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2015年7月の記事

『貴婦人の訪問』プレビュー最終日

7月29日(水)

 プレビューの最終日である。

 3日間、4ステージのプレビュー公演は、大勢のお客様にお越しいただき、盛況の内に幕を下ろした。今日の公演は、テクニカルに若干のトラブルはあったが、概ね順調に進み、プレビューの目的は達成することができたと思う。

 『貴婦人の訪問』カンパニーはシアター1010を後にし、一路金沢へと向かう。その後、大阪を経由して、東京・シアタークリエでの公演は8月13日からとなる。
 その後は福岡、そして名古屋へと回り、大千穐楽は9月13日である。この陽気の中、それなりの長旅である。キャスト&スタッフ一同の無事を祈らずにはいられない。

 『貴婦人の訪問』通信は、これで一旦終了である。ご愛読ありがとうございました。
 次は『TDV』通信。本格的に始まる頃には秋の足音が聞こえていることであろう。その前に『貴婦人の訪問』シアタークリエ通信もある……かも知れない。気長にお待ちいただければ幸いである。

 それではまた。劇場で。

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『貴婦人の訪問』プレビュー2日目

7月28日(火)

 プレビュー公演2日目である。

 昼と夜の2回公演なので、まず昼の部で昨日の「手直し」の成果を確認。昼の部終演後は、主にテクニカルに修正を加える。
 芝居は、昨日の様な大きな手直しはせず、駄目出しの範囲で何人かの芝居を微調整。それらの成果を夜の部で確認。

 昨日、今日の3ステージで、日本版の方向性は概ね定まった。明日はプレビュー最終日。

 良い形でプレビュー期間を終えたい。

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『貴婦人の訪問』プレビュー初日

7月27日(月)

 プレビュー初日。

 朝から色々な所を手直し。そうこうしている内に、あっという間に開場時刻。
 開演は、定刻通り13時30分。場内が静かに暗くなり、劇中で幾度となく繰り返されることになるメロディが聞こえてくる……。

 『貴婦人の訪問』は一筋縄では行かないミュージカルだと思う。この物語を、日本の観客はどの様に受け取るだろうか。この語り口に、日本の観客はどの様に反応するだろうか。

 今日からの3日間、シアター1010での公演は「プレビュー」と銘打たれている。そのお陰で、「プレビュー無し」なら試さなかったであろうことを試す機会を持つことができたし、それをまた直す機会を持つことができた。これは、作り手にとっては大変に貴重な機会である。

 終演後、早速いくつかのシーンを手直し。プレビュー期間内に、少しずつでも完成度を高めたい。

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『貴婦人の訪問』通信

7月26日(日)

 ああもう本当に(以下略)。

朝から道具調べ・照明合わせの続き。その後、テクリハ。お昼より舞台稽古、昨日の続き。そして夜、ゲネプロ。

 明日はプレビュー初日。その前に色々と直し。

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『貴婦人の訪問』通信

7月25日(土)

 朝からテクリハ。終了して道具調べ・明かり合わせの続き。午後、舞台稽古、昨日の続き。その後、またまた道具調べ・照明合わせの続き。

 ああもう、時間が足りない!!!

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『貴婦人の訪問』通信

7月24日(金)

 朝からテクリハ。午後、サウンド・チェック。同時進行で道具調べ・照明合わせの続き。夕方より舞台稽古。終了後、再び道具調べ・照明合わせの続き。

 ああ、時間が足りない!!

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『貴婦人の訪問』通信

7月23日(木)

 シアター1010へ。終日スタッフ・ワーク。

 朝から音響チームの仕込み、演奏エリアのセッティング、照明チームのフォーカス合わせなど。衣裳、ヘアメイクのチームも、明日からの舞台稽古に備えてスタン・バイ。
 午後から道具調べ・照明合わせ。それが休憩になる時間を狙って音響チームがサウンド・チェック。今回は劇場入りしてからの持ち時間がタイトなので、どのセクションの作業も時間との戦いにならざるを得ない。

 時間が足りない!

