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2015年11月の記事

『ドッグファイト』通信

11月29日(日)

 通し稽古。幕開きからカーテン・コールまで、全場面を通す。

 稽古場のスケジュール・ボードには、今日のメニューは「あら通し」と書かれている。
 我々の仕事場では良く使われる用語なのだが、初めて通す時(或いは「初めてに近い時」)などに、「まだラフで(粗くても)いいですから……」と言ったニュアンスを醸し出しながら用いられることの多い用語である。
 一方では、「あら通し」には“粗通し”の意味の他に、「え、通すの?(あら? 通し?)」と言ったニュアンスが込められている場合もあるので、その見極めには注意が必要である。
 
 今日の通し稽古は、「あら通し」と言う言葉とは裏腹に、粗くない、かなり手応えのある出来であった。収穫も少なく無かった。既に昨日と一昨昨日で、幕ごとに「“あら通し”の様なもの」を済ませていることが奏功している。

 そのご褒美、と言う訳ではないのだが、明日は稽古OFF。稽古場で最後のOFFである。

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『ドッグファイト』通信

11月28日(土)

 午前中より衣裳合わせ。宮澤さん、保坂さん、春風さん……など、今日は女性中心。

 衣裳合わせの後、2幕を通す。

 一昨日の「1幕の通し」と同様に、細かいことは気にせずに、とにかく通してみる。
 所々で消化不良も見受けられたが、今まで「細切れ」で稽古してきたものを「初めて繋げて」みているのだからそれは当然で、深刻な症状ではない。それらは残りの稽古期間の中で潰して行けばよい。
 通しの後は、全体で確認と修正作業。今日できる修正は今日の内に、残りは明日以降の稽古の中でひとつずつ、である。

 2幕の整理をつけた後、カーテン・コールを作る。
 カーテン・コールに手を着けると、「稽古もそろそろ最終段階なのだなあ」感が一気に高まる。

 そろそろ最終段階なのだなあ。

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『ドッグファイト』通信

11月27日(金)

 ミュージカル・ナンバー、ダンス・ナンバーの振り固めデー。

 まず海兵隊員たちのナンバー/M2「最後の夜」、M3「3匹のハチ」をさらう。そしてローズのナンバー/M6「何よりもワンダフル」、エディーとローズのM13「ファーストデート/ラストナイト」をおさらい。
 更に、再び男たちのナンバー/M12「地元のヒーローの凱旋パレード」、保坂知寿さん演じるボーランドのデート相手=マーシーとローズのナンバー/M9「ドッグファイト」、そしてドッグファイト会場のナイトクラブで歌われるナンバー/M8a「その顔を見せて」、お馴染みのM4「ヘイ、彼女」……などを固める。

 『ドッグファイト』の振付助手は小嶋亜衣さんである。

 小嶋さんは『ダンス オブ ヴァンパイア』初演(2006年)と再演(2009年)のヴァンパイア・ダンサーのひとりであった。ダンスのことを語る言葉を私が持っていないことがなんとも歯痒いが、小嶋さんのダイナミックでシャープなダンスは今でも眼に焼き付いて離れない。

 スタッフとしての小嶋さんとは『ドッグファイト』が初仕事。お世話になってます。

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『ドッグファイト』通信

11月26日(木)

 1幕を通す。

 昨日、一昨日で各幕をひと通りさらったので、まだ消化不良な個所も残ってはいるが、細かいことは気にせずに通してみる。
 通してみると、1幕は「あっと言う間」である。上演時間の予想をここで記すのはもう少し先にしておくが、体感的には「あっと言う間」であった。そもそも原作の映画『恋のドッグファイト』がコンパクトなお話でもあるし。

 「通してみて初めて見えてくること」と言うのがある。「通さないと見えてこないこと」と言い変えることもできるのだが、それをあぶり出すことも、このタイミングで通してみた理由である。
 通しの後、その「見えてきたこと」を修正・調整。

 連日、長時間のハードな稽古が続いているので、今日はやや早い時刻に稽古を終える。ちょっと立ち止まって、走ってきた道程を振り返ったり、英気を養ったりする日である。

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『ドッグファイト』通信

11月25日(水)

