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2017年11月の記事

『ドッグファイト』通信

11月29日(水)

 2回目の全幕通し稽古。今日は衣裳とヘア付きである。

 『ドッグファイト』では、主要人物に絡む“脇”の登場人物に強烈なキャラクターが少なくない。衣裳そのものは既に衣裳合わせで確認しているので驚きはないが、ストーリーの中で“その人物”として現れると、やはりそれなりに強烈である。そこを見るだけでも今日の衣裳・ヘア付き稽古には十分に価値があったと思う(そこを見るためにやったワケではないのだが)。

 ご観劇の際にはそんな部分も楽しんでいただけると嬉しい。

 稽古後、リハーサルを終えたバンド・チームが別スタジオからこのスタジオに引っ越し。音響チームとともにバンドエリアをセッティング。

 明日からバンド/歌合わせである。

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『ドッグファイト』通信

11月28日(火)

 1回目の全幕通し稽古。

 全幕通しを訳詞の高橋亜子さんが観に来てくださった。
 私たちは連日稽古を重ねているので、『ドッグファイト』に慣れ過ぎてしまって、気付かないことや見落としていることがきっとあるはずである。このタイミングで“新鮮な目”で作品を観てもらえるのはとてもありがたい。
 幸いなことに、通し稽古後の高橋さんの感想は悪いものではなかった。再演に当たっての重要課題のひとつであった「より分かり易く」と言う部分も、「分かり易くなっている」と感じていただけたようで、ひと安心。

 通し稽古後はいつものように全体で駄目出し。これから先は連日“通し稽古”になるので、そうなるにあたって注意すべき事柄などを共有する。

 別スタジオではバンド・リハーサルがスタート。稽古場で過ごす日々も1週間を切った。

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『アニー』2018 ダンスキッズ・オーディション

11月26日(日)

 2018年のミュージカル『アニー』に向けて、“ダンスキッズ”のオーディションが先週、今週で行われている。今日はその最終オーディション。

 『アニー』では、主人公のアニーが大富豪オリバー・ウォーバックスとその秘書グレースに連れられて、タイムズ・スクエアの映画館ロキシーに出かけて行く場面がある。
 その「ウォーバックス邸を出てからロキシーに到着するまで」がミュージカル・ナンバー「N.Y.C.」になっていて、ダンスキッズは、このナンバーの後半に登場することになるキャラクターである。

 タイムズ・スクエアはニューヨークの繁華街=ブロードウェイの中心である。劇場や映画館が密集していて、世界のショー・ビジネスの聖地と言ってもいい場所である。それは『アニー』の時代(1933年)も現在も変わらない。

 昨年までのジョエル・ビショッフさん演出の『アニー』には“タップキッズ”と呼ばれる子供たちが登場していた。
 ジョエル版『アニー』では、アニーとウォーバックスたちは「ショーを見るためにタイムズ・スクエアのマジェスティック劇場に出かける」ことになっていた。そして、アニーたちが見ているショーが劇中劇の形で再現され、そのショーの出演者たちが“タップキッズ”なのであった。

 私たちの『アニー』では、アニーたちは上記の通り映画館に出かけて行く。それがトーマス・ミーハンさんが書いた元々の台本の設定だからである。
 しかし、そうなると『アニー』には“タップキッズ”は登場しないことになる。そこで私たちは“ダンスキッズ”と呼ばれる新たなキャラクターを登場させることにした。

 ダンスキッズのオーディションではタップが踊れなくても全く構わない。どんなジャンルのダンスでも、それが得意なダンスであれば(もちろんタップでも)OKである。オーディションを進行し、ダンスキッズを選んでくれるのは、振付・ステージングの広崎うらんさんである。

 今日もたくさんのダンスの得意な子供たちにお目に掛かった。そして孤児たちのオーディションの時と同じように、決められた人数に絞るのに大いに苦しんだ。

 ダンスキッズに選ばれた皆さんの名前は公式ページで程なく発表されるだろう。ご応募くださった皆さん、本当にありがとうございました!

