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2014年9月の記事

初日! 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月21日(土)

 初日。

 今日は夜公演なので、午後の時間帯に舞台でひと通り台詞合わせ、と言うか、ラフに通す。そして昨日のゲネプロのダメをいくつか修正。
 昨日のゲネプロは収穫がとても多かった。少なくとも私にはそうであった。『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』がどう仕上がるべきか、それが見えた様な気がしたからである。

 初日の公演は、定刻の19時を5分ほど押してスタート。オープニングから拍手が巻き起こり、お客様に上手に乗せていただいて、舞台上のキャストの皆さんも、いつも以上に楽しそうに見えた。
 お客様の笑い声(と、時に拍手)はラスト・シーンまで途切れることはなく、終わってみれば、これは私の演劇経験の中でも「最高の初日」のひとつであったと思う。

 終演後、劇場ロビーにて初日の乾杯。キャストもスタッフも、関係者の全員が幸福そうに見えた。
 中でも、ほぼ出ずっぱりで喋りっぱなしの大役を見事に努めた錦織さんの安堵の表情と、同じく重責を果たした塚田さんの清々しい笑顔に触れられたことが、私にとっては何よりのご褒美であった。それにしても塚ちゃん、本当に良く食べるねえ……。

 これで『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信は終わりである。ご愛読、ありがとうございました。
 次は『ファースト・デート』通信。本格的に始まるのは10月に入ってからです。

 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』はPARCO劇場で10月13日まで公演中。東京公演の後は仙台、新潟、名古屋、大阪へ参ります。どうぞよろしく。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月19日(金)

 舞台稽古2日目。

 稽古の前に取材タイム。その模様と舞台の様子は芸能ニュースなど、色々な所でご覧いただけるだろうと思うので、どうぞお楽しみに。
 稽古は昨日の続き、2幕の後半をあたる。そして大休憩を取った後、ゲネプロ。

 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』がPARCO劇場初出演、と言う方が何人かいらっしゃる。塚田さん、はしのさん、池谷さん、土屋さん、岡村さんがそうなのだが、意外なことに錦織さんもPARCO劇場は初めてなのだそうである。
 そして、更に意外だったのは、綾田さんがPARCO劇場初出演だったことである。綾田さんは「渋谷の演劇人」と言う印象が私にはあったのだが、それは、かつて渋谷にあった伝説の小劇場「渋谷ジァンジァン」で東京乾電池の公演を観たから、と言う以上には根拠のない印象だったかも知れない。

 さて。

 明日はいよいよ初日。19時開演である。PARCO劇場でお待ちしています。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月18日(木)

 舞台稽古1日目。

 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』の様なワン・シーンの(途中で場面の変わらない)作品では、舞台稽古の進行が結構難しい。
 1幕が6場面とか(例えば『王様と私』)14場面とか(例えば『シスター・アクト』)に分かれている作品では、舞台稽古でも場面毎に止めたり、或いは2、3場面を繋げたり、など、キリの良い所で稽古を止めて諸々の確認をすることも容易い。
 だが、『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』は、始まってしまえば緞帳が下りるまでノン・ストップなので、誰かがどこかで止めない限り、当たり前だが止まらない。

 途中で止まらなければ、それは最早「舞台稽古」ではなく「ゲネプロ」である。しかし、ゲネプロをスムーズに行なうためには、その前に舞台稽古を入念に行っておく必要がある。
 そう言う訳で、ノン・ストップ=ワン・シーン作品の舞台稽古では、途中で無理にでも止めてブロック毎の確認を挟むことになる。その「止まらない約束の芝居を止める」のが難しいのである。

 今日の舞台稽古は至って順調に進行し(つまり、要所要所で無事に止まり)、予定のメニューをきっちり消化した。
 明日も舞台稽古、今日の続き。そして、その後ゲネプロである。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月17日(水)

