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2018年10月の記事

『レベッカ』通信

10月30日(火)

 午前中は舞台美術の打ち合わせ。

 美術の松生さん、照明の成瀬さん、舞台監督の佐藤さん、演出助手の末永さん、そして演出部の皆さんと。大道具の発注が迫っているので、前回の打ち合わせ後に出た変更点を確認。

 稽古では1幕13場「マンダレイのメインホール」を作る。

 待ちに待った仮装舞踏会の当日である。着飾ったゲストたちが次々と到着する。その中には、ニューヨークからはるばる駆けつけた“あの人”の姿もあった……。

 ここには2つのミュージカル・ナンバーがある。「今宵 マンダレイで」と「アメリカン・ウーマン」である。
 ステージングの桜木さんは、連日の新しいナンバーのステージングに少しも臆することなく、手際よく鮮やかにナンバーを形にして行く。その手腕は“見事”と言うほかはない。

 明日の稽古メニューにも新しいナンバーが……。

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『レベッカ』通信

10月29日(月)

 立ち稽古。1幕8場と10場を作る。

 1幕8場は「ベアトリスの家」。

 原作の小説によれば、マキシムの姉=ベアトリスとマキシムとの間には、それほど頻繁に交流はないようだ。彼女(と、その夫=ジャイルズ)の住む家はマンダレイから50マイル(80Kmくらい)ほど離れている――とも書かれている。
 そのベアトリスに、マンダレイの「わたし」から電話がかかってきた……。

 10場は「ゴルフクラブ」。

 英国の上流階級の紳士淑女がゴルフに興じている。クラブの名前は“ケリス・カントリー・クラブ”。ケリス(Kerris)は、イギリスの西コーンウォール地方に実在する土地である。マンダレイの最寄りの街がケリス――と言う設定が原作にはある。
 紳士淑女の話題の中心は、近々マンダレイで開催される“仮装舞踏会”である。レベッカの存命中、マンダレイでは毎年のように仮装舞踏会が開かれ、ヨーロッパ中から大勢のセレブリティが集まった。
 その大イベントが、いま再びマンダレイで開かれようとしている……。

 8場にはベアトリスの歌うナンバー「何を悩む」があり、10場にはジュリアン大佐(今拓哉さん)、ジャイルズ、そして紳士淑女たちのナンバー「ブリティッシュ・クラブ」がある。

 さて。

 稽古は、今のところ至って順調である。なぜそう思うかと言うと、演出助手の末永さんに「順調だよね?」と尋ねたら「まあ、そうですね」的なことを答えてくれたからである。

 手ごたえは悪くない(と思う)

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『レベッカ』通信

10月27日(土)

 立ち稽古。1幕4場、5場をおさらい。そして6場、7場、9場を作る。

 1幕6場は「書斎」。
 「わたし」は、マンダレイの書斎でマキシムとチェスの対戦中。そこへ……。

 続く7場は「東館のスイートと書斎」。
 東館のスイートは「わたし」の寝室として用意された部屋である。その夜「わたし」は……。

 そして9場は「レベッカの寝室」。

 「わたし」やマキシムの居室が設えられているのは、マンダレイの館の東館である。が、レベッカの寝室は、それらとは反対側の建物=西館にある。
 レベッカの死後、海に面した西館は使われることが無くなり、立ち入る者もいなくなった。その寝室から誰かの話し声が聞こえる。「わたし」がその声に引き寄せられるように寝室まで来てみると……。

 ミュージカル・ナンバーは、6場には「わたし」とマキシムの「君は幸せか?」があり、7場には同じ2人の「こんな夜こそ」がある。9場にはミセス・ダンヴァースとジャック・ファベル(吉野圭吾さん)の「愛されていただけ」と、もう1曲、ミセス・ダンヴァースの歌う「レベッカ Ⅰ」(!)がある。

 『レベッカ』はミュージカルであるが、ミュージカルとしての面白さだけでなく、ドラマとしての面白さを、同等かそれ以上に感じる。稽古していても、まるでストレートプレイの稽古場のようになる瞬間が少なからずある。
 近年はストレート・プレイを手掛けることは滅多にないのだが、『レベッカ』の稽古場にいると、そうでもないような気がしてくる。

 このキャスト&スタッフでの芝居作りは本当に楽しい。

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『レベッカ』通信

10月26日(金)