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『ドッグファイト』通信

11月25日(土)

 2幕を粗通し。

 2幕も、通せばおよそ60分。『ドッグファイト』の上演時間は、1幕、2幕共に約60分である(これはカーテン・コールを含まない時間なので念のため)。

 2幕は、ドラマが“エディーとローズの関係”に集約されて行くので、1幕と比べると作品の構造はシンプルになる。舞台上も1幕での“手を変え品を変え”的な要素は薄まり、キャストの仕事も我々スタッフの役割もシンプルでストレートなものになる。
 その分、登場人物の感情や置かれている状況は、よりシリアスになって行くのだが。

 粗通しの後は、昨日と同様に全体で駄目出し。駄目出しの後、これも昨日と同様、2幕をもう1度。

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『ドッグファイト』通信

11月24日(金)

 1幕を粗(あら)通し。

 通してしまえば「あっ」と言う間(約60分)の1幕である。しかし、その中には登場人物それぞれのドラマや、ダンス、難易度の高いハモリ、着替え……などなど、キャストのひとりひとりが消化しなければならない約束事が“てんこ盛り”である。
 が、それらも少しずつこなれて来て、ケアレス・ミスや、流れがギクシャクする様なことは随分少なくなった。悪くない粗通しであったと思う。

 粗通しの後、全体で駄目出し。
 芝居のこと、音楽的なこと、振りのことなどを全体で共有しつつ確認。そして、駄目出しの中で出た“要整理個所”を整理した後、もう1度1幕を、今度は要所要所で止めながら稽古。

 稽古後は照明打ち合わせ。

 『ドッグファイト』の照明デザイナーは柏倉淳一さんである。
 再演では、照明打ち合わせは省略されることも少なくない。既に(初演時に)照明のデザインが終わっているからであるが、今回は打ち合わせをさせてもらうことにした。舞台の使い方やステージング、キャストの動線など、照明にかかわる変更が多岐に及んでいるからである。

 この再演で『ドッグファイト』はひと回り大きく成長した。成長したその姿を、1人でも多くのお客様にご覧いただきたい。

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『ドッグファイト』通信

11月23日(木)

 今日は宮澤エマさんのお誕生日であった。

 まず、昨日に引き続きカーテン・コールの稽古。続いて、2幕5場と6場を昨日同様に稽古。
 幕切れまで稽古した後は2幕の頭に戻り、1場から4場までをもう1度おさらい。

 初演の稽古時、宮澤さんのバースデー・サプライズは2幕2場のラスト近くに仕組まれていた。今日の稽古メニューにも2幕2場はあったのだが、今日はその場面は何事もなく通過。稽古は3場へ、そして4場へと進んだ。

 我々は真剣であった。先週の様なこと(こちらのブログ参照)は、今日はあってはならない。計画はより入念に練られ、より周到に伝達された。

 2幕4場の終わりに、宮澤さん扮するローズが“部屋の明かりを消す”芝居がある。我々は“そこ”に着目した。
 4場の稽古が始まった。ここは15分近くある、結構長い場面である。宮澤さん以外の全員が“15分後”に起こることを知っている。知っていて、ある者は素知らぬ顔で芝居をし続け、またある者は素知らぬ顔で芝居を見続けた。

 15分近くが流れた。ローズが部屋の明かりを消す瞬間がやって来た。それはもちろん芝居の中のことなので、いつもなら稽古場の蛍光灯が消されるようなことはない。が、今日は宮澤さんの芝居に合わせて稽古場が真っ暗になった。
 暗闇の中でピアノが「ハッピー・バースデー」を奏で始める。男性キャスト一同が一斉に飛び出し、宮澤さんを取り囲んで歌う。ローソクを灯したケーキが運ばれて来て、宮澤さんがローソクを吹き消し、稽古場の明かりが戻された。

 宮澤さんは、明かりを消すその瞬間に「……!」と思わないでもなかったらしいのだが、まあサプライズは大成功であった。

 皆で記念撮影をし(既に中河内さんがTwitterにUPされている)、切り分けたケーキを頂いた。ちょっとここには書けないような“素敵な”祝福もあったのだが……。

 ここには書けない。

 ケーキを食べ終えてもまだ時間に余裕があったので、1幕に戻って一部を抜き稽古。今日も充実した1日であった。

 明日は1幕を粗通し。

 え、もうそんな時期!?

