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2015年6月の記事

『貴婦人の訪問』通信

6月29日(月)

 立ち稽古8日目。1幕9場、10場、11場を作る。

   この辺りはもう1幕の後半なので、ネタバレにならない様に具体的なことには触れないでおこうと思う。9場はアルフレッドと署長の、10場はアルフレッドと市長の、そして11場はアルフレッドと牧師のシーンである。
 9場にはミュージカル・ナンバー「永遠の友達」と「奴を追え」があり、「奴を追え」は、そのまま10場、11場へと続く。ここは、繋がってしまえば10分ちょっとで済むシークェンスだが、それをイチから作るとなると、やはり1日仕事である。

 それにしても、山口祐一郎さんのお顔を稽古場で拝見しない日が、今回はほとんど無い。山口さんが演じられるアルフレッドがほとんどの場面に登場している(今までの所では、登場しないのは1幕6場のみ)からなのだが……。

 どうぞお疲れが出ません様に。

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『貴婦人の訪問』通信

6月27日(土)

 立ち稽古7日目。

 1幕5場~8場をおさらい。
 1場~4場をおさらいした時と同様に、まず各場面を復習・整理整頓し、最後に5場~8場をつなげてみる。物語的には1幕の5場までで一区切り。6場から新たな展開が始まる。

 その後、9場、10場に登場するある「チーム」のステージング。

 新作の稽古は、道を探すのに似ている。
 行きたい場所は分かっているのだが、そこに行く道を知らない。探せど探せど道が見つからず、同じ場所でウロウロしてしまうこともあれば、当て推量で進んでみたら案外正しい道だったりすることもある。
 差し詰め私は、初めての土地に地図を持たずに来てしまった頼りにならない添乗員である。

 稽古後は2幕の作戦会議。振付の桜木さん、そして演出部の皆さんと。

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『貴婦人の訪問』通信

6月26日(金)

 立ち稽古6日目。

 まず、昨日手を付けたナンバー「贅沢しても」のブラッシュ・アップ。
  振りを足したり、引いたり、直したりして、アウトライン止まりだったナンバーを完成形に近づける。

 その後、1幕8場を作る。
  8場にはミュージカル・ナンバー「正義」がある。「正義」は、涼風さん演じる貴婦人=クレアのナンバーであるが、「彼女がどんな思いを秘めてこの街=ギュレンに現れたのか?」が明かされる。重要なナンバーのひとつである。

  ここまでで、1幕122ページの内の86ページ。1幕の2/3程度までは来た、と言うことである。順調である。

 さて。

 明治座の『台所太平記』が本日千穐楽。
  ご来場くださった皆さん、そして応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

 今回の座組みは、5月の稽古中から大変雰囲気の良いカンパニーであった。そのひとりとしてこの作品に関わることができたことを幸せに思う。

 いつの日かまた、「千倉夫妻とお手伝いさんたち」に再会できます様に。

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ミュージカル『ドッグファイト』

 ミュージカル『ドッグファイト』の上演が発表された。

 第一報はこちらからどうぞ。

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『貴婦人の訪問』通信

6月25日(木)

 立ち稽古5日目。

 まず1幕6場を作る。
 6場は、マティアス(市長=今井清隆さん)、クラウス(校長=石川禅さん)、ゲルハルト(署長=今拓哉さん)、ヨハネス(牧師=中山昇さん)の場面。例のミュージカル・ナンバー「ダメだ 忘れろ」のシーン(こちらの記事を参照)である。

 続いて1幕5場を作る。
 ここはアルフレッド(山口祐一郎さん)とマチルデ(春野寿美礼さん)の場面。ミュージカル・ナンバーは、マチルデの「愛こそ 砦」がある。

 そして1幕7場を作る。
 ここには、中盤のハイライトとなるミュージカル・ナンバー「贅沢しても」がある。これは5分に及ぶ大きなナンバーで、『貴婦人の訪問』の中では数少ない“古き良きミュージカル”風スタイルのお洒落なナンバーである。
 振付の桜木さんが物凄いスピードとエネルギーでどんどん振りを作っていくが、それでも今日の持ち時間ではアウトラインを作るのが精一杯であった。なので、「贅沢しても」のブラッシュ・アップは明日のメニューへ。

 連日、長時間に及ぶ稽古になっている。新作ミュージカルの稽古ではいつだってそうなるのだが、キャスト&スタッフの皆さんの熱意と献身に、毎度のことながら本当に頭が下がる。