 2幕のおさらい。並行して衣裳合わせ。

 バードレイスをはじめ、海兵隊員たちの衣裳が「制服」と「私服」であることは以前も触れた。
 「私服」と言っても、20歳そこそこの若者たちの着る物である。「豪華さ」や「洗練」とは遠いところにある服だ、と思っていただいて構わない。
 今回の衣裳には、それ以上の期待は無用である。

 ところで、スリー・ビーズの3人は、台本に出身地が記されている。
 エディー・バードレイスは「ニューヨーク州バッファロー」の出身。ディッキー・バーンスタインは「オハイオ州クリーブランド」。そしてラルフィー・ボーランドは「南部出身」とだけ書かれている。
 我々が「関西人」とか「京女」「九州男児」などと聞いてある程度のイメージを持つことができる様に、アメリカに住む人たちが「バッファロー出身」とか「クリーブランド生まれ」などと聞けば、それがどんな人物なのか、おおよその傾向を感じ取ることができるのだろう。

 明日の稽古で、「クリーブランドっぽくないんだよねえ」と言ってみようか?

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『ドッグファイト』通信

11月24日(火)

 1幕のおさらい。

 2幕ものの芝居やミュージカルを作る時、「難易度が高いな」と感じるのは、2幕より1幕の方である。
 「紹介しなければならない人物」や「説明しておかなければならない事柄」が1幕には多く、それらを分かり易く手際よく処理して、早く観客を物語の中に連れて行かなければならないからである。
 しかし、得てして「紹介」や「説明」は退屈なものになり勝ちである。そして、先々のために伏線も張っておきたいが、それが伏線だと見抜かれてしまっては元も子もないし。
 その辺りを鮮やかに仕立てるのは本当に難しい。

 そんなこんなで、今日も色々な場面で様々な調整を繰り返した。時間もそれなりに掛かったが、掛かった分だけその場面は良くなるので、掛けない訳にはいかない。

 キャスト&スタッフの皆さん、本日もお疲れ様でした。

 明日は2幕。そして衣裳合わせ、なども。

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『ドッグファイト』通信

11月23日(月)

 立ち稽古。ラストシーンを作る。その後、2幕をおさらい。

 バードレイスがドッグファイトに連れ出したローズ・フェニーは、「音楽好きな女の子」と言う設定になっている。
 1960年代前半の物語らしく、彼女のレコード・コレクションには「キングストン・トリオ」「オデッタ」、そして「ウディ・ガスリー」などの名前が並んでいる。自分でも拙いながらギターを弾き、曲を作ったりもしている。

 1950年代から60年代にかけて、アメリカでは「公民権運動」が大きな高まりを見せていた。ローズが好んで聞く音楽の種類にも、それは少なからず反映されていると言えるだろう。
 一方、バードレイスは音楽に関しては(恐らく、音楽以外の芸術や文化にも)無知で無関心。女の子を口説く目的で、知ったか振りして音楽を語り、うさん臭がられる様な男である。

 こんな2人が出会って、果たしてどんなことが起こるのか?

 その顛末は、どうぞ劇場で。

 そのローズを演じる宮澤エマさんの、今日はお誕生日。
 どうやってサプライズを仕掛けたものか皆で知恵を絞り、屋良さんの提案で「ある場面の稽古の中で」決行、と言うことになった。
 その場面では、宮澤さん演じるローズの前に「料理の皿」が運ばれてくることになっていた。その皿の代わりに「ケーキ」を運んでくる、と言う作戦である。

 見事なサプライズだったことをご報告しておきたい。

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『ドッグファイト』通信

11月21日(土)

 立ち稽古。2幕5場を作る。

 日付は変わった。サンフランシスコの空も白み始めた。
 バードレイス、ボーランド、バーンスタインら、海兵隊員たちは隊へ戻らなければならない。それぞれの思い出を胸に……。

 「兵隊たちが1日だけ休暇をもらって街へ繰り出す」と言えば、ミュージカル『オン・ザ・タウン』のことが思い出される。昨年(2014年)日本でも(そしてブロードウェイでも)上演されたので、ご記憶の方も少なくないだろう。

 1944年にブロードウェイのアデルフィ劇場で初演された『オン・ザ・タウン』は、「上陸許可が下りた3人の水兵たちがニューヨークで一晩を過ごし、恋と冒険を繰り広げる」ミュージカル。
 レナード・バーンスタインによる斬新な音楽と、ジェローム・ロビンスによる大胆なダンスが話題となり、1949年にはジーン・ケリーやフランク・シナトラの出演で映画にもなった(邦題『踊る大紐育』)。『ウェストサイド物語』の“プロトタイプ”とも言うべきミュージカルである。

