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『エニシング・ゴーズ』通信

9月4日(水)

  立ち稽古。1幕2場をざっくりと。

  1幕2場は「ニューヨーク港に停泊中のS.S.アメリカン号のデッキとタラップ」である。ホイットニーのパスポートを届けに駆けつけたビリーが、まずは船に乗り込む。

  船ではある深刻な問題が勃発していた。

  S.S.アメリカン号は大西洋横断の豪華客船である。当時(設定では1934年)、大西洋横断(ニューヨークからロンドンやパリなど。アメリカとヨーロッパを結ぶ旅)は船旅が主流であった。欧米の列強が競って豪華客船を建造し、次々と新しい船を就航させていた。そしてその大きさと速さと豪華さを、国家の威信を賭けて競っていたのである。
  S.S.アメリカン号も、そんな海運競争に加わる一隻であった。船の人気は、船自体の豪華さや性能もさりながら、どんな豪華なゲストたち(ハリウッド・スターや著名な貴族、大富豪など、いわゆるセレブリティたち)が乗船しているか、にも少なからず左右されていた。
  そして今日、出港を目前にして、我らがS.S.アメリカン号には1人のセレブも乗船していないことが判明したのである。頼りない船長(武岡淳一さん)とその忠実な部下であるパーサー(俵和也さん)の2人は、何とか事態を打開するべく悪戦苦闘していた……。

  そんな騒動をよそに、乗客たちが続々と乗船して来る。そして、大きな汽笛を響かせながら、S.S.アメリカン号はニューヨーク港の岸壁を滑る様に離れる……と言うのが1幕2場のあらましである。

  こう言う場面の成否は、ひとえに人物紹介の手際の良さに掛かっている。毎度のことながら、こう言う場面の稽古にはとても時間が掛かる。
  今日もざっくりとした段取りを付けるだけで半日が過ぎた。こう言う場面をもっと要領良く作れる人に、いつの日か私はなりたい。

  1幕2場の終りには「ボン・ヴォヤージュ」と言うミュージカル・ナンバーがある。今日はこのステージングにも手を付けてもらったのだが、思う所があって途中で一旦打ち切り。コンセプトを練り直して後日再トライさせて貰うことに。佐々木有子さん、信彦さん、ごめんなさい。

  今日の稽古メニューは情け容赦なく、更に「1幕3場の前半まで作れ」と書いてある。なので作る。
  ここにはミュージカル・ナンバー「ユー・アー・ザ・トップ」があり、このナンバーの振付は大澄賢也さんである。大澄さんらしい細やかで粋なステージングで、リノ(瀬奈さん)とビリー(田代さん)が軽快に歌い踊る。

  チャーミングな場面になるだろう。

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