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2014年4月の記事

『シスター・アクト』通信

4月29日(火)

 ミュージカル・ナンバー「シスターになるのは素敵」「さあ、声を出せ!」をおさらい。その後、2幕3場を作る。

 2幕3場はカーティスのオフィスである。
 カーティスによる「アーニー殺し」を目撃したデロリスの行方は依然として知れない。カーティスと子分たちは、デロリスに関する情報を得ようと躍起となっていた。
 そこにテレビから聞き馴染みのあるメロディが聞こえてきて……。
 この場面にはミュージカル・ナンバー「黒いドレスのレディ(Lady In The Long Black Dress)」がある。ここで歌われる「黒いドレス」を着た「レディ」とはシスターたちのことであるが、誰のナンバーかと言うと……。

 明日も2幕。まだ手を付けていない場面をドッサリと。

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『シスター・アクト』通信

4月28日(月)

 立ち稽古。1幕12場と14場を作る。

 14場は1幕のラスト・シーンである。これで1幕の全場面に(もの凄く「ざっくりと」ではあるが)手を付けたことになる。
 14場にはミュージカル・ナンバー「天国へ行かせて/リプライズ(Take To Me Heaven/Reprise)」がある。1幕の冒頭でデロリスが歌ったナンバーの繰り返しだが、幕切れでこのナンバーを歌うのは……。

 明日から2幕に突入。情け容赦のない稽古スケジュールである(嬉しいですけど)

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堀井康明さんのこと

 堀井康明(やすあき)さんが亡くなった。

 今では堀井さんのことをご存じない方も少なくないと思うのだが、堀井さんは私たちの大先輩である。
 私が東宝演劇部に入った頃(30年ほど前です)、堀井さんは演劇部のプロデューサーでいらした。が、プロデューサーとして担当された作品は数えるほどしか無く(ご本人が「4本」とかおっしゃっていたような記憶が。不確かですが)、脚本家として、また演出家として、時に衣裳プランナーや美術デザイナーとして(或いはその全てを兼ねて)、東宝をはじめとする大劇場演劇の一翼を担う活躍をされた方だった。

 堀井さんが手掛けられたのは、山本富士子さんや佐久間良子さんといった大女優のための作品や、『旗本退屈男』『天井桟敷の人びと』など、実に幅広い作品であった。中でも特筆すべきは、『にごり江』他の、脚本家として蜷川幸雄さんと組んだ作品群である。
 その出発点は、私同様、東宝演劇部の演出部であった(のだと思う)。その後、日劇の(或いは「日劇ミュージックホール」の? 不確かなことでごめんなさい。何分私が東宝に入る以前の話なので)プロデューサーも務められ、そして演劇部にプロデューサーとして戻られた。が、プロデューサー契約なのにプロデューサー以外のことをやり続けていらしたことは上記の通りである。

 私事で恐縮だが、私には「タラちゃん」と言うあだ名がある。東宝に入りたての頃に付いたあだ名だが、岡本プロデューサーをはじめ、今でも何人かは私のことをそのあだ名で呼ぶ。

 命名者は堀井さんであった。

 合掌。

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『シスター・アクト』通信

4月26日(土)

 ミュージカル・ナンバー「さあ、声を出せ!」「シスターになるのは素敵」「いつか、あいつになってやる」のおさらいデー。

 『ソウル・トレイン(SOUL TRAIN)』と言うアメリカのテレビ番組があった。
 1971年に始まり35年に渡って放送された人気音楽番組で、一時期日本でも放送されていたことがある。『シスター・アクト』の時代背景である1970年代後半(世がディスコ・ブームに沸いていた頃)にはディスコ・ミュージックやソウル・ミュージックを積極的に取り上げて、ブームの盛り上げに一役買った番組でもある。
 ダンサーたちの派手でユニークなダンスとファッションが番組の売りで、初期の『タモリ倶楽部』には「SOUB TRAIN(総武トレイン)」と言うパロディ・コーナーが存在していた。

