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2013年11月の記事

『モンテ・クリスト伯』通信

11月29日(金)

  午前中は『クリコレ』の舞台美術打ち合わせ。

 クリエイティブ・チームの皆さんが集まった。舞台美術の中根聡子さん、照明の服部基さん、映像の奥秀太郎さん、それに舞台監督の廣田さん、演出助手の鈴木さん、そして大道具製作の東宝舞台・延島さんも顔を出してくださった。
 中根さんが、前回の打ち合わせに基づいた新しい図面と舞台模型を用意してきてくださった。その新プランに対して、それぞれの立場から意見を出していただく。そして、それらの意見を集約して最終的な美術プランの方向性を打ち出す所まで、今日は辿り着いた。
 今後は実務的な面の検討(素材や造作、構造、見積もり、など)に進むことになる。ひと月もすればもう初日である。時が経つのは早いなあ。何だか「あっ」と言う間である。

  午後は『モンテ・クリスト伯』の稽古場へ。

  オケ合わせ、2日目。であるが、オケ合わせの前にアクションの確認。その後、2幕を冒頭からラストまで。終始順調なペースで進み、2日間に渡ったオケ合わせを無事に終えた。
  明日はいよいよオケ付き通し稽古。稽古場は残すところ2日である。

  稽古後は『クリコレ』振付打ち合わせ。

  『クリコレ』の振付は青木美保さんである。セットリストも徐々に固まりつつあるので、この辺りで全体的な方向性と作業の進め方について意見交換。
  『クリコレ』では、シアタークリエのそれほど広大では無い舞台上に12名のオーケストラ(プラス8名のコーラス)が陣取ることになるので、舞台を広々と使ったダンス・ナンバーなどは必然的に難しい。なので、歌をじっくりと聞いていただく、コンサートらしいコンサートになるだろう。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月28日(木)

 オケ合わせ、1日目。

 『モンテ・クリスト伯』のオーケストラは19名編成。各劇場ともオーケストラ・ピットを使用する。
  昨日まで我々やキャストが座っていた場所をオーケストラの皆さんに明け渡すと、稽古場には後は演技スペースしか残らない。オーケストラのスペースと演技スペースの間の、極々限られたスペースに、身を捩る様にして今日も何とか潜り込む。
  オケ合わせは、幕開きから台本順に、今日は1幕のラストまでを当たる。今までピアノだけで演奏されていた音楽がオーケストラの豊潤なサウンドに置き換わって、まるで白黒/スタンダード画面の映画が、いきなり総天然色/シネラマ・スクリーンに拡大された時の様な衝撃であった(年配の方にしか通じない様な比喩ですが)

 明日もオケ合わせ、今日の続き。即ち2幕。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月27日(水)

  2回目の通し稽古。

  今日のルイザは濱田めぐみさんである。
  濱田さんと彩吹真央さんのダブル・キャストは、『シラノ』のロクサーヌに続いて2度目である。ロクサーヌもそうであったが、濱田ルイザと彩吹ルイザとでは結構印象が異なると思う。
  役作りや解釈が大きく違うわけでは無いので、やはり個性、と言うか、持っていらっしゃるものや身に付いた雰囲気が異なるのだろう。お2人のダブル・キャストには「観比べる楽しみ」がある。

  通し稽古終了後、いつもの様に全体で駄目出し。ただし、いつもより手短に終える様に心掛ける。なぜなら、明日からのオーケストラとキャストとの合わせに備えて、オーケストラのセッティングを稽古後にやらなければならないからである。

  と言う訳で、いよいよオーケストラがやって来る!

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月26日(火)

  1回目の通し稽古。

  ダブル・キャストのルイザ・ヴァンパは、今日は彩吹真央さんであった。
  今日を入れて、稽古場では通し稽古を都合4回(ピアノで2回、オーケストラで2回)行う予定なのだが、彩吹さんと濱田めぐみさんは2回ずつしか通せない、と言うことである(彩吹さんは、その内の1回が終わってしまったので、残り1回である)。
  全体の仕上がりとしては「順調だ」と言っても良いだろうと思う。スピード感は維持されながら、ドラマの緩急、メリハリが付いて来た。緩急、メリハリとも、もっともっと付きたいが。