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『貴婦人の訪問』通信

7月22日(水)

 稽古場最終日。2度目の(そして稽古場最後の)オケ付き通し稽古。

 稽古場での作業は今日をもって終了である。積み残された課題はあるが、その処理は劇場で、と言うことになる。

 稽古後はシアター1010(せんじゅ)へ。1010では朝から仕込み作業が行われている。私が顔を出した頃には基本舞台の仕込みがほぼ終わり、タッパを決めようか、と言う頃であった。

 明日から4日間。『貴婦人の訪問』の総仕上げである。

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『貴婦人の訪問』通信

7月21日(火)

 オケ合わせ2日目。そしてオケ付き通し稽古。

 マイケル・リードさんが来日され、稽古場にいらした。
 リードさんは、ウィーン版『貴婦人の訪問』では音楽の他に、音楽監督(Musical Supervision)と編曲にもクレジットされている。我々日本版の編曲もリードさんの手によるものであることは以前記した通りである。
 日本で上演された『ニューヨークに行きたい!!』『ダンス オブ ヴァンパイア』の編曲もリードさんのお仕事である。リードさんの経歴はこちらに(英語ですが)。

 昨日、今日のオケ合わせ、そしてそれに続くオケ付き通し。
 限られた時間の中で、できる限りのことはやった……と言う感じの2日間であった。通しをご覧になったリードさんからは、思いがけず大変良い感想を頂いてちょっと安堵したのだが、まだまだ「やらなければならないこと」は山積みである。

 にもかかわらず、明日はとうとう稽古場最終日。劇場では仕込み作業が始まる。やらなければならないことを、果たしてどれだけやれるだろうか。

 さて。

 注文していたブロードウェイ・ミュージカル“The Visit”(こちらを参照のこと)のCDが届いた。が、今は聞いている余裕がないので、『貴婦人の訪問』のプレビューが無事に開いたら、ゆっくりと耳を傾けたい。

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『貴婦人の訪問』通信

7月20日(月)

 オケ合わせ(オーケストラとキャストの合わせ稽古)1日目。

 昨日までの稽古では、伴奏はピアノ1台であった。ミュージカルの稽古は、ほとんどの場合ピアノだけで行なわれる。ピアノでの通し稽古を終えた頃、ようやくオーケストラ(或いはバンド)の出番となる。
 ピアノ1台の伴奏と言うのも洒落ていて素敵なのであるが、ダイナミック・レンジの広さ、ゴージャスさ、音色の豊富さと言った部分では、やはりオーケストラにはかなわない。

 しかし、オーケストラとキャストの歌・踊り・芝居を合わせるのは、とても根気の要る作業である。何しろ、稽古ピアニストさんが何週間もかけてタイミングやテンポやニュアンスを作ってくださったものを、僅か1~2日で引き継ぐのである。
 しかも、1人で演奏する稽古ピアノとは異なり、演奏するミュージシャンは大勢である。オーケストラとキャストの呼吸も合う必要があるし、ミュージシャン同志の息も揃わなければならない。

 今日は長丁場の1日であった。が、そのお陰で予定のメニューは無事に消化した。
 進行は演出助手の末永さんが勤めてくれたのだが、末永さんが予め立てていたタイムテーブルと1分も違わぬ時刻に見事に終了し、稽古ピアノの國井さんと宇賀神さんがそのことで大興奮なされ、タイムテーブル通りに諸々を進行することで有名な(“ミス・オンタイム”の称号を持つ)演出助手の小川美也子さんに、速攻で「ライバル現る!」のメールを送られた。
 “ミスター・オンタイム”誕生の瞬間である。

 さて。

 明日はオケ合わせ2日目。オケ合わせを終えるとオケ付き通しである。そして音楽のマイケル・リードさんが稽古場にいらっしゃることになっている。

 稽古場も残すところ2日。あらゆることが上手く行きます様に!

