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平幹二朗さんのこと

 平幹二朗さんが亡くなった。

 つい最近、舞台『クレシダ』を観劇した人から「平さんはすごい」と聞かされたばかりであったし、現在放送中のドラマでも元気な姿を見せていらしたから、あまりにも突然で、どう受け止めて良いのかわからない。

 平さんと言えば『近松心中物語』や『テンペスト』など、蜷川幸雄さん演出の舞台での圧倒的な姿がまず目に浮かぶ。私は演出助手時代に『お游(ゆう)さま』『孤狸孤狸(こりこり)ばなし』『拝領妻始末』『松のや露八(ろはち)』『殉愛』でご一緒した。
 それらは全て旧・東京宝塚劇場での公演であった。平さんは、森繁久彌さんをはじめ、山田五十鈴さん、三津田健さん、植木等さんなど、演劇史に残る今は亡き名優たちと共演されていた。

 演出家としては『鹿鳴館』(2002年初演/ル・テアトル銀座)でご一緒した。
 平さんは、実際の“元夫婦”でいらした佐久間良子さんと夫婦役での共演を果たされ、お2人の実子である平岳大さんが俳優デビューを飾られた。

 平さんが堂々たるスケールで役を作り演じる俳優でいらしたことは論を俟たない。が、『孤狸孤狸ばなし』や『松のや露八』での、軽妙な三枚目役を実に楽しそうに演じていらした姿も忘れ難い。

 ご冥福をお祈りいたします。

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