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『その場しのぎの男たち』通信

10月15日(火)

  下北沢へ(昨日も来たけど)

 本多劇場で、朝から『その場しのぎの男たち』の搬入、そして仕込みである。
 プロのスタッフさんたちに混じって劇団員の皆さん(の中で自分を若手だと思っている人)の顔も見える。道具を運んだり、アイロンを掛けたり、工具を手にプロ顔負けに働いているベテランもいる。私も「何かしなければ」との思いに駆られるが、もはや若手ではないだろう……と判断して自重した。
 夕方までに大道具は無事に建て込まれた。美術デザイナーの石井強司さんも顔を出してくださり、いつものように刷毛を手に取って、自ら大道具の色の仕上げを始められた。

 『その場しのぎの男たち』の照明デザイナーは宮野和夫さんである。音響デザイナーは石上保さんで、石井さんと合わせたこの3人には昨年の『竜馬の妻とその夫と愛人』でもお世話になった。劇団東京ヴォードヴィルショーさんの仕事の時には必ずお世話になることになる。
 音響チームは夕方までに仕込みとチェックの作業を終え、今日は早上がり。照明チームは引き続きフォーカス合わせに突入。

 東京ヴォードヴィルショーさんでの仕事は、私にとっては定点観測の様な感じである。
  何年か間があいて仕事の依頼をいただき、何年か振りで稽古場に顔を出す。そこには知った顔があり、良く知っている人間関係が変わらずにある。
  もちろん全てが同じな筈も無く、境遇の変化も、去って行く人もある。皆さんも私も同様に歳を重ねたし、今年の様に新しい世代の加入もあったりする。

  東京ヴォードヴィルショーさんで仕事をする時の感覚は、故郷を離れ何年振りかで帰郷する時の感覚に似ているのかもしれない。

  私の実家は東京だけど。

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