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『ドッグファイト』通信

11月22日(水)

 2幕をおさらい。

 1場面ずつ、芝居、歌、振りの確認を挟みつつ、4場までを丁寧にさらう。2幕は稽古してまだ日が浅いので、前回の稽古といい感じに繋がっていると思う。

 そして、カーテン・コールの振り付け。

 詳細には触れないでおくが、カーテン・コールも初演よりヴァージョン・アップ!

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『ドッグファイト』通信

11月21日(火)

 2幕の、まだやっていない場面を全部稽古。

 これでラスト・シーンまで辿り着いた。2幕の稽古は1幕の時以上にものすごいスピードで進んだことになる。
 『ドッグファイト』は1幕も2幕も上演時間が1時間程度とコンパクトなので、だからこのペースでも何とかなっている。が、今回から参加してくださった皆さんには相当ハードなペースではなかったかと思う。皆さんニコニコと、とても楽しそうに稽古してくださっているが。

 今回の再演にあたって立てた稽古の方針は「早めに全場面に手を着けて、繰り返しおさらいをする」であった。つまり、今日まで順調に、方針通りに進んできた、と言うことなのである。

 なので、明日からは「繰り返しおさらい」。

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『ドッグファイト』通信

11月20日(月)

 まず、昨日手を着けた2幕2場の前半をおさらい。続いて2幕2場の後半を稽古。更に2幕4場、そして5場の冒頭を稽古。

 今日はエディ―&ローズの場面ばかりがメニューに並んでいる。2人以外に登場するキャストはひのさんだけと言う“少人数制”の稽古であった。初演の稽古時にも、こういう日があったような気がするなあ。

 稽古と並行して、本日も衣裳合わせが行われている。

 『ドッグファイト』は、この規模のミュージカルとしては衣裳の点数が多い。キャストは総勢11人だが、1人でいくつもの役を演じるキャストが何人もいたり、海兵隊員も私服と制服が(それも2ポーズ)あったりするので、結果として衣裳の点数が多くなる。
 それに比例するように、着替えの回数も多い。“常に誰かがどこかで着替えている”感じである。

 1幕前半のナンバー「最後の夜」で、海兵隊員たちがオン・ステージで着替えながら歌い踊ることは以前に記した。『ドッグファイト』では、その他にもオン・ステージで着替える場面がやたらと登場する。エディーもローズも、気が付けば舞台の上で着替えている。

 『ドッグファイト』は着替えミュージカルである……と言っても過言ではない。

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『ドッグファイト』通信

11月19日(日)

 稽古前に海兵隊員たちの衣裳合わせ。稽古と並行してローズの、更に稽古後、色々な役を演じるひのさんの衣裳合わせ。

 『ドッグファイト』の衣裳デザインは黒須はな子さん、ヘアメイク・デザインは宮内宏明さんである。
 『ドッグファイト』では1960年代アメリカの典型的な街角が描かれる。海兵隊員の私服姿も、彼らが街で出会う様々な人たちの様子も、その典型のひとつでありたい。その“いかにも”なさじ加減が、衣裳チーム&ヘアメイク・チームの腕の見せ所である。

 稽古は2幕1場から。

 “ドッグファイト”が終わり、スリー・ビーズは「ゲーム・センター」で一息入れている。次の目的地は“大人になるための場所”である。「その時が来た」ことを知ったバーンスタインは俄然盛り上がって……。
 ここには3人のナンバー「地元のヒーローの凱旋パレード」がある。3人は“ベトナムから戻った時の故郷での熱狂的な歓迎ぶり”を空想しながら次の目的地へと向かう。スリー・ビーズが目的地にたどり着いてみると……。

 続いて2幕2場の前半を稽古。

 2幕2場は「ローズの食堂の前」から始まる。バードレイスはローズに会うためにやって来た。色々と会話があった後、2人は出かけることになる。その道中がミュージカル・ナンバー「ファーストデート/ラストナイト」になっている。