  上演時間は、1幕がおおよそ1時間20分前後、2幕がおおよそ50分前後になりそうである。これにカーテン・コールが加わり、幕間の休憩は25分である。

  通し稽古の後、そのカーテン・コールを段取る。担当は岡本プロデューサーと演出助手の小川美也子さんで、奇を衒わない極々スタンダードなカーテン・コールになっている。
  カーテン・コールを段取った後、全体で通し稽古の駄目出し。更にその後、幾つかの場面を抜き稽古。

  気が付けば11月も残り僅か。初日は10日後に迫った。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月25日(月)

  午前中から衣裳合わせ。

  今日は終日衣裳合わせである。稽古の出番の合間を縫って、1人ずつ別室へ行って仮縫い&フィッティング。
  キャストの皆さんは交代交代だが、衣裳デザイナーの前田文子さんと衣裳部の皆さん、ヘアメイク・デザイナーの林みゆきさんとヘアメイク・チーム、小道具の堀尾さん、そして担当の演出部の皆さんは、とにかく終日である。
  何はともあれ、お疲れ様でした。

  稽古はアクション・シークェンスを。3つあるアクション・シークェンスを、もう一度丁寧にさらう。
  稽古後は照明打合せ。照明デザイナーの服部基さん、舞台監督の北條孝さん、演出助手の小川美也子さんと。

  照明と言う仕事は、劇場に入ってからでないとその実際を目にすることができない。にもかかわらず、今日の様に、劇場入りする以前に打ち合わせは行わなければならない。どこにどんな機材をどんな目的で用意するのか、照明デザインはそれで概ね決まってしまうものだからである。
  まだ見ぬ照明デザインを頭の中で思い描きながら、上演時間以上の時間をかけて、照明のイメージと方法論を擦り合わせる。

  さて。

  本日より別稽古場でオーケストラのリハーサルがスタート。音楽監督/オーケストレーションは八幡茂さん、指揮は西野淳さんである。
  オケリハは今日から3日間の予定で、4日目には我々本隊と合流する。それまでにこちらはピアノで通し稽古。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月23日(土)

 昼過ぎより稽古場見学会。

 ご応募いただいた方の中から抽選で選ばれた50名の方が稽古場にお越しくださった。
  ホリプロの平野プロデューサーの司会で見学会はスタート。まずは私が『モンテ・クリスト伯』についてのあれやこれや(原作のことや、ミュージカル版のこと、豆知識や雑学の様なこと、などなど)を喋る。
  持ち時間は5分くらい、と言われていたのだが、調子に乗って15分以上喋り、(恐らく)顰蹙(ひんしゅく)を買う。

  そして、ここからが本日のメイン・イベント、ミュージカル・ナンバー3つのご披露である。

  まず、今回の稽古で真っ先に作った場面(10月30日の日記を参照のこと)「さぁ 乾杯だ!」。ナンバー全体がエドモンとメルセデスの「婚約披露パーティ」の場面となっている。
  ここでは、2人の他、モンデゴ、ダングラール、船主のモレル氏、エドモンの父ルイ、そして船乗り仲間や親しい人々が登場する。賑やかな、ミュージカルらしさに溢れた場面である。

  次に、エドモンとメルセデスのデュエット「ただ そばにいる」(こちらは11月2日の日記を参照のこと)。この場面は、早くもムービーがUPされている。気になる方はこちらからどうぞ。
  そしてモンデゴ&ダングラール、そしてヴィルフォールの3人による「罪を着せろ」。『モンテ・クリスト伯』のダーク・サイドを代表するナンバーである(これも11月2日の日記に)。

  ご来場くださった皆さん、そしてご応募いただいたのにお越しいただけなかった皆さん、ありがとうございました。次は日生劇場でお目に掛かりましょう。

 稽古場見学会を終えて、2幕後半をおさらい。並行して、何人かの衣裳合わせ。その後、2幕を通す。
  2幕も、これで大体の形はできあがった。明日は稽古場最後のOFF。休み明けは衣裳とアクションの日。

  演劇の神様、石丸さんに今度こそ休息をお与えくださいます様に。(できれば私にも)

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月22日(金)

  久々に栗原さん登場。で、アクションのおさらい。

  3つあるアクション・シークェンスの内、2つをさらう。
  基本の手、形を確認し、距離やタイミングを調整し、流れを作って、更にそこにストーリー性を盛り込む。さらう以前と以後とでは、伝わって来るものが大きく違う。やはり「餅は餅屋」なのだ、と改めて思う。

