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2016年2月の記事

『ジキル&ハイド』通信

2月28日(日)

 稽古場最終日。2回目の(そして最後の)オケ付き通し。

 出来の良かった昨日以上に手応えのある2回目であった。無駄な力が抜け、緩急がつき、ドラマの精度が高まった。
 通し稽古終了後はいつもの様に駄目出し。いつもと異なるのは、駄目出しと並行して稽古場の撤収作業が行われていることである。

 1月31日より、ほぼひと月を過ごしたこの稽古場ともお別れである。明日からは東京国際フォーラムのホールCで仕込み作業が始まる。

 初日は3月5日(土)。初日に向けて、2016年の『ジキルハイド』、総仕上げである。

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『ジキル&ハイド』通信

2月27日(金)

 1回目のオケ付き通し。

 大変順調に進み、いい感じに終わった1回目であった。改善すべき点はもちろんまだ残っているが、関係者の誰もが「2016年の『ジキルハイド』は凄い!」と感じている様子であった。
 通し稽古終了後はオーケストラ部門とキャスト部門とに分かれて、それぞれで駄目出し。駄目出しの後、更にいくつかのシーンを抜き稽古。

 キャストの皆さんは、稽古場にオーケストラがやって来てからはそれまでの居場所を追われ、今ではセットの裏などに肩を寄せ合って出番を待っている。それでも舞台に出れば今まで通り広々とした環境が保証されているが、侘しいのは我々スタッフである。

 同じスタッフでも、舞台を裏から支えてくださる演出部の皆さんは、稽古当初から舞台裏にそれぞれが居場所を確保済みなので、オーケストラが引っ越してきた影響はそれほどでもない。
 オーケストラとの稽古に欠かすことのできない音響チームも、巨大なミキシング・コンソールなどを運び込んで稽古場の一角を占有し、むしろ待遇が良くなった。

 問題は、私を含む残りのスタッフである。

 残りのスタッフに宛がわれているのは長テーブルが1台のみ。その長テーブルも稽古場の端に設置されているので、舞台を正面から見ることはできない。その長テーブルを残りのスタッフで奪い合う譲り合うことになるワケだが、私は当初、“稽古中にテーブルを必要とするであろう誰か”にテーブルを使ってもらう気満々でいた。……が、結局は私が使ってしまった。

 今日彷徨ったスタッフ皆さん、明日は譲るから。

 明日は2回目のオケ付き通し。稽古場最終日。

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『ジキル&ハイド』通信

2月26日(金)

 オケ合わせ、2日目。

 今回の『ジキルハイド』では、オーケストラはオーケストラ・ピットで演奏する。これは、日本の『ジキルハイド』上演史上では初めての事である(ただし、東京公演と名古屋公演のみ。大阪では今まで通り、バック・ステージで演奏する)。

 これまで、なぜオーケストラ・ピットを使用しなかったのか。
 理由はいくつかあるだろう。舞台と客席がダイレクトに繋がっていることで臨場感が増すこと。劇場内に深い闇を作り出せること。1人でも多くのお客様にご入場頂けること……。

 では、なぜ今回はオーケストラ・ピットを使用することになったのか。
 これにも理由はいくつかあるだろう。舞台上のキャストと指揮者がお互いを直接目視できること(その結果、精密さを要求される微妙なタイミングや繊細に揺れ動く様な表現を、双方ともストレスなく行うことができる)。オーケストラの奏でる音が劇場内に直接伝わって行くこと……。

 今回の『ジキルハイド』は、ドラマとしても音楽的にも、今まで以上に充実した仕上がりとなるだろう。

 明日はいよいよオケ付き通し。

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『ジキル&ハイド』通信

2月25日(木)

 稽古前に『天使にラブソングを~シスター・アクト~』の打ち合わせ。
 稽古の進め方についてや、ツアーの様々な要件……などを、演出助手の鈴木ひがしさん、舞台監督の佐藤博さん、そしてプロデュース・チームの皆さんと確認。

 『ジキルハイド』は今日と明日でオーケストラとキャストの合わせ(オケ合わせ)である。

 今日は「M1/プロローグ」から「M31/その目に」まで、BGMも含めて劇中で流れる全楽曲を芝居付きで合わせた。
 昨日までの稽古を終えた段階で、今回の『ジキルハイド』は相当良い仕上がりになっていると思う。稽古場での残り3日間で更なる高みを目指したい。

