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2015年2月の記事

『田茂神家の一族』通信

2月27日(金)

 稽古前に衣裳合わせの2回目。

 前回の衣裳合わせ(2月23日)で決まりきらなかった方々の衣裳をチェック。良いバランスに落ち着いた、と思う。

 衣裳合わせの後、通し稽古。

 初の通し稽古である。
 稽古を開始するにあたり、演出助手の添田さんが「それでは1回目の通し稽古を開始します!」と宣言された。すると、すかさず佐藤B作さんが「1回目って……終わったら2回目やるの?」とツッコミを入れられた。
 しかしこれは、良く言えば「ツッコミ」であるが、その実態は「揚げ足取り」であろう。
 『田茂神家の一族』でのB作さんの役どころは「他人の演説中に平気で野次を飛ばす」様な男なので、「役になりきっている」と言うこともできるが。

 それはさておき、1回目としては上々な通し稽古であったと思う。今日の時点での上演時間は(休憩なしの1幕物で)1時間50分弱、であった。
 通し稽古後は全体でダメ出し。全体稽古終了後は、いつもの様に「詳しく書けない」抜き稽古。

 さて。

 2月もそろそろおしまいである。残すところ、稽古場はあと4日である。

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『田茂神家の一族』通信

2月25日(水)

 午前中はミュージカル・アカデミーへ。

 「ミュージカル・アカデミー」は、一般社団法人映画演劇文化協会が運営する「ハロー・ミュージカル! プロジェクト」の活動のひとつで、ミュージカル俳優を目指す者のためのスクールである。
 私は、前身の「東宝ミュージカル・アカデミー」時代から演技のクラスを受け持っている。そして今日は、今年度(現「ミュージカル・アカデミー」の3期生)の最後の授業であった。
 もちろんそれは「私の受持ちが今日で最後」と言うだけで、この後もカリキュラムは3月中旬まで続く。

 それはともかく、終わってみれば1年はあっという間である。果たして受講生たちは、充実した、密度の濃い1年を過ごすことができたのであろうか。アカデミーでの経験が、彼らの未来に役立つことを願って止まない。 

 午後は『田茂神家の一族』の稽古場へ。

 今日もまずクライマックスからラストまでをおさらい。
 ここでは今まで伏せられていた真実が次々と明らかになり、それによって登場人物たちも目まぐるしく一喜一憂することになる。こういう場面を成立させるのはとても難しいし、稽古にも相応の時間が掛かる。
 そのブロックを何度か返して整理した後、真ん中辺りからラストまでを通してみる。
 台詞や芝居の段取りがキャストひとりひとりの手の内に入って来て、以前の稽古と比較すると格段にスピードがアップした。コメディにとって、これは良い兆候である。

 全体稽古終了後は今日も「あるチーム」の「抜き稽古」。詳しくは(以下略)

 『田茂神家の一族』の稽古を終えた後、竜真知子さんにお目に掛かる。
 『貴婦人の訪問~The Visit~』の翻訳と訳詩に関する意見交換だったのだが、「まだまだ先だ」と思っていた公演が、「いつの間にか結構近づいていた」と言う話でもあるなあ……

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『田茂神家の一族』通信

2月24日(火)

 今日は石井愃一さんのバースデー。稽古前に、ケーキと歌(園田容子さんの生演奏付き)で石井さんをお祝い。石井さん、おめでとうございます!

 稽古は、ラスト26ページをおさらい。

 一昨日より、全体での稽古を終わらせた後に「抜き稽古」をしている。
 詳しくは書けないが、これは「あるチーム」のための抜き稽古である。そのチームが一体どんなチームであるのかは、詳しくは書けない。
 今日も全体稽古終了後、詳しく書けないチームの抜き稽古。詳しくは書けないが、彼らは一歩一歩、成長している。

 稽古後、照明デザイナーの宮野和夫さんと打ち合わせ。『田茂神家の一族』は、東京ヴォードヴィルショーの三谷作品としては、かなり凝った照明デザインになるだろう。

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『田茂神家の一族』通信

2月23日(月)

 稽古前に衣裳合わせ。

 稽古場に、あまり垢抜けない、ちょっと胡散臭そうな人物がぞろぞろと現れた。「早く衣裳着てください!」とスタッフに叱られそうな、私服と見紛う様な衣裳の人もいる。衣裳合わせって楽しいなあ。

