通し稽古である。

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