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2015年10月の記事

『TDV』通信

10月30日(金)

 道具調べ・照明合わせ。

 幕開きより各場面のセットを飾り、大道具の仕上がりや使い勝手、小道具の飾り付けや俳優の導線などをひとつひとつ確認。そして、その場面の照明をデザイン。
 今回の『ダンス オブ ヴァンパイア』は再演ではあるのだが、舞台美術や転換方法など一部リニューアルしている。そのリニューアルした部分は、道具のチェックも転換の手順も照明のデザインも、当然ゼロから行うことになる。

 それらのことは、前もって図面上では決めてあるのだが、実際に劇場で道具を飾り、明かりを入れて見てみると、想定通りには行かない箇所がどうしても出てくる。
 「出てくるだろう」と言うことも織り込んではあるのだが、「では、どうするか」と言う話になると、その解決にはやはりそれなりの時間と試行錯誤が必要となる。

 で、今日も長時間に渡る道具調べ・照明合わせとなった(2006年の初演時を思い出した)。辛抱強くお付き合いくださった皆さんに心から感謝。

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『TDV』通信

10月29日(木)

 今日と明日は稽古は無し。終日スタッフ・ワークである。

 今日は各セクションの仕込みや調整作業。メインとなるのは照明チームのフォーカシングである。
 演出家が立ち会う必要があるのは明日以降なのだが、劇場の様子や作業の進捗状況を知っておきたくて、毎度のことだが劇場に顔を出す。

 久しぶりに対面した大道具たちに交じって、「はじめまして」の物も幾つか。明かりが入ったらどう見えるんだろう?

 と言う訳で、明日は道具調べ・照明合わせ。

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『TDV』通信

10月28日(水)

 2回目のオケ付き通し稽古。そして稽古場最終日。

 私的にはとても収穫の多い稽古であった。細かな部分ではあるのだが、幾つかの調整が最後の最後に間に合った。
 全体での駄目出しを終えた後、場内アナウンスの録音。アナウンスの担当は、お馴染みのアルフレートである。

 これで、稽古場でやれることは全てやり終えた。あとは劇場で、劇場でないとできないことをやるばかりである。
 その「劇場でないとできないこと」が、『ダンス オブ ヴァンパイア』の場合、気が遠くなるほど膨大なのであるが。

 稽古後、舞台を覗くと、既に城門がその姿を現していた。異界への門が開く日ももうすぐである。

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『TDV』通信

10月27日(火)

 オケ合わせ2日目。
 昨日の続き、2幕の残りを片付ける。

 そしてオケ付き通し稽古。

 プロフェッサー・アブロンシウスの台詞に「本が、あらゆる疑問に答えてくれるんだ」と言うのがある。
 アルフレートに「僕たちはどうすればいいんです?」と問われた時の返答なのだが、昨日、今日とオーケストラの奏でる音楽を聞いていると、「音楽が、あらゆる疑問に答えてくれるんだ」と、つくづくと感じる。

 全ては音楽の中に。全ては音楽と共に。それがミュージカルなのだと思う。

 さて。

 帝劇公演『ラ・マンチャの男』が本日千穐楽。『ダンス オブ ヴァンパイア』の搬入、そして仕込みが始まる。

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『TDV』通信

10月26日(月)

 オケ合わせ1日目。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』のオケ合わせは、演出部の戸田さんが「オーケストラの皆さんにキャストとスタッフを紹介する」ことから始まるのが恒例となっている(2012年のオケ合わせについて記した『TDV』通信こちら)。
 今年の戸田さんも、のっけから稽古場中の全員に愛された。戸田さんの参加していない作品でも「オケ合わせの関係者紹介」だけのために来て欲しいくらいである。

 それはともかく、『ダンス オブ ヴァンパイア』の音楽はやはり素晴らしい。オーケストラの生演奏をオーケストラと同一の空間で聞けば、その思いは殊更強くなる。
 ウィーン産ミュージカルの例に漏れず、とても濃厚で中毒性があり、一度耳にすると簡単には頭から離れない。