  その後、2幕の中盤をおさらい。

 一昨日から行われている、「あら通し?」で発見された課題を潰す作業を、本日も継続中。
  場面と場面を繋げて、「通す」ことで初めて見えるものは少なくない。同様に、1つの場面を繰り返し稽古することで発見することもすこぶる多い。芝居作りとは、その両者を延々と繰り返すことに他ならない。

  明日は「稽古場見学会」が予定されている。ご来場くださる皆さん、稽古場でお待ちしています。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月21日(木)

 1幕の、昨日さらっていない後半をおさらい。その後、1幕を通す。「あら?」ではなく。

  ひとりひとりのキャラクターの個性と存在感が、少しずつではあるが増えて来た。そのことによって、それぞれから影響を受けることになる主人公の人生が、一段と波乱に富んだものに見えて来る。
  ディテールを充実させることが全体を充実させてくれる、のである。
 
 通しの後は全体で駄目出し。更にその後、2幕の1場、2場をおさらい。

  ……なんか、今日は書くべきことを思いつかないなあ。

  困ったなあ……。

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『モンテ・クリスト伯』通信 そして森繁久彌さん

11月20日(水)

 1幕を中盤までおさらい。

 一昨日の「あら通し?」で課題を幾つも発見したので、まずはそれを修正。
  そして、各場面で起きていることがより鮮明に伝わる様に、芝居や歌、ステージング、そしてシーンとシーンの繋がりなどを調整、洗練させる。
  時間軸がどんどん飛躍するのに置いて行かれない様にすることが、やはり何より難しい。が、日に日に『モンテ・クリスト伯』らしくなって行っている、と思う。

  稽古後、東京會館へ。『森繁久彌さんの生誕百年をお祝いする会』。

 私は稽古を終えてからの参加だったので、会場に着いた時には会は既に終盤であった。会場には、森繁さんに縁のある方々が大勢集っていらした。この中に入れば、私は今でも若輩者のひとりに過ぎない。
  私の20代は森繁さんと共にあった。私の演劇人としての人格形成は森繁さんのカンパニーで行われた、と言っても過言ではない。その当時にご一緒した方々のお顔があちこちに見えて、その頃に戻った様な、不思議な感覚であった。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月19日(火)

 午前中はアンサンブルさんの衣裳合わせ。

 だが、私は『シスター・アクト~天使にラブ・ゾングを~』の舞台美術打ち合わせ。打ち合わせを『モンテ・クリスト伯』の稽古場ロビーでやらせてもらったので、打ち合わせをしながら、要所要所で衣裳合わせの様子もチェック。なんて能率の良い。

 午後は『モンテ・クリスト伯』の稽古。2幕6場と8場をおさらい。

 この2シーンには、アルベールとヴァレンティーヌの若い2人が重要な役割を負って登場する。その部分を、今日は時間をかけて丁寧に。
 その後、稽古がラスト・シーンまで一巡したので、改めて歌のおさらい。が、歌のおさらいは林アキラさんとやまぐちあきこさんにお任せして、私は演出助手の小川さんと共に千葉県東総文化会館へ。

 そんな所へ何しに行くのか、と言うと、実際の舞台を使用しないと確認できない幾つかのことがあり、それを日生劇場に入る前に確認しておくためであった。
 舞台監督の北條さん率いるチームが、今日は朝からその「幾つかのこと」を仕込んで調整をしておいてくれている。私はその最後に立ち会って、「幾つかのこと」に判断を下すのが役目であった。

 東総(とうそう)と言うだけあって、会館は房総のかなり東寄りにある。都内にある稽古場を日の高い内に出たのに、到着した時にはとっぷりと日が暮れていた。あとちょっと行けば、そこはもう犬吠埼である。
 チーム北條が準備万端整えて待ってくれていたお蔭で、私たちが到着してからの確認作業は極めてスムーズ、能率よく進んだ。往復に4時間以上を費やして、実働は30分に満たない、ちょっとした小旅行であった。

 昨日の予告通り、今日は長い一日であった。皆さん、お疲れ様でした。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月18日(月)