 PARCO劇場へ。

 PARCO劇場は、私がプロの演出家としてデビューさせてもらった劇場である。
 今から19年も前のことであるが、以来、日本の劇作家による新作や翻訳劇、音楽劇にミュージカル……と、様々なタイプの作品に携わらせてもらって来た。今回は『クールの誕生』(2012年)以来のPARCOである。

 今日は午後から照明合わせ。
 大劇場のミュージカルなどと違って、『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』は1シチュエーション、1セットである。なので、大道具は一度建ってしまえば舞台転換もない。お陰で、比較的穏やかに、照明合わせ(と並行してと音響の調整も)は進行した。

 舞台美術のデザインは大田創さん。照明のデザインは高見和義さんである。お2人ともこのブログではもうお馴染のデザイナーであるが、お2人とも10年前の『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』にも参加してくださっている。音響デザイナーは長野朋美さんで、長野さんは10年前は音響オペレーターであった。

 10年が経過して、その分年齢を重ねたデザイナー&演出家として再び同じ作品に取り組む。これはちょっと貴重な体験であった。
 以前と何も変わらないと言えば変わらないのだが、10年前の明かりや音素材を見聞きすると、「確かにあの頃は若かった」と感じもするのである。
 これが「成熟」と言うことなのだろうか?

 明日は舞台稽古、1日目。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月16日(火)

 稽古場最終日。

 最終日の今日も、いつもの様に通し稽古。通し稽古終了後も、いつもの様にダメ出し。
 8月18日に稽古を始めてほぼひと月。稽古場での工程は今日で全てを終了した。

 今日の通しで意外だったのは、2幕の最終局面、ヒューバートがレズリーにある決意を語る場面で、何だか「ぐっ」と来てしまったことである。その瞬間、私は目頭が熱くなり、危うく涙を零すところであった。かろうじて零さなかったが。
 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』で、こんなに心が動かされる瞬間が訪れようとは想像もしていなかった。思いの外「いい芝居」に仕上がったのではないか、と思う。

 稽古終了後、PARCO劇場へ。

 私が顔を出した時には、舞台にはセント・アンドルーズ病院の医師談話室がほぼ建ち上がっていた。
 それにしても、PARCO劇場はこう言う芝居には打って付けの空間だと思う。どの席からも観易くて、舞台上で行われていることが客席の隅々まで届いて行く、そんな感じの空間なのである。

 明日は終日スタッフ・ワーク。舞台稽古は明後日から。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月15日(月)

 今日も通し稽古。但し衣裳とヘアメイク有りで。

 衣裳とヘアメイクの力は偉大である。
 昨日までの「稽古着」に「自頭」で稽古していた時とはまるで別人。出てくる人々はどこからどう見ても紛れもない英国人である。喋っているのは日本語だが。
 こうして見ると、『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』は制服とスーツのオン・パレードである。制服フェチ(特にナース)、スーツ・フェチの方には、これは見逃せない1本であろう。

 PARCO劇場では『君となら』が千穐楽。『君となら』の搬出が終わり次第、いよいよ我々の搬入である。

 と言う訳で、明日は稽古場最終日。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月14日(日)

 午前中は『ファースト・デート』の打ち合わせ。

 今日は音楽監督の島健さんと、『ファースト・デート』の現時点での確認事項(バンド・エリアのことや、今後の作業の進め方、など)について意見交換。島さんとご一緒するのは『好色一代女』(2005年/ル・テアトル銀座、他)以来。ミュージカルでは初めてである。
  『ファースト・デート』は「オン・ブロードウェイ」で上演されたにしてはコンパクトな作品であるが、そのコンパクトさがシアタークリエにはぴったりだと思う。

 午後は『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』の稽古場へ。

  今日ももちろん通し稽古。昨日段取りを付けたカーテン・コールまで続けてみる。通しの後は、いつもの様にダメ出し。更にその後、「××××・×××××」を稽古。
 さて。初日まで1週間を切った。頭の中には「もう?」と思う私と「まだ?」と思う私がいて、どちらも一歩も引かない構えである。

 どっちの肩を持つべきか……?