 稽古は昨日のおさらいをした後、ラストシーンを作る。
 『田茂神家の一族』は、台本で言えば全部で138ページ。2月12日の立ち稽古開始より10日余りで、ほぼ全シーンに手を着けた。
 新たな場面を作っては前に戻っておさらいをする、を繰り返しての10日なので、「三谷君の新作」の稽古場としては比較的順調と言えるのではないだろうか。

 明日は若干の積み残しを処理し、ラストに向かう部分をさらうつもり。

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『田茂神家の一族』通信

2月22日(日)

 立ち稽古。クライマックスに手を付ける。

 ここへ来て物語は大きく動く。詳しくは書けないが、村長選挙の大勢が遂に判明するのである。もちろん話はこのままでは終わらない。だからクライマックスなのであるが、詳しくは書けない。

 伊東四朗さんが『田茂神家の一族』で演じてくださるのは、この村の前村長である田茂神嘉右衛門(たもがみ かえもん)である。「前村長の嘉右衛門が勇退し、村長選挙が行われることになった」と言う所から、この物語は始まる。
 伊東さんとは、以前『その場しのぎの男たち』(2003~04年と2013~14年)でご一緒させていただいた。しかし『その場しのぎの男たち』は、私が演出として参加するより以前から滝大作さんの演出で上演されていたし、伊東さんも私が参加する以前から出演されていた。
 つまり(新演出ではあったが)新作ではなかったので、今回が「伊東さんとご一緒させていただく初めての新作」と言うことになる。

 私は高校時代からの伊東さんのファンである。
 当時、私は伊東さんの出演するTVバラエティ『見ごろ! 食べごろ! 笑いごろ!』を毎週欠かさず視聴していた。あの「電線音頭」が生まれた当時の大ヒット番組であるが、今思えばこの番組、今回もご一緒している佐渡稔さん(当時は「三木まうす」名義でいらした)と石井愃一さんもレギュラーとして出演されていた。

 『田茂神家の一族』の稽古場には伊東さんをはじめ、佐渡さん、石井さん、それに佐藤B作さん(欽ちゃんバンド!)、山口良一さん(欽ドン!)など、私が最もTVに夢中だった時代にブラウン管の中にいらした人たちが大勢いらっしゃる。皆さんが目の前にいらっしゃって、一緒に芝居を作っているのである。

 正に「夢の様」である。

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『田茂神家の一族』通信

2月21日(土)

 立ち稽古。中盤から後半にかけてをおさらい。

 『田茂神家の一族』には、東京ヴォードヴィルショーの劇団員に加えて、伊東四朗さんと角野卓造さんが客演されている。

 角野さんは、私の(プロとしての)演出家デビュー作『君となら~Nobody Else But You』(1995年、PARCO劇場初演)に出演してくださった。何の実績もない駆け出しの演出家のデビューに付き合ってくださった訳で、私にとっては言わば大恩人のおひとりである。
 それから20年が経って、こうして同じ三谷君/作のコメディでご一緒できるのは、何だかとても感慨深い。と同時に「少しでも演出家として成長した所をお見せしなくては」と言う気負い……と言うか、使命感……と言うか、そんなことを感じてもいるのである。
 『田茂神家の一族』では、角野さんの「コメディアン」としての面を目一杯楽しんで頂ける筈である。「コメディアン角野さん」ファンの皆さん、どうぞご期待ください。

 角野さん、あの時は大変お世話になりました。そして、今回もどうぞよろしくお願いいたします。

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『クリコレⅡ』通信 初日!

2月20日(金)

 初日。

 昨年の“Ⅰ”の時と同様に、今回も大変落ち着いて今日を迎えた。
 各セクションの修正作業も昨日中に粗方終わっている。オーケストラと音響チームが、午後の時間をたっぷりと使ってサウンド・チェック。私は客席の片隅で、ゴージャスなナンバーの数々をヴォーカル抜きで楽しんだ。なんと言う贅沢なひと時であろう。

 昨日のゲネプロで、一か所だけステージングで気になった個所があったので、サウンド・チェック後に舞台を借りて修正。
 そして、恒例の「初日のお祓い」。関係者一同が客席に集まり、公演の安全と成功を祈念する。

