紀伊國屋演劇賞 そして淡路恵子さん
1月21日(火)
紀伊國屋ホールへ。第48回紀伊國屋演劇賞の贈呈式。
今回、団体賞に選ばれたのは劇団東京ヴォードヴィルショー。授賞理由は『パパのデモクラシー』と『その場しのぎの男たち』の優れた舞台成果に対して、である。なので、僭越ながら私も贈呈式に出席させていただいた。
今回の受賞者には草笛光子さん、池田成志さんら、以前お仕事をさせていただいた方が少なくない。『モンテ・クリスト伯』の美術デザイナー、二村周作さんも(『モンテ…』は対象作品ではないが)そのおひとりであった。
劇団を代表して壇上に上がられたのは座長の佐藤B作さん。まず審査員から審査経過の報告がなされ、続いて賞状と賞金が伊國屋書店の高井社長より受賞者へ贈られた。そして受賞者の皆さんのご挨拶である。B作さんは、そのトップ・バッターであった。
B作さんのご挨拶は、ご本人はいたって真面目でいらしたのだが、どこへ向かおうとしているのか全く予想がつかず、会場内では笑いが絶えなかった。B作さんに続く皆さんのご挨拶も感動的、かつユーモラスなもので、実に気持ちの良い贈呈式であった。
受賞者の皆さん、おめでとうございます。
さて。
贈呈式の後、青山斎場へ。先日亡くなった淡路恵子さんのお通夜。
淡路さんと初めてご一緒したのは私が演出家になる以前、森繁久彌さんの公演に何本か出演された時であった。
演出家としては、アガサ・クリスティのミステリー『ナイル殺人事件』でご一緒した。エキセントリックな老女フォリオット=フォルクス夫人を憎々しげに、かつチャーミングに演じてくださった。その後も、お目に掛かる度に「ぜひ再演して」と希望されていたが、それももはや叶わない。
森繁さんのご自宅に招かれたことが何度かあるのだが、その時は淡路さん、そして淡島千景さんがご一緒だった。
淡路さんが宝塚歌劇団のスターでいらした淡島さんに憧れていらしたことは有名な話である。芸名の「淡路」も、淡島さんから一文字頂いてお付けになったのだそうだ。
普段の淡路さんは、男っぽくて、ゲーム「ドラゴン・クエスト」の超がつくほどのマニアで、歯に衣を着せぬ物言い(晩年にテレビのバラエティで見せた様に)をされる方だった。だが、淡島さんの前では、まるで少女の様に顔を赤らめて、嬉しそうにニコニコとされていた淡路さんだった。
合掌。
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