 今日のオケ合わせのメニューは2幕の中盤まで。ほぼ予定通りに消化して、1日目は無事終了。明日はオケ合わせ2日目、今日の続き。そしてその後、オケ付き通しである。

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『TDV』通信

10月25日(日)

 通し稽古の前にカーテン・コールを作る。
 伯爵さまもプロフェッサーも、アルフレートもサラも、シャガールもレベッカもマグダもヘルベルトも……、皆さん振り付けはバッチリ!(まだまだの皆さんはこちらをどうぞ)

 そして通し稽古。良知アルフと舞羽サラで。

 全体での稽古を終えた後、舞台へ。
 2幕の“ベッド・シーン”のための天蓋付きベッド(本番用)を舞台袖に組み立ててもらって(稽古場では天井高の制約があって組み立てることができない)、ベッドを使用するキャストとその使用感を確認。

 稽古後の稽古場では、我々が座っていたスタッフ席を撤去。捻出されたスペースに次々と楽器が運び込まれる。明日はオケ合わせである。

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『TDV』通信

10月23日(金)

 通し稽古。平方アルフと神田サラで。

 新上裕也さんと森山開次さんがダブル・キャストで演じる(踊る)キャラクターは、稽古場では「伯爵の化身」「伯爵の影」などと呼ばれている。
 『ダンス オブ ヴァンパイア』の楽しみ方には「ダブル・キャストを見比べる」「その違いを味わう」と言うのもあると思う。アルフレート、サラに加えて、今回は宿屋の女房=レベッカもダブル・キャストになった。
 新上さんと森山さんの違いもぜひ楽しんでいただきたいと思う。どちらも持ち味を生かしたとても魅力的な伯爵である。

 稽古場には照明デザイナーの服部基さん、音響デザイナーの大坪正仁さんが連日顔を出してくださっている。入れ代わる様に、指揮の西野淳さんは今日から別場所のオーケストラ・リハーサルへ。

 明日は稽古場最後のOFF。

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『TDV』通信

10月22日(木)

 2幕を通す。アルフレートは平方さん、サラは舞羽さんである。

 通しの後、全体で駄目出しと確認。
 その後、2幕を通す。アルフレートは良知さん、サラは神田さんである。

 通しの後、全体で駄目出しと確認。
 その後2幕を……通さないで、オオカミの振り付け。「オオカミのナンバー」なんてあったっけ? とお思いになったあなた、ほらほら、あそこ、あそこ。

 今日の段階で、2幕はおおよそ1時間20分。この後に更にカーテン・コールが付くことをどうぞお忘れなく。

 稽古と並行して、今日もアレやコレの合わせ、など。照明やテクニカルなど、劇場に入ってからのことも、そろそろ確定させないと。

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『TDV』通信

2015年10月21日(水)

 1幕を通す。アルフレートは平方さん、サラは舞羽さんである。

 通しの後、全体で駄目出しと確認。
 その後、1幕を通す。アルフレートは良知さん、サラは神田さんである。

 通しの後、全体で駄目出しと確認。
 その後1幕を……通さないで、2幕のあるナンバーを整理。

 今日の段階で、1幕はおおよそ1時間15分。仕上がりのタイムも、そう遠くはないだろうと思われる。

 稽古と並行して衣裳の仮縫いや合わせ、ウィッグの合わせ、○○の合わせ……なども行われている。稽古場も、その周辺も、だんだん慌ただしくなってきた。

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10月20日(火)

 2幕の、「稽古が足りない」と感じる場面をおさらい。

 サラ役の神田沙也加さんと舞羽美海さんは、お2人とも「超」が付くくらい真面目で謙虚な俳優である。
 演出家が何か口を開く様な素振りを少しでも見せると、瞬時に表情を引き締めて、演出家の口から出る言葉を待ち構える。大抵の場合、演出家は他愛もない事柄しか喋らないのであるが。
 或いは、ある場面を演じ終え、その場面に対する修正や確認を済ませた後にも、尚も何かアドバイスを求めて来たり。
 お2人とも、まるで乾いたスポンジの様な、旺盛な吸収欲の持ち主なのである。