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『貴婦人の訪問』通信

7月19日(日)

 本日も通し稽古。

 『貴婦人の訪問』の「あるべき姿」が、日に日にはっきりと見えて来る。ここ数日の稽古ではそんな風に感じている。
 そうなって来ると、「上手く行かなかった部分」や「流れてしまった箇所」などが、今まで以上に目立って来る。後は「そう言う部分」をどれだけ潰していけるか、であろう。

 稽古後は照明打ち合わせ。照明デザイナーの成瀬さん、舞台監督の佐藤さん、演出助手の末永さんと。本編の上演時間の倍以上の時間を費やす。

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『貴婦人の訪問』通信

7月18日(土)

 稽古前と稽古終わりに衣裳合わせ。

 今日の衣裳合わせは、アルフレッド、クレア、市長、校長、所長、そして牧師であった。
 アルフレッドは、さびれた地方都市のしがない雑貨屋である。当然衣裳も「しがない」物になる。妻のマチルデも同様に「しがない」キャラクターなので、『貴婦人の訪問』では「しがない」山口さんと「しがない」春野さんを存分に堪能していただくことができる。
 一方、2人に対するクレアの衣裳の「ゴージャス」なこと。『貴婦人の訪問』では「ゴージャス」な涼風さんを存分に堪能していただくことができる。

 どちらもお楽しみに。

 稽古は、まずカーテン・コールの段取り。カーテン・コールは演出助手の末永さんの担当である。その後、通し稽古。

 今日の稽古場もギャラリーが少なくなかった。
 衣裳合わせを含めると終日稽古場にいらした衣裳デザイナーの前田文子さん、プロダクション・コーディネーターの(ウィーンからいらした)小熊節子さん、照明デザイナーの成瀬一裕さん率いる照明クルー、ヘアメイク・デザイナーの富岡克之さん率いるヘアメイク・クルー……などである。

 通し稽古は昨日の調整が効いて良い感じであった。が、ノート(駄目出し)を終えた後、幾つかの場面を抜いて更に調整。

 今日現在の上演時間は、1幕が約1時間15分。2幕が約57分である。本番では途中休憩が1回入り、カーテン・コールが付くので、トータルすると、おおよそ2時間40分前後に落ち着くのではなかろうか。

 さて。

 初日まで10日を切った。このままのいい感じで劇場入りを迎えたい。

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『貴婦人の訪問』通信

7月17日(金)

 全場面をおさらい。

 全編を幾つかのブロックに分け、一昨日の通し稽古で発見された要改善ポイントをひとつずつ潰す。
 一場面一場面粘って稽古できるのは、恐らく今日が最後である。明日、明後日は通し稽古であるし、それ以降はオーケストラとの合わせが主要テーマとなるからである。

 それにしても、である。「新しい発見」の無い日は一日として無い。新作の稽古はいつもそうではあるのだが、『貴婦人の訪問』でも毎日が「気付き」の連続である。
 もちろん演出方針や演出プランと言ったものを準備して稽古に臨んではいるのだが、稽古場では才能あるキャスト&スタッフが集まり、何日も何週間も掛けて芝居作りに取り組んでいるのである。私などが思いもよらなかった「それはそれは素晴らしい何か」が産み出されないワケが無い。

 「何か」が誕生する奇跡のような瞬間に立ち会う毎日。新作の稽古でしか味わうことの無い喜びである。

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『貴婦人の訪問』通信

7月15日(水)

 稽古の冒頭で、ミュージカル・ナンバー「とんでもない」の振付を桜木さんが手直し。今日もスクラップ&ビルドを実施中。

 その後、通し稽古。
 もちろん、まだまだ粗削りであることは承知であるが、繋げてみて見えて来ること、発見することはとても多いので、何はともあれ通してみる。
 収穫の少なくない1回目の「通し」であった。キャストの皆さんも、各セクションのスタッフさんも、そうであっただろうと思う。

 「通し」には翻訳・訳詩の竜真知子さん、美術デザイナーの伊藤雅子さん、照明デザイナーの成瀬一裕さん、音響デザイナーの山本浩一さん等、クリエイティブ・チームの面々が顔を出してくださった。
 で、否が応でも「初日が近付いたこと」を思い知らされる。

 そして、別稽古場ではオーケストラ・リハーサルが本日よりスタート。日本版のオーケストレーションはどの様に仕上がったであろうか。オケと合流する日を楽しみに待ちたい。

 明日は稽古OFF。稽古場最後のOFFである。

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『シスター・アクト』!

 ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』の再演が発表された。

 詳細はこちらからどうぞ。

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『貴婦人の訪問』通信

7月14日(火)

 2幕をおさらい。

 おさらいの中で2幕のラスト・シーンを手直し。
 このシーンを作ったのは7月8日である。その時は「それが最善だ」と思って作っているのだが、もっと他に違うやり方があるのではないか、まだやり残していることがあるのではないか……。日々そんな考えが募っていた。
 で、今日の稽古時間を借りて、数日間あたためていた別ヴ―ジョンを試す。「良くしよう」と思ってやっているのだから当然なのだが、今までのヴァージョンより確実に良くなった、と思う。

 以前も記したが、新作の稽古場は「作っては壊す」の繰り返しである。まだ壊してもやり直せる時間が残されていることに感謝したい。

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『貴婦人の訪問』通信

7月13日(月)

 1幕後半をおさらい。

 1幕の後半に入ると、物語はそれまでとは違う様相を見せ始める。
 この辺りの描かれ方は、ミュージカル『レベッカ』を思い起こさせる。アルフレッドの周囲に異変が起きたのか。それとも異変はアルフレッドに起きているのか……。

 今日で初日までちょうど2週間である。
 2週間前で今の状態と言うのは、新作ミュージカルの稽古としては上手く行っている方だと思う。そうであってもなくても、稽古場で稽古できるのは残り8日しかないのだが。

 稽古後、稽古場の雑貨店の商品棚を飾るために、美術デザイナーの伊藤雅子さんと演出部の小道具担当・土屋朋巨さんが、色々な小物を持ち込んで並べ始めた。
 「ああでもない、こうでもない」と、並べては撤去してを小一時間は繰り返していただろうか。

 だんだん「ヨーロッパのどこか片隅にありそうなお店」になってきた。

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『貴婦人の訪問』通信

7月12日(日)

 1幕前半をおさらい。

 一昨日のブログでも記したことだが、全場面に手を着けた後で物語の始まりに戻ってみると、その場面で「何を」観客に渡しておけばいいのか(或いは、渡さない方がいいのか)、それがとても鮮明になる。
 目の前の霧が晴れた感じ……と言うか、暫定と言われていたのが本決まりになった……と言うか、とにかくそんな感じである。演じるにしても、それを見て判断するにしても、迷うことが減る。稽古が進展しているのを実感する時である。

 そして衣裳合わせ。

 今日はクレア、マチルデ、そしてギュレンの人々……などの衣裳合わせ。
 衣裳合わせは、とにかく時間のかかる作業である。仕立てて仮縫をするのであれ、ストックをコーディネートするのであれ、イメージ通りの見え方になるまで、何度も何度も試行錯誤を繰り返すことになる。
  ギュレンと言う「どこでもない」街の人々をどの様に作るのか。着る物だけでなく、靴や帽子、アクセサリーやヘア・スタイル……。

 試行錯誤は続く。

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『南太平洋』

7月11日(土)

 シアター1010へ。『南太平洋』を観る。

 一般社団法人映画演劇文化協会が運営する「ハロー、ミュージカル! プロジェクト」。その3つの取り組みの中の「良質なミュージカルを低料金で全国に」部門が「ミュージカル・ツアー」である。
 ミュージカル・ツアーの第1弾は、2012年から3年間毎年上演された『王様と私』であった。その第2弾が『南太平洋』なのである。

