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2014年3月の記事

朝倉摂さんのこと

 舞台美術家の朝倉摂さんが亡くなった。

 朝倉さんは、日本の舞台美術の世界に大変大きな足跡を残された。『近松心中物語』に代表される、演出家・蜷川幸雄さんとの共同作業が、私の世代では何よりも記憶に残る。
 朝倉さんは、商業的大劇場から実験的小劇場まで、アップ・トゥ・デートな作品から古典まで、膨大な作品を手がけられた。その幅の広さはとにかく驚異的であり、既成概念にとらわれないその創作姿勢が、古典や商業演劇を最先端の現代劇にし、小劇場演劇に普遍性と付加価値を与えた。

 私は『マディソン郡の橋』(1999年、アートスフィア=現在の銀河劇場で初演)でご一緒させていただいた。
 朝倉さんとの打ち合わせは、決まって午前中の、それも早い時間に行われた。多くの作品が同時進行していてたまたまそうであったのか、どなたとの打ち合わせも朝にされていたのか、それは存じ上げないのだが、我が家から徒歩で行ける朝倉さんのアトリエにお邪魔するのは、駆け出しの演出家にとっては大変有益な、わくわくする時間であった。

 今年の読売演劇大賞では、朝倉さんは芸術栄誉賞を受賞された。2月27日に行なわれた贈呈式では、お嬢様の冨沢亜子さんが代理で壇上に登られ、朝倉さんの近況を報告してくださった。
 それから僅かひと月。まだまだご活躍されることを信じて疑わなかったのだが。

 ご冥福をお祈りいたします。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』!

 『ラ・カージュ・オ・フォール』が帰って来る!

 気の早い話で申し訳ないのだが、帰って来るのは来年2の月、日生劇場である。前売り開始は今年の10月、の予定。忘れない様に、今すぐ手帳に書き込んで!

 速報はこちらからどうぞ。

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『その場しのぎの男たち』通信 北陸編

3月6日(木)

 能登に来ている。

 昨年の10月18日に東京・下北沢の本多劇場で幕を開けたその場しのぎの男たちは、その後、旅公演に出ていた。旅公演の前半は12月23日に終了し、2か月半のお休みを挟んで、能登から旅の後半が始まるのである。

 3月だと言うのに今日の東京は冬の寒さが戻った様であったが、能登空港に降り立つと、こちらは雪がちらついていた。気温は1°Cである。
 『その場しのぎの男たち』が上演されるのは、石川県七尾市にある「能登演劇堂」。能登演劇堂は大変素敵な劇場である。私は今回が初めてなのだが、新潟にある、これも素敵な劇場「りゅーとぴあ」と作りや雰囲気がちょっと似ている。
 この劇場の特徴のひとつに、舞台後方の壁が巨大な扉になっていて、そこを開け放って屋外を演劇空間として取り込むことができる作りになっていることがある。
 『その場しのぎの男たち』でも、どこかで扉を開け放つべきではないか、と言う話題が今日もまことしやかに交わされたが、開けません。悪しからず。

 さて。今日は簡単な場当たりの後、ゲネプロ。稽古場で2日間の思い出し稽古を済ませているのだが、やはり実寸では勝手が違った様である。愉快な出来事があちこちで勃発した。

 能登での初日は明日(7日)。18時30分の開演である。5月まで続く旅の後半戦、どうぞ幸先の良いスタートが切れます様に。

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