 このキャストとオーケストラで、フランク・ワイルドホーン氏のマスターピースであるジキルハイド』に取り組むことができるのは望外の幸せである。

 この幸せを是非とも皆さんにも。

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2月24日(水)

 2回目の通し稽古。

 今日は衣裳とヘア(ウィッグ)付きである。
 前回、2012年の時にも衣裳とヘアを装着しての稽古をやらせていただいているのだが(その時のブログはこちら)、この規模のミュージカルでこれをやらせていただけることはそう多くはない。
 とは言え、扮装しての稽古は今日が初めてなので、想定通りに行かないことやバタバタしたところも見受けられた。が、それを差し引いても価値のある“衣裳とヘア付き”通し稽古であったと思う。困難を克服してこれを実現してくださったスタッフの皆さんに感謝したい。

 稽古終了後、楽器の搬入。
 別スタジオでのリハーサルを終えたオーケストラの引っ越しである。我々が居座っていた場所が片付けられ、そこにオーケストラの場所が設営されて行く。

 明日はオケ合わせ。

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2月23日(火)

 通し稽古。

 ……の前に「連れてきて」をマイナー・チェンジ。前半のステージングを変更する。マイナー・チェンジ前と比較して、場面の求心力は確実に高まった。

 「連れてきて」を何度かさらった後、1回目のピアノ通し。

 一昨日の稽古(と「連れてきて」のマイ・チェン)が奏功して、1幕が劇的に良くなった。その分、2幕はやや息切れしたかも知れない。
 通し稽古終了後、全体で駄目出し。更にその後、抜き稽古。明日以降は稽古で粘ることも難しくなって行くはずなので、今日は少し粘る。

 今日の“通し”の上演時間であるが、2幕は概ね予想通りであった。が、1幕は予想より少し長かった。今後、通し稽古を重ねれば縮むだろうか。

 明日は2回目の通し稽古。衣裳とヘア“有り”で。

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2月21日(日)

 2幕を台本順におさらい。

 『ジキルハイド』の上演時間は、1幕が1時間20分前後、2幕が1時間前後である(今日現在。これにカーテン・コールがプラスされる)。
 上演時間から言えば、1幕よりも2幕の方が稽古に要する時間は少なくて済む。内容から言っても、大人数の場面やナンバーが多いのは1幕なので、その分1幕の方が稽古には手間がかかる。

 という訳で、今日は一昨日と同様にサクサクと進んだ。ただし、2幕にはもっとも複雑な場面(ナンバー)「事件、事件」があるので、それほど思惑通りには行かないのであるが。

 明日は稽古OFF。稽古場最後のOFFである。
 別稽古場では明日よりオーケストラのリハーサルが始まる。マエストロ、どうぞよろしくお願いします!

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2月20日(土)

 1幕を台本順におさらい。

 結論から言うと、サクサクではなかった(昨日のブログを参照のこと)。
 ではグダグダだったのかと言えば、そうではない。確かに多くの時間を費やしたが、その分密度の濃い、手応えのある稽古であった。

 昨日と今日で、ドラマはとても明確に見える様になってきた。
 “明確に見える”と言う部分が大事なところで、どんなに丁寧に、心を籠めて演じられていても、ドラマが見えてこなければその価値は低い。しかし“明確に見えさえすればいい”ワケでもなくて、だから大劇場演劇を作るのは難しい。

 明日は再び2幕。それ以降は「通し稽古態勢」に入る。

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2月19日(金)

 2幕を台本順におさらい。

 場面ごとに、芝居の運びや音楽の約束事など、より実戦的な部分に踏み込んで整理と確認。特に、大勢の人物が複雑にからんだり、シビアな約束事が数多く存在する場面(「事件、事件」シークェンスやラスト・シーン)などは細かく入念に。

 この1週間は2幕を稽古して来たので、今日のおさらいでも取りこぼしはそれほど多くなく、なので“上手く行っていない部分の調整”に重点を置いて能率良く稽古を進めることができた。
 明日は1幕をおさらいするのであるが、果たして1幕はどうであろうか。今日の様に少ない取りこぼしでサクサクと進むことができるだろうか?