 『南太平洋』は、ブロードウェイ・ミュージカルの歴史に欠かすことのできないミュージカル製作チーム、リチャード・ロジャース(音楽)&オスカー・ハマースタインⅡ世(作詞・台本)が手掛けた11本のミュージカルの内の、5番目の作品である。
 渡辺謙さんのトニー賞ノミネートでも話題となった『王様と私』も、『サウンド・オブ・ミュージック』も、この2人が手掛けたミュージカルである。

 『南太平洋』の初演は1949年。4月7日にブロードウェイのマジェスティック劇場で開幕し(後にブロードウェイ劇場に移動)、1954年1月16日にクローズした。上演回数は1925回を数えている。
 1950年のトニー賞ではベスト・ミュージカルを含む9部門で受賞し、また権威あるピューリッツァー賞も与えられた。

 日本での初演は1966年の5月に、今は無き新宿コマ劇場で行われた。1979年には旧・東京宝塚劇場で上演され、更に1999年の3~4月に、これも今は無き青山劇場で上演された。
 私はその1999年版の演出をさせていただいた。今日観劇したのは、その『南太平洋』のニュー・プロダクションである。今回の演出・振付は上島雪夫さん。上島さんは1999年版でも振付を担当してくれていた。

 『南太平洋』は、シアター1010での上演を終えると、『王様と私』同様に旅に出る。普段ミュージカルに接する機会の限られる方、まだミュージカルと出会っていない方、そんな方々がこの機会にミュージカルに触れてくだされば、これほど嬉しいことはない。

 ミュージカルっていいものですよね。

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『貴婦人の訪問』通信

7月10日(金)

 2幕を全場面おさらい。

 ラストシーンを見定めた上でそれ以前に戻ってみると、今までやっていたことの意味がより鮮明になっていたり、もっと大胆に表現できることに気づいたり……。それらをひとつひとつ収穫しつつ、2幕の全シーンをさらう。
 その後、「モラルの殿堂」を手直し。このナンバーで表現すべきことも、より鮮明に見えてきたからである。

 昨日のブログで触れた「ペヤング」は、今日はとうとう本編中に登場。その事実に気づいた関係者はほとんどいなかった……と思うけど。

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『貴婦人の訪問』通信

7月9日(木)

 2幕5場(正確には4場の終わり)~8場をおさらい。

 稽古場にはアルフレッドとマチルデが営む「雑貨店」のセットが作られている。
 作られている、と言っても稽古用のセットなので、本番用のセットとは比べるまでもない簡単な物ではあるのだが、このセットがあるお陰で「店内のどこにどんな商品を飾っておくのか」「商品を誰がどのタイミングで触っているのか」「いつ移動させているのか」……などなどが一目瞭然である。
 こう言う細かな手順を舞台稽古で付けようと思ったら、時間が幾らあっても足りないだろう。演出部の皆さんのお陰で稽古用と言えどもセットが用意され、芝居作りの能率も上がるし芝居のクォリティも上がるのである。

 雑貨店の棚に「ペヤング」が置いてあるのはどう言う理由だろう?

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『貴婦人の訪問』通信

7月8日(水)

 立ち稽古。2幕6場、7場、8場を作る。

 6場、7場はどちらも少人数の場面である。
 どちらにもアルフレッドは登場し、6場ではマチルデが、7場ではクレアがアルフレッドに絡む。ミュージカル・ナンバーは6場に「あなたのために泣く」が、7場に「愛は永遠に」がある。

 そして物語は遂に最終局面へ。

 8場。ここには全キャストが登場する。そして、これまでに展開されたエピソードと人間関係の全てをこのシーンで回収しなければならない。それが私の責務であるが、しかしそれは(私にとっては)とても難しい。
 加えて、(何と言ってもミュージカルなので)舞台上で起こる様々なドラマを、音楽を利用して、音楽に「はめて」進行させなければならない。それもまた(私にとっては)とても難しい。

 今日の稽古では、「最低限エピソードは回収しました」と言う所まで辿り着けたかどうか……と言った所だっただろう。この「最低限の段取りだけ付けた」感を、この先どうやって『貴婦人の訪問』の幕切れに相応しいシーンに成長させて行くか。