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月13日(土)

 稽古前に福本伸一さんの衣裳合わせ。

 福本さんが演じるのはロンドンのおまわりさんである。巡査部長である。制服である。外国の警官の制服と言うのは、日本の物と比べると何だかお洒落に見える。単に見慣れていないから……だけかもしれないが。

 稽古は、まず幾つかの場面を抜き稽古。修正と確認をした後、本日も通し稽古。

 連日通し稽古をやっているので、おおよその上演時間が見えて来た。
 1幕は57~8分、2幕は53~4分、くらいだろうか。途中15分の休憩が入って、全体では2時間10分程度になるのではないだろうか。

 通しの後はダメ出し。そしてカーテン・コールを段取る。

 カーテン・コールに手を付けると、「いよいよ劇場入りが近い」と感じる。感じた通りである。稽古場は残すところ、3日である。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月12日(金)

 稽古前に照明打ち合わせ。照明デザイナーは、10年前と同じ高見和義さんである。

 前回の照明については、とても鮮明に記憶している個所と全く思い出さない個所がそれぞれにある。
 ま、前回を再現しようと思って今回やっている訳ではないので、思い出さないことは何の支障もないのだが、『王様と私』で体験したばかりの「1年足らずでの再演」と、「10年経って」の『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』とでは、頭の使い方にも見聞きすることに対する感じ方にも、結構大きな違いを感じるのである。人の記憶は不可思議なものである、と日々実感している。

 稽古は今日も通し。

 一昨日の通し稽古では2幕の出来が良かったのだが、今日は1幕が良かった。今日の1幕と一昨日の2幕が同じ回にできると嬉しいのだが。

 通し稽古の後はダメ出しと調整。

 ダメなのかそうでもないのか、調整は効果があるのかないのか、観客のいない稽古場なので本当の所は分からない。が、キャスト&スタッフ一同の演劇的体験を頼りに、「直せばきっと良くなる」と信じて、今日もダメ出しと調整に励む。

 稽古後は声の録音。場内アナウンスや、セント・アンドルーズ病院歌劇団の練習風景や……。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月10日(水)

 通し稽古。

 通す度に少しずつだが進歩が見える。進歩のペースが劇的に上がってくれたりするともっと嬉しかったりするのだが。

 それにしてもコメディは難しい。

 今日も稽古後、キャストの皆さんとその話になった。「コメディのベテラン」と言っても失礼ではないだろう皆さんが、口々に「難しい」とおっしゃる。
 私も、コメディ作品を演出する機会は少ない方ではないのだが、稽古場で「自信をもって面白い」と言う心境に至ったことはこれまでに一度としてない。

 いま我々が稽古しているものは、果たしてお客様にとっても面白いものなのか?

 その回答が稽古場で(舞台稽古でも)得られることはあり得ない。なぜなら、稽古場には(舞台稽古にも)お客様がいらっしゃらないからである。
 その回答は、お客様の前で上演した時に初めて得ることができる。だからコメディの稽古は難しいのである。

 難しい!

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月9日(火)

 稽古前に衣裳合わせ。

 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』の衣裳デザイナーは黒須はな子さんである。黒須さんには、プロの演出家としての最初の仕事『君となら』以来、数々の作品でお世話になっている。
 黒須さんとは、打ち合わせでキャラクターのイメージを擦り合わせる時などに、「昔のアメリカ映画の俳優や登場人物」などを通じて意気投合することが少なくない。黒須さんも私も、古き良き時代のショー・ビジネスに大いに興味を抱いているからであるが、仕事の進み方としてはとても能率が良いし、そう言う話で盛り上がれるのは何よりも楽しい。

 衣裳合わせの後は2幕のおさらい。

 今日も「消え物」有りで、所々で止めて小返しをしながら、2幕をひと通り稽古。
 気が付けば、稽古場は残りあと1週間である。まだまだ初日は先だと思っていたのだが、それ程でもなくなって来た。なので、明日はもう一度通してみるつもり。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月8日(月)