 ベトナム戦争が時代背景にある『ドッグファイト』とは単純には比較できないが、それでも両作品は「3人の水兵(『オン・ザ・タウン』は海軍、『ドッグファイト』は海兵隊)」「限られた自由時間」「女の子との出会い」など、良く似た構造を備えている。

 だから何? ……と突っ込まれると、「いえ、ただちょっと、似てるな、と思ったので……。」と言う以上の話ではないのだが。

 明日は稽古OFF。休み明けはラスト・シーンを作る。

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『ドッグファイト』通信

11月20日(金)

 2幕の前半、1場~4場をおさらい。

 『ドッグファイト』の主人公エディー・バードレイスは、台本の設定では1942年11月26日生まれ。物語の中の日付は“1963年11月21日(木)”なので、バードレイスは20歳(5日後には21歳)である。
 バードレイス以外の登場人物の年齢には触れられていないのだが、海兵隊員たちの殆どはバードレイスと大差ない年齢だと思われる。

 1963年の11月はアメリカ史に残る事件が起こった月である。ケネディ大統領の暗殺である。
 大統領がテキサス州ダラスで凶弾に倒れたのは1963年の11月22日。『ドッグファイト』の物語は「その前夜」の出来事なのである。

 映画『アメリカン・グラフィティ』(1973年/ジョージ・ルーカス監督)などに描かれた「古き良きアメリカ」が、正に「最後の輝き」を放っていた夜。
 『ドッグファイト』が私たちの胸を打つのは、そのことを私たちは知っていて、登場人物たちは知らない、と言う部分にもあるのだと思う。

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『ドッグファイト』通信

11月19日(木)

 歌と振りのおさらい。

 稽古が全体の3/4程度まで進んだので、この辺で改めて音楽的なことの確認をしておこう、と言う作戦。

 『ドッグファイト』の音楽監督は玉麻尚一さんである。
 玉麻さんは数々のミュージカルで作曲や編曲、音楽監督などを務めていらっしゃるので、ご活躍は皆さんもご存知であろうと思うのだが、私は、実は今回が初顔合わせ。お世話になります。

 そして、歌唱指導は矢部玲司さんである。
 矢部さんとは、最近では昨年の『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』でご一緒した。来年は『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』でまたご一緒する予定。
 
 おさらいを終えた後、2幕3場を作る。

 ここは、バードレイスもローズも登場しない数少ない場面のひとつ。登場するのはボーランドとバーンスタイン、それとビッグ・トニーの3人である。
 ……誰だ、ビッグ・トニーって?

 開幕をどうぞお楽しみに。

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『ドッグファイト』通信

11月18日(水)

 立ち稽古。2幕2場の後半と2幕4場を作る。

 2幕の中盤ではバードレイスとローズの関係がストーリーの中心となる。2人の関係は物語が進んでもなかなか着地点がはっきりとせず、いたずらに時間ばかりが過ぎて行く。

 今日稽古したのは、場面で言えば「1場面と半分」なのだが、内容から言うと「3場面」に相当する。実質は「3場面分」の内容なのである。
 昨日も記した様に、屋良さんの演じるバードレイスは大半の場面に登場する。今日も稽古の全場面に登場した。そして、宮澤エマさんの演じるローズも今日は全場面に登場。今日はお2人の「集中稽古デー」の様相であった。

 屋良さん、宮澤さん、お疲れさまでした。

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『ドッグファイト』通信

11月17日(火)

 立ち稽古。2幕の1場と2場を作る。

 2幕の1場は、ドッグファイトの終了後、スリー・ビーズがゲーム・センターでひと息入れている場面。3人はこの後、バーンスタインが心待ちにしていた「ある場所」へ出かけて行く。
 続く2場は、1幕の2場で登場した「食堂(ダイナー)」の前。バードレイスは、ある決意を秘めてここに戻ってきたのだが……。

 芝居部分の稽古に加えて、今日も2つのミュージカル・ナンバーを振り付け(ステージング)。1場のM12「地元のヒーロー(ホームタウン・ヒーロー)の凱旋パレード」と、2場のM13「ファーストデート/ラストナイト」である。
 前者は海兵隊員たちの活気溢れるナンバー、後者はバードレイスとローズの、ちょっと「しっとりとした」ナンバーである。

 屋良さんが演じるバードレイスは誰よりも出番が多い。
 主人公なので当然と言えば当然ではあるのだが、出番が多いと言うことは、台詞も、歌も、そしてダンスも多いと言うことである。
 稽古場にも、誰よりも多くの時間、詰めている。そして明日もまた新しい場面の稽古が予定されている。

 がんばれ~!

