『貴婦人の訪問』通信
7月4日(土)
立ち稽古。2幕4場、5場を作る(2日で2幕の半分以上に手を着けるなんて、本当に情け容赦ないですね、末永君)。
4場は再び雑貨店である。ここにはミュージカル・ナンバー「悪が勝つだろう」と「モラルの殿堂」がある。このうち「モラルの殿堂」はやや大きなナンバーなので、今日は手を着けず、後日別枠で振り付けの予定。
そして、5場……と別場面扱いになっているが、ここも雑貨店である。ここまで来ると、物語ももはや終盤、ラストシーンへと向かって転がり始める。ここには「もう恐れない」がある。
原作者フリードリヒ・デュレンマットは16本の戯曲を残し、そのほとんどに「喜劇」と銘打ったのだそうである。『老貴婦人の訪問』もそのうちの1本なのだが、この作品には「喜劇」の前に「悲劇的な」と言う言葉が付け加えられている。
ミュージカル版の『貴婦人の訪問』は「喜劇」(ミュージカル・コメディ)と銘打たれているわけではないのだが、稽古を重ねていると、この物語が本質的に備えている「喜劇的な構造」が思いもよらない瞬間に露わになって、「シリアスであるはずのシーンなのについ笑ってしまう」と言うことがしばしば起こる。
お客様にはどの様に映るだろうか。
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