 稽古場での稽古を終えた後は劇場に移動。『ラ・マンチャの男』昼公演終了後の劇場をお借りして、実寸で幾つかの場面の段取りを取る。
 こういう作業を舞台稽古の前にやれるのは、とてもありがたい。貴重な舞台稽古の持ち時間を倹約できるからである。稽古場と劇場が近接しているありがたさよ。

 稽古終了後、昨日に引き続いて演出部さんの進行打ち合わせ。今日は2幕。
 皆さん、今までの上演を支えてきてくださった歴戦の勇士たちである。……が、前回や前々回の上演時、舞台裏で「誰がどこで何の作業をしていたのか」、その記憶が噛み合わない、噛み合わない。

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10月19日(月)

 1幕をおさらい。

 どの場面も順調に仕上がって来ていると思う。が、時たま「未消化のまま」の箇所が残っていたりするので、それを片っ端から処理する。

 シャガールの宿屋のウェイトレス(と台本には記されている)=マグダ役は、上演される毎にキャストが変わってきた。今回はソニンさんである。
 歴代、どなたのマグダも個性的で楽しかった。ソニンさんのマグダもとても魅力的。あどけないのに妖艶だったり、退屈そうでいて情熱的だったり……。

 稽古終了後、演出部さんの進行打ち合わせに同席。舞台監督の廣田さん、演出助手の小川さん、演出部の皆さんと。

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10月18日(日)

 2幕をおさらい。

 先日、1幕をおさらいした様に、2幕をひと通り(1幕同様、上手く行っていない箇所を潰しながら)当たる。

 今日もちょっと長丁場だったなあ……。

 お腹すいちゃうなあ……。

 えーと……。

 他に何か、ブログに書くことなかったかなあ……?

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10月17日(土)

 2幕のラスト、11場を立ち稽古。

 11場は「最終決戦」の後である。
 4日目の夜が過ぎ、東の空が白み始めた。我々の主人公、アルフレートは××に××を×××した。プロフェッサー・アブロンシウスの×××を×る×も心なしか×しい。
 アルフレートは××と××を××、××を××するように××が××××××……。

 これで『ダンス オブ ヴァンパイア』の全場面に手を着けた。
 この稽古場では、稽古スケジュールは一週間先までの分が掲示されるのだが、そこには既に「通し」の文字が……(!)。

 公式の「リー君ブログ」では、「カーテン・コールの振り付け」が公開されている。
 この振りを皆さんに憶えていただいて、「カーテン・コールでは舞台上と客席とで一緒に踊って盛り上がろう!」と言う、『ダンス オブ ヴァンパイア』初演以来の名物企画なのであるが、今回の振り付け変更をリー君ブログで初めて知ったキャストも少なくなく、稽古場でさり気なく波紋を呼んでいる。

 そして、10月31日には帝劇で「ハロウィンイベント」が開催されることが決定! 詳細はこちらからどうぞ。

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『TDV』通信

10月16日(金)

 まず、ミュージカル・ナンバー「永遠」のおさらい。その後、2幕9場、10場を立ち稽古。
 今日は2場面とも大人数の場面である。なので、一昨日とは打って変わって、帝劇作品らしい稽古場なのである。

 9場。ここには「永遠」があり、そして「抑えがたい欲望」がある。

 「抑えがたい欲望」をどんなシーンにするか、2006年の初演時は大いに頭を悩ませた。
 ハンブルクで観た「ウィーン初演版」は、墓石の並んだ巨大なセットが下りてきたり、人を乗せたブリッジ2本が上下動したり……と、全編がスペクタクルな作りで目を惹いた。なので、日本版『ダンス オブ ヴァンパイア』にもスペクタクルな要素が必要なのではないか、と思っていたのだ。

 その流れで、「抑えがたい欲望」もスペクタクルな仕掛けを施したシーンにしよう、と構想を練っていたのだが、山口祐一郎さんの歌う「抑えがたい欲望」を稽古場で始めて聞いた時、その考えを改めた。
 そして、現在ご覧いただいている「抑えがたい欲望」になったのである。

 10場。プロフェッサーとアルフレートは「最終決戦」に臨む。

 今までの困難とは比べ物にならない、文字通り「死と隣り合わせ」の危険な作戦である。果たして、運命の女神は誰に微笑むのか……?