 私への課題は「そびえ立つ山」の様である。

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『貴婦人の訪問』通信

7月7日(火)

 七夕である。

 それはともかく、2幕1場~4場をおさらい。
 まず2場の「元気で アルフレッド」を整理し、1場と2場を繋いでみる。その後、3場と「世界は私の物」を整理。そしてその後、4場と「モラルの殿堂」を整理。

 2幕2場が終わると、幕開きから(ほぼ)続いていたアルフレッドの出番が僅かながら途絶える(山口さん、漸くですよ。ようやく)。それまで「アルフレッド」中心に進行してきた物語が、2幕3場と4場では「アルフレッドの周辺にいる人々」の物語に変質するのである。
 それはアルフレッドの妻マチルデであり、アルフレッドの親友である校長や市長、牧師たちである。

 さて。

 音響チームが稽古場に常駐する様になり、オーケストラのメンバーも時々顔を出してくれる。少しずつではあるが、初日が近づいて来る気配を感じることの多くなった今日この頃である。

 3週間後には初日が開いているのだなぁ。

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『貴婦人の訪問』通信

7月6日(月)

 振り付け&振り固めデー。

 まず、先日の稽古でスキップしたミュージカル・ナンバー「モラルの殿堂」を振り付け。
 2幕4場にあるこのナンバーは、中山昇さん演じる牧師とギュレン市民たちよる“エクストラヴァガンザ(extravaganza)”的場面である。

 “エクストラヴァガンザ”と言うのは余り聞き慣れない言葉だろうと思うが、「派手な」「壮麗な」「金の掛かった」ショーのことを言う。
 「モラルの殿堂」は、金こそ掛かってはいないが、「派手」で「壮麗」な、裏返せば「薄っぺら」で「空虚」な、牧師とギュレン市民たちによる狂騒的場面と言うことになる。

 「モラルの殿堂」をひと通り作った後、「贅沢しても」の振り直しと固め。
 今日の私は稽古場にいてもほとんど出番は無く、振付の桜木さんが驚くべき実行力でナンバーをどんどん形にして行くのを、只々感心しながら見ていた。能力ある人たちの仕事振りに接するのは、何とも気持ちが良い。

 桜木さん、キャストの皆さん、(それにピアニストの皆さんも)お疲れ様でした。

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『貴婦人の訪問』通信

7月4日(土)

 立ち稽古。2幕4場、5場を作る(2日で2幕の半分以上に手を着けるなんて、本当に情け容赦ないですね、末永君)

 4場は再び雑貨店である。ここにはミュージカル・ナンバー「悪が勝つだろう」と「モラルの殿堂」がある。このうち「モラルの殿堂」はやや大きなナンバーなので、今日は手を着けず、後日別枠で振り付けの予定。
 そして、5場……と別場面扱いになっているが、ここも雑貨店である。ここまで来ると、物語ももはや終盤、ラストシーンへと向かって転がり始める。ここには「もう恐れない」がある。

 原作者フリードリヒ・デュレンマットは16本の戯曲を残し、そのほとんどに「喜劇」と銘打ったのだそうである。『老貴婦人の訪問』もそのうちの1本なのだが、この作品には「喜劇」の前に「悲劇的な」と言う言葉が付け加えられている。
 ミュージカル版の『貴婦人の訪問』は「喜劇」(ミュージカル・コメディ)と銘打たれているわけではないのだが、稽古を重ねていると、この物語が本質的に備えている「喜劇的な構造」が思いもよらない瞬間に露わになって、「シリアスであるはずのシーンなのについ笑ってしまう」と言うことがしばしば起こる。

 お客様にはどの様に映るだろうか。

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『貴婦人の訪問』通信

7月3日(金)

 立ち稽古。2幕に入る。

  2幕1場はアルフレッドとマチルデが営む雑貨店。時間は1幕のラストから繋がっている。
 コンラーツヴァイラーの森から戻ったアルフレッドは、マチルデの制止を振り切って……。

