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『アニー』通信

3月18日(土)

 オリバー・ウォーバックスを演じるのは藤本隆宏さんである。

 ハニガンはウォーバックスのことを「世界一金持ちの独身男性」だと言っている。が、それはハニガンが愛読している怪しげなゴシップ雑誌から仕入れた情報らしいので、正確かどうかはちょっと疑わしい。
 しかし“独身男性”であることと、超のつく“大金持ち”であることは紛れもない事実である。『アニー』の物語設定が“1933年のニューヨーク”であることは以前記した通りだが、大恐慌でガタガタになった経済状況の下では、たとえウォーバックスでも企業経営は困難を極めたに違いない。

 藤本さんも“初めてご一緒する方”のおひとりである。
 演じるウォーバックスは、強引で、わがままで、気が短くて、とても子供っぽい男なのだが、稽古場の藤本さんは、佇まいも穏やかだし物腰も柔らかい。

 芝居作りがたまらなく面白いのは、時としてこんな落差に出会うことがあるからだと思う。

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