 2幕でも、芝居の手順や運びを少しずつ変えてみている。初演時の楽しさと感動を超えるために、である。そして、新しいキャストの皆さんが持ち込んでくれる新しい風。

 初演をご覧くださった皆さんにも新鮮に楽しんでいただける、と思う。

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『ドッグファイト』通信

11月18日(土)

 1幕をおさらい。

 1幕を3つのブロックに分けて、場面と場面の繋がりや場面転換も視野に入れて稽古。
 多くの場面で施された“ちょっとした変更”や“改定”が効果を上げている。物語の進行にメリハリがつき、自然でありながらダイナミックで、今まで以上にストーリーを追い易くなったと思う。油断すると、時々以前のヴァージョンが出てきてしまったりもするのだが。

 稽古の進行は相変わらずハイ・ペースである。が、稽古場で過ごせる残り時間を思えば、あまり悠長にもしてはいられない。

 明日から2幕に入る。並行して、衣裳やヘアメイクの作業も。

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『ドッグファイト』通信

11月16日(木)

 幕開きの「夢の中のような世界~1967年の長距離バスの車内」、1幕2場「食堂~ローズの寝室」、1幕3場「街角~寝室~道」1幕4場「クラブ“ザ・ナイト・ライト”」をおさらい。
 その後、1幕5場「クラブのトイレ~クラブの中」、そして1幕6場「ローズの寝室~1967年のバスの車内」を稽古。

 今日は矢田悠佑さんのお誕生日であった。

 初演の稽古期間中に宮澤エマさんのお誕生日があり、手の込んだサプライズが行われたことがあった(その日のブログはこちら)。今日も稽古の中でのサプライズが計画され、それは“1幕5場のラスト”に設定された。
 
 1幕5場は、クラブ“ザ・ナイト・ライト”の化粧室である。ここには保坂さんと宮澤さんのナンバー=M9「ドッグファイト」がある。
 まず芝居の手順を確認し、続いてナンバーのステージングを起こし、そしてラストの芝居部分の段取りを付けた後、シーンの頭に戻って稽古は始まった。

 上でも記したように、サプライズはこの場面の最後の瞬間にやってくる。サプライズ・リーダーは演出助手の末永陽一さんである。

 打ち合わせでは、最後の瞬間に演出部の永井誠さんが七瀬りりこさんの手にしている小道具のジョッキとバースデー・ケーキを差し替える手立てになっている。
 七瀬さんが矢田さんの後ろから声を掛け、矢田さんが振り返ると、そこには本来はある筈のジョッキの代わりにバースデー・ケーキが……と言う手はずになっていた。

 我々の理解では、それはこの場面の“2回目の”稽古で訪れるはずであった。そう思っている七瀬さんは、当然ジョッキを持ったまま芝居を続行する。

 その時である。

 何を思ったのか、永井さんがケーキを手に、七瀬さんの後を慌てて追いかけたのである。稽古を前から見ていたキャスト&スタッフ一同は凍り付いた。チーフの末永さんは血相を変えて立ち上がり、永井さんに「引き返せ!」のシグナルを送った。

 間一髪、矢田さんが振り返る寸前に永井さんはUターン。危ういところでサプライズ失敗は回避された。

 芝居やステージングの確認を終えた後、末永さんが「では、2回目行きま~す!」と高らかに宣言。キャスト&スタッフ一同が「今度こそ!」と意気込んだ瞬間……。
 何を思ったのか、ピアニストさんが「ハッピー・バースデー」を演奏し始めてしまった。サプライズは“この場面のラスト”であるにもかかわらず!

 サプライズは大失敗であった。気を取り直してみんなで撮った写真は矢田さんのTwitterでご覧いただけます(こちらからどうぞ)。

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『ドッグファイト』通信

11月15日(水)

 1幕4場を整理。
 
 まず振りをクリアにし、芝居部分と合体させ、芝居に調整を施し、更にステージングを修正する。
 初演時の反省としては、この場面で台本が要請することに演出は生真面目に取り組み過ぎていたかも知れない。結果として、ドラマがどこへ向かっているのか、どこがクライマックスなのか、などが見え難くなっていたのではないかと思う。
 昨日、今日で目指したのは、その部分に対する改善である。