 2場はギュレンの街の鉄道駅。ここの時間も前の場面から繋っている。
 駅にやって来たアルフレッドを出迎えたのは……。ここにはミュージカル・ナンバー「元気で アルフレッド」がある。

 更に3場(結構情け容赦ない稽古スケジュールですね、末永君)。ここはクレアが逗留するホテルの一室。
 クレアに面会するためにやって来たのは……。そして、ここには「世界は私のもの」がある。

 『貴婦人の訪問』の台本をリアリズム演劇として読まない方がいい、とキャストの皆さんにアドバイスしたことは以前記した(その記事はこちら)。
 今日手を着けたナンバー「元気で アルフレッド」などは正にその典型で、そのシーンで起きていることを(リアリズム演劇では当たり前のやり方で)リアルに作ってしまうと、「何の場面なのか」かえって分かり難くなってしまうだろう。

 つまり、リアリズムのやり方とは異なる「リアル」を見つけなければならない、と言うことで、それが『貴婦人の訪問』で求められていることなのだ、と私は思う。

 それはとても難しい作業であるが、同時に、とても楽しい作業でもある。

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『貴婦人の訪問』通信

7月2日(木)

 1幕を全場面おさらい。

 稽古してから少し間の空いた「前半」はやや丁寧にさらい、最近作った「後半」は流れ重視でさらう。
 それぞれの場面を作ってから多少なりとも時間が経過したので、私自身もその分、少しは客観的に観られる様になって来た。それはキャストの皆さんも同じだろうと思う。
 以前はどのシーンも全力で演じられ、我々スタッフも全力で観ていたが、今ではメリハリがついて来たし、力が入ることも少なくなった。その結果、物語がとても見え易くなったと思う。良い兆候である。

 明日から2幕。またしばらくは「力の抜けない日々」が続くはずである。

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『貴婦人の訪問』通信

7月1日(水)

 7月である。

 6月はあまり梅雨の感じがしなかった。このまま夏になってしまうのだろうか。それとも、私が建物の中に籠りっぱなしで、梅雨空と遭遇していないだけなのか?

 それはともかく、立ち稽古10日目。1幕8場~13場をおさらい。
 今まで同様に、場面ごとに確認と調整をし、最後に8場~13場をつなげてみる。このブロックには「栄光のファンファーレ」や「贅沢しても」の様な、複雑で多人数のナンバーが無いので、昨日も今日も、さほど長時間の稽古にならずに済んでいる(ちょっと嬉しい)

 それにしても、1幕の幕切れは鮮烈である。
 1幕ラスト(13場)のロケーションが「コンラーツヴァイラーの森」であることは昨日も触れた。ここは、アルフレッドとクレアにとっては特別な場所である。2人が若く、そして幸せだった日々を過ごした思い出の場所だからである。
 その思い出の森で「愛の嵐」が歌われ、アルフレッドとクレアの心が大きく動く。そして迎える1幕の幕切れ……。

 稽古を見ていらした服部プロデューサーが、「これで休憩に入ったら〈この後、2幕どうなるんだろう?〉って思いますよね」とおっしゃった。

 思う、と思います。

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『貴婦人の訪問』通信

6月30日(火)

 立ち稽古9日目。1幕12場、13場を作る。

 12場では××が×され、それを××たちが×××ている所に××した××××××が××したために××たちが××××××……。
 続く13場は「コンラーツヴァイラーの森」。×を手に×××の後を追いかけて来た××××××に向かって、×××は自分を××ように言い放つのだが……。
 ミュージカル・ナンバーは、12場に「安らかに眠れ」が、13場には「愛の嵐」がある。

 これで1幕の終わり、122ページまで辿り着いた。
 もちろんまだ「ざっくりと」段取りを付けただけでしかないが、それでも「10日で1幕をひと通り」と言うのは悪く無いペースだと思う。

 2幕に進む前に、明日、明後日は1幕をもう少しおさらいするつもり。

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