 全場面をおさらい。

  台本順に、2~3場面を繋げて稽古。つまり「通し」ではなかった。
  しかしそれは元々「そうしよう」と考えていたからであり、「今日の芝居が不出来だったのでそうなった」とかではないので、念のため。

  『モンテ・クリスト伯』には少人数しか登場しない場面もいくつかあり、そう言う場面を稽古する時は稽古場に集まる人数も少ないので、今まではちょっと寂しい思いをした日もあった。
  今日は全キャストの前で全場面が演じられるので、そう言う寂しさは感じないで済んだ。裏返せば、いくつかの場面は「今日初めて見る」キャストもいる、と言うことで、そんな初見のキャストたちの反応が新鮮で、結構楽しかった。

  明日は演出部さんが二手に分かれる日。長い一日になる筈である。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月17日(日)

  おさらいデー。1幕7場と8場、1幕10場、そして1幕12場と13場をおさらい。

  1幕7場と8場はシャトー・ディフ。エドモンとファリア司祭の場面である。
  2人の出会いから、エドモンがシャトー・ディフを離れるまで。その時間経過と、その間の2人の関係の変化を、今まで以上に分かり易くすることに重点を置いてさらう。省略と飛躍が大胆なので、それを体現することが、なかなか難しい。

  1幕10場は海賊船の場面。
  ここも「作りっぱなし」感の強かった場面である。なので、まずアクションをおさらいし、次にステージングを整理し、更に芝居部分を掘り下げる。
  この船上にも新たな出会いがあり、その出会いが、エドモンの人生にも大きく影響を与えることになる。

  そして1幕の幕切れとなる12場と13場。
  あんなことがあって、こんなことになって、そして……である。

  まだ稽古は始まったばかり、だと思っていたが、稽古場で過ごすのも残り2週間である。
  最後の一週間は通し稽古とオーケストラとの稽古に費やされるので、逆算すると、芝居を固められるのは残り1週間、と言うことだ。
  と言う訳で、何はともあれ、明日は全場面を当たってみるつもり。
  稽古場のスケジュール・ボードには、明日のメニューは「あら通し?」と書かれているのだが、「荒くても通しができると良いなあ」とも読めるし、「あら?  通せるの?」とも読める。

  どっちだろう?

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月15日(金)

  2幕9場、そしてエピローグを作る。

  今日はほぼ丸々、アクションの栗原さんデー。2幕9場には、3つ目にして最後のアクション・シークェンスがあるのである。
  誰と誰のアクションであるかは、このブログの隅々まで目を通してくださっている方にはお分かりだろうと思う。

  そしてエピローグ。
  ……切ないなあ。

  何はともあれ、ラスト・シーンまで辿り着いた。肩の荷が降ろせた様な気がして、ようやく人心地。でも、次のクールでは、作りっぱなしになっている「様々なこと」を整理整頓しなくては。

  でもその前に、明日は稽古OFF。演劇の神様、石丸さんにどうぞ休息をお与えくださいます様に。(できれば私にも)

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月14日(木)

 2幕8場を作る。その後、2幕1場、2場をおさらい。

 2幕8場にはエドモンのナンバー「あの日の私」がある。昨日稽古した2幕7場の「今日まで」共々、製作発表で披露された楽曲である。その様子は(ダイジェストではあるが)公式ページでご覧頂くことができる。
  例によって場面の内容には触れないが、公式ページのMOVIEへのリンクを張っておくので、お聞きになりたい方はこちらからどうぞ。

 8場には、キャストの中山昇さんが1から10まで数を数え上げる台詞があるのだが、「……5つ、6つ、7つ……」と来て何故か次がひとつとんで「9つ」になってしまう。
  そんなことが何度か繰り返されたので、本来は緊張感で満たされる筈のこの場面が何度も笑いに包まれた。

  明日はいよいよラスト・シーン。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月13日(水)

  立ち稽古。2幕6場と7場を作る。

  ここから先のことは極めてブログに書き難い。何を書いても恐らくネタバレである。なので、内容には触れないでお茶を濁すことにする。
  石丸さんがほとんど全編出ずっぱりであることは以前記した通りである。が、今日稽古した場面での石丸さんの登場時間は、僅か1分30秒であった。その場面を今日は都合4回稽古したので、「1分30秒×4回=6分」が今日の石丸さんの延べ登場時間であった。
 今日稽古した場面には石丸さんが参加するミュージカル・ナンバーも無い。あるのは、アルベールの恋人・ヴァレンティーヌ(ジェイミー夏樹さん)の歌う「やさしい嘘」と、メルセデスの歌う「今日まで」である。