 1幕4場がある程度納得の行く形に落ち着いたので、M2、M3、M4をおさらい。

 M2「最後の夜」の様子を稽古場の一角から眺めていた春風ひとみさんが、ナンバーが終わるや否や「元気をもらったわ」とおっしゃった。
 このナンバーでの男子6人の頑張りには本当に頭が下がる。目の前でこの頑張りを見たら、誰だって元気をもらえるに違いない。

 私もいただきました。

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『ドッグファイト』通信

11月14日(火)

 1幕4場「クラブ“ザ・ナイト・ライト”」を稽古。

 台本に「安っぽいクラブ」と書かれている“ザ・ナイト・ライト”は、今夜の最大のイベント“ドッグファイト”の会場である。
 海兵隊員たちは飲み、浮かれ、騒ぎ、デート相手の不細工さを(こっそりと)競い合う。事情を知らない女性たちも、飲み、はしゃぎ、踊り、そして恥じらう。

 この場面には2つのミュージカル・ナンバーがある。M8「ブラストオフ」とM8a「その顔を見せて」である。
 その2曲の中で“会場で起こっている様々な出来事を手際よく見せること”が、この場面で私たちが取り組まなければいけない課題である。

 このシークェンスも、初演ではとても時間をかけて稽古された。「同時進行している複数のストーリーを鮮明に伝える」ことは、とても難易度の高いことだからである。

 だが、せっかく頂いた再演の貴重な機会である。なので、このシークエンスを“もっと鮮やかに”“もっと手際よく”したいと考えた。

 で、振付の桜木さんと意見交換して、ダンスやステージング、そして芝居部分をヴァージョン・アップすることにした。

 今日は丸一日かけて、2つのナンバーの中で起こっていることのアウトラインをキャストの皆さんに渡すところまで漕ぎ着けた。明日、もう1日使って、アウトラインをしっかりとした表現にまで持って行きたい。

 再演は嬉しい。でも初演と同じことをしていたのでは、勢いのあった初演には敵わない。なので、嬉しいのと同じくらい苦しくもある。

 ……でも楽しいけど。

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『ドッグファイト』通信

11月13日(月)

 まず、M4「ヘイ、彼女」を稽古。

 「ヘイ、彼女」は、海兵隊員たちが今夜のドッグファイトの為に“一番不細工なデート相手”をモノにしようと奮闘するナンバー。だが、世の女性たちは、それほどお人よしではないので……。

 続いて、1幕3場を稽古。

 1幕3場は複数のエピソードで構成されている。
 まずボーランド。サンフランシスコの路地裏で、いかがわしそうな女性に何やら交渉を持ちかけている。続いてドッグファイトのために“おめかし中”のローズと海兵隊員たち。そしてドッグファイト会場に向かうバードレイス&ローズ。バードレイスは、ダメ押しにローズの口紅をわざと厚塗りにするのだが……。

 最後に、ローズのナンバー「何よりワンダフル」のおさらい。

 稽古は着々と進んでいる。……と言うか、ものすごいスピードで進行している。今回から参加の皆さんはこのスピードでも大丈夫なのだろうか。大丈夫そうには見えているが。

 私は時々大丈夫ではない。

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『ドッグファイト』通信

11月12日(日)

 まず、M2「最後の夜」をおさらい。

 今までの「最後の夜」には「惜しい……」と感じる個所が数カ所残されていた。なので、振付の桜木さんと意見交換して、それらを改善することに。
 今までだってギリギリのところで歌い、踊り、着替えていたキャストの皆さんには、今まで以上にキツいナンバーに。

 続いて、M2に続く“スリー・ビーズの場面”を稽古。

 我らがスリー・ビーズは、ちょっとおバカな所は相変わらずだが、今回から登場の矢田バーンスタインが今まで以上にピュアな感じで、関係者でさえ悶え死にしそうな程である。
 どれ程のモノなのかは、どうぞ劇場で。

