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2013年9月の記事

『エニシング・ゴーズ』通信

9月29日(日)

 午前中は照明打ち合わせ。

 『エニシング・ゴーズ』の照明デザイナーは高見和義さん。舞台監督の廣田さん、演出助手の末永さん、照明助手の島田さんに同席いただいて、幕開きからフィナーレまでの照明デザイン、転換やそれらに付随することに関して意見交換。

 午後はバンド合わせ。

 『エニシング・ゴーズ』のバンドは16人編成。トランペット×3、トロンボーン×3、リード×4、ギター、ベース、ピアノ、ドラム、パーカッションにヴァイオリンが入ったビッグ・バンドである。
 指揮はお馴染みの塩田明弘さん。塩田さんの明るく華やかな棒さばきで、次々とミュージカル・ナンバーを合わせて行く。
 今回は音楽監督の甲斐正人さんの考えで、比較的若いメンバーだけでバンドを編成している。そのためサウンドもエネルギッシュで頼もしい。半面、コール・ポーターの音楽世界を再現するのには、いささか苦労している様子ではあるが。
 この若きメンバーたちが『エニシング・ゴーズ』の音楽観を自分たちのものにしてくれた暁には、今までとは一味違う瑞々しい『エニシング・ゴーズ』が生まれるだろう。

 明日もバンド合わせ。バンド合わせを終えた後は、いよいよバンドで通し稽古である。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月28日(土)

  2回目の通し稽古。

  昨日の通し稽古で見つかった課題に果敢に立ち向かった、と言う印象の、密度の濃い、アグレッシブな2回目の通し稽古であった。
  その結果見事にクリアされた課題もあれば、残念な結果に終わった部分もあった。が、収穫はとても多かった。意味のある、有意義な2回目であった。

  通し稽古終了後は、昨日同様に全体で駄目出し。
  昨日よりは手際よく(当社比)駄目出しを済ませ、残りの時間で幾つかの部分を「抜いて」更に調整。

  明日はいよいよオーケストラと合流である。昨日もちょっと触れたが、なので稽古ピアニストの皆さんは今日が最後のお仕事であった。
  今回の『エニシング・ゴーズ』ほど稽古ピアニストさんが活躍した稽古場を私は知らない。『エニシング・ゴーズ』の譜面(ピアノ・スコア)が複雑で、書かれている音楽を再現したくてもピアニスト1人では弾き切れないのである。
  それを熱意と創意工夫とで克服してくださった3人のピアニストさん、中條純子さん、宇賀神典子さん、國井雅美さんに、ここで改めて謝意を表したい。

  と言うわけで、明日はオーケストラとキャストとの合わせ。オケ合わせである。稽古終了後、稽古場には楽器が運び込まれ、音響機材が次々とセッティングされた。

  ところで、今までこのブログでは「オーケストラ」と記して来たのだが、実態としては「バンド」。それもゴージャスな「ビッグ・バンド」である。

  なので明日は「バンド合わせ」。

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『エニシング・ゴーズ』通信

8月27日(金)

  通し稽古。

  稽古時間が全体的に不足気味であった事を思えば、初めての通し稽古としては悪くない手応えであった。
  上演時間は、1幕が1時間20分前後、2幕が50分前後、と言う辺りに落ち着きそうである。これにカーテン・コールが付き、途中休憩が25分なので、トータルでは上演時間は2時間40分~45分くらい、だろうか(そうならなかったらごめんなさい)。

  通し稽古の後は全体で駄目出し。

  全体で駄目出しをするのは、実は今回の稽古場では初めてのことである。昨日までは、限られた稽古時間を合理的に活用することを優先して、シーン毎の関係者だけに駄目を伝えていたからである。
  私も久しぶりの全体駄目出しだったので、思いばかりが先走って駄目な「駄目出し」になっていたのではないか、と、今これを書きながら感じ、ちょっぴり反省。

  明日は2回目の通し稽古。稽古ピアニストの皆さんの「最後のお勤めの日」である。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月26日(木)