 立ち稽古。1幕4場、そして5場。

 1幕4場は「マンダレイの玄関ホール」。

 マキシムと結婚した「わたし」は、「ミセス・ド・ウィンター」としてマンダレイにやってきた。
 マンダレイでは多くの使用人たちが2人を出迎えた。マンダレイの地所を管理するフランク・クロウリー(石川禅さん)や女中頭のミセス・ダンヴァース(涼風真世さん/保坂知寿さん)……などである。
 3場までの舞台だったモンテカルロと異なり、マンダレイにはまばゆい日差しも無ければ、ミセス・ヴァン・ホッパーのような騒々しいキャラクターも登場しない。代わりにあるのは、じっとりと湿った重たい霧と、屋敷中に染みついた先妻レベッカの記憶である……。 

 1幕5場は「モーニング・ルーム」。

 マキシムは、マンダレイに戻ればやはり何かと忙しい。ひとりで時間を持て余した「わたし」は、迷宮のようなマンダレイの屋敷内を歩いているうちに、ある部屋に迷い込んだ。モーニング・ルームである。
 モーニング・ルームで「わたし」はミセス・ダンヴァースと出くわす。ミセス・ダンヴァースは「わたし」に、その部屋の色々なことを教えてくれる……。

 1幕4場にはミュージカル・ナンバー「新しいミセス・ド・ウィンター」があり、5場には「何者にも負けない」と「親愛なる親戚!」がある。今日はその3曲もステージング。

 「新しい……」は、マンダレイの召使やメイドたちが「今度の奥様はどんなだろう」と期待半分、不安半分で歌うナンバーで、「何者にも……」は、ミセス・ダンヴァースのナンバー、「親愛なる……」は、マキシムの姉であるベアトリス(出雲綾さん)とその夫ジャイルズ(KENTAROさん)、そして「わたし」の3人のナンバーである。

 今日はステージングの桜木さんが大活躍。桜木さん、お疲れ様でした。

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『レベッカ』通信

10月25日(木)

 1幕1場、2場a、2場b、3場をおさらい。

 主人公の「わたし」がモンテカルロでマキシム・ド・ウィンターと出会い、マキシムに恋心を抱き、マキシムからプロポーズされるところまで物語は進んだ。モンテカルロ編はこれで終了、4場からはイギリス編に突入する。

 3人の「わたし」は、少しずつ、それぞれの個性を見せ始めた。

 トリプル・キャストではあるが、物語の解釈や演出を変えているわけではないので、3人の「わたし」がやっていることは基本的には一緒である。
 が、一挙一動を指定してはいないし、そもそも「わたし」が感じていることの“リアリティ”みたいな部分は“俳優の中にあるもの”からすくい上げられるので、結果として“見えてくるもの”にはキャストの個性がにじむことになる。

 過去の上演では、「わたし」は大塚さんが1人で演じていたので、この“違い”は私には新鮮であった。そして、とても興味深く、面白い。

 明日はいよいよ“マンダレイ”へ。目に見えない恐怖の始まりである。

 稽古後、衣裳打ち合わせ。未確定だった幾つかのデザインと、作業の進捗状況を確認。

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『レベッカ』通信

10月24日(水)

 立ち稽古。1幕2場a、2場b、そして3場を作る。

 2場aは「モンテカルロのホテルのテラス」。ここは朝食の会場で、1場の翌朝である。テラスにマキシムが現れると、宿泊客や従業員はヒソヒソとうわさ話を始める。そこに「わたし」がやって来て……。
 2場bは「モンテカルロの断崖の上」。地中海を一望する、“それこそ、息をのむような”景色の場所である。マキシムに連れ出されて、「わたし」はここに来たのだが……。

 2場aにあるミュージカル・ナンバーは「その名はレベッカ」。“うわさ話”のナンバーである。
 立ち稽古の前半では、このナンバーをステージング。大勢の登場人物が“入れ代わり立ち代わり”歌い継いで行くスタイルのナンバーなので、形になるまでに、やはりそれなりの時間を費やす。

 ナンバーのステージングにひと区切りついたところで2場aのドラマ部分を作る。ドラマ部分と「その名はレベッカ」を合体して、2場aはようやく完成である。

 続いて2場b。2場bにも“うわさ話”があるので、それとドラマを別々に作リ、その後、ドッキング。わずか1分ほどの場面なのだが、こちらもそれなりに時間を費やす。
 ここまでで宿泊客と従業員はお疲れさま。あとはマキシムと「わたし」に残ってもらい、2場bの後半と、更に3場を稽古。