 『ソウル・トレイン』にはテーマ曲があって(ある年齢以上の方にはお馴染みであろう)、今回『シスター・アクト』絡みで色々と調べていて、そのテーマ曲が「The Sound of Philadelphia」と言うタイトルであることを初めて知った。
 1970年代、フィラデルフィアはソウル・ミュージックの聖地だった。フィラデルフィア発のそれら音楽は「フィラデルフィア・ソウル」とか「フィリー・ソウル」などと称され、「ソウル・トレインのテーマ」はフィリー・サウンドの代表的な1曲なのであった。
 ミュージカル版『シスター・アクト』の舞台が「1977年のフィラデルフィア」に設定されているのには十分に意味があったのである。

 もう1曲、この時代のディスコ・サウンドで忘れることができない曲にヴァン・マッコイの「ハッスル(The Hustle)」がある。(「ソウル・トレインのテーマ」も「ハッスル」もビルボード誌の全米1位を獲得している)。
 『シスター・アクト』の音楽アレンジには、この時代のサウンドが持つ雰囲気が実に見事に取り入れられている。「ハッスル」の、1度聞いたら忘れることができない印象的なメロディもこっそりと盛り込まれているので、どうぞお聴き逃しのない様に。

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『シスター・アクト』通信

4月25日(金)

 1幕13場を作る。

 シスター・メアリー・クラレンス(デロリス)は、修道院長の勧めで聖歌隊の練習を覗いてみることにする。聖歌隊は、シスター・メアリー・ラザールスの厳しい指導の下、日々研鑽を重ねていた。デロリスは期待を胸に、聖歌隊が練習中の音楽室に顔を出したが……。
 シスター・メアリー・ラザールスを演じるのは春風ひとみさんである。

 この場面にはミュージカル・ナンバー「さあ、声を出せ!(Raise Your Voice)」がある。
 昨年の10月に行なわれたアンサンブルさんたちのオーディションの際に課題曲となっていたのがこの楽曲で(その日のブログはこちら)、つまり、このナンバーは大勢の修道女たちによる大プロダクション・ナンバーなのである。
 ナンバーの内容には深くは触れないでおくが、『サウンド・オブ・ミュージック』で言えば「ドレミの歌」に相当する、ストーリー上で大きな意味を持つ大切なナンバーである。

 今日は1日がかりで、ざっくりとだがドラマ部分の段取りとナンバーのステージングを付け終えた。連日新しい場面を作るのは「しんどくない」と言えば嘘になるが、しんどさを忘れるくらいの発見と喜びが日々あるので、少なくとも私の気分は重くない。

 何はともあれ、ラストシーンまでひと通り手を付けてしまおう、と思う。

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『シスター・アクト』通信

4月24日(木)

 ミュージカル・ナンバー「いつか、あいつになってやる」を振り付け。

 昨日も記した通り、これはエディのナンバーである。エディの「切ない思い」を、石井一孝さんがひしひしと歌い上げる。いつか自分も「あいつ」の様になりたい……と。
 『シスター・アクト』の振付は、田井中智子さんと大澄賢也さんのお2人が分担して当たってくださっている。大澄さんの担当は2曲で、そのうちのひとつがこのナンバーである。

 大澄さんとは『ウェディング・シンガー』で初めてご一緒した。もちろんキャストとしてご出演いただいたのだが、その後『ニューヨークに行きたい!!』で幾つかのナンバーの振り付けをお願いし、スタッフとしてのお付き合いも加わった。
 『Chanson de 越路吹雪 ラストダンス』で再びキャストとしてご一緒し、『エニシング・ゴーズ』ではキャスト&振付として参加していただいた。『シスター・アクト』でも、大澄さんはキャストであると同時に振付家である。

 「いつか、あいつになってやる」は、丸一日かかってアウトラインが出来上がる所まで漕ぎ着けた。大澄さんらしい、ゴージャスでエキサイティングな、70年代テイスト溢れるチャーミングなナンバーになっている。