 その甲斐のある作品を作りたい。

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『貴婦人の訪問』通信

6月24日(水)

 立ち稽古4日目。1幕1場~4場をおさらい。

 場面毎に、未整理の部分や消化不良箇所、段取りが付いていない部分……などなどを洗い出し、必要な処置を施して整理。各場の整理がついたところで、1場~4場をつなげてみる。

 ここまでで、超だいたい大雑把に見ておおよそ約30分。ページ数で言えば、1幕122ページの内の49ページである。
 できは第1クールとしては「まずまず」で、まあ順調な滑り出し、と言っても差し支えはないだろう(ちょっとホッとした)

 明日はこの先の場面に進む予定。物語としては1幕の「中盤」に入って行く。

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『貴婦人の訪問』通信

6月23日(火)

 立ち稽古3日目。1幕3場、4場を作る。

 3場にはミュージカル・ナンバー「彼女は型破り」があり、4場には「とんでもない」がある。まずは「彼女は型破り」の振り付けから。
 振付の桜木さんがキャストの皆さんに、手際よくエネルギッシュに「振り」を渡して行く。ナンバーの途中にある「ドラマ」部分は私の担当なので、脳内で芝居のプランと「振り」との整合性を取りながら、振りが形になって行くのを見守る。
  で、「振り」がひと通り渡ったところでドラマ部分を作り、区切りの良いところでまたミュージカル・ナンバーへ……と言うやり方でこの3日間は進んでいる。

 今日は「彼女は型破り」を作った後、それに続くドラマ部分を作り、更に今日のメニューには入っていなかった「とんでもない」をステージング。
 突然のスケジュール変更で面食らったキャストもいらっしゃっただろうが、稼げるときに稼いでおくと、後々きっと楽になる……はずだと思うので。

 明日はおさらいデー(ちょっホッとする日)

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『貴婦人の訪問』通信

6月22日(月)

 顔寄せ。

 いつもの様に、キャスト、スタッフ、公演関係者が稽古場に集合。
 まず、関係者を代表して東宝の池田取締役がご挨拶。『貴婦人の訪問』への期待や上演の意義などを述べられる。続いて岡本プロデューサーの司会により、スタッフ、キャスト、劇場関係者などが紹介され、最後に私も一言述べさせていただく。

 で、無事に顔寄せも終了……と誰もが思った瞬間、稽古ピアノの國井雅美さんが「ハッピー・バースデー」の演奏を始める。キャスト、スタッフ、関係者が声を合わせて歌う。今日は石川禅さんのお誕生日なのであった。

 禅さん、おめでとうございます。

 そして、立ち稽古2日目。

 昨日作った幕開きのナンバー「栄光のファンファーレ」を整理した後、それに続くドラマ場面を作る。
  『貴婦人の訪問』は、全編が音楽で綴られるタイプのミュージカルではない。ミュージカル・ナンバーとミュージカル・ナンバーの間には「芝居」が入って来る、オーソドックスなスタイルのミュージカルである。

 1幕1場では「栄光のファンファーレ」後に芝居部分があるので、1場の最後まで手を付ける。その後、更に1幕2場を作る。
 2場は、賑やかだった1場とは打って変わって少人数のシーンとなる。ここにはミュージカル・ナンバー「愛は今も」がある。

 新作の稽古は(昨日もそうだったのだが)「作っては壊す」の繰り返しである。
 新作の稽古はまた「時間との闘い」でもあるので、「せっかく作った物を壊してる暇はない」と言うこともしょっちゅうあるが、芝居やステージング、ダンスは、実際に作って(動いて)みないと「上手く行くのか行かないのか」は分からない。

 『貴婦人の訪問』の稽古場では、その「作っては壊す」が許される。
 せっかく作って覚えた物を破棄するわけなので、キャストもスタッフも消耗はするのだが、その消耗と引き換えに「より良いシーン」が手に入る。

 この建設的な空気を稽古場最終日まで維持したい。

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『貴婦人の訪問』通信

6月21日(日)

 立ち稽古初日。幕開きのナンバー「栄光のファンファーレ」を作る。

 いきなり7分に及ぶ、全キャストが登場するナンバーである。
 このナンバーの中で主要な人物が紹介され、物語の基本情報が明らかになる。そのことを舞台全体で行うセクションもあるし、限られた人数でそれをやり、残りの人々は別のストーリーを進めているセクションもある。