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『ドッグファイト』通信

11月16日(月)

 1幕の後半、4場~6場をおさらい。

 先日も記したが、1幕4場の様な場面(観客に届けなければならない情報が膨大で、且つそれらが複雑に絡み合い、しかも観客が感情移入するべき視点が単一ではない様な場面)は、完成形に辿り着くまでにとても時間が掛かる。「これで行ける!」と思えるやり方を見つけるまで、試行錯誤を繰り返すことになるからである。
 一昨日、この場面の稽古に丸一日を費やしているにもかかわらず、今日もまた沢山の時間を消費した。が、消費しただけ確実に良い場面になっているので、これは「正しい道を歩いている」のである。……と思う。

 その後、短い「繋ぎ」のシークェンスを作る。更にその後、既に手を付けた5場、6場をおさらい。
 この時点で稽古メニューの「予定の時刻」を結構超過していたのだが、残りの稽古メニュー(1幕の1~3場のおさらい)を最後までやり通す。今日やっておかないと明日から2幕の稽古に入ってしまう、からである。

 今日も長い1日であった。が、筋トレ部は今日も稽古後、自主トレ。

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『TDV』通信

11月15日(日)

 帝劇へ。昼公演の終演後、ダブル・キャストのレベッカ=阿知波悟美さんの舞台稽古。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』のダブル・キャストは交互出演が原則なのだが、今回のレベッカは前半/後半に分かれての出演となっている。なので、前半と後半がスイッチするこのタイミングで、改めて舞台稽古なのである。
 阿知波レベッカは休演日明けの明後日、11月17日(火)からの登場である。そして、前半のレベッカ=出雲彩さんは本日が東京千穐楽。出雲さん、お疲れ様でした。

 出雲さんとは2016年1月の大阪公演で再会することができる。大阪公演と名古屋公演ではレベッカも交互出演となるので、2人のレベッカをご堪能いただける。

 まずは阿知波レベッカに会いに帝劇へ!
 そして出雲レベッカに会いに大阪、名古屋へ!

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『ドッグファイト』通信

11月14日(土)

 立ち稽古。1幕4場を作る。

 1幕4場は「ドッグファイト」が決行されることになる場面。
 表向きは「海兵隊員が主催する合コン」であるが、連れてこられた女の子たちには内緒で「女の子の格付け」が行われる「ドッグファイト」。その一連を見せるのが1幕4場である。

 こういう場面の稽古には、やはりそれなりに時間が掛かる。出来上がってしまえば10分程度の場面なのだが、ドラマ部分の段取りをつけ、芝居と同時進行する、或いは芝居と芝居の間に入る「振り」を作り、ひとりひとりのエピソードを手際よく見せようとすると、どうしても1日がかりの仕事となる。
 今日も1日かかって、アウトラインが見えるところまでは辿り着いた。次回はこれを整理し、洗練させて行くことになるだろう。

 海兵隊員を演じるキャスト6人は、稽古が終わると「筋トレ」を始める。これは我々が指示をしたことではなく、キャストが自主的に始めたことである。
 台詞に「海兵隊員として13週間の訓練を受けた」とあるので、それに相応しい肉体を作ろうと言う計画なのだが、4週間後、初日の近辺には、その成果がどの様に現れているだろうか。楽しみである。

 今日も長い1日であった。なので(と言うことではないのだが)明日は稽古OFF。

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『ドッグファイト』通信

11月13日(金)

 稽古前に衣裳の打ち合わせ。

 『ドッグファイト』
の衣裳デザイナーは黒須はな子さん。最近では昨年の『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー~パパと呼ばないで』でご一緒した。
 『ドッグファイト』の主人公たちは海兵隊員なので、着ている物も当然「海兵隊の制服(軍服)」である。彼らは街に繰り出す時に私服に着替えることになるのだが、今日はその私服と、彼らが街で出会う人々の衣裳について意見交換。黒須さんはいつもの様に、細密なデザイン画と、その裏付けとなる資料を用意してくださった。
 今日はヘアメイク・デザイナーの宮内宏明さんも同席してくださって、それぞれのキャラクターをどの様に造形して行くか、今後の方針を確認。