 台本順に全場面をあたる。

 遅ればせながら仕上げの段階に入ってきた。場面ごとに、あるいは幾つかの場面をつなげて、幕開きからラスト・シーンまで、全場面を稽古。
 1日で全場面をやるのも初めてだし、ストーリー通りの順番でやるのも初めてである。上手く噛み合わなかった瞬間も幾つもあったが、昨日までの積み重ねが花開いた瞬間もそれ以上にあった。
 
  全体の稽古を終えた後は、ミュージカル・ナンバーの固め。今日は「なんてラブリー」と「僕の中のジプシー」をブラッシュ・アップ。

 最近のこのブログを素っ気なく感じられる方がいらっしゃるかもしれない。
 実はその通りで、ちょっと出し惜しみ、と言うか、本番をご覧いただいた時に新鮮に楽しんでいただきたいので、最近は内容にはあまり触れない様に記しているのである。

 悪しからず。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月25日(水)

 振り固め。「エニシング・ゴーズ」。

 1週間前に大幅に手直ししたこのナンバーを、振り固めを兼ねつつブラッシュ・アップ。良い感じに仕上がってきたと思う。
 タップは、踊り慣れていないとどうしても力が入ってしまうものである。しかし、それは踊りにとっては良くないことで、見た目もドタバタとエレガントではないし、良い音も鳴り辛い。クリアでクリーンな音質のタップを目指したい。
 その後、「フレンドシップ」などなど、幾つかのナンバーをおさらい。ここのところ、連日長時間の稽古だったので、今日はやや早めに稽古を終える。

 早めに終えたのにはもう1つ理由があって、稽古後、演出部さんの進行打ち合わせ。
 舞台監督の廣田さんの仕切りで、劇場入りしてから初日を迎えるまでの諸々や、本番中の舞台裏のあれやこれやを細かく確認。

 別稽古場では、本日よりオーケストラのリハーサルがスタート。稽古場で過ごす日々も残り1週間を切った。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月24日(火)

 今日も朝から衣裳合わせ。衣裳&ヘアメイク・チームの皆さん、連日長時間に渡ってありがとうございました。

 稽古は「僕の中のジプシー」の振り付けから。積み残していた最後の部分の振り付けが終わる。
 その後、1幕の後半(6場、7場、8場)と、2幕の大勢が登場する場面(1場、5場)をおさらい。更にその後「吹け、ガブリエル」の振り固め。

 劇中で、中国人のコンビが予想以上に活躍している。

 「俗物の神父が悔い改めさせた」と言う、ちょっと不思議な設定の中国人、ルカ(照井裕隆さん)とヨハネ(小寺利光さん)であるが(そもそもネーミングが不思議)、稽古を進めている間に、気が付いたら台本に書かれている以上に登場して、台本の指定以上に数々の働きをすることになっていた。
 彼らがいつどこに現れて、どんなことをするのか。

  楽しみにしていてください。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月23日(月)

  今日も朝から衣裳合わせ。今日と明日とでプリンシパルの皆さんの衣裳を合わせる。

  衣裳合わせ、と記しているが、『エニシング・ゴーズ』の様なミュージカル(つまり既製服に出番がない様な作品)の場合、その衣裳の大半は新調されることになる。
  その1点のためにデザイン画が掛かれ、そのデザインのために生地が選ばれ、その生地を洋服屋さんが1点物として仕立て上げる訳である。
  なので、衣裳合わせにも自ずと時間が掛かる。今日も明日も、稽古と並行しての作業なのである。

  贅沢この上ない仕事の進め方であるが、そんな贅沢感も大劇場にミュージカルを観に行く際の楽しみのひとつであろう。手間暇は掛かるが、掛ける甲斐のある作業だと思う。

  稽古は久しぶりの1幕。1場から5場までをおさらい。

  1幕1場では、ほぼ出来上がっていたミュージカル・ナンバー「あなたとならば」のステージングを、我儘を言ってKAZUMI-BOYさんに作り直していただく。
  文章ではなかなか説明し辛いのだが、観客の目に見える物(即ちステージング)と音楽との関係が、どこかしっくりと行っていない様な感じを拭い切れなかったためである。
  そのせいで、予定されていた稽古時間は超過するし、キャストの皆さんには覚え直しだし、KAZUMI-BOYさんには、只でさえ過酷な所に更なるご負担をお掛けしてしまった。