 そうだと嬉しいのだが。

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2月18日(木)

 2幕5場と6場をおさらい。その後、「事件、事件」を整理。更にその後、ラスト・シーン=2幕7場を作る。

 7場は再び「ダンヴァース邸」である。
 ダンヴァース邸では×××と××の×××××が開かれていて、「物語の始めの婚約パーティに出席していた客達全員が集まっている。×××がその間に××した者を除いての話だが」(台本より)。
 ここではあんなことやこんなことがあって、あの人がそんなことになり、最後は「音楽が波のように押し寄せてきて灯りが消えて行く」(台本より)。

 2月1日の立ち稽古開始より18日目で、全場面に(取り敢えずは)手を着けた。稽古場は残すところ10日。10日間で芝居やミュージカル・ナンバーを洗練させ、オーケストラを迎え、通し稽古までを終わらさなければならない。

 明日は2幕をおさらい。

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2月17日(水)

 今日の稽古は少人数。出番のあるキャストは3人しかいない。石丸さん、濱田さん、そして石川さんである。

 まずは発声。
 毎日、稽古の冒頭ではキャスト全員で発声をするのだが、今日は何しろ3人である。歌唱指導のちあきさんとほぼマン・ツー・マンで、カスタム・メードな感じの贅沢な発声であった。

 続いて2幕4場をおさらい。その後、2幕5場、6場を稽古。

 5場は「“どん底”階上にあるルーシーの部屋」。
 深夜。部屋のドアを激しく叩く者がいる。訪れたのは……。ここにはルーシーのナンバー「新たな生活」がある。

 そして6場。6場は……。

 今回の『ジキルハイド』では様々な個所に手を入れている。
 もちろん大枠に変更はないので、前回をご覧いただいた方も、その時と大きく印象が異なることはないだろう。が、我々にとってはかなり重大な(しかし目立たない)変更を加えている。
 話が抽象的になってしまって申し訳ないのだが、稽古場は“未知の新作”に取り組む時の様な、静かな興奮に満ちている。

 明日はラスト・シーン。

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2月16日(火)

 2幕3場(A)をおさらい。その後、2幕3場(B)、2幕4場に着手。

 3場(B)は「ロンドンの通り」。
 “どん底”に続く短い場面で、丸ごとがミュージカル・ナンバー「嘘の仮面/リプライズ2」である。1幕の2場(「嘘の仮面」)と同様にやや抽象的な場面である様にも感じられるのだが、ここに登場する人物たちは、果たして物語の内側にいるのだろうか。それとも……。

 4場は「ジキルの研究室」。
 ここは、ストーリー的には2場の「研究室」と密接に繋がっている。ジキルの依頼で薬品店に出向いたアターソンが研究室に戻ってみると……。

 物語の大詰めが近づくと、どうしても“……”の頻度が多くなる。だがそれは……。

 稽古後は劇中で流れる“声”の録音。音響デザイナーの山本浩一さんが立ち会ってくださる……。

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2月15日(月)

 2幕2場をおさらい。その後、2幕3場(A)を作る。

 3場(A)は再び“どん底”である。
 ルーシーはヘンリー・ジキルのことが忘れられないでいる。そんなルーシーに声を掛けたのは……。ここにはミュージカル・ナンバーが2つ。「あたしは誰」と「罪な遊戯(あそび)」である。
 「罪な遊戯」も、『ジキルハイド』を語る時には外せない1曲であろう。原タイトルは“Dangerous Game”であるが、文字通りに“危ない”香りの漂うナンバーにしたい。

 稽古後は衣裳合わせ。

 『ジキルハイド』のカーテン・コールでは、毎回の様に「キャストの人数の少なさ」が話題にのぼる。本編を見ていると次から次へと新しいキャラクターが登場するため、大所帯のカンパニーの様に感じられるのだが、チラシからも分かる通り『ジキルハイド』のキャストは全員で22名である。
 と言うことは、22名のキャストの大半が次から次へと着替えを繰り返しているワケで……。

 長時間の衣裳合わせ、お疲れ様でした。キャストの皆さん、衣裳/ヘアメイクの皆さん、演出部の皆さん、ありがとうございました。

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2月13日(土)

 稽古場イベント。

 ご応募くださった約2000名から選ばれた50名の方が、“特派員”として稽古場にいらっしゃった。稽古ピアノの國井雅美さんが奏でる「時が来た」で皆さんをお出迎え。
 『ジキルハイド』宣伝担当の洗(あらい)さんの司会でイベントはスタート。僭越ながら、まず私が稽古場のことや作品のことなどについて話す。そしてイベントの目玉、ミュージカル・ナンバーの披露へ。