 稽古は、1幕4場をスキップして、5場と6場を作る。

 今日は少人数の稽古場であった。
 『ドッグファイト』のキャストは総勢でも11名。総勢41名の『ダンス オブ ヴァンパイア』の後ではとても少人数に感じるのだが、今日の稽古で出番のあったキャストは僅か4名。それも4名が同時に舞台に登場する瞬間はなく、多くて3名、最少では1名であった。
 5場も6場も重要な場面ではあるが、登場人物が少ない分、ドラマの構造はシンプルである。なので、膨大に時間を費やすこともなく、久しぶりに少し早い時刻に稽古を終えた。

 明日は戻って1幕4場。大勢の人物が登場し、ドラマの構造も複雑な場面。

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『ドッグファイト』通信

11月12日(木)

 1幕の前半、1場~3場をおさらい。

 物語の発端である1場は、幾つかの場面(シークェンス)が集まってできている。ミュージカル・ナンバーもM1からM4までが1場で歌われる。
 昨日までの稽古では、シークェンスごと、ミュージカル・ナンバーごとに稽古をしてきたのだが、今日はおさらいなので、それらを全部繋げて本来の形で1場に取り組んだ。

 こうして1場の全体像が見えてみると、「男子は良く働いているなぁ」と言う感想が改めて浮かぶ。若い(当社比)って素晴らしい。

 『ドッグファイト』には、「スリー・ビーズ」の同僚である海兵隊員も登場する。フェクター、スティーヴンス、ギブスである。演じるのは、浜中文一さん、末澤誠也さん、新井俊一さんの3人である。
 劇中の設定では、「スリー・ビーズ」のバードレイス、ボーランド、バーンスタイン、それにスティーヴンスとギブスの5人は「一等兵」である。フェクターだけが一階級低い「二等兵」と言うことなのだが、つまりは全員が「新米の」海兵隊員だ、と言うことである。

 そんな新米たちが戦場に赴くための儀式が「ドッグファイト」なのである。

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『ドッグファイト』通信

11月11日(水)

 立ち稽古。

 1幕3場を作る。そして1幕5場にあるミュージカル・ナンバー、M9「ドッグファイト」を先取りしてステージング。その後、もうお馴染みとなったM2、M4のおさらい。

 保坂知寿さん、春風ひとみさん、まりゑさんの3人は、それぞれ幾つかの役を演じることになる。
 どの役も主人公たちに絡む印象的な人物たちであるが、気を付けて見ていないと「あっ」という間にいなくなってしまう様な人物もいるので要注意。

 そして戸井勝海さん。戸井さんも複数の役を取っ換え引っ換えする。「狂言回し的な役どころ」と言えるかも知れない。

 舞台版の『ドッグファイト』は、原作である映画の世界を「舞台ならでは」の方法でミュージカル化している。
 映画版には存在していない(そもそもミュージカルではないので)「歌」や「ダンス」と合わせて、「演劇的な仕掛け」も楽しんでいただければ幸いである。

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『ドッグファイト』通信

11月10日(火)

 立ち稽古。

 我らが海兵隊3人組=バードレイス、ボーランド、バーンスタインは、名字のイニシャル(irdlace、oland、ernstein)から「スリー・ビーズ」を自称している。
 スリー・ビーズは3つの“”の意でもあり、3匹の蜂(Three Bees)のことでもある。

 今日稽古したのは、スリー・ビーズがサンフランシスコの街に降り立ち、M3「3匹の蜂」を歌うことになる(M2とM4に挟まれた)短いシークェンスと、M4「ヘイ、彼女」に続く「食堂(ダイナー)」の場面(1幕2場)である。

 今夜は、彼らがアメリカで過ごす最後の夜。最後の夜に「ドッグファイト」で盛り上がるのである。
 ドッグファイトとは、本来は「戦闘機同士の激しい空中戦」の意味であるが(犬の喧嘩、乱闘の意味もある)、ここで言うドッグファイトは「海兵隊の間で脈々と続いてきた伝統行事(ゲーム)」のことである。
 ゲームのルールは「一番不細工なデート相手を連れてきた隊員が勝ち」である。