  でも今まで以上に素敵な場面になった(と、少なくとも私は思う)ので、皆さん、ごめんなさい&ありがとうございました。

  稽古後は『モンテ・クリスト伯』の舞台美術打ち合わせ。今日は舞台監督の北條孝さん、演出助手の小川美也子さんも参加してくださった。

  デザイナーの二村さんが、前回までの打合せの成果を踏まえて、より精密な各場の平面図を用意して来て下さった。そして舞台のミニチュア模型も。
  その模型をいじりながら、各場面の使い勝手、転換の手順など、今までより具体的な項目をひとつずつ検討。

  1幕をひと通り検証したところで、模型まで用意された現在の美術プランを一旦凍結することに。
  物語の構造と、観客の目に見える物(即ち舞台美術であるし、「舞台をどう使うのか」と言う演出その物のことでもある)の間にある小さな齟齬が埋め切れない様に感じてしまったためである。
  「もう一考したい」と言う二村さんの熱意に甘えて、そうさせていただくことにした。

  今日は少なくない皆さんに少なからずご迷惑をお掛けした1日であった。ごめんなさい。そして、感謝。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月21日(土)

 今日も朝からアンサンブルの皆さんの衣裳合わせ。
  昨日はエレガントなもの主体だったが、今日は少し派手なもの。それと、『エニシング・ゴーズ』には無くてはならないセーラー服も。

 稽古は「僕の中のジプシー」の振り付けの続きから。あと少し、と言うところで残念ながら今日も時間切れ。惜しい!
 その後、2幕5場をおさらいし、最後のミュージカル・ナンバー「フィナーレ/あなたとならば」をステージング。何はともあれ、S.S.アメリカン号はハッピー・エンドに辿り着いた。

 その後、ミュージカル・ナンバー幾つかのおさらいと固め。今日も長い1日であった。

 明日は稽古場最後のOFF。皆さん、良い休日を。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月20日(金)

  朝から衣裳合わせ。

  『エニシング・ゴーズ』の衣裳デザイナーは前田文子さん。今日と明日で、まずはアンサンブルの皆さんの衣裳を合わせる。
  舞台となるのは大西洋航路の豪華客船、時代は1930年代中頃である。登場する衣裳も自ずとアール・デコ・スタイルの物が多くなる。
  女性の皆さんは、並行してウィッグ(かつら)の合わせも。こちらも、ボブやウェイビーなショートなど、トーキー初期のハリウッド・スターの様なイメージで楽しい。ヘアメイク・デザイナーは富岡克之さんである。

  稽古はおさらいから。
  初めに「フレンドシップ」をさらい、続いて2幕2場、3場、4場をさらう。そしてその後、2幕5場を新たに作る。
  2幕5場は『エニシング・ゴーズ』の最終場面である。色々あってもつれにもつれた愛情の糸を、果たしてビリーは解くことができるのか?  リノに幸せは訪れるのか?  そしてムーンフェイスはどうなる?

  何はともあれ、これでひと通り、全場面に手を付けた。と言っても、それはあくまでも芝居部分だけのことで、まだ振り付けが終わっていないナンバーが幾つかある。
  が、これでキャスト(そしてスタッフ)の皆さんは全体像を把握することができただろう。あとは、出来る限り速やかに、未着手な部分に手を付けたい。

  全体稽古を終えた後、昼公演を終えた帝劇の舞台をお借りして、ある場面のシミュレーション。
  劇場入りする前にこう言う作業をさせてもらえると、舞台稽古の効率が格段に上がる。舞台稽古では、「時」はまさしく「金」なので。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月19日(木)

 2幕4場を作る。その後、2幕1場の「吹け、ガブリエル」後の芝居を作る。

 2幕4場は2度目の「営倉」。深夜になって(と言うか、朝が近づいて)、新しい仲間が加わることになり……。
 「ガブリエル」の後は短い場面。ビリーが思いがけないことを告白し、周囲が大騒ぎになり、ある人物が割って入るが、これまた思いがけないことになる。それらを物陰から窺っていたホープは……。
 ここにはホープの歌う「うたかたの夢“Goodbye,Little Dream,Goodbye”」がある。