 それらをどれだけ手際よく、鮮やかに処理することができるか。それが、「栄光のファンファーレ」の様な、複雑で手の込んだナンバーを作る時の最重点ポイントとなる。

 今日は丸々一日をこのナンバーに費やした。で、何とか「形」にする所まで辿り着いた。
 振付の桜木さんには沢山のアイデアを頂いたし、キャストの皆さんひとりひとりの発想による部分も少なくない。稽古場の要請に的確に応えてくださった演出部の皆さんの貢献も大である。何はともあれ、皆さんに感謝である。

 「多くの人物が登場し、場面数も多く、且つ新作のミュージカル」を手掛けるのは、昨年6~7月に上演された『シスター・アクト』以来である。なので、今日は稽古の勘を取り戻すのにやや時間がかかってしまった。

 そうだったのだ。

 大勢の人が出ていて、場面数も多く、しかもそれがミュージカルで、なおかつ新作だったら、その稽古には、「小さなミュージカル」や「大きいけど再演のミュージカル」や「新作だけどストレート・プレイ」などと比べると、手間も暇も遥かに多く掛かるんだったのだ。

 立ち稽古初日にして、既に抜け殻である。

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『貴婦人の訪問』通信

6月20日(土)

 全キャストが揃って歌入りで読み合わせ。

 ミュージカル『貴婦人の訪問』が原作としている戯曲『老貴婦人の訪問』の著者フリードリヒ・デュレンマットは、多くの不条理劇を書いた。
 ミュージカル版の脚本は、「不条理劇」と言うよりは、もう少し「リアリズム寄り」に書かれているのだが、『貴婦人の訪問』の脚本をリアリズム演劇だと思って読み進めてしまうと、随所で釈然としない出来事に出くわすことになりかねない。だから、原作が不条理劇として書かれていることは忘れないでおきたい。

  ……と言う様な話をしてから読み合わせに入った。

  キャストの皆さんが「戯曲の構造」を良く理解して演じてくださったお陰で、『貴婦人の訪問』が併せ持つ「リアリズム」と「虚構性」がいいバランスで見えた。価値のある読み合わせになったと思う。

 明日より立ち稽古に入る。なので、稽古後は振付の桜木さん、演出部の皆さんと作戦を練る。

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『貴婦人の訪問』通信

6月18日(木)

 また今日もそして歌稽古。

 子供たちを除く全キャストが集合。幕開きより順番に全てのミュージカル・ナンバーをさらう。
 今まで「断片」でしかなかったモノが、立体感と臨場感を伴って一挙に押し寄せて来た、そんな感じであった。昨日までは「まだ先のことだから」と自分を甘やかす様なことを思ってもいられたのだが、今日は最早そんな風には思えない。
 「尻に火が着いた」とは、まさにこの感じのことであろう。

 稽古後は振付打ち合わせ。

 『貴婦人の訪問』の振付は桜木涼介さんである。
 桜木さんが『エリザベート』『レディ・ベス』『オーシャンズ11』『サンセット大通り』などなど、ミュージカルや宝塚などの振付で大活躍であることは皆さんご承知の通りである。
 が、私は今回が桜木さんとの初顔合わせである。なので、今日も最初は「どこから話し始めればいいのか」やや戸惑った。

 が、話を始めてみれば極めて建設的で有意義なミーティングであった。少なくとも、「尻に火が着く」のもそれほど悪いものじゃない、と思える様にはなった。

 明日は稽古OFF。明後日は立ち稽古前の総決算。

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『TDV』公式ページ リニューアル

 ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』の公式ページがリニューアル。こちらからどうぞ。

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『貴婦人の訪問』通信

6月17日(水)

 今日もそしてまた歌稽古。その前に衣裳打ち合わせ。

 『貴婦人の訪問』の衣裳デザイナーは前田文子さんである。
 衣裳デザインの考え方、方向性については既に打ち合わせが済んでおり、今日はそれに基づいて描かれたデザイン画を確認する作業であった。

 舞台写真などを見ると、ウィーン版ではかなり様式的なデザインの衣裳が用いられているが、前田さんのデザインによる日本版は、より物語のシチュエーションに寄り添った「演劇的な」デザインとなる。
 そして涼風さんの演じるクレアは、物語の設定上、次々と衣裳を取り換えることになるのだが、クレアの七変化もどうぞお楽しみに。

 歌稽古はアンサンブルさんデー。昨日の稽古で当たりきれなかったナンバーをおさらい。

 そして……あ、リー君があんなところに!!