 この場面は、今年の2~3月にシアタークリエ、他で上演された『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』の1幕ラストで(パロディとして)取り上げられていた、あの場面である。
 もちろん、本編では『クリコレⅡ』で取り上げた部分の後に更に続きがあって、もっともっとハラハラドキドキさせられることになるのだが……。

 それは観てのお楽しみ、と言うことで。

 今日の稽古はちょっと長丁場であった。終了した時には結構いい時刻になっていた。でも、初演の時は毎日こんな時刻まで稽古していたなあ。

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10月14日(水)

 2幕に戻って、5場~8場を立ち稽古。

 2幕は、3場、4場、5場、6場、7場、8場と、とても少ない人数(2人とか、多くて3人とか)で物語が進行する。
 なので、該当する場面をやっている時の稽古場は、集まる人数も限られていて、帝劇で上演されるミュージカルの稽古場とは全然思えない。博品館劇場、いや日暮里のd‐倉庫で上演されるミュージカルだって、もっと大勢のキャストが出演しているだろう。

 2幕3場~8場は、登場人物が少ないのと反比例する様に、芝居の段取りは結構多い。しかも、それらは音楽でキッチリとタイミングが決められていたりするので、キャストの皆さんが覚えなければならないことは、それなりに膨大である。
 『ダンス オブ ヴァンパイア』は、見た目のお気楽さとは裏腹に、舞台上と舞台裏はかなりハードな作品なのである。

 中でも、出ずっぱりのアルフレートは相当ハードだと思われるが、案の定、連日稽古終了時刻が近づくと、両アルフレートの表情が「もうこれ以上は何ひとつ頭に入りません」と、切々と訴えかけてくる。

 明日は稽古OFF。神様、両アルフレートが、どうかゆっくりと休めます様に。私は『ドッグファイト』の打ち合わせ。

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10月13日(火)

 1幕をおさらい。

 2幕の稽古も佳境に入って来た所ではあったのだが、この辺で1幕をさらっておかないと、2幕の終わりに辿り着いた後では「1幕のこと」は遥か記憶の彼方へ消え去ってしまうだろう。
 なので、そうなる前に、1幕をひと通り(上手く行っていない箇所を潰しながら)当たる。

 今回も、細かい部分では色々と変わっているのだが、以前ご覧になった方には「結構違って」見えるだろうか。それとも「何も変わっていない」様に感じられるのだろうか?

 それはともかく、リー君のブログがようやく本調子になってきた。

 これからも続々と映像が追加されて行くことと思われるが、皆さんには、どうか繰り返し繰り返しご覧いただきたいと思う。
 そうすることで、いつしかこの何とも言えない「脱力感」への耐性も、きっと獲得できる時が来るはずである(耐性を獲得してどうしろと言うのだ?)

 ただし“稽古場潜入シリーズ”はネタバレの恐れ大。閲覧には十分ご注意ください。

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『TDV』通信

10月12日(月)

 2幕の3場と4場を立ち稽古。

 3場は「4日目」の朝である。
 アルフレートは目覚めが悪かった。うなされるほどの恐ろしい夢を見たからである。一方、プロフェッサーはとてもよく眠れたらしい。ベッドでモーニング・ティーと洒落込んでいる。
 2人には日没までにや遂げなければならないことがあった。これから先は「時間」との戦いでもあるのだ。

 そして4場。プロフェッサーとアルフレートは「下へ、下へ」と降りて行く。そこは昼日中でも太陽の届かぬ場所である。2人がそこで発見したモノは……。これから先は「自分」との戦いでもあるのだ。

 昼と夜。光と闇。論理と欲望。限りある生と永遠の命。
 この戦いに勝利するのは人類か、それとも奴らか!?