 ホープを演じるすみれさんは、ハワイでのハイ・スクール時代に(そのハイ・スクールで上演された)『王様と私』に出演されたことがあるのだそうだ。
 すみれさんの華やかな雰囲気から、私はてっきり「アンナ先生」役だろうと思ったのだが、アンナ先生はイギリス婦人。やはり白人の方がキャスティングされたのだそうだ。だったら「タプチム」かな、と思ったらそれもはずれで、シャム国王の第一夫人「チャン夫人」だったのだそうだ。
 昨年、今年と上演された日本版では花山佳子さんが演じられた役である。と言うことは、“Something Wonderful”をすみれさんが歌われた、と言うことである。すみれさんの“Something Wonderful”、ぜひ一度聞いてみたい。
 『エニシング・ゴーズ』でも、すみれさんの美声をお聞きいただくことができる(そしてダンスも)。どうぞお楽しみに。

 芝居部分の稽古を早めに終わらせて、今日もまた振り付け。
 「ホントにいいのね?」を完成させた後、2幕3場にある「僕の中のジプシー“Gypsy In Me”」に取り掛かる。担当は、どちらもKAZUMI-BOYさん。

  がんばれー!!

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月18日(水)

  今日も振り付けデー。

  まずは「吹け、ガブリエル」をKAZUMI-BOYさんが怒涛の勢いで完成させる。続いて、佐々木有子さんが、作りっぱなしになっていた「エニシング・ゴーズ」を大きく手直し。
  そして、2つの稽古場に分かれて、大澄賢也さんは「なんてラブリー」のおさらいを、KAZUMI-BOYさんは「ホントにいいのね?“Buddie,Beware”」に着手。

  「ホントにいいのね?」は、2幕5場にあるミュージカル・ナンバー。アーマがセイラーたちを相手に歌い踊る、キュートでゴージャスなナンバーである。
  アーマを演じる玉置成実さんは、幼い頃からクラッシック・バレエを習っていらしたのだと言う。その後、ジャズ(ダンス)も経験されている。そんな玉置さんの良い所をKAZUMI-BOYさんが上手く掬いあげて振りにして行く。ここも楽しい見せ場のひとつとなるだろう。

  それにしても、振り付けても、振り付けても、全然終わらないんですけど!

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月17日(火)

 台風一過の東京は、いきなり秋の気配であった。そんな今日は終日「ガブリエル」デー。昨日の続きを、とにかく行ける所まで。

 何と言っても、今日のKAZUMI-BOYさんは格好良かった。9時間近く、ほぼぶっ続けで、この大ナンバーと格闘し続けた。
 あと1時間でも2時間でもあれば、恐らくは最後まで行ったであろうに、残念ながらその寸前で時間切れ。続きは明日のメニューで消化することに。
 キャストの皆さんも、長時間に渡って本当にお疲れ様であった。今日はこのカンパニーのポテンシャル、と言うか、「このカンパニーだからできること」をまざまざと見せつけられた。

 ブログではご自身を「鬼」と称していらっしゃるKAZUMI-BOYさんだが、今日の私には「神」の様に見えていた。ミュージカルの神様である。今日の様な日に、何のお手伝いもできない自分が恨めしい。

 ところで、『クリエ・ミュージカル・コレクション』の東京以外の公演とアンサンブル・キャストが発表になっている。こちらからどうぞ。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月16日(月)

  台風18号が関東地方に迫り、TVなどでも外出を控える様に盛んにアナウンスされていたので、大事を取って稽古の開始時刻を遅らせることに。3時間遅れの16時より本日の稽古はスタート。

  予告通り、今日は「吹け、ガブリエル」の振り付けである。
  再三記したことだが、大きなミュージカル・ナンバーを振り付けるのには大層な時間が掛かる。このナンバーにも今日と明日の丸丸2日間を当てているのだが、その内の貴重な3時間が失われたことは何とも痛い。が、気持ちを前向きに切り替えて、振り付けスタート。
  このナンバーはKAZUMI-BOYさんの担当である。殆どのキャストが登場する大ナンバーを、KAZUMI-BOYさんは見事な手綱さばきでどんどん形にして行く。
  今日は全体の1/4くらいまでは行っただろうか。失われた3時間を惜しくないと言えば嘘になるが、そんなことを忘れさせる様なエネルギッシュな場面が着々と出来上がっている。