 2場bの後半にはマキシムのナンバー「幸せの風景」があり、3場には「わたし」のナンバー「永遠の瞬間」がある。どちらもシンプルな内容のシンプルなナンバーなので、ステージングにも大して時間はかからない。
 その代り、どちらのナンバーにも「わたし」が登場しているので、稽古回数は×(かける)トリプル・キャスト分と言うことになる。

 自分の番になるまで辛抱強く待っていた「わたし」の皆さん、そして3人の「わたし」にお付き合いくださった山口さん、お疲れさまでした。

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『レベッカ』通信

10月23日(火)

 歌入り読み合わせ。

 幕開きからラストシーンまで、ミュージカル・ナンバーを含めて全編を読んで(そして歌って)みる。
 ダブルキャスト、トリプルキャストになっているキャラクターはリレー形式で。「わたし」は桜井さん、平野さん、大塚さんとリレーして読み、ミセス・ダンヴァースは涼風さんから保坂さんへとリレー。本公演ではありえない豪華リレーである。

 今回の上演(新演出)に当たって、台詞は言い回しを少し調整した。楽曲も何か所かでサイズを変更している。ミヒャエル・クンツェさんが新たに歌詞を書き下ろしてくださったナンバーもある(“新曲”ではないが“新歌詞”である)。当然、竜真知子さんが新たな訳詞を書いてくださった。

 全編を読み終えた所で「このミステリーにどのように取り組むのか」と言った方針を述べる。今回は、クリエ初演版や帝劇再演版以上に、ミステリーとしての輪郭をくっきりと出したい。

 読み合わせの後、立ち稽古。プロローグを作る。
 ステージングの桜木さんが“夢のような”シークェンスをクリエイトしてくれる。

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『レベッカ』通信

10月22日(月)

 立ち稽古に入る。

 立ち稽古初日の今日は、1幕1場「モンテカルロのホテルのロビー」に手を着ける。

 モンテカルロは、F1グランプリやカジノで有名なモナコ公国の中心的な市街地である。
 1幕1場は、風光明媚なリゾート地=モンテカルロに建つ高級ホテルのロビーで、主人公の「わたし」が英国貴族=マキシムと運命的な出会いをすることになる場面である。

 この場面は、ストーリー的には決して複雑な場面ではない。主要な登場人物は「わたし」(大塚千弘さん、平野綾さん、桜井玲香さん)と、マキシム(山口祐一郎さん)と、「わたし」の雇い主であるミセス・ヴァン・ホッパー(森公美子さん)の3人だけである。
 にもかかわらず、このワン・シーンをひと通り段取るだけで、思いの外時間がかかってしまった。

 ホテルのロビーのような、“不特定多数が常時通行している”場面では、行き交う宿泊客やホテル・スタッフを、物語と連動させて効果的に動かしたい。しかし、その“連動”と“効果的に”の実現には殊の外時間が必要なのである。
 それに加えて「わたし」がトリプル・キャストである。5分半ほどの場面を処理するのに、今日は5時間近くを費やしてしまった。

 こういう場面をもっと手際よく作れる人になりたいなあ(あれ? デジャヴ? 以前にもこんなブログを書いたような……?)

 『レベッカ』には、この場面の前にもう1シーン=プロローグがあるのだが、それは明日のメニュー。1幕1場の稽古の後は、コーラスの確認とおさらい。

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2019年のアニー決定!

10月21日(日)

 丸美屋食品ミュージカル『アニー』の、2019年のアニーと孤児たちを選ぶオーディションの最終日。

 午前中は3つのグループに分かれてワークショップ審査。
 その場で次々と出される課題に対してどう対処するか? つまり、“予習してきたこと”や“対策を立ててきたこと”ではない部分を問う審査である。昨日までの審査では見えていなかったひとりひとりの素顔が見えてくる。ここでまた少し人数が絞られる。

 午後は演技の審査。
 これが最後の審査である。年齢で分けられたいくつかのグループごとにそれぞれ課題が渡されていて、その課題を1人ずつ見せてもらう。全ての審査を終えたのは17時に設定された結果発表の1時間前であった。

 ここからは時間との戦いである。様々な可能性が検討され、何度も何度もリストの名前を入れ替えて、合格者を選び終えたのは結果発表の15分前であった。
 すぐさま私が読み上げる“リスト”が作成され、間違いの無いようにいま一度名前を読み上げて確認し、私たちが結果発表の会場に滑り込んだのは17時3分前であった。

