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『貴婦人の訪問』通信

10月13日(木)

 立ち稽古。1幕8場「ホテルのスイート・ルーム」、12場「ホテル前の広場」、13場「コンラーツヴァイラーの森」を思い出し。

 8場のホテルは、クレアが滞在している、かつてはこの街一番の格式を誇ったであろうホテルである。今では見る影もないが、そのホテルのスイート・ルームをクレアはオフィス代わりに使用している。彼女は世界を股に掛けるビジネス・ウーマンでもあるのだ。
 その部屋をアルフレッドが訪れる。クレアの“不当な”提案に抗議するためであった。しかし、クレアは顔色ひとつ変えることなく……。

 12場は、そのホテルの前の広場である。ギュレンの街で“ある事件”が勃発し、警察や自警団が出動する騒ぎとなる。そして、響き渡る2発の銃声……。

 “コンラーツヴァイラーの森”は、物語の中で都合3回登場する。1幕の2場と、今日のメニューである13場、そして2幕の7場である。
 この森はアルフレッドとクレアにとっては特別な場所である。30年以上も昔、幸せだった日々を2人きりで過ごした場所だからである。この場所のことを知る者は、2人以外には誰もいない……。

 今日はデザイナーの皆さんが続々と顔を見せてくださった。美術の伊藤雅子さん、照明の成瀬一裕さん、衣裳の前田文子さんである。

 再演である今回は、初演時の様に「デザイナーの皆さんと頻繁にやり取りをする」と言うことは無い。デザインは初演の時点で既になされているからである。
 それでも、再演に当たって細々としたことを確認する必要は出てくる。それがたまたま今日に集中した。でも、たまたまだったとしても、皆さんと顔を合わせるのは嬉しい。2人より3人はなお嬉しい。

 子供みたいなのである。

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