 お楽しみに。

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速報! ブロードウェイ・ミュージカル『ファースト・デート』

 ブロードウェイ・ミュージカルファースト・デート』の上演が発表になった。シアタークリエにて、11月22日開幕である。公式ページへはこちらからどうぞ。

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『シスター・アクト』通信

4月23日(水)

 立ち稽古。1幕の中盤、7場~11場を作る。

 デロリスは、修道院の中では「シスター・メアリー・クラレンス」と言うことになっている。
 「メアリー・クラレンス」は、デロリスを預かる際に修道院長が咄嗟に付けたシスターとしての名前である。言うまでもなく「偽」のシスターであるが、彼女を「偽者」と知っているのは、修道院の中では修道院長ただ1人である。
 ストーリーをご存じない方もいらっしゃると思われるので、この辺から先は「どんな場面なのか」「何が起こるのか」には触れずにおこうと思う。新鮮な気分でご観劇いただければ、と思うので。
 ミュージカル・ナンバーのことだけ記しておくと、1幕8場にはカーティスと子分たちのナンバー「あいつを見つけたら(When I Find My Baby!)」があり、1幕11場にはエディの「いつか、あいつになってやる(I Could Be That Guy)」がある。

 連日、やや長時間の稽古になっている。キャストの皆さんにはハードな日々だと思う。
 そして、稽古の全時間帯に付き合ってくださるだけでなく、必要な手配や準備に奔走してくださっているスタッフの皆さん。本当にありがとうございます。

 明日は振り付けデー。

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『シスター・アクト』通信

4月22日(火)

 立ち稽古。1幕の幕開きから3場面を作る。

 1幕1場はデロリスのナンバー「天国へ行かせて(Take Me To Heaven)」から始まる。デロリスとカーティスのやり取りがあった後、2つ目のナンバー「私は伝説になる!(Fabulous,Baby)」へと続く。「一流のシンガーに絶対になる!」と、自信だけは満々のデロリスだが……。
 2場はカーティスが裏切り者を始末する場面。運悪くその瞬間を目撃してしまったデロリスは……。
 続く3場は逃げるデロリスと追うギャングの子分たち(TJ、ジョーイ、そしてパブロ)。TJを演じるのは藤岡正明さん、ジョーイはKENTAROさん、そしてパブロは上口耕平さんである。

 今日の場面では、Wキャストの瀬奈さん・森さんデロリスに加えて、同じくWキャストの大澄賢也さん・吉原光男さんカーティスが登場する。
 3場面ともドラマとしてはさほど複雑でも長大でもないのだが、2×2人それぞれと意見交換しながら芝居を作っていると、時間はあっという間に流れ過ぎて行く。気が付けば持ち時間を使い果たしていた。

 それにしても、連日膨大な台詞、歌、段取りと格闘している瀬奈さん、森さんには本当に頭が下がる。相当過酷なことをお願いしているはずなのに、お2人ともいつもと変わらず笑顔を絶やさない。

 本物のプロフェッショナルである。

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『シスター・アクト』通信

4月21日(月)

 顔寄せ。

 全キャストと主要スタッフ、そして公演関係者が顔をそろえたセレモニー。
 岡本プロデューサーの司会で、まずは東宝の池田取締役がご挨拶。『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』の持つポテンシャルや期待感などを話された。
 続いてキャスト、スタッフのご紹介。最後に私からも(演出家は顔寄せでは喋るのが慣例なので)一言(岡本プロデューサーはいつも「演出家の施政方針演説」とおっしゃるが、それほど大それたことは喋っていない。と言うより喋れない)

 顔寄せの後、いよいよ立ち稽古に入る。

 今日手を付けたのは1幕4場(ギャングに追われたデロリスが警察に駆け込む場面)、1幕5場(エディがデロリスを修道院に連れて行く場面)、そして1幕6場(デロリスが修道女たちに紹介される場面)の3場面であった。
 3場面共に登場するデロリスが瀬奈さんと森さんのダブル・キャストなので、まずどちらおひとりに演じていただき、ある程度進んだら交代してもうひとりに、という風に稽古は進んだ。