 今日お目に掛けたのは3曲。
 全キャスト(石丸さんを除く)による「嘘の仮面」、濱田さん&笹本さんの「その目に」、そして石丸さんの「時が来た」である(ダイジェスト映像はこちら)。
 3曲とも『ジキルハイド』を代表する、『ジキルハイド』らしい楽曲だと思う。短い時間ではあったが、特派員の皆さんには『ジキルハイド』の世界を堪能していただけたのではないだろうか。

 さて。

 イベントの後は通常通りの稽古。まずは「事件、事件」のブラッシュ・アップ。そして、2幕2場に手を付ける。
 2場は「ジキルの研究室」。物語はクライマックスに向けて大きく転がり始める。ここにはミュージカル・ナンバーが3曲。エマの「あれは夢」、ジキルの「狂気」、そしてエマ&ルーシーの「その目に」である。

 稽古では、前回やっていた芝居の手順を押さえた上で、新たな解釈、新たな感情、新たな人間関係……を探ってみている。結果として前回に近い芝居に落ち着くこともあるし、全く異なる運びになったりもする。そのプロセスが実に楽しく、また刺激的である。

 明日は稽古OFF。天候がちょっと心配ではあるが。
 

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2月12日(金)

 稽古前に公演プログラム向けの対談。
 今回のプログラムでは色々な方と対談させていただいている。紙数に限りがあるので掲載されるのは話された内の一部だろうが、皆さんとても興味深い話をしてくださり、私個人は大変新鮮であった。
 どんな話がされたのかは公演プログラムで。

 稽古は昨日の続き。2幕1場の(F)から(I)、「事件、事件」の後半へ。
 上演時間“10分”のシーンを“2日がかり”である。それでもアウトラインが出来上がったに過ぎない。でも大丈夫。稽古スケジュールには3日目が用意されているから。

 明日は稽古前に「稽古場イベント」が行われる。なので、稽古終了後、そのリハーサル。イベントの様子は、ご応募くださった“特派員”50名の方が報告してくださるだろう。

 お楽しみに。

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2月11日(木)

 2幕に入る。

 2幕1場は「ロンドン・モンタージュ」。(A)から(I)まで、全部で9つのシーンに分かれている。分かれてはいるが、全体で1曲のミュージカル・ナンバーになっている。「事件、事件」である。
 10分に及ぶこのナンバーは、とても多くの要素が組み合わさって出来ている。なので稽古も、振付の広崎さん(うーちゃん)と、アクションの渥美さんと、そして私の3人が分担して、或いは共同で進めることになる。

 今日は前半の(A)から(E)までに手を付ける。
 うーちゃんも渥美さんも(そして私も)、前回を上回るシーンにするべく、色々と知恵を絞っている。結果、色々な個所がリニューアルされ、ニュー・ヴァージョンの様相である。ざっくりと段取りを付けただけだが、今日もあっという間に日が暮れた。

 明日は後半へ。首尾よく終らせたい。

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2月10日(水)

 1幕8場(A)と1幕9場を作る。その後、1幕を頭よりおさらい。

 8場(A)が「ジキルの書斎」であることは昨日記した。ここにはミュージカル・ナンバー「仕事をするだけ」と「同情、愛情」がある。
 ジキルは、婚約披露パーティの夜以降、変わってしまった。研究室に籠り、誰とも会おうとしない。親友のアターソンや、婚約者のエマとさえも……。

 9場は「“どん底”近くの汚らしい通り」。
 セント・ジュード病院の理事のひとりであるベイジングストーク大司教が、売春婦とのお楽しみを終えてやってくる。と、どこからともなく不穏な笑い声が聞こえてきて……。
 ここは1幕の幕切れとなる重要な場面である。このシーンをクリエイトしてくださるのは、このブログではお馴染み、アクション・ディレクターの渥美博さんである。

 一体どんなシーンなのか……にはここでは触れないので、未見の方はどうぞ劇場で。

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2月9日(火)

 1幕7場(「生きている」)をおさらい(予定時刻より早く形になったので「嘘の仮面」もおさらい)。その後、1幕8場(B)を作る。

 1幕8場(B)は「ロンドンの通り」である。
 (B)があると言うことは(A)もあるわけで、(A)は「ジキルの書斎」である。が、(A)は明日のメニューなので、今日の所は(B)を稽古。