 結果発表の様子が早くも公式サイトにUPされている(それはこちら)。
 そして、ネット上で既に記事にしてくださっているメディアも(こちらこちらこちらなど。順不同です)。素早い、そして暖かい記事をありがとうございます。

 さて。

 この建物で『アニー』のオーディションと結果発表が行われるのも今回が最後となる。長年親しまれてきたこの建物は来春には取り壊されることが決まっているのである。2020年のアニーたちを選ぶのは、きっと新しい建物のはずである。

 オーディションに参加してくださった全員とご家族の皆様に、この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました!

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『アニー』オーディション

10月20日(土)

 丸美屋食品ミュージカルアニー。その2019年の公演の“アニー役”と“孤児役”のオーディションが現在進行中。

 『アニー』は、毎年ゴールデンウィークの前後に東京公演が、夏休みに大阪や名古屋など4都市でツアー公演が行われている。
 主人公のアニーは孤児で、アニーと孤児院の仲間である孤児たちは、台本では“6歳から13歳”と設定されている。なので、毎年、それに相応しい年齢の子供たちをオーディションして配役するのが長年の習わしになっているのである。
 そのオーディションに密着した特別番組も毎年春に(全国ネットではないのだが)放送されている。ご覧になったことのある方も少なくないだろう。もちろん、今回のオーディションにもカメラが入っている。

 そのオーディションであるが、まず“応募書類”と“課題曲「Tomorrow」を歌った動画”を送っていただく1次審査がある。そこである程度人数が絞られ、合格者は2次審査に進むことになる。
 2次審査は都内のオーディション会場に足を運んでいただき、課題曲を審査員の前で歌っていただく形で行われる。この2次審査が先週の土曜日と日曜日で行われ、ここでまた人数が絞られた。
 そして今日と明日で最終審査が行われている。

 1日目である今日は、課題曲の歌審査からスタート。ここで更に人数が絞られ、合格者はダンス審査に進む。ダンス審査で更にまた人数が絞られ、合格者は2日目に進む。
 最終日でもある明日はワークショップ審査と演技の審査。そして、ようやく2019年のアニーと孤児が決定する。

 今日のオーディションに参加してくれた皆さん、本当にありがとうございました。全員が光り輝いていました。

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『レベッカ』通信

10月19日(金)

 歌稽古。

 今まで個別に稽古していた3人の「わたし」が一堂に会する。そのほかの人々――2人のミセス・ダンヴァースやジャック・ファベル、ベアトリス&ジャイルズ夫妻、ジュリアン大佐、ベン――も合流である。

 今までは割愛していた“ミュージカル・ナンバー中(や、その前後)にある台詞”も、今日は割愛せずに。歌の確認だけでなく、登場人物の心理状態やどんなキャラクターなのか……と言った部分にも言及。“芝居の稽古”に少しずつ近づいて行く。

 稽古ピアノに大ベテランの國井雅美さんも参戦。音楽スタッフが一層充実。10月13日のブログで触れた中條さんは、今回は「音楽監督助手」のクレジットでの参加になる模様。
 そして、「おもろい女」終演後のシアタークリエの舞台をお借りしての照明機材のテストや、本番用小道具の打ち合わせ……などなども。

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『レベッカ』通信

10月18日(木)

 歌稽古。平野さん、コーラス稽古、コーラス稽古の後、tekkanさん。

 歌稽古も最終段階に近づいてきた。なので、コーラス稽古の際、1曲ごとにそのナンバーの狙いや物語としての注意点……などを語る。音楽としての精度に加えて、ドラマとしての精度にも気を配る段階に来た、ということである。

 稽古場には稽古用の仮小道具が運び込まれた。歌稽古終了後、近づいてきた立ち稽古にそなえて、舞台の使い方や道具の飾り方をシミュレーションする。
 遅くまで付き合ってくださった演出部の皆さん、ありがとうございました。

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『レベッカ』通信

10月17日(水)

 歌稽古。

 まず、私が距離を測りかねているもうひとり、桜井さん。
 前回でナンバーをひと通り当たり終えたので、今日は“ミュージカルとしての約束事”や“ナンバーの中で起こっていること”……など、一段掘り下げた稽古を。歌唱指導のやまぐちあきこさんが、具体例を上げながら実践的な内容を指導してくれる。脇で聞いている私たちにもためになる。