 1幕5場には修道院長の歌う「ここ、壁の内こそ(Here Within These Walls)」があり、1幕6場にはデロリスとシスターたちによる「シスターになるのは素敵(It’s Good To Be A Nun)」がある。
 前者は芝居の延長としてのナンバーなのでステージングは私が、後者のステージングは田井中智子さんである。

 立ち稽古初日から、かなりハイ・ペース、そして長時間の稽古であった。だが、今この位のペースで進んでおかないと、将来がちょっと心許ない。しばらくはこのペースで進むつもりである。

 今日も楽しそうなお知らせがひとつ。こちらからどうぞ。

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『シスター・アクト』通信

4月20日(日)

 午前中はシスターたちの衣裳合わせ。

 想像はしていたのだが、修道服を着た20人近い一団と言うのは、その想像を超えるインパクトであった。この一団が歌い、そして踊るのだから、かなりの迫力、盛り上がりになるだろう。衣裳デザインは、このブログではお馴染みの前田文子さんである。

 午後は歌稽古。

 本番中のキャスト何人かを除いて、全キャストが集合。幕開きからストーリーの順を追って、ナンバーをひと通りおさらい。
 今までの歌稽古では、それぞれの登場するナンバーだけを稽古して来たので、キャストの全員に「今日初めて耳にするナンバー」があった訳である。なので、一曲ごとに稽古場は大盛り上がりであった。
 今日初めて合流・合体したナンバーもあって、稽古に立ち会って来た我々にもとても新鮮な1日であった。

 海外版のCDで何度も耳にしていた楽曲も、日本語で、そしてライブで聞くと、その迫力と説得力にはCD以上のものがある。今日も幾度となく鳥肌が立った。まだ伴奏はピアノ一本であるにもかかわらず、である。

 ところで、『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』開幕直前スペシャルイベントなるものの開催が告知されている。楽しいイベントになりそうなので、皆さん是非ご応募ください(またしても平日の昼ですが…)。詳細はこちらからどうぞ。

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『シスター・アクト』通信

4月18日(金)

 森公美子さんとの出会いは、森繁久彌さんがテヴィエ役を務めていらした時代の『屋根の上のヴァイオリン弾き』(1986年)までさかのぼる。私は東宝の演出部に入って3年目の駆け出しで、森さんは居酒屋の女房を演じていらした。
 演出家としては『チャーリー・ガール』『イーストウィックの魔女たち』『ラ・カージュ・オ・フォール』でご一緒した。3本とも愛と笑いに満ちた素敵なミュージカルであった。森さんのお人柄そのものの様に。

 さて、今日も歌稽古。
 今日は瀬奈さん、鳳さんとシスターの皆さんが合流。個々に行われてきた歌稽古も、これからは合同で、より本番に近い形での稽古に移って行くことになる。

 歌稽古の後はプレ・ステージングの2回目。
 前回(4月14日)とは異なるナンバーを、振付の田井中さんが、色々な構想を確認するためにラフにステージング。どちらのナンバーもシスターたちが大活躍する超盛り上がりナンバーである。お楽しみに。

 明日は稽古OFF。観たい芝居も山積なのだが……。

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『シスター・アクト』通信

4月17日(木)

 歌稽古、今日は鳳蘭さんと森公美子さん。

 私が演劇の世界に入って30年が経つ(光陰、正に矢の如しです)。なのに、鳳さんとご一緒するのは『シスター・アクト』が初めてである。この業界に30年いてそれでは、「潜り」と言われても反論できない。