 1幕2場は、デート相手を探しあぐねて街のダイナーに入ったバードレイスが、音楽好きな女の子=ローズと出会うことになる場面。もう後が無いバードレイスは、執拗にローズに食い下がって……。
 ローズを演じるのはラフルアー宮澤エマさんである。

 『ドッグファイト』は大規模なミュージカルではないが、新作の初演なので、稽古にはやはりそれなりに時間が掛かる。キャストのひとりひとりが覚えなければならないことも少なくない(むしろ多い)。

 キャスト、そしてスタッフの皆さん、連日お疲れ様です。

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『ドッグファイト』通信

11月9日(月)

 顔寄せ。

 『ドッグファイト』は、関西テレビ放送と東宝による初の共同製作である。今日の顔寄せにも、キャスト、スタッフに加えて、両社から関係者が集まった。
 服部プロデューサーの進行によりひとりひとりが紹介され、東宝の池田取締役と関西テレビ放送の喜多事業局長がご挨拶。私も一言――海兵隊員は髪の毛を短くすること、など――述べる。

 顔寄せ終了後、歌入り読み合わせ。

 全キャスト揃って、ミュージカル・ナンバーも台詞も全て、途中で止めずに、通して読み合わせる。これからのひと月、我々が稽古場で何をして過ごすのか。その全貌がこれで全員に行き渡ったはずである。
 翻訳の小田島恒志さん、訳詞の高橋亜子さんが、顔寄せから引き続いてお付き合いくださった。

 更にその後、M1、M2、M4のおさらい。

 M2とM4は、何しろ手数が多いのである。繰り返しさらって、体に馴染ませるのである。振付の桜木さんが「男子がはぁはぁ言ってるのもいいもんだね」と、おっしゃった。

 確実に「はぁはぁ」言ってます。

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『ドッグファイト』通信

11月7日(土)

 幕開きの場面(M1「序曲:思い出す」)を作る。そして、昨日振り付けたM2「最後の夜」に繋げて、おさらい。更にM4「ヘイ、彼女」を振り付け。

 『ドッグファイト』の振付は桜木涼介さんである。桜木さんとは『貴婦人の訪問』に続く仕事となる。
 『ドッグファイト』の音楽は、『貴婦人の訪問』と比べるとよりパワフルで、「乗り」の良い物も多い。そこで桜木さんである。昨日、今日で振り付けたM2、M4では男性キャストが大いに活躍することになる。

 稽古では何度も繰り返し踊ることになるので、男性キャスト一同は結構しんどそうに見える。事実しんどいのであろう。
 が、初日を迎えるころには振りもこなれて、ずっと洗練されたダンス・シーンになるだろう。

 『ドッグファイト』のCD(US版)は、日本でも「amazon」や「TOWER RECORDS」など、オンライン・ショップで入手可能である。ご興味のある方は、ご観劇前にお聞きになるのも良いだろう。

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『ドッグファイト』通信

11月6日(金)

 ドッグファイトの稽古が始まっている。

 『ドッグファイト』は、2012年にオフ・ブロードウェイのセカンド・ステージ・シアターで上演されたミュージカルである。
 1991年のアメリカ映画“Dogfight”(日本では劇場未公開。ビデオ発売時の邦題は『恋のドッグファイト』)を原作としたミュージカルで、作曲・作詞はベンジ・パセック&ジャスティン・ポール(共に1985年生まれの30歳!)、脚本はピーター・ドゥシャンである。

 舞台となるのは1963年のサンフランシスコ。
 主人公のエディー・バードレイスとその仲間たちはアメリカ海兵隊員で、ベトナムへ出撃する前夜、アメリカでの最後の夜を、サンフランシスコでバカ騒ぎをして過ごそうとしている。
 映画ではリバー・フェニックスが演じたバードレイスを演じるのは屋良朝幸さん。海兵隊仲間のラルフィー・ボーランドは中河内雅貴さん。ディッキー・バーンスタインは矢崎広さんである。

 『ドッグファイト』は、大阪のサンケイホールブリーゼで12月11日に幕を開ける。東京公演は12月17日からで、会場はシアタークリエ。更にその後、1月7日、8日には東海市芸術劇場大ホール(開場したばかりの新しいホールである)でも上演される。