 18時30分の定刻を2分ほど押して場内が暗くなる。ピアノの演奏が聞こえて来て、緞帳が静かに上がると……。

 終演後、初日を祝して楽屋の廊下で乾杯。クリエのバック・ヤードは広くないので、こう言うセレモニーにも廊下が一番適している。
 缶ビール、或いはペットボトルのお茶を手に廊下を練り歩くキャスト、オーケストラ・メンバー、スタッフ、その他関係者たち。みんな口々に「楽しかった」と言い合っている。私ももちろんそう感じていた。
 山口祐一郎さんが近寄っていらして、私の耳元で静かにおっしゃった。

 「あー楽しかった。」

 これで『クリコレⅡ』通信はおしまいである。ご愛読ありがとうございました。明日からは『田茂神家の一族』通信が再開である。

 最後に、稽古場を預かり、作品をまとめてくださった演出補の小川美也子さんに、この場を借りて一言感謝の言葉を申し上げたい。

 美也子さん、ありがとうございました。

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『クリコレⅡ』通信

2月19日(木)

 日生劇場の前を『ラ・カージュ・オ・フォール』の看板を眺めながら通過し、かつて職場のひとつだった東京宝塚劇場の横を通って、シアタークリエへ。

 今日の東京地方は良く晴れ渡り、とても清々しい青空が広がった。が、我々は朝から建物の地下で仕事である。午前中は照明合わせの続き。そして午後から舞台稽古の続き。

 『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』には、タイム・テーブル通りに舞台稽古を進行させる「神様」、「ミス・オンタイム」こと小川美也子さんが付いている。クロード=ミッシェル・シェーンベルクさんの言葉を借りれば、小川さんの手腕は正に「驚異的」である。
 なので、今日の舞台稽古もタイム・テーブル通りに見事に進行した。

 大休憩を挟んで、ゲネプロ。もちろんタイム・テーブル通りの時刻にである。今日のキャストは初日組であった。
 ゲネプロもトラブルなく無事に終了。幾つかの確認と各セクションの簡単な調整のみで本日の全作業は終了した。劇場を出れば青空は既になく、夜風が上気した顔を優しく撫でた。

 さて。

 明日は初日である。

 『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』には多くの名曲が登場するが、どの曲にも、その曲をコレクションした人の特別な思いが籠っている。
 『クリエ・ミュージカル・コレクション』は楽曲のコレクションであるだけでなく、一曲一曲に籠められたコレクターひとりひとりの「思い」のコレクションでもあるのだ。

 

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『クリコレⅡ』通信

2月18日(水)

 シアタークリエへ。

 午前中はオーケストラと音響チームによるサウンド・チェック。並行して照明合わせの続き。お昼休憩の後、舞台稽古に突入。

 幕開きから2~3場面ずつ、まず場当たりをし、その後オーケストラと合わせて、そして確認。その繰り返しである。ステージングのあるナンバーはやや丁寧に、ポジションや照明との関係などをチェックしつつ。
 ダブル・キャストになっているナンバーは、両方のナンバーを順番に。今日は本番では見ることのない豪華な豪華なセット・リストなのであった(中川さんは『ゴールデン・ソングス』の本番中なので、本番を終えられた後の時間帯に、まとめて)。

 明日も舞台稽古、今日の続き。そして夜はゲネプロである。

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速報!  だそうです

 ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』の上演が発表された。第一報はこちらからどうぞ!

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『田茂神家の一族』&『クリコレⅡ』通信

2月17日(火)

 いつもの様に、まずは『田茂神家の一族』へ。

 『田茂神家の一族』のポスターやチラシには、「とある田舎町/町長選挙/立候補者は二人/兄と弟/骨肉の争い/勝つのはどっちだ」と言うコピーが記されている。が、このコピーは『田茂神家の一族』の内容を正確には反映していない。
 選挙の話であることは間違いないのだが、「町長選挙」と書かれている部分は物語では「村長選挙」である。そして「立候補者は二人」ではない。それ以上である。

 これ以上内容に踏み込むことは避けるが、「兄弟対決の町長選挙」の話ではなかったからと言って、その件についてのクレームはどうぞご遠慮くださいます様に。

 夜はシアタークリエへ。

 『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』は、今日は劇場で照明合わせ。キャストの皆さんはお休みである。照明デザイナーは高見和義さんで、素敵な明かりを猛スピードでデザインしてくださった。

 明日は朝からサウンド・チェックと照明合わせの続き。午後からいよいよ舞台稽古である。

 雪……か

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『田茂神家の一族』通信

2月16日(月)

