斎藤晴彦さんのこと
斎藤晴彦さんが亡くなった。突然のことであったらしい。倒れられた前日も、普段と変わらず稽古に参加されていたと言う。
斎藤晴彦さんとご一緒したのは『南太平洋』であった。1999年の上演なので、もう15年も経つのだが、斎藤さんは、第二次大戦中の南太平洋に駐屯するアメリカ軍の指揮官、ジョージ・ブラケット大佐を演じてくださった。
斎藤さんの演技は独特だった。自然と言えばとても自然だし、演じていると言えばどう見ても演じている。その両方が不思議と違和感なく同居している。そんな演技をされた。
その結果、斎藤さんが演じるキャラクターはユニークで、ユーモラスで、誰にも出せない説得力を備えることになった。
叩き上げの軍人であろうブラケット大佐も、或いは『レ・ミゼラブル』のテナルディエも、決して知的な人物ではない筈なのに、斎藤さんはそんなキャラクターを知的なアプローチで演じて、斎藤さんにしかなしえないやり方で人物を造形した。
ホーム・グラウンドであった劇団黒テントでの活動から、髙平哲郎さんとのヴォードヴィル的なショーまで、活躍されたフィールドも内容も実に多様、多彩であった。その全てが、斎藤さんの中では何の疑問もなく繋がっていたのだと思う。
それにしても晴彦さん。早過ぎますよ。
合掌。
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コメント
突然の訃報に驚きました。
友人に勧められて初めて観たミュージカルが『レ・ミゼラブル』で
以来、私の中では「テナルディエ」は斎藤さんでした。
ニットの雑誌でモデルをされたときも知的で素敵な方だなぁと思いました。
言葉が有りません。
御冥福をお祈りいたします。
投稿: くまこ | 2014年6月30日 (月) 21時00分