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『貴婦人の訪問』通信

6月16日(火)

 またそして今日も歌稽古。

 まず、アンサンブルさんたちの歌稽古。続いてアンサンブルさんたちと今井さん、石川さん、今さん、中山さんを合体。その後、涼風真世さんとアンサンブルの皆さんを合体。

 「ファム・ファタル(或いはファム・ファタール)」と言う言葉がある。

 フランス語で「運命の女(femme fatale)」を意味するのだそうだが(仏語に堪能な方、もし間違っていたらご指摘ください)、1940年代~50年代にハリウッドで数多く製作された犯罪映画(「フィルム・ノワール」と呼ばれる)の中では、ファム・ファタルは「その魅力で男を破滅に導く女」「主人公を破滅へと追いやる悪女」であった。

 涼風さんの演じるクレア・ツァハナシアンは、まさしくファム・ファタルである。

 涼風さんの「悪女」と言えば、ミュージカル『レベッカ』で主人公「わたし」を追い詰めた家政婦頭のミセス・ダンヴァースを思い出す。『貴婦人の訪問』では、クレアはアルフレッドを追い詰めて行くことになる。
 ミセス・ダンヴァースが「静」「陰」の悪女であったとすれば、クレアは「動」「激」のそれであろう。

 涼風さんのファム・ファタルぶりをお楽しみに。

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『貴婦人の訪問』通信 ミニ

6月15日(月)

 そして今日もまた歌稽古。

 ただし、所用のため私は欠席。悪しからず。

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『貴婦人の訪問』通信

6月14日(日)

 そしてまた今日も歌稽古。

 今までは個別に進めて来た歌稽古だが、今日はアンサンブルさんと2人の子供たち(日浦美菜子さんと青木璃乃さん)、そして今井清隆さん、石川禅さん、今拓哉さん、中山昇さんの男性主要キャスト4人を合流。

 ベテランも若者も、皆さん口々に「難しい!」を連発しているが、「音取り」をしているのを横で聞いていると、確かに難易度は相当に高そうである。
 が、音取りの段階で「難しくなかった」歌稽古なんて、記憶している限りにおいて無い。だから、今回もきっと素敵なハーモニーに仕上がるだろう。

 『貴婦人の訪問』の1幕中盤には、上記の男性4人(今井さん・石川さん・今さん・中山さん)によるナンバー「ダメだ 忘れろ」があるのだが、これは『モンテ・クリスト伯』における「罪を着せろ」に相当するナンバーであろう。

 今日も迫力があって、かなりカッコイイ4人なのであった(あ、ジャベール祭りだ)

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『貴婦人の訪問』通信

6月11日(木)

 そして今日も歌稽古。

 『貴婦人の訪問』日本版の音楽チームをご紹介しておこうと思う。
 まず、訳詩は竜真知子さん。音楽監督は八幡茂さんである。歌唱指導は山口正義さんとやまぐちあきこさんのお2人で、稽古ピアノは國井雅美さんと宇賀神典子さんである。
 皆さんミュージカルの世界ではお馴染みの、頼もしいメンバーである。

 音楽のマイケル・リードさんが日本版の音楽アレンジを手掛けてくださっていることは昨日も触れた。リードさんは、ウィーン版では編曲とオーケストレーションも手掛けていらっしゃる。日本でも上演されたミュージカル『ニューヨークに行きたい!!』の編曲もリードさんのお仕事である。
 『貴婦人の訪問』の音楽には、そのリードさんとモーリッツ・シュナイダーさんのお2人の名前がクレジットされているが、これはどの様に共同作業がなされたのであろう? 共作なのか、分担があったのか、作業された時期が異なっているのか否か……。

 リードさんにお目に掛かることがあれば是非とも聞いてみたい。

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『貴婦人の訪問』通信

6月10日(水)

 今日もまた歌稽古。並行して舞台美術の1回目の発注。

 発注には、美術デザイナーの伊藤雅子さん、照明デザイナーの成瀬一裕さん、舞台監督の佐藤さん、そして大道具を製作してくださる東宝舞台の延島さん等が集まってくださった。
 公式ページなどで見ることのできる「ウィーン版」の舞台映像からは、ウィーンのプロダクションが「巨大なセットを駆使した大型ミュージカル」であることが伺える。が、私たちの日本版は、それよりもずっとシンプルな舞台美術になる。