 桜井さんの稽古がひとしきり進んだところで、出雲さんが合流。「わたし」とベアトリスのナンバーを、2人一緒に稽古。“『レベッカ』初参加”のお2人なので、なんだか新鮮。

 そして、今日もコーラス稽古。
 新たに2曲、音取り。既に音取りを済ませた楽曲は、だんだん精度が上がってきた。

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『レベッカ』通信

10月16日(火)

 歌稽古。

 まず大塚さん。続いて平野さん。

 大塚さんとの付き合いは結構長い。彼女の初舞台である『シンデレラストーリー』からなので、もう15年になる。その間に『ダンス オブ ヴァンパイア』『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ/Ⅲ』があり、そして『レベッカ』があった。16歳の時から知っているので、稽古場でもお互い気を遣うことがない。

 一方、平野さんとは今回が初仕事。なので、どの様な距離感で接すればいいのか、まだつかめない。私はこう見えて人見知りする方だったりするのだが、平野さんは積極的に話題を提供してくださるので、ものすごく救われる。この場をお借りして、平野さん、どうもありがとうございます(ほらね、距離感が…)

 そして山口祐一郎さんが歌稽古に登場。山口さんも初演からの続投キャストである。

 
山口さんが演じるのはイギリスの貴族=ジョージ・フォルテスキュー・マキシミリアン・ド・ウィンター(舞台では誰もそんな長い名前では呼ばない。マキシムと呼ばれる)。
 マキシムは10カ月ほど前、最愛の妻をヨットの事故で亡くしたばかりであった。妻の名前はレベッカ。レベッカの死後、彼は領地「マンダレイ」を離れ、ヨーロッパのホテルを転々としていた。そしてある日、モンテカルロのリゾート・ホテルで主人公の「わたし」と出会ったのだった。

 山口さんとの付き合いも、大塚さんに負けず劣らず長い。青山劇場で上演されたミュージカル版『ローマの休日』が最初なので、既に20年である。その間に様々な作品でご一緒した。

 そんな山口さんと、こうして再び『レベッカ』に取り組むことのできる喜び。演劇の神様に感謝せずにはいられない。

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『レベッカ』通信

10月15日(月)

 歌稽古。

 1人目は吉野圭吾さん。
 吉野さんは初演から続投するキャストのひとり。演じるのは、台本のト書きに“ハンサム”で“女好き”と記されている謎めいた男=ジャック・ファベルである。『レベッカ』のナンバーを歌うのは8年ぶりなので、“正しく”歌うためにしっかりと譜面を確認(したはずなのに…)

 2人目は涼風真世さん。
 涼風さんは2010年の再演から『レベッカ』に加わり、恐ろしいほどの迫力でミセス・ダンヴァースを演じている。保坂さんの歌稽古の時にも話題になったのだが、ミセス・ダンヴァースのナンバーはまさに“体力勝負”。保坂さんに負けず劣らず華奢に見える涼風さんの、まあパワフルなこと!

 そして出雲綾さん。
 出雲さんは『レベッカ』初参加。マキシムの姉で、「わたし」の数少ない理解者であるベアトリスを演じる。

 その後コーラス稽古。
 コーラスには、出雲さんをはじめ、今拓哉さん、tekkanさん、KENTAROさんも参加してくださっている。『レベッカ』ではコーラスが多用されているので、コーラス稽古は回数も稽古時間もそれに比例して多くなる。手間はかかるが、皆さんの声が揃った時の達成感もまた格別である。

 今日も幕開きのナンバー「夢に見るマンダレイ」を聞いている内に10年前のクリエの舞台がまざまざと蘇ってきた。音楽には年月を易々と飛び越える力がある。
 が、10年前の舞台のことは忘れなければならない。今回の『レベッカ』はニュー・プロダクション(新製作)なのだから。

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『レベッカ』通信

10月14日(日)

 『レベッカ』の指揮者、塩田明弘さんが稽古場に顔を出してくれる。

 塩田さんは現在帝劇で『マリー・アントワネット』の公演中。その『マリー・アントワネット』の仕事を通して発見した“シルヴェスター・リーヴァイさんとその音楽”についての話を聞かせてくれる。目からうろこが落ちまくる。

 で、歌稽古。

 まず桜井玲香さん。
 桜井さんの演じる「わたし」は主人公なので、登場する場面も歌うナンバーの数も多い。前回と今日の2回をかけて、ようやくひと通りのナンバーを当たり終える。