 立ち稽古。

 『田茂神家の一族』が劇団東京ヴォードヴィルショーの創立40周年記念興行の第5弾にして最終作であることは以前にも記した。
 劇団の創立は1973年なので40周年は既に2年前に過ぎているのだが、記念興行の第1弾がそもそも2012年に行なわれてるので、劇団では足掛け4年、40周年記念なのである。

 それはともかく、東京ヴォードヴィルショーに昨年、十数年振りだという新劇団員が誕生した(プロフィールはこちら)。
 2013年から14年にかけて上演された『その場しのぎの男たち』の時に、既に皆さん研修生として参加されていたのだが、昨年晴れて劇団員となり、その内の4人が『田茂神家の一族』にも出演している。

 『田茂神家の一族』の稽古場には、上は伊東四朗さんから下は新劇団員まで、芸歴半世紀を超えるベテランから駆け出しの新人までが同居している。

 これは本当に素敵なことだと思う。

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『田茂神家の一族』&『クリコレⅡ』通信

2月15日(日)

 まず『田茂神家の一族』へ。

 稽古前に舞台美術の打ち合わせ。美術デザイナーの石井さん、舞台監督の相川さん、演出助手の添田さんと、舞台で使用する「幕類」の生地を決める。
 稽古では前半から中盤にかけてをおさらい。昨日同様、ひとつの場面を繰り返し稽古して、細部をより具体的にして行く作業。

 夜は『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』へ。

 こちらはオケ付き通しである。ダブル・キャストは、今日は中川さんと田代さんであった。
 『クリコレⅡ』のオーケストラは“Ⅰ”と同様に12名。指揮は西野淳さんである。ピアノ1台で聞くミュージカル・ナンバーも洒落ていて捨て難いのだが、やはりオーケストラのサウンドは格別である。加えてキャストのこの顔触れである。
 理屈抜きで、心のあらゆる部分が揺さぶられるのである。

 シアタークリエでは『ユイット』が本日千穐楽。『クリコレⅡ』の仕込みが始まる。

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『田茂神家の一族』通信

2月14日(土)

 立ち稽古。頭に戻って序盤部分をおさらい。

 昨日、一昨日で当たった部分であるが、稽古初日や、その場面を初めて当たる時などには、アウトラインを見つけることが優先され細部は後回しにされることが少なくない。稽古初日やその場面の1回目には、ディテールにこだわって稽古が遅々として進まないより、その方が有益だからである。

 演出家もそうなのだが、キャストの皆さんも、稽古してみて初めて分かることや発見することが山の様にある。なので、その発見や、後回しにされた積み残しを処理するために、こうしておさらいをする。
 その結果、細部は整理され、キャストは自由になり、全体はよりダイナミック、且つスムーズに動く様になるのである。

 明日もおさらい。と、ちょっと新しい所も。

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『田茂神家の一族』&『クリコレⅡ』通信

2月13日(金)

 まず『田茂神家の一族』の稽古場へ。

 立ち稽古2日目。昨日のおさらいをちょこっとやった後、その続き=物語の中盤に手を付ける。
 いつもの三谷作品と違わず、登場人物たちはとにかくスピーディに良く喋る。2人芝居ならまだしも、『田茂神家の一族』では5人とか6人とかがディスカッションを繰り広げることになるので、次に喋るのは一体誰なのか、今聞いている話は自分にとってどんな意味があるのか……などなど、喋る以外にも気を配らなければならないことが山の様にある。
 まだ喋ることさえ覚束ないのに、聞くことや反応すること(それもタイムリーに)も求められて、俳優とは何と過酷な職業なのであろうか。

 それはともかく、今日は佐藤B作さんのお誕生日であった。
 稽古後に、ろうそくを灯したケーキが稽古場に運び込まれ、音楽の園田さんによる生演奏で「ハッピー・バースデー」を合唱。B作さん、おめでとうございます。

 そして『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』の稽古場へ。

 こちらでは保坂知寿さんがお誕生日。合唱とロウソクの吹き消しは既に終わり、切り分けられたケーキもほぼ食べつくされた後だったが……、知寿さん、おめでとうございます。

 で、こちらは通し稽古である。ダブル・キャストは、今日は岡田さんと泉見さんであった。
 順調に、良い具合に仕上がって来た。“Ⅰ”とはまた少し雰囲気の異なる、新しい「コレクションのコレクション」になるだろう。

 明日はオーケストラとキャストの合わせ。私は「田茂神家」へ。

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『田茂神家の一族』通信

2月12日(木)

 稽古前に、まず衣裳の打ち合わせ。

 衣裳デザイナーの牧野さんが、簡単なデザイン画を書いて来てくださった。
 『田茂神家の一族』の舞台となる、村長選挙が行われている村は「朳(えぶり)村」と言う。都会ではない「どこか」にある架空の村の住人たちを、さてどのように造形するか……?