 登場時間は少なかった石丸さんだが、稽古場の建物内にはいらっしゃていて、待ち時間には別室でミュージカル・ナンバーや台詞をさらっていらっしゃる。
 稽古の虫、なのである。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月12日(火)

  午前中は『クリコレ』の舞台美術打ち合わせ。

  前回の打ち合わせを踏まえて、美術デザイナーの中根さんがスケッチを書いて来てくださった。
  それを見ながら、「ここはこうならないか」とか、「あそこをこうしたい」とか、「こう言うのはどうでしょう?」とか、プロデューサーの服部さん、舞台監督の廣田さん、演出助手の鈴木さんなどにも参加していただいて、意見交換。
  我々の仕事はその繰り返しである。

  午後は『モンテ・クリスト伯』の稽古場へ。昨日手を付けた2幕3場の前半をさらった後、2幕4場、5場を作る。

  2幕4場と5場は、連続するひとつのシークェンスである。モンテ・クリスト伯はいよいよ復讐に乗り出すことになる。この時のために彼は生きて来たのだ。
  その一連は、ひとつのミュージカル・ナンバーとして表現されている。「欲望は底なし」である。
  このナンバーもそうなのだが、『モンテ・クリスト伯』では、ストーリーの展開を極めてミュージカル的な処理で大胆に表現している箇所が多い。その手法のお陰で、『モンテ・クリスト伯』はスピーディ、且つダイナミックに物語を運ぶことに成功している、と思う。

  明日は「復讐を遂げた後の場面」へと進む。「復讐」が物語のゴール、では無いのである。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月11日(月)

  立ち稽古。2幕3場を作る。

  2幕3場は、モンテ・クリスト伯となったエドモンが、パリの貴族たちの前にその姿を現す場面である。主要な登場人物たちが、ここで再び一同に会することになる。
  ここには「噂の伯爵」と「忘れ得ぬ瞳/男は死んだ」の2つのミュージカル・ナンバーがある。前者は「まだ見ぬ伯爵について噂話を繰り広げる貴族たち」のナンバーで、後者は「20年近い時を経て再会したエドモン改めモンテ・クリストとメルセデス」のナンバーである。

  思えば、こう言う「噂話」のナンバーも随分たくさん作って来た。『ミー&マイガール』にもあったし、『ジキルハイド』にも『シラノ』にもあった。『レベッカ』などは、ミュージカル・ナンバーの大半が噂話であった。
  こう言うナンバーを作るのには思いの外時間がかかる。僅か3分半のナンバーの段取りを付けるだけで、今日も3時間を費やした。
  その段取りを机上で考えるのに、その倍は時間を使っている。『エニシング・ゴーズ』通信にも記したが、こう言う場面を手際良く作れる様に、いつの日かなりたいものである。

  稽古後、プログラム向けに石丸さん、花總さんと対談。作品や役柄などについてのお2人のお考えを聞くことができて、良い機会でした。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月10日(日)

 立ち稽古。2幕2場を作る。
 
 2幕2場はローマの地下墓地。そんな薄気味の悪い場所に、なぜかアルベールとエドモンが繋がれている。ここには2人の歌うナンバー「女って」があるのだが、そこに仮面を付けた5人が現れて……。
 しっとりと始まるこの場面も、後半では一転してアクションとなる。エドモンがアルベールを庇いながら、同時に5人を相手に立ち回ることになる。『モンテ・クリスト伯』2つ目のアクション・シークェンスだが、3つあるアクション・シークェンスのうち、一番賑やかなのがここであろう。

 アクションの栗原さんが、いつもの様に自ら動きながら、少しずつ手を決めて行く。だが、その様にしてアクションの中身を作るのには、実はそれほど多くの時間は必要としない。
 栗原さんは急がず、色々なことを吟味し、様々なことに配慮してアクションを作って行くが、それでもそこに多くの時間がかかる訳ではない。時間が必要となるのはアクションの手が付いた後。その手をひとりひとりが腑に落とすまで、なのである。