 これからひと月余り、どうぞよろしくお付き合いください。

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『TDV』通信 ダブルキャスト初日

11月4日(水)

 ダブル・キャストの良知真次さん、舞羽美海さん、そして森山開次さんの初日。

 キャストもスタッフも、そして客席も、周囲が既に初日を済ませている中で迎える「自分だけ初日」である。テンションの持って行き方とか、緊張感との付き合い方とか……、色々と難しいことがあったに違いない。
 特に、良知さんと舞羽さんは今回が初役である。出だしではやや硬いところも見受けられないではなかった。が、ストーリーが進むに連れてその硬さも消え、最終的にはアルフレートとサラをとてものびのびと演じた。

 対して、3度目となる森山さんは「さすが」であった。
 「外は自由(赤いブーツ・シークェンス)」「夜を感じろ」「抑えがたい欲望」「フィナーレ」と、全ての登場場面で圧倒的な存在感と鋭い切れ味を堪能させてくれた。

 カーテン・コールでは伯爵さまが3人をご紹介。客席も舞台裏も、盛大な拍手に包まれた。

 これで『TDV』通信はおしまいである。ご愛読ありがとうございました。
 次は『ドッグファイト』通信。すぐに始まります。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』は11月30日まで帝劇にて公演中。終演後のチケット窓口が大変な賑わいだという。良席はどうぞお早めに。

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『TDV』通信 初日

11月3日(火)

 初日。

 今日は17時30分開演であるが、その前に2回目のゲネプロ。

 2006年の初演時も初日の昼にゲネプロであった。
 本来は前日の夜にゲネプロを済ませておくタイムテーブルだったのだが、「劇場でないとできないこと」が処理しきれず、ゲネプロが初日にずれ込んだのであった。
 その時のブログを読み返してみようと思ったのだが、初日前の2日間、ブログが更新されていなかった(それはこちら。よっぽど追い詰められていたに違いない)。今日のはタイムテーブル通りのゲネプロである。

 それはともかく、無事に2回目のゲネプロを済ませ、駄目出しを少々、そして最後の調整。その後、初日のお祓い。

 そして開幕。

 昨日、今日と、本番と寸分違わぬゲネプロを観ているにもかかわらず、やはりお客様のいらっしゃる『ダンス オブ ヴァンパイア』はゲネプロとは別物である。演出家としては歯痒い場面もなかった訳ではないのだが、全体としては大変良い初日だった、と思う。
 今日はウィーン劇場協会ミュージカル部門監督のクリスティアン・シュトルペック氏がご観劇くださった。初めて日本版をご覧になったという氏は、終演後カンパニー一同と対面し、「遥々観に来てよかった」とおっしゃった。

 明日は良知アルフレート、舞羽サラ、そして森山開次さんの初日。今日同様、素敵な公演になります様に!

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『TDV』通信

11月2日(月)

 舞台稽古3日目。昨日の続きからカーテン・コールまで。

 舞台稽古終了後、積み残された幾つかの事柄を調整。その後、ゲネプロ(通し舞台稽古)。
 ゲネプロを終えて、キャスト陣はダメ出し。舞台では幾つかの手直しや調整。

 明日は初日。その前に、別キャストでもう1回ゲネプロ。

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『TDV』通信

11月1日(日)

 舞台稽古2日目。
 昨日の続き、1幕後半の物悲しい「ニンニク(ガーリック)」から、2幕中盤の「永遠」の場当たりまで。

 舞台稽古後、本日もテクニカル・リハーサル。何しろ「劇場でないとできないこと」が、気が遠くなるほど膨大なので。

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『TDV』通信

10月31日(土)

 ハッピー・ハロウィン!

 劇場のロビーにて、お客様をお招きしての「ハロウィンイベント」。告知では「私も参加」とされていたのだが、作業の都合で残念ながら欠席。

 舞台の方は、午前中は音響チームとオーケストラのサウンド・チェック。午後はテクニカル・リハーサル。 テク・リハ終了後、夕方より舞台稽古。
 プロローグより赤い靴のダンスまで、「劇場でないとできないこと」をひとつずつ潰して行く。

 舞台稽古を終えた後、道具調べ・照明合わせの続き。更にテク・リハ。

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