『ジキル&ハイド』通信
2月20日(火)
まずはラスト・シーンを小返し(こがえし=修正を加えながら繰り返す稽古)。その後、2幕を粗通し(あらどおし=粗くてもいいので、とにかく通してみること)。
ラスト・シーンでは“あんなこと”や“こんなこと”など、ドラマティックなことが次から次へと起こるのだが、その“あれ”や“これ”を「音楽と同期」させなければならない、と言う縛りが存在する(何しろミュージカルなので)。
登場人物にはそれぞれのストーリーがある。登場人物はそのストーリーに沿って反応や行動を起こしている。俳優は、その瞬間その瞬間の登場人物の状態を引き受けて再現するのである。
人物の予期せぬ反応や咄嗟の行動などは、それがあらかじめ計画されていたように見えてしまっては興ざめである。
なので、できるだけ自然に、新鮮な反応・行動に見えるように演じる必要があるのだが、その「自然であること」を「音楽と同期させる」のは大変困難な作業である。予期せぬ反応や咄嗟の行動を「何小節目の何拍目に起こしてください」と言う話だからである。
ミュージカル俳優たちは、その作業を“当たり前のこと”として行う。その部分でギクシャクしてしまったり、俳優の努力が見えてしまったりしては、もうミュージカルにはならない。
ミュージカルは、観客が気づかないような“細部の積み重ね”でできている。
粗通しの後、ダメ出しとその修正作業。更にその後、1幕の幾つかの場面を小返し。
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