 鳳さんのことを私が知ったのは高校時代。鳳さんが「男には飲ませるな」と歌う「赤玉パンチ」のTVCM(1977年)で、であった。まだ鳳さんが宝塚歌劇団に在団中のことである。この世界に入ってからも、鳳さんがご出演される舞台を客席からは拝見していたのだが、ご縁は無かった。
 初めて直接お目に掛かることができたのは、私が千田是也賞を頂いた時である。千田是也賞の贈呈は毎日芸術賞の贈呈式の中で行われるのだが、鳳さんは、その年(2009年度)の毎日芸術賞の受賞者のおひとりだったのである。
 そして今回である。鳳さんと過ごす稽古場での日々が充実したものになる様に、微力ながら努力したい。

 一方、森さんとのお付き合いは結構長い。(つづく)

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『シスター・アクト』通信

4月16日(水)

 映画版とミュージカル版とでは人間関係にも異なる点がある。

 殺人を目撃したデロリスは警察に駆け込み、そしてこの件を担当することになるエディ・サウザー(映画版ではビル・ナンが、ミュージカル版では石井一孝さんが演じる)と出会うことになる。
 エディは、映画での肩書は警部補(lieutenant)であるが、ミュージカル版では巡査(officer)である。
 ミュージカル版のエディには「デロリスの高校時代の同級生」と言う、映画版にはない設定も加わっていて、それもエディの階級が映画版と異なっている理由のひとつかもしれない。
 デロリスとエディの関係も、ミュージカル版『シスター・アクト』の大きな見どころである。

 映画版とミュージカル版で名前の異なる登場人物もいる。

 デロリスを愛人にしているギャングのボスは、映画ではヴィンス・ラ・ロッカ(ハーヴェイ・カイテルが演じている)だが、ミュージカルではカーティス・ジャクソン(大澄賢也さんと吉原光男さんが演じる)である。
 この辺りの変更が何故なされたのか、推測するのはちょっと難しい。何らかの権利関係が理由なのでは、とも思えるが、実際の所は分からない。

 歌稽古、今日は男性デー。いつもは女性が圧倒的多数を占める『シスター・アクト』の稽古場だが、今日はいつもと雰囲気がちょっぴり違う。

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『シスター・アクト』通信

4月15日(火)

 今日も歌稽古。2人のデロリス、森公美子さんと瀬奈じゅんさんが交代で。

 映画版『天使にラブ・ソングを…』とミュージカル版『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』では設定の幾つかが異なっている。

 以前、『シスター・アクト』の時代設定は1977年である、と記したが、ミュージカル版では台詞でその様にはっきりと語られているので、これは間違いない。
 が、映画版にはそう言う台詞は無く、なので映画版の時代設定は、映画が製作された時点での現在(1992年)だろうと思われる。

 舞台となっている場所にも違いがあって、映画版では、物語の発端でデロリスが歌っているのはネバダ州にあるカジノ・タウンのリノ、デロリスが逃げ込む修道院はカリフォルニア州のサン・フランシスコ近郊である。
 対してミュージカル版は、デロリスが歌っているクラブも修道院もフィラデルフィアにあると言う設定になっている。(つづく)

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『シスター・アクト』通信

4月14日(月)

 稽古場がお引っ越し。

 今日から広い稽古場に移った。先週からスタートしているのは歌稽古で、キャストの何人かもブログなどで触れているが、現在、怒涛の勢いで音取りが進行中。

 今日は午前中、稽古前に舞台美術の打ち合わせ。
 舞台美術の基本的なプランは既に出来上がっているのだが、その細部、ディテールや使い勝手、構造や転換方法……を、デザイナーの松井るみさん、舞台監督の佐藤博さん、演出助手の鈴木ひがしさんたちと検証。
 これまでが夢を膨らませる作業だったとすれば、これからは夢を実現させるための作業になる。

