訃報 藤村俊二さん
藤村俊二さんが亡くなった。
藤村さんとご一緒したのは、ジャン・クロード・カリエール/作のコメディ『ラ・テラス』(2001年、PARCO劇場・他)の時である。このフランス産のシニカルな“コント風”コメディで、藤村さんは“若い夫人を連れた老大佐”という不思議な役を演じてくださった。
藤村さんの身上は“独特のユーモア”と“軽やかさ”にあったと思うのだが、当時70歳に近かった藤村さんは(我々の心配をよそに)舞台でも跳ねたり転んだり、芸風同様に身体も実に軽やかでいらした。
若い頃、日劇(=日本劇場。“有楽町マリオン”のある場所に建っていた)ダンシング・チームにいらした経歴を知れば、それも当然と思えるのだが。
藤村さんのニックネームは「おひょい」と言った。
「なんで“おひょい”なんですか?」とご本人にお聞きしたことがある。我慢するのが嫌いで、気に入らないことがあると現場から“ひょいっ”といなくなってしまう癖があるからだ、と、おひょいさんは飄々とおっしゃった。
『ラ・テラス』でご一緒する数年前のことである。私が演出する“ある新作ミュージカル”に藤村さんがキャスティングされたことがあった。が、藤村さんの出演は実現しなかった。
“ひょいっ”といなくなってしまわれたのである。
合掌。
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