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『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』通信

8月20日(水)

 1932年生まれのレイ・クーニーが本格的に戯曲を書き始めるのは1960年代に入ってのことである。彼の公式ページにはウエストエンドで上演された作品のリストが載っているが、(それはこちら)、それは60年代から始まっている。最大のヒット作は『ラン・フォー・ユア・ワイフ』で、これはウエストエンドで9年に渡って続演された。
 日本で彼の名がポピュラーになるのは、代表作である『ラン・フォー・ユア・ワイフ』が上演された1993年以降のことであろう。同作と『パパ、I LOVE YOU!』(『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』日本初演時の題名)が納められた戯曲集(『レイ・クーニー笑劇集』)も1994年に出版された。

 で、稽古3日目にして、早くも立ち稽古である。

 立ち稽古……と言っても、キャストの皆さんはまだ台本を手にした状態である。そう言う意味では「座っていないだけの読み合わせ」と言えなくもないが、まあ立ち稽古である。

 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』の主人公は、ロンドンのセント・アンドルーズ病院に勤務する精神科医、デーヴィッド・モーティマーである。
 医師として出世の階段を滑り落ちずにどうにかこうにか今日を迎えたデーヴィッドは、世界中の医師が集まる学会でのレクチャーを成功させれば内科部長の椅子が、そして将来の「サー」の称号が約束されていた。
 ところが、レクチャーが始まる1時間前になって昔の不倫相手が現われ、「18年前にあなたの子供を身籠った」と告げられる。そのことが他人に知られれば、医師生命はもちろん、内科部長の椅子も、「サー」の称号も、そして幸せな結婚生活も、全てはパーである。
 デーヴィッドは全てを守り抜く決意を固めて……。

 『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』は、要約すればそういう話である。
 全てを守るためにデーヴィッドはその場しのぎの嘘をつく。しかし、その嘘が嘘とバレないためには次の嘘が必要となり、更にその嘘を守るためにまた新たな嘘が必要となり……。

 明日も立ち稽古(まだ台本は放さない)。

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