 合わせて6つの劇場を回らなければならないこと、それに東京での会場となるシアタークリエが大劇場ではないこと、などがその理由であるが、そのシンプルさを利用して、「愛と憎しみのドラマ」を一際濃厚にお見せできないか、と模索中である。

 私たちの『貴婦人の訪問』ではオーケストラ・ピットも使用しない。オーケストラは舞台袖に鎮座して演奏することになる。オーケストラの編成もウィーンより小振りになるのだが、そのアレンジは、音楽のマイケル・リードさん自らが手掛けてくださっている。

 オケ合わせが今から楽しみである。

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『貴婦人の訪問』通信

6月9日(火)

 本日も歌稽古。

 遅れ馳せながら、You Tubeで配信されている「第69回トニー賞授賞式」のダイジェスト映像を見た。今年のミュージカル部門は、さながら「MGM映画へのトリビュート」の様相であった。

 何しろ『パリのアメリカ人』があり『踊る大紐育(だいニューヨーク)』があり『恋の手ほどき』がある。ジーン・ケリーであり、ヴィンセント・ミネリであり、アーサー・フリードである。今すぐブロードウェイに飛んでいきたい。無理だけど。
 それはともかく、今年のベスト・ミュージカルは“Fun Home”が受賞した。そして、ベスト・ミュージカルにノミネートされながら惜しくも受賞を逃した1本に“The Visit”があった。

 この“The Visit”は、『貴婦人の訪問~THE VISIT~』と同じくデュレンマットの戯曲を原作とする、『貴婦人の訪問~THE VISIT~』とは別のミュージカルである。
 ブロードウェイの“The Visit”は、ミュージカル『シカゴ』や『キャバレー』『カーテンズ』『蜘蛛女のキス』などを手掛けた、ジョン・カンダー(音楽)&フレッド・エッブ(作詞)のチームによるミュージカルである。トニー賞では、チタ・リヴェラを中心とするパフォーマンスが披露されていた。

 私たちの『貴婦人の訪問~THE VISIT~』は、モーリッツ・シュナイダー、マイケル・リード(音楽)、ヴォルフガング・ホファー(作詞)による「別の作品」である。なので、どうぞお間違えの無い様に。

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『貴婦人の訪問』通信

6月8日(月)

 ミュージカル貴婦人の訪問~THE VISIT~の歌稽古が始まっている。

 『貴婦人の訪問』は、スイスの劇作家、フリードリヒ・デュレンマットによる戯曲『老貴婦人の訪問』(1956年初演)をミュージカル化した作品である。
 ミュージカル版の初演は2013年にスイスのトゥーンで行なわれ、翌2014年にはウィーンのローナッハ劇場で上演された。オリジナル・プロダクションの製作は、お馴染みのウィーン劇場協会である。

 今日は歌稽古の前の時間帯に、舞台監督の佐藤博さん、演出部の皆さんと、「舞台をどう使うか、場面をどう転換するか」についてミーティング。
 『貴婦人の訪問』は、プレビュー公演を行うシアター1010を皮切りに、本多の森ホール、シアターBRAVA!、シアタークリエ、キャナルシティ劇場、中日劇場と、条件の異なる様々な劇場での上演が決まっている。
 なので、「作品の内容をどう立体化するか」に負けず劣らず、「各劇場の物理的制約をどうクリアするか」も、避けては通れない重要な課題になって来る。

 舞台美術の「デザイン的な部分」は、今までに重ねた打ち合わせの中で概ね固まった。が、「機能」や「取り回し」などの面での検証作業がまだだったので、今日のミーティングはそれをすることが目的であった。
 ある程度、目途が立つところまで行くことができたので、(私個人の宿題は多々残っているが)有意義なミーティングであった。

 さて。

 7月27日(月)の初日まで、約ひと月半。どうぞよろしくお付き合いください。

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初日! 『台所太平記』通信

6月4日(木)

 初日。

 明治座では、昼の部は11時開演である。その5分前に、緞帳裏にキャスト&スタッフが集まって気勢を上げる。
 開演時刻になり、八幡茂さんによるオープニング音楽の中、場内が暗くなる。幕が上がると、そこは京都・千倉家の台所。「お手伝い募集」の貼紙を見て集まったお手伝いさん志望の娘たちの前に、千倉家の人々が次々と現れて……。

