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『王様と私』通信

6月9日(月)

 ミュージカル・ナンバー「トーマスおじさんの小さな家」の固め。

 「トーマスおじさんの小さな家」は、『王様と私』の2幕で登場する劇中劇である。
 19世紀アメリカの女性作家、ハリエット・ピーチャー・ストウの小説に感銘を受けたタプチムが自ら脚色を施した、と言う設定の舞踊劇(バレエ)で、タプチム自らも語り部として出演している。原作の小説は『アンクル・トムの小屋』の題名で馴染み深いだろう。
 『王様と私』の初演でこのナンバーをクリエイトしたのは、『屋根の上のヴァイオリン弾き』や『ウェストサイド物語』を手懸けた演出家・振付家のジェローム・ロビンズである。

 ジェローム・ロビンズは、ブロードウェイ・ミュージカルとバレエの2ジャンルにその足跡を残す巨人である。
 ブロードウェイでの代表作には、上記の他にも『オン・ザ・タウン』『ピーター・パン』『ジプシー』などがあるが、『屋根の上のヴァイオリン弾き』(1964年)を最後にミュージカルを離れ、バレエの仕事に軸足を移した。

 1989年にはロビンズがクリエイトしたミュージカル・ナンバーを集めたアンソロジー『ジェローム・ロビンズ・ブロードウェイ』が作られ、ブロードウェイのインペリアル・シアターで上演された(ボブ・フォッシー作品を集めた『Fosse』タイプのミュージカル・ショーであった)。
 『ジェローム・ロビンズ・ブロードウェイ』で取り上げられたのは、『ハイ・ボタン・シューズ』『オン・ザ・タウン』『ミリオンダラー・ベイビー』『ローマで起こった奇妙な出来事』『ウエストサイド物語』『ジプシー』『ミス・リバティ』『屋根の上のヴァイオリン弾き』などの名場面であるが、『王様と私』からも「Shall We Dance?」と「The Small House of Uncle Thomas(トーマスおじさんの小さな家)」が選ばれていた。
 1991年には来日公演も行われたので、ご記憶の方もいらっしゃるだろう。

 明日、明後日は歌稽古。私はちょっと別件へ。

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