 今日も全体での稽古を終えた後、関係するキャストが自主的に残ってアクションをさらっていた。歌やダンスもそうだが、あたかもその瞬間にその人物が、思いつくままに歌ったりしゃべったり動いたりした様に見えてこその歌、ダンス、アクションである。

 道のりは遠い。けど、その価値はある。

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『クリコレ』通信

11月9日(土)

  東宝演劇部へ。クリエ・ミュージカル・コレクション(略して『クリコレ』)の打ち合わせ。

  今日はプロデューサーの服部優希さん、演出助手の鈴木ひがしさん、演出部の細川ゆう子さん、製作助手の村上奈実さんが集まってくださった。で、セットリストなどなど、中身のことで意見交換。

  今のところ、『クリエ・ミュージカル・コレクション』は2幕構成である。途中に1回休憩が入り、全体としては2時間30分を超えない位に仕上げたい。オーケストラは12名編成の予定で、チラシなどにもある通り、指揮は若林裕治さんである。

  公式ページで募集していた楽曲のリクエストにも沢山のご応募をいただいた。その結果が集計されて手元にあるのだが、セットリスト作りに大いに参考にさせていただいている。
  「やっぱりねえ。」と言うご応募がもちろん大半を占めているが、「なるほどねえ!」と言うものも少なくない。中には、ただただ「?」と言うものも見受けらるが、それでも皆さんのご意見はとても貴重だし、ありがたい。

  ご応募くださった皆さんに、この場をお借りして御礼申し上げます。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月8日(金)

  立ち稽古。2幕に入る。

  2幕の1場はローマのカーニバルである。
  メルセデスの息子・アルベールがカーニバルを見物していると、仮面を付けた3人の妖しい女たちが近寄って来て、何処かへと彼を誘う。誘われるままにその後をついて行くと……。
  アルベールを演じるのは大川勇さんで、3人の女は……。今日は「……」が多いな。

  この場面にはミュージカル・ナンバー「踊れ タランテラ/ローマのカーニバル」がある。
  ステージングの担当は田井中智子さんだが、そのステージングの最中に私が舞台の使い方を二転、三転させたので、田井中さんにもキャストの皆さんにもご迷惑を沢山お掛けした。
  ごめんなさい。

  さて、明日は稽古OFF。休み明けも引き続き2幕。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月7日(木)

  1幕10場をおさらい。

  10場は海賊船の場面であるが、ここには1つ目のアクション・シークェンスがある。戦うのはエドモンと岸祐二さん演じる海賊・ジャコポである。
  アクションの栗原さんは、アシスタントの五味さんを相手に動きながら、少しずつアクションを形にして行く。実際に演じることになる石丸さんと岸さんは、それを横から見ていて手を覚える。やがて栗原さん、五味さんと石丸さん、岸さんが交代して、本人同士が手を合わせることになる。

  良く出来たアクションは論理的である。物理的、と言い換えてもいいかもしれないが、なので、良くできたアクションでは「何が起こっているのか」は一目瞭然である。
  栗原さんの生み出すアクションも「何が起こっているのか」が手に取る様に分かる。物語の中のアクション・シークェンスでは「何が起こっているのかが良く分かる」と言うことは何よりも重要である。
  ダンス・ナンバーが振り付けられて行くのを見ているのはとても面白いものなのだが、アクションが作られて行くプロセスも、見ていて飽きることがない。

  10場の後は1幕の前半をおさらい。

  今までに手を付けた場面の内、1幕1場から8場までを台本の流れに沿ってさらう。
  それぞれのシーンを作っている時には感じなかったことだが、改めて流れを追ってみると、このミュージカルの持つスピード感やダイナミックさ、運命の皮肉や残酷さ、などなど、様々なことが鮮明に見えて来る。本日の収穫である。

  さて。

  明日からは2幕に入る。昨日も記したが、何があっても、とにかくラスト・シーンまで行ってみる。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月6日(水)

 立ち稽古。1幕12場、13場を作る。

 13場は1幕のラストシーンである。つまり、これで1幕のラストシーンまで辿り着いた。
  もちろん辿り着いただけで、出来上がった訳ではない。いつもの新作ミュージカルを作る時と同様で、まず全編をラフに当たり、「各場面でどんなことが行われるのか」の目途を付けるのである。
 そうすることで、キャストは作品の全体像を把握し易くなる。キャスト以外の各セクション(大道具の作りのことや、衣裳や小道具、着替えのこと、舞台転換の段取り、スコアのサイズ、などなど)も根拠を持って作業を進めることが可能となる。
 そうして進んだ各セクションの仕事が今度は稽古場に還元され、それを二巡目の稽古に反映させることができるのである。