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10月11日(日)

 稽古は2幕へ。

 2幕の殆どはプロフェッサーとアルフレートが到着した「目的地」で物語が進む。
 今日のメニューは1場と2場の立ち稽古。1場はミュージカル・ナンバー「愛のデュエット」、2場はダンス・ナンバーのハイライト「夜を感じろ」である。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』で描かれるのは、アルフレート少年の4日間である。

 1日目は、既に日が暮れようとしているところから始まり、雪山で遭難しかかったアルフレートがシャガールの宿屋に転がり込み、宿屋の娘=サラと出会い、アルフレート/シャガール/プロフェッサーの3つのストーリーが交錯し、伯爵さまが「神は死んだ」を歌うまで。これが1日目である。
 朝になって天候が回復したのでシャガールたちが家事に精を出し、陽が落ちてアルフレートが入浴の支度をし、サラにお届け物が届いてアルフレートが部屋を抜け出し……が2日目の出来事。
 沈痛な「ニンニク(ガーリック)」は3日目の朝で、宿屋であんなことやこんなことがあった後、アルフレートたちが目的地に到着し、今日の稽古メニュー「夜を感じろ」に至るまでが3日目である。

 そして4日目。運命の決する大切な日である。2幕のラストでは東の空が白み始める。5日目の夜明けを迎える所で『ダンス オブ ヴァンパイア』は終わる。勝つのはプロフェッサー・アブロンシウスか、それとも……?

 稽古は明日からその4日目に突入。もう片時も目を離せない!

 ……のではないかと思う。

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『TDV』通信

10月10日(土)

 1幕9場、10場を立ち稽古。

 9場は、1幕2場と同じ、宿屋の食堂。2場と違って沈痛な空気が流れている。村人たちの歌う「ニンニク(ガーリック)」も物悲しい。その理由は……。

 この場面は、1幕のラスト・シーン直前の重要な場面である。物語が大きく動き、登場人物の何人もの人生に大きな転機が訪れる。
 時間としても15分を優に超える場面だが、芝居の段取りがどの場面よりも多いと言うことでも特別な場面である。段取りをキャストのひとりひとりに渡すだけでも大仕事。全てを渡し終えて全体が繋がるまでに4時間を費やした。

 そして10場。プロフェッサーとアルフレートはついに目的地へと辿り着く。そこでは思いもよらない歓迎が2人を待っていた……。

 この場面は、昨年の1月にシアタークリエ、他で上演された『クリエ・ミュージカル・コレクション』(ⅡではなくてⅠの方)の1幕ラストでほぼ丸々再現されていた、あの場面である。2人をあの方が出迎え、そして新たな人物も登場する。

 これで1幕をひと通り、ざっくりとだが当たり終えた。今のところ手応えは悪く無い。

 「今回は『ダンス オブ ヴァンパイア』の集大成を目指したい」と、大きなことを言ったのは顔寄せの時の私である。だが、その日のブログではそのことに触れなかった。そうならなかった時に恥ずかしいからであるが、今日は書いてしまおう。

 今回の『ダンス オブ ヴァンパイア』は今までの集大成になります。

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『TDV』通信

10月9日(金)

 稽古前に『ドッグファイト』の舞台美術打ち合わせ。

 美術デザイナーの伊藤雅子さんがセットの模型を作ってきてくださった。
 照明デザイナーの柏倉淳一さん、舞台監督の弘中勲さん、演出助手の末永陽一さんらと、場面毎の飾り方や検討すべき課題などについて意見交換。

 打ち合わせを終えて『ダンス オブ ヴァンパイア』の稽古場へ。

 今日は伯爵さまが立ち稽古に初登場。メニューは1幕5場、7場、8場である。

 5場は伯爵さまがサラに「神は死んだ」を歌いかける場面。
 稽古の1回目、歌い終わった伯爵さまは小迫り(こぜり。人ひとりが乗れるくらいのサイズの迫り=舞台と奈落を行き来する昇降装置)に乗って迫り下がって行かれたのだが、恐れながら伯爵さま、迫りを使用していたのは初演だけでした(追記:ホントは初演と再演でした。ご指摘くださった皆さん、ありがとうございました。伯爵さま、ごめんなさい)。