 続いて石川禅さん。
 石川さんは初演、再演に引き続いて3度目の出演である。演じるのは、イギリスのコーンウォール地方にあるマキシムの地所「マンダレイ」を管理する男=フランク・クロウリーである。

 『レベッカ』の物語は1926年のモンテカルロから始まる。

 主人公である21歳の「わたし」は、アメリカ人の富豪=ミセス・ヴァン・ホッパーの付き添い(原作には“コンパニオン”とある)としてモンテカルロのリゾート・ホテルに滞在している。ある日、「わたし」の前にイギリスの貴族=マキシム・ド・ウィンターが現れ……。

 「わたし」は子供の頃、1枚の絵葉書を持っていた。その絵葉書に描かれていた城館が「マンダレイ」であった――と言う記述が原作小説には出てくる。ミュージカル版には出てこないのだが……。

 それはともかく。

 
そして歌稽古に森公美子さん。
 森さんが演じるのは「わたし」を“年に90ポンド”の低賃金で雇っている(デリカシーに欠けた)ミセス・ヴァン・ホッパーである。森さんも『レベッカ』初参加。

 最後に保坂知寿さん。
 ミセス・ダンヴァースの歌うナンバーはどれも重たくてパワフル。保坂さんの華奢に見える身体のどこにあんなエネルギーが潜んでいるのだろう?

 歌稽古と並行して、音楽監督の甲斐正人さんと打ち合わせ。今回の再演に当たって何か所か音楽を変更しようとしているのだが、その確認。

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ミュージカル・アカデミー

 一般社団法人 映画演劇文化協会が運営する「ミュージカル・アカデミー」は、プロのミュージカル俳優を目指す方のための“スクール”である(ただし学校法人ではない)。

 その「ミュージカル・アカデミー」のホームページがリニューアル。来年度からカリキュラムが改訂されることなども告知されている(ホームページへはこちらからどうぞ)。

 次回の募集は、2019年4月から2020年3月までの1年間をここで過ごすことになる10期生。応募期間は2018年12月3日(月)から12月28日(金)までの間である。

 「ミュージカル・アカデミー」は、前身である「東宝ミュージカル・アカデミー」の時代から数えると、既に13年の歴史を重ねている。出身者の中から、プロのミュージカル俳優として活躍している方が何人も生まれている。

 ぜひ一度、ホームページを覗いてみてください。

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『レベッカ』通信

10月13日(土)

 『レベッカ』は、イギリスの小説家ダフネ・デュ・モーリアの同名の小説を原作とするミュージカルである。
 脚本・作詞はミヒャエル・クンツェさん、音楽はシルヴェスター・リーヴァイさんで、2006年9月にウィーンのライムント劇場で世界初演された。お2人による『エリザベート』『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』『レディ・ベス』と並ぶ“人名をタイトルにした”ミュージカルの1本である。
 小説が発表されたのは1938年で、1940年にはハリウッドで映画化もされている。サスペンス映画の巨匠と呼ばれたアルフレッド・ヒッチコックが監督し、第13回アカデミー賞で作品賞を獲得した。そちらをご存知の方もいらっしゃるだろう。

 ミュージカル版『レベッカ』の日本初演は2008年4月。シアタークリエのオープニング・シリーズ第3弾として6月まで上演された。再演は2010年の3月から6月にかけて、名古屋(中日劇場)、東京(帝国劇場)、大阪(梅田芸術劇場メインホール)の3都市で行われた。
 今回は8年ぶり、3度目の上演である。シアタークリエ開場10周年記念ラインナップ”のラストを飾る1本である。

 さて。

 本日も歌稽古。まず3人の「わたし」のひとり、大塚千弘さんが登場。

 大塚さんは『レベッカ』の初演と再演でも「わたし」を演じている(当時は「大塚ちひろ」さん)。シングル・キャストだったので、少なくとも200回は「わたし」を演じているはずである。
 初演から10年が経ち、その間に色々な経験を積んだ大塚さんが、今回どんな「わたし」を見せてくれるだろう。

 続いて、もうひとりの「わたし」、平野綾さんが登場。

 平野さんは『レベッカ』初参加である。が、『レ・ミゼラブル』『レディ・ベス』『モーツァルト!』『ブロードウェイと銃弾』など、近年は大作ミュージカルに次々と出演していらっしゃるので、今回の「わたし」も大いに楽しみである。