 更に、1幕2場「食堂」をおさらいし、最後に、M6「何よりワンダフル」を稽古。

 私たちが『ドッグファイト』を“ダンス・ミュージカルにしよう”と考えた理由のひとつは“踊れるキャストが集まっていたから”であった。桜木さんが振付だったことも、その判断に少なからず影響を与えた。
 屋良さんと桜木さんは、『ドッグファイト』をダンス・ミュージカルに向かわせることになったキー・パーソンなのであった。

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『ドッグファイト』通信

11月11日(土)

 前半は個人の歌稽古。後半はM2「最後の夜」を振り付け。

 「最後の夜」は、翌朝にはベトナムへ(厳密には“沖縄経由”で)出撃する海兵隊員たちが、アメリカで過ごす“最後の夜”を楽しむために、軍服を脱いでサンフランシスコの街に繰り出して行くナンバーである。男性キャスト6人の歌とダンスと生着替えをご堪能いただける。

 私たちの『ドッグファイト』は、オリジナルのオフ・ブロードウェイ版と比べると、ダンスの比重が圧倒的に重くなっている。
 20歳そこそこの若者たちが持っている“やんちゃさ”や“連帯感”などを、音楽だけでなく踊りでも表現したいと言うのが私たちの『ドッグファイト』のコンセプトであった。そのコンセプト通りに「最後の夜」でも海兵隊員たちは踊りまくっている。

 「最後の夜」は、初演の時、形になるまでに大変時間のかかったナンバーである。ナンバーの中で「物語の設定を手際よく見せること」や「劇中の場所が次々と移り変わっていくさま」、そして「着替えを音楽のサイズにはめ込む作業」など、計算しなければいけないことが幾重にもあったからである。
 今日は“初演の振りを復元する”ことから始めたので、初演の稽古と比較すると「あっ」という間に形になった印象であった。

 初演からの続投組の皆さんは、たとえ細部を忘れていても、何度か繰り返している間にいつの間にか様になっている。が、初参加の矢田さんと木内さんは、振りを覚えるのも手順をこなすことも全てゼロからなので、ご本人の気持ちにかかわらず悲壮感が漂ってしまう。

 悲壮感を漂わせたお2人がまたチャーミングなのだが。

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『ドッグファイト』通信

11月10日(金)

 読み合わせ。ミュージカルなので、もちろん歌入りで。

 初演を経験している皆さんは、役やシチュエーションに対する理解がさすがに行き届いている。新鮮さも(少なくとも今日のところは)十分に感じられて、初演以上に物語に引き込まれるように感じられた。
 そして、今回から参加してくださる皆さんは、意表を突くような表現を随所に持ち込んだ。初演とは違う楽しさが随所に見受けられ、予想以上に楽しかった。
 つまり、“とても良い”読み合わせであった。

 読み合せの後、立ち稽古に入る。

 今日は1幕1場の冒頭、台本に「作中とは別の時間であり、思い出が人間の姿で存在している夢の中のような世界」と記されている部分と、それに続く「1967年の長距離バスの車内」の場面を立ち稽古。

 『ドッグファイト』の時代設定は1963年である、と前に記した。
 が、1幕冒頭の「長距離バス」と、1幕の幕切れ、そして2幕のラストは1967年である。『ドッグファイト』の物語の大部分は、実は“1967年から回想した”1963年なのである。

 「夢のような世界」のシークェンスでは初演の時に気になっていた部分があり、その部分には微調整を施した。
 ご覧くださる皆さんには気づかれないかも知れないような些細な修正だが、こう言う細かな改良をひとつずつ積み重ねて行くつもり。

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『ドッグファイト』通信

11月8日(水)

 全キャスト集合。で、歌稽古。

 初めてキャスト11名全員が揃った。揃ってみると……懐かしくも感じるし、新鮮にも感じる。今日が初対面の人も何人かいて、「初めまして」の声も聞こえてくる。きっと初演とは違った新しい『ドッグファイト』が生まれることだろう。
 『ドッグファイト』には“ハモる”ナンバーが少なくないのだが、全員集合して、ようやく本番通りのハーモニーが聞こえるようになった。改めて「素敵な楽曲が揃っている」ことを実感する。