 7場は宿の中。陽が落ちて、アルフレートが入浴の準備をしていると、サラが物欲しそうに現れて……。
 そして8場は宿屋の表。深夜、サラのもとに伯爵さまから小さな包みが届けられる。眼が冴えて寝付けないアルフレートが部屋を抜け出してみると……。

 アルフレートとサラは、初演以来、常にダブル・キャストで演じられてきた。その4人が全員初『TDV』であるのは初演時以来のこととなる(再演と再々演の時は、経験者が誰かしら続投していたので)。

 経験者が続投していた場合、稽古は「続投者が未経験者に芝居の手順や意味を手取り足取り教える」と言う風に進む場合が多い。
 が、全員が未経験者であった場合は、当然ながらそうはならない。全員がゼロからの同時スタートであるので、稽古も「2人で助け合いつつ、相談しつつ、不得手な部分をカバーし合いつつ」進むことになる。

 美しい友情の始まり……かも知れない。

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10月8日(木)

 稽古はお休み。なのでリー君ブログをどうぞ。

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『TDV』通信

10月7日(水)

 立ち稽古。1幕4場、6場を稽古。

 4場はシャガールの宿屋の中。
 夜も更けた宿屋の色んな場所で、アルフレートのストーリー、シャガールのストーリー、プロフェッサーのストーリーが同時進行し、交錯する。そこに、シャガールの娘=サラ、レベッカ、マグダも絡んで……。 

 6場は宿屋の表。
 翌朝。雪も止み、シャガール、レベッカ、マグダが溜まっていた家事を片付けていると、見るからに不穏な男が現れて……。

 プロフェッサー・アブロンシウスを演じるのは、2009年の再演から登場した石川禅さんである。3回目となる今回、石川さんと話をして、プロフェッサーのキャラクターと芝居の運びを「ほんの少し」変えてみている。その方が物語の骨格が鮮明になると思うからである。

 シャガールは、2011年に続いて2度目のコング桑田さんである。コングさんの良さはその奔放に見えるところだと思う。稽古場のコングさんも自由奔放であるが、芝居の組み立ては、実は意外と精密、繊細なのである。観る人にそう感じさせないのがまた良いところ。

 レベッカは今回からダブル・キャストとなり、初演から続投の阿知波悟美さんに加えて出雲彩さんが初登場。阿知波さんの豪快でしたたかなレベッカ像とはまた違った、出雲さんならではのレベッカをただいま模索中。
 サラもダブル・キャストで、神田沙也加さんと舞羽美海さんの、どちらもが初登場。そしてマグダは、こちらも初登場のソニンさんである。

 キャストの熱演、怪演が楽しい、と言うのも『ダンス オブ ヴァンパイア』の魅力のひとつであろう。まだ立ち稽古が始まったばかりなのに、既にかなり楽しい。

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『TDV』通信

10月6日(火)

 振り固めデー。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』の大きな魅力のひとつに、全編に散りばめられたダンス・ナンバーがある。今日はその固め。

 「にんにく(ガーリック)」「外は自由(赤い靴シークェンス)」「夜を感じろ」「永遠」「フィナーレ」……などなど、質、量ともに充実したダンスが次々と現れる。伯爵のナンバー「抑えがたい欲望」に於ける“伯爵の影”のダンスも忘れ難い印象を残す。
 今日はそのほとんどをおさらいし、掘り下げ、精度を高めた。もちろん私が、ではなく、上島雪夫さんが、である。

 大半のキャストは、その内の3シーン程度で踊ることになるのだが、中にはほとんどのナンバーに登場し、しかも一際激しく踊らされている、そう言う人もいる。

 お疲れ様でした、堀江慎也さん。

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『シスター・アクト』公式ページリニューアル キャスト・スケジュール発表!

 ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』の公式ページがリニューアル。全キャストと公演スケジュールが発表された。

 こちらからどうぞ。

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『TDV』通信

10月5日(月)

 立ち稽古。まず1幕1場を稽古。

 荒れ狂う吹雪の中を、両手に荷物を下げた少年が心細げにトボトボとやって来る。
 少年は物語の主人公=アルフレート。アルフレートは夜の冬山で、師と仰ぐプロフェッサー・アブロンシウスとはぐれてしまった……。これが『ダンス オブ ヴァンパイア』の幕開きである。

 主人公アルフレートをダブル・キャストで演じるのは平方元基さんと良知真次さん。お2人とも『ダンス オブ ヴァンパイア』には初登場である。
 今までのアルフレートは皆さん個性的で(特に恐怖におののく表現が)、それを見比べるのもこの作品の楽しみのひとつであった。今度はどんなアルフレートになるだろう?

 続いて、昨日「ニンニク(ガーリック)」のステージングに手を付けた1幕2場を稽古。

 1幕2場は山奥の宿屋。
 妙に明るく人懐っこい(それらが胡散臭くも感じられる)シャガールが主人を務める宿屋である。厨房担当はシャガールの働き者の女房=レベッカ。ウェイトレスのマグダは、この店には不釣り合いなくらい色っぽい。
 その宿屋に、遭難寸前であったアルフレートが、荷物とアブロンシウスを抱えて転がり込む。仮死状態(?)から蘇ったアブロンシウスはそこである物を見つけ……。

 更に1幕3場を稽古。

 宿屋に逗留することになったアルフレートとアブロンシウスは、シャガールに案内されて客室へと向かう。その途中で聞こえて来たのは、この世のものとは思えない美しい歌声であった……。

 稽古終了後、『ドッグファイト』の衣裳打ち合わせ。衣裳デザイナーは黒須はな子さんである。

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10月4日(日)

 立ち稽古。1幕2場のミュージカル・ナンバー「ニンニク(ガーリック)」をステージング。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』は、雪に覆われたトランシルヴァニアの荒野から始まる。
 ヴァンパイア退治に生涯を捧げるプロフェッサー・アブロンシウスとその助手アルフレート。2人はヴァンパイアの居城を目指していて、雪深いトランシルヴァニアの山奥に迷い込んだ。折からの吹雪は激しさを増す一方である。命からがら2人がたどり着いたのは、外界と隔絶された村の、粗末な宿屋であった……。

 「ニンニク(ガーリック)」は、その宿屋で村人たちが、陽気に、下品に、時にスケベに歌い踊るナンバーである。
 振付の上島雪夫さんが、振付助手の柏木ナオミさん(前回までの出演者であった)と、手際よくキャストに「振り」を渡して行く。既に何度も上演されている作品でもあるので、稽古のペースも速い。振りをひと通り渡して今日のメニューを消化しても、まだ日が落ちる前であった。

 もちろん振りは渡されただけであって、このナンバーが仕上がったわけではない。なので、難易度の高い振りを渡された何人かは、全体の稽古を終えた後に自主稽古である。
 並行して演出部さんは、明日以降の稽古のための準備(バスタブを工作したり)に余念がない。

 「ここにまた帰って来た」と言う感じが、じわじわと込み上げて来た。

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10月3日(土)

 歌の抜き稽古。幾つかのナンバーを抜いて確認。その後、2度目の歌入り読み合わせ。アルフレートは良知真次さん、サラは舞羽美海さんである。

 ところで、『ダンス オブ ヴァンパイア』には数々のお楽しみがある。「クコール劇場」もそのひとつであろう。

 『ダンス オブ ヴァンパイア』では劇中で雪が降る。
 舞台では昔から使われる「紙の雪」なのだが、その雪が積もったままで激しいダンス・ナンバーを踊るのはちょっと危険である。
 2幕が始まると、すぐに大きなダンス・ナンバー「夜を感じろ」があるので、1幕で積もった雪を休憩中に掃除するのだが、問題は「幕の前に積もった雪をどうするか」であった。

 「休憩中なのだから、スタッフが幕の前に出て行って掃除すればいい」と言うことになりかけたのだが、その話をそばで聞いていたクコールさんが、「どぅあっとぅあるぅあぁ……うぉるぅえぐぅあぁ……や……や……やるぅう(だったらオレがやる)」と申し出てくれて、幕の前は休憩中にクコールさんが掃除することになった。