 2人の「わたし」の稽古後はコーラスの稽古。今日も8時間に迫る濃密な稽古であった。
 歌唱指導のお2人と稽古ピアニストの皆さん(今日から中條純子さんが加わった!)、本日もお疲れ様でした。

 歌稽古と並行して音響打ち合わせ。音響デザイナーは(リーヴァイさんが名前で呼んでくれない、とこぼす)山本浩一さんである。

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『レベッカ』通信

10月12日(金)

 まず、衣裳打ち合わせ。

 新生『レベッカ』の衣裳デザイナーはお馴染みの前田文子さんである。
 前田さんとは、チラシを作成する時点で既に一度打ち合わせを済ませている(チラシでキャストの皆さんが身に付けているのは、その打ち合わせを踏まえて製作された衣裳)。
 今日は、新たに書き下ろしてくださった残りのデザイン画を確認する打ち合わせ。ヘアメイク・デザイナーの川端恵理子さんや、衣裳製作を受け持つ東宝舞台の衣裳部さんにも加わっていただいて、1点ずつデザインを確認。

 続いて、振付打ち合わせ。

 振付は『貴婦人の訪問~The Visit~』に続いて桜木涼介さんである。
 『レベッカ』は大きなダンス・ナンバーが次々と登場するようなミュージカルではないのだが、音楽の中での人々の見え方や動かし方が大きく意味を持ってくる。その辺りが『貴婦人の訪問』と(スタイルは異なるにせよ)ちょっと似ているように思い、それで桜木さんにお願いすることにした。
 桜木さんは昨日、新橋演舞場の『るろうに剣心』の初日を開けたばかりなのだそうだが、とても熱心に付き合ってくれた。

 そして、歌稽古が始まる。

 歌稽古に最初に登場したのは、主人公である「わたし」を演じる桜井玲香さんである。
 『レベッカ』の主人公には名前が無い。台本でも登場人物名が入るべき欄には「わたし」と書かれている。ダフネ・デュ・モーリアの原作小説には主人公の名前に触れた個所があるのだが、 「とても素敵な、変わった名前を持つ女の子」や「実にぴったりな名前」などと記されていて、やはり名前は明かされない。

 その「わたし」を、今回の『レベッカ』では3人のキャストが交代で演じる。その1人が桜井さんである。
 日本版『レベッカ』は2008年にシアタークリエで初演され、2010年に帝劇などで再演された。今回は8年ぶり、3演目になるのだが、桜井さんは『レベッカ』初参加である。

 同じく『レベッカ』初参加である保坂知寿さんも歌稽古に登場。保坂さんは「わたし」が嫁ぐことになった英国貴族・マキシムの屋敷の女中頭=ミセス・ダンヴァースを演じる。
 更に今日はコーラス部分の歌稽古も組まれていて、初日から7時間を超える、なかなか充実したメニューなのであった。

 歌唱指導は山口正義さんとやまぐちあきこさんである。稽古ピアノは宇賀村直佳さんと石川花蓮さん。皆さん、お疲れ様でした。

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『レベッカ』通信

10月8日(月)

 舞台美術の打ち合わせ。

 前回の打ち合わせを踏まえて、技術的、製作的な部分にも踏み込んだ打ち合わせに入る。
 美術デザイナーの松生さん、照明デザイナーの成瀬さん、舞台監督の佐藤さんに加えて、大道具を製作してくださる東宝舞台をはじめ業者の皆さん、そして演出部の皆さんが参加してくださる。

 今回の『レベッカ』で難易度が高いのは、物理的条件の異なる各地の劇場に合わせた舞台美術のプランをどのように実現するか、である。検討に検討を重ねた結果として、様々な要素をそぎ落としたシンプルな舞台美術ができあがりつつある。
 10年前のシアタークリエ初演時に立ち返ったような、スペクタクルとは一線を画した『レベッカ』になるだろう。

 技術的、製作的な面の検討に目途をつけた後、松生さん、成瀬さん、佐藤さん、そして演出部の皆さんと、各場面での舞台美術と照明のあり方や、それぞれの場面で表現しなければならないことなどを再確認。数日後に迫った稽古初日に何とか間に合った。

 ヴォーカル・スコア(譜面)も配布され、新生『レベッカ』がいよいよ動き出す。

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『レベッカ』通信

 『レベッカ』の公式ページで、キャストの皆さんのコメント・ムービーが公開されている。こちらからどうぞ。

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