 衣裳打ち合わせの後は、音楽・演奏の園田さんと公演プログラム向けに対談。司会は、プログラム編集の大堀久美子さんが務めてくださった。
 園田さんとご一緒するのは今回で2度目なのだが、園田さんの「音楽的出自」と言った話は今までお聞きしたことが無かった。
 なので、この機会を良いことに、聞かずにいたことを色々とお尋ねする。さぞかし「後で文章にし難い」対談であったことだろう。

 で。

 本日より立ち稽古。

 『田茂神家の一族』は、「主要な登場人物はず~っと舞台上に居続ける」タイプの作品である。こういう作品では、登場人物の殆どは「しゃべっている時」よりも「喋っていない時間」の方が遥かに多い。
 しかし、「喋っていない」ことは「休んでいていい」と言うことではない。喋ってはいなくても、その人物として演技し続けている必要がある。

 こういう作品を「テーブル稽古の期間を長くとって」作って行くのは余りに非効率である。多少乱暴に聞こえるかもしれないが、手間暇かけた「テーブル稽古」よりも「立って、動いてみながら」試行錯誤する方が、こういう作品には向いている。
 なので、読み合わせを2日で切り上げて、早くも今日から立っているのである。

 明日も立ち稽古。どんどん立って行こう!

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『クリコレⅡ』通信

2月11日(水)

 『ゴールデン・ソングス』本番直前の中川晃教さん以外の全員が集合。幕開きより台本順に1曲ずつ(時に2~3曲つなげて)、全場面(全ナンバー)をあたる。

 これだけの楽曲に一挙に接すると、贅沢と言うか、ゴージャスと言うか、やはりかなりの満足感、充実感がある。ミュージカル・ナンバーを集めたコンサートが近ごろ盛んなのも分かる気がする。
 まだキャストによって仕上がり具合にはバラツキがある。当然、場面毎の完成度にもバラツキがあるのだが、それが微笑ましかったり爆笑を呼んだりするので、稽古場は明るい。

 ダブル・キャストになっているキャスト(岡田浩暉さんと中川晃教さん、泉見洋平さんと田代万里生さん)は、「ソロ曲」「デュエット曲」では別々の楽曲を歌う。その部分は「セットリストが異なる」と言うことである。
 今日は泉見さんと田代さんは交代でそれぞれの楽曲を歌った(岡田さんはアッキーがいなかったので)。どちらの楽曲も甲乙付けがたく素敵なので、本当は皆さんには全てのキャストをご覧いただきたいのだが。

 照明デザイナーの高見和義さんも稽古場に登場。劇場入りが近づいたことを知らせてくれる。

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『田茂神家の一族』通信

2月10日(火)

 本日も読み合わせ。

 昨日の読み合わせで感じた幾つかのことを、今日の読み合わせの前に何人かのキャストに伝える。伝えたことは、今日の読み合わせで首尾よく機能した。よしよし。
 今日は前半を読み終えた所でも一旦読み合わせを中断し、ドラマの構造や人間関係の在り方……などについて意見交換。更に、後半を読み終えた所でももう一度意見交換。今日話したことが、立ち稽古に入ってから後、キャストの皆さんの指針となるはずである。

 もちろん『田茂神家の一族』はコメディなので、解釈や役作りをあまりシリアスに追及し過ぎるのもどうか、と思う。が、この一見ナンセンスでファンタジックなコメディが秘めている価値……と言うか可能性……を、少しずつでも良いから掘り起こしてみたい、とも思うのである。

 昨日より今日、今日より明日と、一歩一歩ではあるが、稽古場にいる全員で『田茂神家の一族』の「秘密」に近づいて行っている、そんな「感じ」がヒシヒシとする。
 それは新作の稽古でしか味わうことのできない「感じ」なのだが、久しぶりにその「感じ」=「快感」に浸らせてもらっている。