 今日の歌稽古は森公美子さん、村井國夫さん、そしてシスターの皆さん。歌唱指導は矢部玲司さんとちあきしんさんである。
 森さんが演じるのは、もちろん主人公のデロリス・ヴァン・カルティエ。村井さんは修道院の行く末を案ずるオハラ神父を演じる。
 題名が『シスター・アクト』と言うだけのことはあって、シスターの皆さんの歌うナンバーは少なくない。修道院に身を潜めたデロリスが聖歌隊に加わることになる所からストーリーも大きく動き出すので、シスターたちの合唱場面もふんだんに登場することになる。

 歌稽古終了後、振付の田井中智子さんによるステージングの実験、と言うか、プレ・ステージング(?)。
 本格的にシーンを作る前に、キャストにラフなステージングを渡して、それがどのように見えるのかを田井中さんがチェック。私自身も多くの発見があった。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』公式ページ リニューアル!

 『ラ・カージュ・オ・フォール』の公式ページがリニューアル。

 ビジュアルが一新され、全キャストも発表となった。公演は来年の2月。首を長くしてお待ちいただきたい。公式ページへはこちらからどうぞ。

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『シスター・アクト』通信

4月12日(土)

 ネットで"Sister Act""CD"などと検索してみると、映画版『天使にラブ・ソングを…』のサウンドトラック・アルバムと、ミュージカル版『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』のキャスト・アルバムがヒットする(それ以外にも色々とヒットしますが)。

 映画版のサウンドトラック・アルバムは全14曲。ウーピー・ゴールドバーグとシスターたちの歌うゴスペルや、マーク・シャイマンによるスコアなど、盛り沢山な内容になっている。
 マーク・シャイマンは、最近では『ヘア・スプレー』や『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』など、ミュージカルの作曲にも意欲的だが、『天使にラブ・ソングを…』のサントラで担当しているのは、編曲と、いわゆる「劇伴」である。

 ミュージカル版のキャスト・アルバムにはいくつかの種類が存在している。まず、ロンドン版のオリジナル・キャスト・アルバムがあり、そしてドイツ語版があり、最近になってオランダ版が加わった様だ。
 ロンドン版のCDを聞いていると……あれあれ? 知らない曲があるぞ。我々の手元にある台本とスコアには存在していないナンバーが収録されているのである。ロンドンでの上演とそれ以降とでは、どうやら内容に差異があるらしい。

 気になってステージ・エンターテインメント社に問い合わせをしてもらったところ、我々にライセンスされている台本とスコアは、現時点で各地で上演されている物と同じヴァージョンであるという。
 どの時点でどのような改訂が加えられたのか詳細は分からなかったのだが、日本版をご覧になって「あれ? CDの曲が無い」と思われた方は、そういう事情なのでご了承いただきたい。

 明日は稽古OFF。皆さん、どうぞよい休日を。

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『シスター・アクト』通信

4月11日(金)

 『シスター・アクト~天使にラブソングを~』が1977年の話であることは昨日も記した。では1977年とはどんな年だったのだろうか?

 1977年は映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が公開された年である。

 ジョン・トラボルタ主演、ジョン・バダム監督のこのアメリカ映画は、ディスコを舞台にした青春物語である。
 映画自体も、ビー・ジーズが手掛けた挿入曲も大ヒットし、アメリカ本国でも日本でも社会現象にまでなった。ディスコ・ファッションやディスコ・ミュージックが世に溢れ、ヒット・チャートを席巻し、折からのディスコ・ブームが頂点を迎えたのである。
 公開されて間もなかった『スター・ウォーズ』第1作の、あのシンフォニックなテーマ曲がディスコ・サウンドにアレンジされてヒット・チャートを賑わし、007シリーズの、あの「ジェームズ・ボンドのテーマ」もディスコ・サウンド化された(『007/私を愛したスパイ』)。

 『シスター・アクト』の主人公デロリスも、そんなディスコ・ブームの中でメジャーなシンガーになることを夢見ている。なので、彼女がステージで歌う歌も自然とディスコ・サウンドになるし、彼女が憧れているシンガーも当然ドナ・サマーである。
 アラン・メンケンさんによるミュージカル・ナンバーもあの時代のテイストで書かれ、あの時代風のアレンジが施されている。そのいちいちがとにかく可笑しく、そして何とも心地よい。

 あの時代を知っている人にも知らない人にも、大いに楽しんでいただけるはずである。(つづく)

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『シスター・アクト』通信

4月10日(木)

 「ギャングによる殺人を目撃してしまったため、ギャングの追跡から逃れるために身を隠す」と聞いて、ある映画を思い出さないだろうか?

