『その場しのぎの男たち』通信
10月10日(木)
『その場しのぎの男たち』の稽古が始まっている。
……と言うより、最後の追い込みである。何しろ初日は10月18日(金)である。来週の明日には幕が開くのである。
『その場しのぎの男たち』は、三谷幸喜が劇団東京ヴォードヴィルショーさんのために書き下ろした、ワン・シチュエーション(全1幕、全1場)のコメディである。
初演は1992年で、演出は滝大作さんであった。好評につき1994年に再演され、更に2003年、劇団の創立30周年を記念する公演にも取り上げられた。滝大作さんに代わって私が演出を担当するようになったのはその時からである。
あれ? コレ的な文章は前回の「通信」で書いたなあ。ま、いいや。
それはともかく、それから10年である。「10年経つ」と言うことは、今回は劇団創立40周年記念公演だ、と言うことである。
私の不在中に稽古を進めてくださっていたのは演出助手の添田忠伸さんである。添田さんは古くからの劇団のお仲間のおひとりで、10年前の時にも演出助手を務めてくださっていた。
添田さんのお陰で、私も安心して稽古場を留守にすることができたのである。添田さん、ありがとうございました。
さて。
今日はいきなり通し稽古であった。
劇団からの報告で、既に通し稽古を挙行したことは聞いていた。だったら、今日も通した方が良いだろう。そう思ったので、その様にお願いしておいたのであった。
稽古場のある建物に到着すると、いきなり客演の伊東四郎さんと出くわした。10年振りであるにもかかわらず、にこやかに「お久しぶりです」と声をかけてくださり、高校生の頃『みごろ! たべごろ! 笑いごろ!』を毎週欠かさず見ていた私は、稽古の始まる前から胸が一杯になってしまった(『みごろ! たべごろ! 笑いごろ!』は、一世を風靡した「デンセンマン」や「しらけ鳥」を生みだした、1970年代後半の伝説的バラエティ番組である)。
閑話休題。10年振りに生で観た『その場しのぎの男たち』は、やはりとても良くできた喜劇であると思われた。
伊東さんをはじめ、劇団の主宰者でもある佐藤B作さんや、佐渡稔さんなど、10年前から(実際にはそれ以前から)続投されているキャストがいらっしゃり、今回役が変わったキャスト、それに今回が初参加となるキャストがいらっしゃる。
観ながらとても懐かしく感じたし、同時にとても新鮮にも感じた。
通し終了後は全体で駄目出し。
と言っても、いきなり通し稽古だけを観て駄目出しができるほど、私は有能な演出家ではない。今日の時点でのささやかな感想だけを申し上げて、明日、再び通し稽古を見せていただくことにした。
劇団東京ヴォードヴィルショー第69回公演『その場しのぎの男たち』は、10月18日より、東京・下北沢の本多劇場にて上演。その後、各地を巡業の予定。
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