 ジキルの屋敷が建つのは、ロンドンのハーレー・ストリート46番地。ハーレー・ストリートは、リージェント・パークのすぐ南側を南北に走る通り(ストリート)である。
 この地区も貴族が多く住んだ高級住宅街であった。そしてハーレー・ストリートには、貴族たちを相手とする一流の医院が集まっていた(現在でもそうらしい)。ジキルの医院も上流階級を相手にしていることが、その住所から窺い知れるのである。

 で、1幕8場(B)であるが、ここでは“ジキルの屋敷を訪れていたルーシーが屋敷を出て、〈ロンドンの通り〉を歩き、自分の暮らす街=カムデン・タウンに辿り着くまで”が描かれる。
 この場面も丸ごとがミュージカル・ナンバーで、ここで歌われるのはルーシーのナンバー「あんなひとが」である。このナンバーもコンサートやライヴで歌われることの多い楽曲であるが、ここではオリジナルの「あんなひとが」をご堪能いただきたい。

 稽古後は公演プログラム向けの対談。誰との対談だったのかは公演プログラムで。

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2月8日(月)

 立ち稽古。1幕6場をおさらい。その後、1幕7場に着手。

 1幕7場は「ロンドンの街」。
 生み出されたばかりのエドワード・ハイドが「ロンドンの街を歩き回る」(台本より)。“生きている”ことの喜びに打ち震えて。
 この場面も1幕2場と同様に、丸々がミュージカル・ナンバー「生きている」である。ステージングはもちろん広崎うらんさん(うーちゃん)である。

 「生きている」でも様々なヴァージョン・アップを試みた。
 特に、ルーシーが初めてハイドと接触することになる“間奏の部分”は、作品の根幹にかかわる大切な個所だと思われるので、うーちゃんと話し合って新たなアプローチを試みることにした。
 今日はその試行錯誤を。石丸さん、濱田さんの意見も取り入れつつ、音楽監督の甲斐さんや指揮の塩田さんのアドヴィスも織り込みながら、うーちゃんがスリリング、且つエロティックなシーンを生み出して行く。

 そのプロセス自体も大いにスリリングでエロティックであった。

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2月6日(土)

 立ち稽古。1幕5場をおさらい。その後、1幕6場を稽古。

 6場は「ジキルの書斎~研究室」。
 “どん底”から戻ったジキルは、アターソンに「研究を続けて行く勇気が湧いてきた」ことを告げる。ジキルの「数少ない貴重な友達」を自任するアターソンは、それを聞いて胸を撫で下ろす。ジキルはアターソンを帰らせると、ひとり研究室へと向かう……。

 ここで歌われるのが『ジキルハイド』最大のヒット・ナンバー「時が来た」である。そしてジキルは、遂に自分を被験者にした人体実験に取り掛かる……。

 ここにはミュージカル・ナンバーがもうひとつ。「変身」である。
 ジキルは、自らの身体に起こる“あらゆる変化”を記録しようと決意すると、試験管の中で光り輝く「電気的な深紅色の液体」(台本より)を飲み干す。やがて……。

 日比谷シャンテ3階の八重洲ブックセンター前では『ジキルハイド』のパネル展が開催中。期間は3月2日(水)まで。日比谷にご用の際は、どうぞお立ち寄りくださいませ。

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2月5日(金)

 立ち稽古。1幕4場をおさらい。その後、1幕5場に手を着ける。

 5場が「売春宿“どん底”の前と店内」であることと、“どん底”がカムデン・タウンにあることは一昨日のブログに記した。
 ロンドンの地図でカムデン・タウンを探すと、そのすぐ左下にリージェント(ツ)・パークが見つかるだろう。ダンヴァース邸などが建つ高級住宅地と、「暗くて陰気なスラム街」(台本より)とが目と鼻の先、「表」と「裏」の関係に位置しているのである。

 で、5場だが、ここは2つのシーンに分かれている。
 前半は“どん底”前の通り。ここでは、4場までの「貴族たちの世界」とは打って変わって、底辺の人々の「生き地獄の様な暮らし」を目撃することになる(「嘘の仮面/リプライズ1」)。
 後半は“どん底”の店内。ここではミュージカル・ナンバー「連れてきて」が歌い踊られ、ジキルとルーシーが出会い、そしてジキルは密かに“ある決意”を固める……。