 ビリー・ワイルダー脚本・監督の名作『お熱いのがお好き』(1959)である。

 『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』では逃げるのは冴えないクラブ・シンガーだが、『お熱いのがお好き』では2人のバンド・マン(トニー・カーティスとジャック・レモンが演じる)が身を隠す羽目になる。
 時代設定は、『シスター・アクト』がディスコ・ブームの1977年で、『お熱いのがお好き』は禁酒法時代の1929年。そして主人公が身を隠す先が『シスター・アクト』では修道院、『お熱いのがお好き』では、メンバーを募集していた女の子だけのバンド。バンド・マン2人は女装してまんまとバンド・メンバーに納まる。

 「音楽と歌が、価値観の異なる人々を結び付ける」というプロットも様々な名作を想起させる。

 例えば『サウンド・オブ・ミュージック』

 主人公のマリアは、家庭教師として派遣された先で、当主のフォン・トラップ大佐とことごとく衝突する。その家には7人の子供がいて、子供たちも初めはマリアと敵対するが、マリアの前向きな生き方と歌が、やがて両者の距離を無くして行く。
 『シスター・アクト』ではマリアはデロリスで、子供たちはメアリー・ラザールス、メアリー・パトリック、メアリー・ロバートをはじめとする修道女たちであり、トラップ大佐は修道院長であろう。

 数々の名作が持っている力強い構造を『シスター・アクト』は備えている。そして、それら名作の単なる焼き直しにもパロディにも堕していない所が『シスター・アクト』の素晴らしいところなのだと思う。(つづく)

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『シスター・アクト』通信

4月9日(水)

 ミュージカル『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』は、2011年にはブロードウェイに上陸した。歴史あるブロードウェイ・シアターで3月24日にプレビューを開始し、4月20日にオープン。561回続演の後、2012年8月26日に幕を閉じた。
 ブロードウェイ・シアターでは現在、ロジャース&ハマースタインの『シンデレラ』が上演されている。『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』も、かつてこの劇場で上演されたことがある(日本で言えば「帝劇」みたいな劇場ですね)。

 『シスター・アクト』は世界の様々な都市で上演されている。
 ドイツ語圏ではハンブルク、ウィーン、シュトゥットガルトで。イタリアではミラノで。フランスではパリで。そしてステージ・エンターテインメント社の故郷オランダではデン・ハーグで。その他、イギリスとアイルランド、アメリカとカナダを巡るツアー公演も行われている。
 今後も、オーストラリア、メキシコ、韓国、ブラジル、スペインなどでの上演が計画されているらしい。(つづく)

 ステージ・エンターテインメント社によるオフィシャル・ページへはこちらからどうぞ。

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『シスター・アクト』通信

4月8日(火)

 『天使にラブ・ソングを…』の主人公デロリスは、場末のカジノで歌う無名のシンガーである。なので登場人物たちが歌う場面も頻繁に出てくるのだが、映画版はミュージカルではない。使用されている楽曲も"Hail Holy Queen""My Guy""I Will Follow Him"など既成のものである。
 一方、ミュージカル版の『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』には映画で使われた楽曲は登場しない。ミュージカル・ナンバーの全てがこのミュージカルのために書き下ろされた楽曲である。音楽を担当したのはアラン・メンケンさんである。