 新作の稽古とは、その快感と、胃に穴が開きそうになるほどの不安とのシーソーである。願わくは、快感が優ってくれると嬉しい。

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『田茂神家の一族』通信

2月9日(月)

 『田茂神家の一族』の稽古が始まった。

 『田茂神家の一族』は、三谷幸喜君(三谷幸喜さんと記さないことをお許しいただきたい。三谷君と私は大学の同級生なので)の書き下ろし最新作である。
 登場するキャストは劇団東京ヴォードヴィルショーの劇団員17名に、客演の伊東四朗さんと角野卓造さんの、総勢19名である。

 まずは稽古前に舞台美術の打ち合わせ。
 既に数回打ち合わせを重ねているので、今日はその延長線上に描かれたエレベーションと平面図の確認。方向性は概ね固まった。

 そして顔合わせ。キャストの全員と主要なスタッフが稽古場に集合。
 制作の古城(ふるじょう)さんが、キャストとスタッフを1人1人ご紹介。そして座長であるB作さんがご挨拶。欠席だった三谷君からの「台詞を早く喋る様に」と言う注意と、「賑やかな芝居にして欲しい」と言うメッセージを披露された。

 顔合わせに続いて読み合わせ。
 ふんだんに盛り込まれた三谷君らしい笑いと、いつもの三谷作品とはやや異なる感触と、その両方が同居している一風変わったコメディ……と言うのが今日の読み合わせの印象である。
 キャストの皆さんは三谷作品を何回も経験している三谷作品のオーソリティたちであるが、その皆さんも、いつもとは少し種類の異なる手応えを感じていらっしゃるご様子である。
 この、まだ誰も観たことのない三谷作品が、一体どんな舞台に仕上がるのか。私自身が興味津々である。

 稽古後は衣裳の打ち合わせ。衣裳デザイナーは牧野iwao純子さんである。
 そして、打ち合わせ後は稽古場で開かれていた「稽古初日の宴」に顔を出す。

 さて。

 ……いよいよ始まったなあ。

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『クリコレⅡ』通信

2月8日(日)

 『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』の稽古場へ。

 今日はキャスト全員が稽古場に(総勢18名!)。折角なので、大勢が登場するナンバーを中心に稽古。
 『クリコレⅡ』で取り上げる楽曲の大半は「ソロ曲」か「デュエット曲」である。が、3人以上が登場するナンバーも幾つか用意されている。

 『クリコレⅠ』の時にも記したが(その記事はこちら)、コンサートの稽古では、芝居やミュージカルの時ほどは稽古期間を取らないことが多い。なので、稽古も自ずと「短期間詰込み型」になる。
 「芝居やミュージカルと比べて稽古期間が短い」と言っても、キャストの皆さんが憶えなければならないことが「少ない」わけではない。稽古の進行は必然的にハイペースとなるのだが、にもかかわらず皆さん良くついてきてくださっている。

 短時間で「覚えて」、「こなして」、「腑に落とす」。物凄い集中力を必要とする作業だと思う。そして、それをやり遂げていらっしゃる皆さんは、物凄いエネルギーをお持ちなのだろう。稽古を進行する立場の我々も、見ていて頭が下がる思いである。
 ……稽古の進行スピードは緩めないけど。

 稽古後は映像の打ち合わせ。
 『クリコレⅡ』で使用される映像について、映像デザイナーの奥秀太郎さん、演出助手の小川さん、舞台監督の廣田さんらと意見交換。

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初日 『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

2月6日(金)

 初日。

 昨日とは打って変わって、大変清々しい青空が広がった。30周年を祝う公演の初日に相応しい空である。

 本番前はいつもの様に、舞台を使って幾つかの場面を調整したり、初日のお祓いがあったり……であった。が、まあ、初日の開演前としてはかなり落ち着いている部類の方であろう。

 初日の開演時刻は18時30分。
 2分ほど押して、オーケストラのチューニングが始まった。やがて場内が暗くなり、プロセミアム・アーチを縁どる電飾が一際輝いてオーヴァーチュアの演奏が始まる……。