 最初の内はただ黙々と掃除をしていたクコールさんだったのだが、何日かすると、休憩中にもかかわらず少しずつ見物が集まる様になった。
 見物の数は日増しに増え、時には見物から声が掛かったり、その声にクコールさんが反応するようになったりした。そうなるとクコールさんもただ掃除をしている訳には行かず、いつしかストーリー仕立てになり、時にはゲスト・キャラが登場したり、オーケストラの生演奏が付いたりしたこともあった。

 これが「クコール劇場」である。

 これを見るために、お手洗いに行くための時間にお手洗いに行かない、と言う、本末転倒な現象も起きた。そのクコール劇場が今回はどうなるのか、気になっていたので直接クコールさんに聞いてみた。

 「ゆぅあるぅいむぅあすぅぅ……ゆぉおぉぉぉぉ」とのことである。

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10月2日(金)

 顔寄せ。

 この規模の作品になると、顔寄せもやはり大人数である。キャスト、スタッフ、劇場関係者、そして各地の主催者の皆さんが集まった。
 まず、東宝の池田取締役がご挨拶。2006年の初演時の「初日の熱狂」について話された。そして、ハロウィンのシーズンであることに触れられ、『ダンス オブ ヴァンパイア』の客席もハロウィンみたいにコスプレされた方たちで溢れたりしたら楽しいだろう、とおっしゃった。

 「その発言のこと、ブログに書いてもいいですか?」と、池田さんに尋ねると、とても困った様な顔をされた。でも書いてしまった。
 コスプレでご来場される皆さん、どうか他のお客様のご迷惑にならない範囲で、コスプレをお楽しみくださいます様に。

 池田さんのご挨拶に続いて、キャスト、スタッフ、関係者のご紹介。最後に私も(岡本プロデューサーのご指名なので)一言、抱負を述べさせていただく。

 顔寄せ終了後、歌入り読み合わせ。今日のアルフレートは平方元基さん、サラは神田沙也加さんである。
 既に3週間、歌稽古を続けて来たので、役作りや解釈も含めて、かなり完成度の高い歌入り読み合わせであったと思う。

 読み合せ終了後、衣裳やヘアのための採寸やデータ取り、など。それでも今日は、まだ日のある内に稽古を終えた。

 帰り際に山口祐一郎さんが近寄っていらして、耳元でひとこと「しあわせです」とおっしゃった。きっと伯爵さまも『ダンス オブ ヴァンパイア』は楽しいのであろう。
 それとも、ひとつ前の作品がよほど過酷だったのか?

 明日は2度目の歌入り読み合わせ。その前に歌の抜き稽古。

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10月1日(木)

 稽古は休み。演出部 の皆さんが稽古場仕込みをしてくれる。

 ダブル・ブッキング事件は、親切な劇場係員さんのお陰で別の席が用意され、立ち見にならずに済んだ。その夜、ホテルに戻ると、トランクとの再会が待っていた。

 翌日、26日の夜、2回目の『ダンス オブ ヴァンパイア』を観劇。この日は何のトラブルもなく、ようやく落ち着いて『ダンス オブ ヴァンパイア』を堪能した。
 トラブル、と言えば、シュトゥットガルトまで『シスター・アクト』を観に行った時のことだが……

 この話はまたの機会に。

 『TDV』通信・楽しい思い出編。終わり。

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『TDV』通信

9月30日(水)

 振り付け・振り起こし。

 自席で公演プログラムに目を通していると、ドイツ語で何かを訴えかけてくる人がいる。
 どうやら私が座っている席がその人の座席であるらしい。手元のチケットを確かめるが、間違いなく私の席である。私はその人にチケットを見せた。が、その人もチケットを見せてくる。ドイツ語で何かを訴えながら。

 良く見ると、どちらのチケットにも同じ席番が刻印されている。ダブル・ブッキングである。
 はるばるハンブルクまで来て、トランクともはぐれて、挙句に『ダンス オブ ヴァンパイア』を立ち見……なのか!?

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