 連日、やや長時間の稽古となっている。
 今回の『ジキルハイド』は再演である。なのに稽古に時間が掛かるのは、私も、振付のうーちゃん(本人の希望により)も、続投キャストも、「前回を思い出す様な稽古にはしたくない」と考えているからである。

 でも、明日はちょっぴり早く終れる……かも。

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2月4日(木)

 立ち稽古。

 稽古開始を2時間前倒して、まず「嘘の仮面」のブラッシュ・アップ。そして1幕3場のおさらい。その後、1幕4場を作る。

 1幕4場は「ダンヴァース・カルー邸」。ダンヴァース邸が建つのはロンドンの高級住宅街。貴族たちの屋敷が建ち並ぶリージェント・パークの一角である。
 ダンヴァース邸ではエマとヘンリー・ジキルの婚約披露パーティが行われている。が、肝心のジキルが現われない。理事たちは悪口を言いたい放題である。その理事たちの前に、エマが進み出て……。
 エマを演じるのは、前回(2012年)に引き続き笹本玲奈さんである。

 大勢の登場人物がいて、様々なエピソードが展開するこんな場面の稽古には、やはりそれなりに時間が掛かる。初回なので、今日はざっくりと段取りを付けただけなのに。
 それはともかく、この場面にはエマとヘンリーのナンバー「ありのままの」がある。石丸さんと笹本さんの、なんとお似合いなことだろう。

 稽古の最後に「連れてきて」振り付け、昨日の続き。
 「連れてきて」は『ジキルハイド』中、唯一の“ショー・ナンバー”であるが、今回は“ショー”になり過ぎない様に、“ショーだけどリアル”な方向にヴァージョン・アップしたい。

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2月3日(水)

 振り付け/ステージング・デー。

 今日もまずは「嘘の仮面」のステージング。ナンバーの全体像は見えた。もう一息。
 そして1幕5場のナンバー「連れてきて」を振り付け。5場にはまだ手を付けていないが、振り付けを先行。

 5場は、「パブ“どん底”の前と店内」である。
 “どん底”は、ロンドンの下町=カムデン・タウンにあると言う設定。カムデン・タウンは、「嘘の仮面/リプライズ1」で“街の東 そこは地獄”と歌われる、治安の良く無い、いかがわしい地区。そして“どん底”は、パブとは名ばかりで、その実態は売春宿である。

 「連れてきて」は、“どん底”の女の子たちによる“営業ナンバー”。ルーシー&“どん底”ガールズが、客の男たちに「あたしを買って」と迫るのである。
 ジキルは、ここでルーシーと運命的な出会いをする。ルーシーを演じるのは、もちろん濱田めぐみさんである。

 「連れてきて」の振り付けでヒート・アップする稽古場を抜け出して、朝日カルチャーセンター新宿教室へ。「 山田和也×石川禅が語るミュージカル『ジキルハイド』」に参加するためである。

 教室には90名ほどのお客様が集まってくださった。で、石川禅さんと私の2人で、『ジキルハイド』を中心に、私たち2人がかかわった作品(『ダンス オブ ヴァンパイア『貴婦人の訪問』『シスター・アクト』……)について、トーク・ショー風に講義をさせていただいた。

 実際には「2人で喋った」と言うよりも、石川さんが「ほぼひとりで喋って」くださった。私はインタビュアーに過ぎなかった。

 ご参加くださった皆さん、ご清聴、誠にありがとうございました。

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2月2日(火)

 立ち稽古。

 まず、「嘘の仮面」のステージング、昨日の続き。
 様々な個所が整理されて、色々なことが鮮明に見える様になってきた。けど、まだ未完成。なので、明日もまた続き。

 次に、プロローグ~1幕1場のおさらい。
 今回の石丸さんは、今までやっていたのとは異なる“解釈”や“表現”を随所で試みている。その結果、今まで見えていなかったことが急に見えてくる、と言う様なことが度々起こる。
 芝居って、本当に奥が深い。

 その後、1幕3場に手を着ける。
 3場は「セント・ジュード病院」。病院の理事たちが集まり、最高理事会が開かれている。議題は「ヘンリー・ジキル博士から出された“実験”の請願を了承するか、否か」であるが、理事会は紛糾し……。