  今日の「吹け、ガブリエル」をひとまず終えた後、「ボン・ヴォヤージュ」のブラッシュ・アップ作業。ラフなままだったステージングが、ちょっとした創意工夫で見る見る愉快なナンバーに。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月15日(日)

  午前中は新宿村スタジオへ。『クリエ・ミュージカル・コレクション』のための、アンサンブルさんたちのオーディション。

  今日の東京地方、朝は大変な土砂降りであった。そんな中を参加してくださった皆さん、心より感謝しています。
  そもそも、朝から「歌ったり」「踊ったり」と言うことが容易なことではない。もちろん理由があってそんな時間帯になっているのだが、にもかかわらず素晴らしいパフォーマンスを皆さん披露してくださって、そのことにも感謝しています。

  オーディションを終えて『エニシング・ゴーズ』の稽古場へ。今日から2幕の立ち稽古。

  まずは2幕冒頭にある「犯罪者のナンバーワン」をステージング。ネタバレを避けるためにどんな内容なのかには触れないでおくが、S.S.アメリカン号の乗客&乗員がビリー&ムーンフェイスを迎え入れながら歌うナンバーである。
  ステージングをひと通り終えた後、それに続く2幕1場の芝居部分を作る。2幕1場はS.S.アメリカン号のナイトクラブ。ここには大ダンス・ナンバー「吹け、ガブリエル」があるのだが、今日はその入り口まで。
  その後、2幕2場、そして2幕3場の冒頭を作る。

  2幕2場は、S.S.アメリカン号の船底近くにある「営倉」。営倉とは、簡単に言えば「牢屋」のことであるが、誰が入れられているのかと言うと……。
  それほど長くはない場面だが、ここにはミュージカル・ナンバーが2曲ある。
  ひとつはムーンフェイスのナンバー「青い鳥のように」で、もうひとつはビリー&ホープの「朝までの恋」である。この2曲はダンス・ナンバーではなく、芝居の延長線上にあるソング・ナンバーなので、ステージングはない。
  3場はリノとイヴリンの場面。きれいな月の出た深夜のデッキ(甲板)が舞台で、イヴリンが突然、思いもよらない告白を始める……。

  明日はいよいよ「吹け、ガブリエル」の振り付け……なのだが、台風の様子はどうだろう?

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月14日(土)

  おさらいデー。

  まず「なんてラブリー」をブラッシュ・アップ。振付の大澄さんが、このナンバーのニュアンスやイメージを懇切丁寧にキャストの皆さんに伝えている。
  私個人は、大澄さんご自身がお手本にちょこっと踊る、その一瞬を見られるのがこよなく幸せである。まるでMGMミュージカルのワンシーンを観ている様なのである。軽やかで、しなやかで、そしてエレガント。

  続いて1幕7場と8場をおさらい。つまり「なんてラブリー」の前とその後の芝居部分。
  更にその後、1幕5場をさらう。更に更に「フレンドシップ」をさらい、更に更にその後、1幕4場を、更にそのまた後、1幕6場をさらう。

  そして最後に再び「なんてラブリー」をブラッシュ・アップ。今日のメニューを終了した。

  まだまだ積み残しも少なくないが、明日からは2幕に突入。とにかく、行ける所までどんどん行ってみるつもりである。
  いま現在、最大の心配事は「接近中の台風の行方」である。どうぞ大きな被害が出ません様に(そして稽古が休みになりません様に!)