 何と言うか、「初日らしい」初日であった、と思う。
 いつも上手く行っている個所がそうでなかったり、と、1階席最後列に陣取る我々は肝を冷やす様なことの連続であったが、それでも『ラ・カージュ・オ・フォール』を待ちわびていてくださった、と言う感じのお客様の温かい拍手と笑い声に包まれて、今夜の日生劇場は世界で一番幸せな劇場であったと思う。

 終演後は緞帳裏の舞台で初日の乾杯。ホリプロの堀社長がご挨拶をされ、鹿賀さんと市村さんが声を合わせて乾杯の音頭を取った。
 初日の終演後に一同で乾杯、と言うことは珍しいことではないのだが、『ラ・カージュ・オ・フォール』の乾杯は特別である。キャストも、スタッフも、公演関係者の全員が幸福そうに見える。きっと私自身が幸福だからに違いない。

 これで『ラ・カージュ・オ・フォール』通信はおしまいである。2カ月に渡ってお付き合いいただき、ありがとうございました。
 次は『クリコレⅡ』通信『田茂神家の一族』通信

 ……どうなりますことやら。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

2月5日(木)

 東京地方、日生劇場の周りでは雪が積もることはなかった。不測の事態に備えて今夜の宿を手配してあった人もいたのだが、杞憂で終わって一安心。

 で、舞台稽古2日目である。

 昨日の続きで、まずは2幕。
 昨日同様、場面毎に必要な確認をし、その後、オーケストラと合わせてその場面を通す。その繰り返しで、カーテン・コールまでの稽古を順調に終える。
 大休憩を挟んだ後、17時30分よりゲネプロ(通し舞台稽古)。
 大きな取りこぼしもなく、安心して観ていられるゲネプロだったと思う。特に2幕は大いに盛り上がった。

 終演後、何人もの関係者が口々に「やっぱり『ラ・カージュ……』はいいですねえ」とおっしゃっていた。そうなのだ。『ラ・カージュ……』はいいミュージカルなのである。それも「最高に!」。

 明日は初日。いよいよ開幕。日本初演30周年記念『ラ・カージュ・オ・フォール』

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

2月4日(水)

 午前中は照明の直し。午後から舞台稽古。

 まずは舞台監督の二瓶さんによる舞台上、及び舞台裏のオリエンテーション。稽古場では再現できていなかった部分、大道具の裏や袖中の導線など、安全にかかわる諸注意を受ける。
 オリエンテーション終了後、早速「1幕1場」の場当たり。
 ジョルジュのMC、陰コーラスのバランスなどを確認した後、オーケストラと合わせて1幕1場を稽古。このブロックは昨日テクニカルを済ませているお陰もあって、サクサクとスピーディに進行する。

 舞台稽古で最も大切なことは「サクサクと進行すること」だと私は思う。そうするためには入念な下準備が欠かせない。
 それはともかく、2場以降もサクサクと、「必要なことはしっかりと確認」し、「オーケストラで合わせる」を繰り返した。で、今日のメニューである「1幕」全部を無事に消化し、ほど良い時刻に舞台稽古1日目を終えた。

 明日はこの続き、2幕の舞台稽古。そして夜はゲネプロである。
 天気予報では、明日の東京地方はまたしても「雪」である。しかも先日(1月30日)よりも本格的に積りそうだ、と予報では言っている。

 交通機関に大きな影響が出なければ良いのだが。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

2月3日(火)

 朝からテクニカル・リハーサル(転換稽古)。

 『ラ・カージュ・オ・フォール』は、場面数こそそれほど多くは無いが、ひとつひとつの場面転換が大変凝っている。
 映画の技法に「ワイプ」と呼ばれるものがあるが、『ラ・カージュ・オ・フォール』にも同様に「ワイプ」と呼ばれている場面転換がある。
 映画では、「ワイプ」は場面が変わる時などに用いられる。前の画面を拭き取る様にして次の場面が現われる、場面転換の一手法である(最近では滅多に使われることはないのでご存知ない方も多いかもしれないが、『スター・ウォーズ』シリーズで効果的に使用されている)。

 『ラ・カージュ・オ・フォール』では「ステージの場面から舞台袖の場面などに移行する」時などで行われる「横移動」の転換を「ワイプ」と呼んでいる。
 「ワイプ転換」では同時に複数の大道具が同期しながら動かなければならないので(しかも音楽に合わせて)、舞台稽古に先駆けてのテクリハが重要になって来るのである。