 お客様は手を叩いたり、声を上げて笑ったりして、この舞台の進むべき方向を我々に教えてくださった。そのお陰で我々は正しい道を見つけ、ラストシーンまで無事に辿り着くことができた。
 このブログでも幾度となく記しているが、「喜劇」は、お客様の反応が加わって初めて「喜劇」になるのである。『台所太平記』も、お客様にご覧いただくことでようやく作品となった。

 これで『台所太平記』通信はおしまいである。ご愛読ありがとうございました。
 次は『貴婦人の訪問』通信。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 喜劇『台所太平記』は東京・浜町の明治座にて6月26日(金)まで上演。お見逃しの無い様に。

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『台所太平記』通信

6月3日(水)

 舞台稽古、2日目。

 まず昨日の続き。3幕を場面毎に、2回ずつ返しながら確認。全シーンを当たり終える。
 大休憩を挟んだ後、通し舞台稽古(ゲネプロ)。上演時間は、5月27日のブログに記したのと大きくは変わらなそうで、ひと安心。

 劇中では、昭和30年代を想起させる台詞や小道具が色々な場面で登場する。
 それらは「隠れミッキー」の様に、さり気なく登場することが多いので、それ探しにばかり熱中すると本筋から置いていかれるかも知れない。が、そんな部分も楽しんでいただければ幸いである。

 さて。

 明日はいよいよ初日。明治座でお待ちしています。

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『台所太平記』通信

6月2日(火)

 舞台稽古1日目。

 冒頭に舞台全体のオリエンテーション。
 稽古場では再現されていなかった壁面や建具、屋台の高低、照明の具合、それに裏導線などなど、劇場に入って初めて確認できることをまず確認。そして舞台稽古スタート。
 舞台稽古は各場面を2回ずつ、確認を挟みながら進める。1幕の幕開きから始めて(当たり前だ)順調に進行し、無事に2幕の終わりまでこぎ着けて1日目を終えた。

 明日は3幕の舞台稽古。その後、通し舞台稽古(ゲネプロ)である。

 劇場の表には、キャストの名前が染め抜かれた大きな幟(のぼり)が立てられている。古き良き時代の芝居小屋を彷彿とさせる、明治座ならではのデコレーションである。
 ご観劇の際には、どうぞお見逃しの無い様に。

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『台所太平記』通信

6月1日(月)

 「谷崎潤一郎 生誕の地」近辺から明治座へと向かう通りには「甘酒横丁」の名がついている。

 下町らしい風情をたたえた400メートルほどのその通りの両側には、洋食店や甘味処など、飲食店をはじめ様々な店舗が並んでいる。
 甘酒横丁だけにとどまらず、人形町駅から浜町駅にかけての一帯には色々なお店が隠れている。自由時間を確保して、観劇の前後に探検されるのも素敵だろうと思う。

 と言う訳で、今日も明治座へ。

 今日は終日道具調べ・照明合わせ。
 何年もミュージカル主体に仕事をしていたので、今回のような「オーソドックスな日本物の芝居」の道具調べ・照明合わせは、何だかいつもと勝手が違う。……と言うか、懐かしい。そして「ほっ」とする。20代の頃は毎月こんな調子だったのだ。

 メニューを順調に消化して、舞台を無事に音響チームに明け渡す。明日からは舞台稽古に突入である。

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『台所太平記』通信

5月31日(日)

 東京メトロ日比谷線の「人形町駅 A2出口」を出て、右へちょっと行った右側に「谷崎潤一郎 生誕の地」の銘板がある。

 谷崎は明治19年7月24日にこの地に誕生した。ここには谷崎の祖父が経営する活版印刷所があった。銘板によると、そう言うことらしい。いつも行列ができている鳥料理の店「玉ひで」を過ぎてすぐの所である。
 『台所太平記』ご観劇の折に、足を延ばされてみてはいかがだろう。

 という訳で、明治座へ。

 今日、明日は稽古は無し。終日スタッフ・ワークである。
 今日の主な作業は大道具の建込みと照明のフォーカス合わせ。演出家に出番はないのだが、10年ぶりの明治座でもあるので、客席や舞台周りを歩いてみて明治座での以前の仕事を思い出してみたりした。

 劇場には劇場毎に流儀がある。仕事の進め方や、その分担などについての約束事の様なことなのであるが、帝劇には帝劇の、クリエにはクリエの、日生には日生の流儀がある様に、明治座にも明治座の流儀がある。

 明治座の皆さん、ひと月どうぞよろしくお願いいたします。

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