 1幕をおさらい。

 昨日の通しで発見された色々なことを試したり修正したりする。そして消え物(きえもの)も試す。

 消え物とは、舞台で使用される「飲み物」や「食べ物」、「破いてしまう手紙」など、1回使用してしまうと再度は使用できない物たちのことを言う。『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』では主に飲み物であるが、昨日までは、飲み物などは「入っているつもり」で、つまり空のままのボトルやグラスで稽古をしていたのである。
 だが、いつまでも「つもり」のままでは劇場に入ってからが心許ないので、稽古がひと段落したこのタイミングで、消え物を試してみることにした。
 2幕にはやや派手な消え物もあるのだが、ネタバレになるのでここには記さない。今日は「それ」も試させてもらった。

 明日は2幕をさらう予定。でもその前に衣裳合わせ。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月7日(日)

 通し稽古。

 初日までまだ2週間近くあるのだが、「この辺りで1回通しておこう」と思い、通す。
 まだまだ粗削りだし単調な部分も少なくないが、勢いがあって、1回目としては悪くない通しであった。通した時に初めて感じることや見えてくることもあり、キャストにも我々スタッフにも収穫の多い通しだったと思う(塚ちゃんも壁を倒さなかったし)。その収穫を、明日からの稽古に生かして行ければ。

 稽古後、演出家・劇作家・俳優の中屋敷法仁さん(演劇集団「柿食う客」代表)とプチ対談。
 中屋敷さんが稽古を見てくださったので、その感想などを聞かせていただく。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月6日(土)

 1、2幕を抜き稽古。今日は繋げることよりも、ブロック毎の調整をメインに。

 幾つかの場面を終え、「次はレズリー(塚田僚一さん)の登場から」と言うことになった。
 錦織さんが、レズリーが登場する直前の台詞から芝居を始める。そして、レズリーが上手のドアから登場……と誰もが思ったその瞬間、そのドアを含む壁面全体が、舞台側に倒れかかって来た。壁に沿って並べられていた酒瓶やグラス類も床に散乱し、一瞬稽古場内は何が起こったのか、と騒然となった。

 幸い壁は倒れかかっただけですぐ元に戻ったし、瓶やグラス類も破損することはなかった。怪我人ももちろん出なかった。
 が、何故いきなり壁が……? と、みんなが訝った瞬間、塚田さんが、「ドアノブを回すの忘れてドア押しちゃいました……。」

 錦織さんがおっしゃった。「塚ちゃん、やっと本領発揮だ。」

 塚田さんは、どうやらそう言うタイプの人らしい。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月5日(金)

 昨日1幕をさらったので、今日は2幕を。昨日同様、最後に2幕を通す。

 残る登場人物は2人。綾田俊樹さん演じるビル・レズリーと、竹内都子さん演じるヒューバートの母親である。
 観劇の際の楽しみが減ってしまう恐れがあるので、どちらも詳細には触れないでおこうと思うのだが、どちらもかなり高齢のご老人であることは間違いない。

 稽古の合間の休憩時間も、少しずつだがおしゃべりが増えてきた。もう以前のように「しーん……。」としてしまうことはない。お陰で、休憩時間がちゃんと休憩時間として機能している。ありがたいことである。

 明日は1、2幕の抜き稽古。連日、根を詰めた稽古になっているので、少し軽めのメニューにするつもり。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月4日(木)

 1幕に戻っておさらい。最後に1幕を通す。

 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』の登場人物は全員で12名。これまでに8名をご紹介したので、残るは4名である。

 レズリーの次に登場するのは、セント・アンドルーズ病院に勤務する看護婦である。
 看護婦も婦長と同様に名前が無い。ただ「看護婦」である。加えて、台本のト書きに彼女のパーソナリティに触れた記述が無い。彼女は都合3回登場することになるのだが、そのどれもが滞空時間がごく僅かだから……なのたろうか。
 演じるのは岡村さやかさんで、少ない登場シーンにもかかわらず存在感がしっかりとあって、素敵。