 テク・リハの後は照明の修正。そしてマエストロ&オーケストラの皆さんと音響チームでサウンド・チェック。そして夜はテクニカル中心の舞台稽古。

 夜の稽古は、明日以降の舞台稽古をスムーズに進行させるためのものである。
 オープニングのナンバー「ありのままの私たち」と、中詰のナンバー「ラ・カージュ・オ・フォール(鳥~カンカン~燕尾~ハンナのタンゴ)」の2シーンを、ポジションやアクロバット、衣裳の引き抜きなど、テクニカルを中心にあたる。

 これで明日からの舞台稽古に入る準備は整った。
 30年前の今日、1985年の2月3日に『ラ・カージュ・オ・フォール』の日本初演は開幕した。30周年の記念公演も開幕目前である。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

2月2日(月)

 日生劇場へ。

 昨日に続いて今日も終日スタッフ・ワークである。
 大道具の仕込みと調整、音響チームの調整、オーケストラのセッティング、照明のフォーカス合わせ、などが今日の主なメニューである。楽屋周りでは衣裳とヘアメイク・チームも準備に余念がない。
 公演スタッフにも劇場スタッフにも『ラ・カージュ・オ・フォール』経験者が大勢残っているので、どの作業にも無駄がない。これはタイム・テーブルを組む立場から言えば大変ありがたいことである。タイム・テーブルを組むのは私ではないが。

 今日はプランナーの皆さんも顔を揃えてくださった。照明の沢田祐二さん、舞台美術の田中直樹さん、音響の山本浩一さんらである。
 沢田さんも田中さんも、30年前の日本初演からのスタッフである。沢田さんは初演時から照明プランナーでいらしたし、田中さんは演出部の一員として『ラ・カージュ・オ・フォール』の美術とテクニカルを支えていらした。

 ひとつの作品が30年に渡って上演され続ける、と言うのはそうそうあることではない。
 もちろんそれは作品自体に力があればこそ実現したことであるが、それに加えて、30年に渡って『ラ・カージュ・オ・フォール』を育て、守り、受け継いで来た大勢の人たちの力も少なからずあるだろう。
 今まで『ラ・カージュ・オ・フォール』を支えてくださった大勢の方々にこの場を借りて感謝したい。そして今日劇場で働いている方々にも。

 今夜は深夜作業である。

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『クリコレⅡ』通信

2月1日(日)

 日生劇場では『ラ・カージュ・オ・フォール』の仕込みが始まっている。が、今日は『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』の稽古場へ。

 『クリエ・ミュージカル・コレクションⅡ』は、昨年の1月にシアタークリエ、他で上演された『クリエ・ミュージカル・コレクション』(略して『クリコレ』)の第2弾である。
 『クリコレ』は、「東宝で上演されたミュージカルから選りすぐったナンバーを集めた」コンサート。昨年の第1弾が大変好評だったため、こうして第2弾が企画された。ご声援くださった皆さんのお陰である。

 で、『クリコレⅡ』であるが、取り上げる楽曲は約30曲。2幕構成で、途中に休憩が挟まれるのは前回と同じ。セット・リストは「当日までのお楽しみ」としておくが、前回歌われたナンバーは今回は登場しない。オール「ニュー・ナンバー」の完全新作である。

 どうぞお楽しみに。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

1月31日(土)

 2回目のオケ付き通し稽古。そして稽古場最終日。

 通し稽古の前に、露口洋暁さん(カンパニー内では愛情を込めて「おつゆ」と呼ばれている)が登場する場面の内の「カンカン」シークェンスをあたる。
 このシークェンスでの露口さんはアクロバット担当である。念には念を入れて、カジェルの皆さんたちと一緒に安全を確認。

 そして通し稽古。
 昨日とはまたひと味違った、素敵な仕上がりの最終通し稽古であった。露口さんのアクロバットも完璧な出来で、限られた時間の中でここまでにしてくれた露口さんと、アクロバットの相棒・村上聖さん、そしてアクロバットのボス・日比野啓一さんに感謝。
 通し稽古終了後は「あっ」という間にダメ出しを終えて解散。オーケストラをはじめ、演出部や音響チームの皆さんが稽古場を撤収しなければならないからである。

 さて。

 12月1日から2カ月に及んだ稽古も本日で全行程を終了。明日からスタッフは日生劇場で仕込み作業に入る。明日、明後日の稽古は休みで、舞台稽古は2月3日から、である。

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