 歌稽古に続いて1幕2場を立ち稽古。

 再演である今回は、物語の順序にはこだわらず、能率の良い場面からどんどん立ち稽古に入ることになっている。
 で、まずは1幕2場。サンフランシスコの街中にある“典型的な”食堂の場面である。“ドッグファイト”に連れ出す相手を探しあぐねて食堂に入った主人公=エディー・バードレイスが、音楽好きな女の子=ローズと出会うことになる。

 “ドッグファイト”とは、本来は「戦闘機同士の激しい空中戦」を意味する言葉であるが(犬の喧嘩、乱闘の意味もある)、この作品の中では「海兵隊の間で脈々と続いてきた伝統行事(ゲーム)」を示す隠語である。
 ゲームのルールは「一番不細工なデート相手を連れてきた隊員が勝ち」。女性に対して失礼極まりないゲームなのだが、これは「これから戦場に出て行く海兵隊員たちから人間性を奪い取る」ために、脈々と受け継がれてきた“冷酷なしきたり”であるらしい。

 そんなゲームに何の疑問も抱くことなく、嬉々として取り組むおバカな海兵隊員たちであるが……。

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『ドッグファイト』通信

11月7日(火)

 歌稽古。男性キャストの日。

 まずはひのさんの歌稽古。続いて、ひのさんに海兵隊の6人が合流。

 海兵隊を演じる6人=屋良さん、中河内さん、矢田さん、浜中さん、末澤さん、木内さんは、俳優としての持ち味や普段活動しているフィールドが結構異なっている。が、その“違っている”感じがとてもいいと思う。
 稽古場での佇まいも、作品やキャラクターに向き合う姿勢もそれぞれなのだが、その一見バラバラな6人が、とてもいいチーム・ワークを見せ、素敵なハーモニーを聞かせてくれる。

 『ドッグファイト』の登場人物のひとりひとりが魅力的に見えているとすれば、そんな稽古場での“在り方”が大きいのだと私は思う。個性と、全体としてのパワーとのどちらもが、このカンパニーにはあるのである。

 稽古後、ミュージカル・アカデミーの講師会議へ。今年度から体制が大きく変わったミュージカル・アカデミーの現状と将来について意見交換。

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『ドッグファイト』通信

11月6日(月)

 歌稽古。今日は女性キャストの日。

 まずは、場面毎に色々な女性を演じ分ける3人=保坂知寿さん、春風ひとみさん、七瀬りりこさんの歌稽古。

 保坂さんは、ボーランドが見つけたドッグファイトのお相手=マーシーなどを演じ、春風さんは、バードレイスの相手となるローズの口うるさいママなどを演じる。そして、バーンスタインが選んだ相手=ネイティブ・アメリカンのルース・トゥー・ベアーズなどを演じるのは七瀬りりこさんである。
 保坂さん、春風さんは初演からの続投で、七瀬さんは今回からの参加となる。既に息ピッタリの3人のハーモニーが何とも心地よい。

 3人に続いて宮澤エマさんの歌稽古。

 宮澤さんは初演に引き続き、バードレイスがドッグファイトに連れ出す女の子=ローズを演じる。ローズは「シャイで控えめで、壁の花と言うタイプだが……」と台本に記されるような子であるが、そのローズにバードレイスが声を掛けたことから物語は動き始めることになる。

 歌稽古の最後は屋良さんと宮澤さんのお2人。

 歌稽古では音とリズムを丁寧に取り直し、再演に相応しいクォリティの“歌”をまずはを目指している。今回から『ドッグファイト』の歌唱指導に加わってくださった山川高風さんが、音楽の解釈と、それに相応しい歌い方を丁寧に指導してくださっている。

 『ドッグファイト』の稽古後は、来年後半に上演される作品の舞台美術打ち合わせ。ちょっと気が早いような気がしないでもないが……。

 難易度の高い作品なので。

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『ドッグファイト』通信

11月5日(日)

 歌稽古。海兵隊員全員集合の日。

 ただし、私は所用のため欠席(悪しからず)

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『ドッグファイト』通信

11月3日(金)