 ここで、理事の面々をご紹介しておこうと思う。

 理事会の議長であるダンヴァース・カルー卿(ジキルの婚約者=エマの父親でもある)を演じるのは今井清隆さんである。
 サベージ伯爵は林アキラさん、グロソップ将軍は阿部裕さんで、お2人は日本初演(2001年版)でも同じ役を演じていらした。
 弁護士のプループス卿は松之木天辺さん、そして、ビーコンズフィールド侯爵夫人は塩田朋子さんである。ベイジングストーク大司教が宮川浩さんであることには以前触れた。

 この理事会の場面も、とても『ジキルハイド』らしい場面である、と言えるだろう。激しい、うねる様な音楽、絶え間ない緊張感、濃密なディスカッション……。

 『ジキルハイド』は、幕開きから“見せ場”の連続である。

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2月1日(月)

 顔寄せ。

 主催者を代表して、東宝の池田取締役とホリプロの堀社長がご挨拶。その後、キャスト、スタッフ、関係各位のご紹介。そして私も一言。何をしゃべったか……は恥ずかしいので触れない。

 顔寄せの後は立ち稽古に入る。

 まずはプロローグ~1幕1場。
 プロローグは、この物語の語り手であるジョン・アターソンによるモノローグ。1場は、それに続く“悪夢のような”(台本より)「病棟」の場面である。
 ヘンリー・ジキルとダンヴァース・カル―卿、そしてアターソンの前に1人の患者が連れ出される。その患者の容態について、ヘンリーとダンヴァース卿の熱を帯びたディスカッションが始まる……。

 この場面にはミュージカル・ナンバー「闇の中で」と「知りたい」がある。
 どちらもジキルのナンバーであるが、「知りたい」はブロードウェイ版には登場しなかった楽曲である。“以前”の日本版にも登場しなかった。前回、石丸さんのヴァージョン(2012年版)になった時に付け加えられたのである。

 続いて1幕2場に手を付ける。
 2場は、台本では「ロンドンの通り」とされている。が、ここは“芝居”ではなくて、まるまるがミュージカル・ナンバー「嘘の仮面」である。
 「嘘の仮面」にはジキル以外の全キャストが登場する。およそ4分に及ぶ、スケールの大きなナンバーである。

 このシーンをステージングしてくれるのは広崎うらんさんである。
 うらんさん(“広崎さん”と呼ばれることを嫌うので)は、まずシアター・ゲーム、と言うか、ワークショップを行った後にステージングに入って行った。ワークショップを通じてキャストひとりひとりの持ち味を引き出し、また稽古初日のよそよそしさを巧みに解消しようとしたのだろう。ともすれば漂い易い“緊張感”が消えて、風通しの良い稽古場となっていた。

 ところで、今回の「嘘の仮面」はニュー・ヴァージョンである。
 前回(このヴァージョンの初演=2012年版)の振付もうらんさんだったのだが、うらんさんは、思うところあって「嘘の仮面」を全面的に作り直している。

 今回の『ジキルハイド』は再演である。が、カンパニーの全員が、前回以上の物を生み出そう、という熱意に満ちている。

 ご期待いただきたい。

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1月31日(日)

 広い稽古場へ。

 本番用のセットが建て込めて、将来オーケストラが入って来ても困らない、広い稽古場に引っ越しである。舞台監督さんチームが、昨日の稽古休みにセットを建て込んでくださった。

 『ジキルハイド』の舞台美術は、舞台面(1階部分)と、それを取り囲む2階部分の回廊とで構成されている。この2階部分を稽古場に再現できるのはとてもありがたい。「2階部分はあるつもり」の稽古場では、稽古の効率や密度に大きな違いが出るだろう。

 で、稽古であるが、今日はキャスト全員で読み合わせ。ミュージカルなので、もちろん“歌入り”である。

 今日は「通して」読むことはしないで、2~3場面毎に区切って、「止め止め」で読み合わせを行った。
 「演出上の狙い」や「着目点」「解釈」など、作品作りに必要と思われる情報をその都度伝えて、それをカンパニー全体で共有することと、何か疑問があればその場で解消すること、それが「止め止め」で読み合わせを進めた理由である。

 今日はとても有意義な稽古だったと思う、と、稽古終了後に演出助手の郷田さんが口にした。本当にそうであって欲しい、と切に思う。

 明日から2月。立ち稽古に入る。

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