  話は変わるが、『モンテ・クリスト伯』の原作小説を書いたのはアレクサンドル・デュマ。デュマは『三銃士』や『王妃マルゴ』『黒いチューリップ』なども手がけた、19世紀フランスの大ベストセラー作家である。
  昨日ご紹介した原作小説は、長さだけを言えば確かに長い。『三銃士』も長かったが、しかしどちらも大ベストセラーとなる様な小説である。万人受けする大衆性や娯楽性、外連(ケレン)味などを兼ね備えている。読んでいて「長い」と感じることはないだろう。

  ミュージカル版の『モンテ・クリスト伯』も、そう言う意味では大娯楽作品である。決して堅苦しいミュージカルではないので、愛と冒険と復讐のメロドラマを存分に堪能していただければ幸いである。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月5日(火)

 立ち稽古。1幕10場、11場を作る。

 新作ミュージカルの稽古では大抵そうなってしまうのだが、今回も「連日、新しい場面を作る」羽目になっている。
 当然、前もって様々なことを予習してはいるのだが、それでも「毎日新しい場面」は演出家にとっては結構しんどい。が、今回、演出家以上に大変なのは、ほぼ出ずっぱりの石丸さんであろう。石丸さんの連日の奮闘は正に驚異的である。

  それはともかく、1幕10場は海賊船の船上が舞台。シャトー・ディフの次にエドモンが行くことになる場所がこの海賊船なのであった。海賊のリーダーは、タフな女海賊ルイザ・ヴァンパである。
  ルイザをダブル・キャストで演じるのは濱田めぐみさんと彩吹真央さん。お2人は『シラノ』でもロクサーヌをダブル・キャストで演じていらした。
  だが、お2人でのダブル・キャストが続くことは意図されたことではない様だ。『モンテ・クリスト伯』『シラノ』それぞれのキャスティング作業がたまたま同時進行していて、と言うのが真相らしい。

  閑話休題。1幕11場の舞台はモンテ・クリスト島である。
  モンテ・クリスト島はイタリアの沖合に実在する島で、『モンテ・クリスト伯』の中では「ある途轍もない物」がそこに眠っている、と言う設定になっている。モンテ・クリスト島で「ある途轍もない物」を手に入れたエドモンは、名をモンテ・クリスト伯と変え、自分を陥れた人物たちへの復讐へと乗り出して行くことになる……。

  新作の稽古風景をブログに書く時は、いつもネタバレにならない様にと神経を使う。その結果、神経を使った分何だかよく分からない文章になってしまう、と言うことに陥ることも少なくないが。
  今後はストーリーやどんな場面なのかについてはあまり触れないことになると思われるが、そう言う訳なので、どうかご理解いただきたい。

  観劇前にどうしてもストーリーを知っておきたい方には、原作小説をお薦めする。現在入手可能な岩波文庫版は全7巻。
  青少年向けの、それほど長くない版もあります。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月4日(月)

 立ち稽古。1幕6場、7場、そして8場を作る。

 1幕6場は、「すぐに戻る」との言葉を残して婚約披露パーティから姿を消してしまったエドモンのことを案じるメルセデス、そのメルセデスを甲斐甲斐しく世話するモンデゴ、そしてシャトー・ディフに送られたエドモン、その3者と残酷な時の流れを見せるシークェンスである。
 ここにはミュージカル・ナンバー「命を削られて」があり、ミュージカルならではの表現で、3人の身の上に起こっていることが語られる。

 1幕7場はシャトー・ディフの独房。エドモンはこの島で14年を過ごすことになるのだが、その間に起こった重要な出来事が7場と8場では語られる。
 ここでは、エドモンの人生に計り知れない影響を与えることになる人物との出会いがある。村井國夫さん演じる司祭、ファリアである。
  その出会いがどのように訪れるのか、ファリア司祭とは何者なのか、そして司祭がエドモンに与える影響とは?