 本日も歌稽古。

 スリー・ビーズ以外の海兵隊員を演じるのは浜中文一さん、末澤誠也さん、木内(きのうち)健人さんである。浜中さんと末澤さんは初演からの続投で、木内さんは今回からの参加となる。
 浜中さんが演じるのは、台本に「あまり利口ではない」と記されている海兵隊員のフェクターである。末澤さんが演じるのは「うぬぼれ屋」のスティーヴンスで、木内さんは「中西部出身」のギブスを演じる。

 海兵隊員ではない唯一の男性キャストが ひのあらた さんである。ひのさんも今回の再演からの参加で、“ドッグファイト”が行われる「安っぽいクラブ」“ザ・ナイト・ライト”のラウンジ・シンガーの他、海兵隊員以外の全ての男性登場人物を取っ換え引っ換え演じる。

 そして、今日はひのさんのお誕生日であった。

 今まだは個人の歌稽古なので、ひのさんの稽古時にはキャストはひのさんおひとりであった。なので、ミュージカルの稽古場なのに「ハッピー・バースデー」は稽古ピアニストとスタッフのみでお送りすることになった。火気厳禁の稽古場なので、ケーキはあるが吹き消す蝋燭は無し、である。

 結構レアな感じの“バースデー”でした。

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『ドッグファイト』通信

11月2日(木) 

 『ドッグファイト』は連日歌稽古中である。

 『ドッグファイト』のキャストは11名。元々がオフ・ブロードウェイの作品でもあり、大人数が必要とされるような場面やナンバーは無い。

 主人公のエディー・バードレイスとその仲間たちはアメリカ海兵隊員で、ベトナムへ出撃する前夜、アメリカでの最後の夜をサンフランシスコでバカ騒ぎをして過ごそうとしている。時代は1963年。翌年に勃発するトンキン湾事件を経て泥沼化する前のベトナム戦争が背景にはある。
 映画ではリバー・フェニックスが演じたバードレイスを演じるのは屋良朝幸さん。海兵隊仲間のラルフィー・ボーランドは中河内雅貴さんである。2人は初演からの続投だが、もうひとりの海兵隊員=ディッキー・バーンスタインは今回から矢田悠佑さんである。

 イニシャルが“B”の3人(irdlace、oland、ernstein)は、いつも“つるんで”いるので海兵隊仲間から「スリー・ビーズ」と呼ばれている。スリー・ビーズは3つの“”の意でもあり、3匹の蜂(Three Bees)のことでもある。

 『ドッグファイト』では、ちょっとおバカなスリー・ビーズの冒険と友情が描かれる。それは愉快で、切なく、そしてほろ苦い。

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『ドッグファイト』通信

11月1日(水)

 ドッグファイトの稽古が始まっている。

 『ドッグファイト』は、2012年にオフ・ブロードウェイのセカンド・ステージ・シアターで上演されたミュージカルである。
 1991年のアメリカ映画“Dogfight”(日本では劇場未公開。ビデオ発売時の邦題は『恋のドッグファイト』)を原作としたミュージカルで、作曲・作詞はベンジ・パセック&ジャスティン・ポール、脚本はピーター・ドゥシャンである。
  日本では2015年の12月から2016年の1月にかけて、大阪、東京、愛知で上演され、今回は2年ぶり、待望の再演である。

 この2年の間に大きく変わったのは、ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールの2人が、世界中の映画ファンとミュージカル・ファンの間で「最もホットなソングライター・チーム」になった、と言うことだろう。

  2016年の映画賞を総なめにした『ラ・ラ・ランド』の楽曲“City of Stars”でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の主題歌賞を受賞し、今年のトニー賞でベスト・ミュージカルに選ばれた“Dear Evan Hansen”でベスト・オリジナル・スコア賞を受賞したのがパセック&ポールである。
 来春公開されるヒュー・ジャックマン主演のミュージカル大作『グレイテスト・ショーマン』の楽曲も2人の作だし、ディズニーが進める『白雪姫』『アラジン』の実写映画化にも楽曲を提供することになっている。

 2年前、シアタークリエでの『ドッグファイト』の初日公演を、2人と脚本のピーター・デュシャンの3人がご観劇くださった。その時のブログにリンク張っておくので、ご興味のある方はどうぞ(それはこちら)。

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