 アラン・メンケンさんについては今さら説明する必要もないであろうが、1982年にオフ・ブロードウェイで初演されたミュージカル『リトルショップ・オブ・ホラーズ』で頭角を現し、1989年に公開されたディズニーのアニメーション『リトル・マーメイド』で世界的に知られる様になった。
 以後、『美女と野獣』『アラジン』『ポカホンタス』『ノートルダムの鐘』『魔法にかけられて』などなど、ディズニーのアニメーションを中心に、誰もが知っている作品を作り続けて今日に至っている。その大半は後に舞台化され、日本でも上演されていることはご承知のとおりである。

 『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』は、メンケンさんが久々に手掛けた「初めから舞台作品として書かれた」ミュージカルである。作詞は、『ラブ・ネバー・ダイ』や『リトル・マーメイド』(舞台版での追加作詞)を手掛けたグレン・スレイターさんである。(つづく)

 ところで、「ゴスペル歌唱動画 いいね! ランキング」なるものが開催されることが発表された。皆さん奮ってご参加ください。詳細はこちらからどうぞ。

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『シスター・アクト』通信

4月7日(月)

 シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~の稽古が始まった。

 『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』は、1992年に製作されたアメリカ映画『天使にラブ・ソングを…』を原作とするミュージカルである。
 『天使にラブ・ソングを…』は、ウーピー・ゴールドバーグ主演、エミール・アルドリーノ監督のコメディで、アメリカでは1992年5月31日に公開され、12月まで続映される大ヒットとなった。
 ギャングによる殺人を目撃してしまったしがないクラブ歌手が、ギャングの追跡から逃れるために修道院に身を隠すが・・・、というのが物語の発端で、音楽と笑いがふんだんに盛り込まれた、とにかく楽しい作品であった。

 ミュージカル版『シスター・アクト』は、2006年10月からアメリカ、カリフォルニア州パサデナにあるパサデナ・プレイハウスでトライアウトが行われた後、2009年6月2日にイギリス、ウエスト・エンドのロンドン・パラディアムでオープンした。プロデュースしたのはステージ・エンターテインメント社で、ウーピー・ゴールドバーグ自身もプロデューサーとして名を連ねている。
 ステージ・エンターテインメント社は、オランダに本拠地を置き、主にヨーロッパで数々の舞台を製作してきた会社である。日本で上演されたミュージカル『三銃士』『ニューヨークに行きたい!!』も同社の作品で、『シスター・アクト』はそれらに続くミュージカルということになる。(つづく)

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ミッキー・ルーニーさん

 ミッキー・ルーニーさんが亡くなった。

 ミッキー・ルーニーと言えば、ジュディ・ガーランドとのコンビで出演した一連のミュージカル映画のことが真っ先に思い浮かぶ。『青春一座』『ストライク・アップ・ザ・バンド』『ブロードウェイ』『ガール・クレイジー』などである。
 青春スターを卒業してからは、『ティファニーで朝食を』『おかしなおかしなおかしな世界』『ザッツ・エンタテインメント』『ザッツ・エンタテインメントPart 3』『マペッツ』などなど、多くの映画、TVに顔を見せていた。

 私が映画館で見た中で忘れられないのは『クレージー・ボーイ/香港より愛をこめて』である。
 これは「レ・シャルロ」という4人組が主演するフランスのコメディ映画シリーズの1本なのだが、ルーニーはエンド・タイトルが始まっているのにまだ歌い踊り続けていた。

 1979年にブロードウェイで上演されたミュージカル・レヴュー『シュガー・ベイビーズ』では、往年のミュージカル・スター、アン・ミラーと共演した。
 そのワン・シーンがトニー賞の授賞式で取り上げられ、日本でも放送された。お陰で私もルーニー&ミラーの芸達者ぶりの一端に触れることができた。You Tubeなど影も形もない時代の話である(その時の映像はこちら。こうして、今はいつでも見ることができる)。

 1930年代の終わり頃から1940年代中頃まで、彼は全米マネー・メイキング・スター Top10の常連であった。1位になった年も1度や2度ではなかった。
 ご冥福をお祈りします。

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