 その答えはどうぞ劇場で。

 さて。

 『エニシング・ゴーズ』大阪公演もついに本日千穐楽。あの陽気な連中に、いつかまた会えます様に。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月2日(土)

  立ち稽古。1幕2場をさらった後、1幕4場、5場を作る。

  エドモンは身に覚えのない罪で逮捕され、シャトー・ディフへ送られる。シャトー・ディフはマルセイユ沖の小島(イフ島)に実在した監獄である。ここには政治犯や宗教犯が送られたのだそうである。
  1幕4場は、収監されたエドモンと、エドモンの帰りを祈り続けるメルセデスの姿が交錯する場面。ここには2人の歌うミュージカル・ナンバー「ただ  そばにいる」がある。

  続く5場は再びヴィルフォールのオフィス。エドモンの雇い主モレル氏、エドモンの父、それにモンデゴとダングラールがエドモンの保釈願いに訪れている。が、ヴィルフォールの返事は……。
  ここにはモンデゴ、ダングラール、そしてヴィルフォールのナンバー「罪を着せろ」がある。

  今日は(2つのミュージカル・ナンバーのステージングを含む)新しい場面2シーンに手を付けたが、今日も「順調であった」と言っても差支えない(であろうと思われる)一日であった。キャストの皆さん、お疲れ様でした。

  明日は稽古OFF。でも、やることが山積してるし。

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『モンテ・クリスト伯』通信

11月1日(金)

  立ち稽古。1幕1場、2場、3場を作る。

 『モンテ・クリスト伯』の時代設定に触れておくと、物語の発端は1814年。フランスの皇帝であったナポレオン・ボナパルトが退位し、エルバ島に流された年である。
 10月29日の日記に記した「エドモンが航海中に託された手紙」と言うのは、エルバ島のナポレオンがフランス本国の支持者宛てに書いた手紙であった。
 この手紙を所持している事は、直ちに時の政府に反旗を翻す事を意味した。モンデゴとダングラールの企みは、その事を利用してエドモンをこの世から抹殺する、と言うものなのであった。

 そんな事とは夢にも思わないエドモンが、マルセイユに帰港し、最愛の人メルセデスと再会する場面が1幕1場である。エドモンが乗り組むファラオン号の船首で、エドモンとメルセデスのスウィートなデュエットが繰り広げられる。
 続く1幕2場は、一昨日ステージングした2人の婚約披露宴の場面。前回途中までで終わっていたものを、今日は最後まで。
 続く1幕3場は、身に覚えのない罪で告発されたエドモンが地方検事ヴィルフォールの尋問を受ける場面。ここで「手紙」に関する思わぬ事実が明らかになり……。

  まずは順調な出だし、と思われる立ち稽古1日目であった。

 さて。

 『エニシング・ゴーズ』の大阪公演初日。

 私は今は『モンテ・クリスト伯』の人間なので大阪の様子は分からない。良い初日]を迎えられています様に。
  『エニシング・ゴーズ』の大阪公演は11月4日限り。さあ、シアターBRAVAへ急いで!

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『モンテ・クリスト伯』通信

10月31日(木)

  歌入りで読み合わせ。

  既にステージングなども始まっているのだが、実は今回、まだ読み合わせをしていなかった。で、今日、改めて。
 『モンテ・クリスト伯』は1幕が13シーン、2幕が10シーン。今日の読み合わせでは1幕が1時間15分程度、2幕は50分を切るくらいの時間であった。まだ舞台転換の時間も人物の移動時間も全く考慮されていない数字なので、本番の上演時間を云々するのは時期尚早なのだが、まあ参考程度に。
 ドラマの中では20年に及ぶ歳月が流れる『モンテ・クリスト伯』であるが、展開は極めてスピーディである。

  読み合わせの後はアクションのワークショップ。

 2回目の今日はエドモンとモンデゴのお2人。但し、まだワークショップの段階なので、実際のアクションの手をつけているわけではない。
  アクションの栗原さんが、今回のアクションに必要なコツを細かく丁寧に手ほどきしてくださる。私は稽古場の片隅でその様子を眺めているのだが、退屈すると言うことが全くない。アクションは面白いなあ。言葉がないのにとても雄弁だし。

  さて。

  『その場しのぎの男たち』東京公演が千穐楽。

  ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れ様でした。
  この後『その場しのぎの男たち』には旅公演があり、それは(断続的にではあるが)来年の春まで続く。お近くにお邪魔した際にはどうぞよろしくお願いいたします。

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