 看護婦の次に登場するのは、ウエスト・エンド中央署から掛けつけた警官である。
 警官は、実は名字だけ明らかにされているのだが、名前の方は分からない(ここでは名字には触れない)。(台本のト書きによれば)巡査部長の制服を付けた中年男である。警官は5つの罪状でレズリーを追っている。デーヴィッドにも頻りに事情説明を求めるが、デーヴィッドは彼に真実を話す訳には行かない。
 この警官にもセント・アンドルーズ病院との接点があり、そのせいでひと悶着起こるのだが、それはもう少し先での事である。警官を演じるのは福本伸一さんである。(つづく)

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演出助手・プロデューサー募集!

 東宝の演劇部が演出助手とプロデューサーを募集している。

 採用は不定期なので、「これは!」と思われる方は、この機会を逃さずにご応募いただきたい。採用となった暁には、面白い芝居をいっぱい作りましょう。

 詳細はこちらからどうぞ。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月2日(火)

 2幕後半をおさらい。昨日整理しきれなかったシークェンスを整理。

 1幕の真ん中辺になって登場する挙動不審のパンク少年がレズリーである。
 レズリーは(台本のト書きによれば)息が切れていて、やや凶暴な様子で登場する。彼はジェーンの一人息子である。「父親はレズリーがまだ赤ちゃんの時に死んだ」と母親(ジェーン)からは聞かされて育ったのだが、しかし真実はそうではなかった。ジェーンが看護婦としてセント・アンドルーズ病院に勤務していた時に、この病院の医師との間に儲けた子供なのであった。
 そのことを知ったレズリーは、突如狂暴化してこの病院に乗り込んで来た。ポンソンビー記念講演があと1時間足らずで始まる、という時に……。レズリーを演じるのは塚田僚一さんである。(つづく)

 明日は稽古OFF。

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

9月1日(月)

 9月である。東京はすっかり涼しくなった。夏は急ぎ足で去り、あっという間に秋の気配である。

 稽古は1幕の後半、そして2幕の前半をおさらい。その後、2幕の中盤を整理(と言うか、整理しきれず)。

 サー・ウィロビーの次には、いよいよジェーン・テートが登場する。
 ジェーンは(台本のト書きによれば)40歳位の抱きしめたくなるような可愛らしい女性である。元セント・アンドルーズ病院の看護婦で、訳あって18年前に退職した。その彼女が18年振りに昔の職場に顔を出したのである。その理由と言うのは……。
 物語はこのジェーンの登場からいよいよ転がり始める(そしてもう止まらない。ブレーキの壊れた車の様に)。演じるのは はしのえみ さんである。

 ジェーンの登場後、しばらくは新たな人物は登場しない。前出の人々が入れ代わり立ち代わり現われて、その度にデーヴィッドがその場しのぎの言い逃れを重ねることになる。
 ようやくその状況を乗り切った、と思ったデーヴィッドの許に、今度は挙動不審のパンク少年が現われる……。(つづく)

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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

8月31日(日)

 2幕の中盤を稽古。

 ヒューバートの次に登場するのは、セント・アンドルーズ病院の看護婦長である。
 婦長は(台本のト書きによれば)大柄な女性である。大柄な女性、と記してあるだけで、それ以外のことは何も(名前すら)書かれていないのである。
 が、職務に忠実で融通が利かないらしいことは言動のひとつひとつから窺い知れる。その頑固さが、やがてデーヴィッドを大いに悩ませることに……。演じるのは池谷のぶえさんである。

 婦長に続いて登場するのは、セント・アンドルーズ病院の理事長、サー・ウィロビー・ドレークである。
 サー・ウィロビーは(台本のト書きによれば)年配の厳格な紳士である。「サー」の称号を持つ、と言うことは、彼は「医学の世界で著しい功績を上げ、女王陛下からナイトに叙せられた」と言うことである。つまり「超」の付く大物、なのである。
 そんなサー・ウィロビーからの期待を、デーヴィッドは不本意ながらも裏切り続けることになり……。演じるのは俵木藤太さんである。(つづく)

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