  稽古後、音楽誌「サラサーテ」さんの依頼で、作曲家の笠松泰洋さんと対談。
  笠松さんとは『兵士の物語』『GOOD』でご一緒した。かなり久し振りだったにもかかわらず話が弾んで、終電を逃しそうになる。

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『モンテ・クリスト伯』通信

9月13日(金)

  『エニシング・ゴーズ』はお休み。『モンテ・クリスト伯』の歌詞ミーティング。

  新作ミュージカルの歌詞が出来上がると、その歌詞を実際に歌ってみて、その仕上がり具合をチェックすることになる。今日はそのミーティングであった。
  『モンテ・クリスト伯』の訳詞は竜真知子さんである。竜さんとは沢山のミュージカルでご一緒して来た。『イーストウィックの魔女たち』『ダンス オブ ヴァンパイア』『レベッカ』『パイレート・クイーン』『シラノ』そして『三銃士』などである。

  ミュージカルの翻訳・訳詞、或いは音楽劇の脚本・作詞と、今ではミュージカルの第一人者の様な竜さんであるが、我々の世代にとっては、竜さんは「ハートのエースが出てこない」「私のハートはストップモーション」「Mr.サマータイム」「ドリーム・オブ・ユー」「すみれSeptember Love」「あずさ2号」などなど、時代を代表するヒット・ソングを生み出した人、である。タイトルを並べただけで、私などは恐れ多くてお傍に寄ることさえ躊躇われるほどである。
  実際の竜さんは、「恐れ多い」雰囲気とは程遠い柔和な方である。そして繰り返し現場に足を運ばれ、納得されるまで根気よく詞を直してくださる。ミュージカルとその現場に対する愛情と理解の大変深い方である。

  今日は竜さんをはじめ、音楽監督の八幡茂さん、歌唱指導のやまぐちあきこさん、稽古ピアノの國井雅美さんと宇賀神典子さん(ピアノのお手伝いで若林優美さん)、演出部の斎藤歩さんが集まった。
  もう1人の歌唱指導・林アキラさんがご自身の本番直前の為(こちらから)、キャストの安部誠司さんにも助けていただき、やまぐちさんと安部さんの2人にミュージカル・ナンバー全曲を歌っていただいた。
  そして、1曲ごとに訳詞の内容、譜割り、その他違和感のあるところを洗い出し、1日かけてひとつずつ修正。

  『モンテ・クリスト伯』の音楽はフランク・ワイルドホーンさん。ワイルドホーンさんらしい、美しく、そしてスケールの大きな楽曲が目白押しである。

  開幕は12月7日。首を長くしてお待ちください。

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2014年も『王様と私』

  ブロードウェイ・ミュージカル『王様と私』が来年(2014年)も上演されることが発表されている。
  詳細に関しては続報をお待ちいただきたいのだが、昨年、今年に引き続いて全国各地を回る予定である。こちらからどうぞ。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月12日(木)

  振り付けデー。終日「エニシング・ゴーズ」の日。

  この様な大きなナンバーを作る時は、幾つかのピースに分解して順番にひとつずつ作っていく以外に方法は無い。と言う訳で、昨日に引き続き地道にコツコツと作って行く。と言っても、作っているのは私ではなく、佐々木有子さんであるが。
  昨日、今日の1日半を掛けて、アウトラインは概ね定まった。が、まだまだ細部の調整や、全体の洗練など、完成と呼べるまでには更なる時間が必要であろう。何はともあれ、キャストの皆さん、振付チームのお2人(W佐々木さん)、お疲れ様でした。

  稽古後、振付のKAZUMI-BOYさんと、2幕のハイライト・ナンバー「吹け、ガブリエル」の作戦会議。こちらも「エニシング・ゴーズ」に勝るとも劣らない大ダンス・ナンバーである。お楽しみに。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月11日(水)

  立ち稽古。昨日ステージングした「フレンドシップ」をおさらい。その後、1幕8場を作る。

  1幕8場もS.S.アメリカン号のデッキ。日が変わって、航海3日目の朝である。
  ビリーとホープの間に色々なことが起こり、ビリーがパーサーと水兵たちにとっ捕まり、船長が思いもよらない決断を下し、そこにムーンフェイスが割り込んで来て……と、様々なことが息つく間もなく展開する。そして、いよいよ、このミュージカル最大、最高の見せ場である「エニシング・ゴーズ」に突入する。

  「エニシング・ゴーズ」は7分に及ぶ大タップ・ナンバーである。今日半日で仕上がる筈もなく、最初から今日、明日の2日間がその振り付けのために確保されている。
  手前味噌で恐縮だが、このナンバーは、タップ好きの方には気が遠くなる位の喜びに満ちた7分間になるだろう。  まだ振り付け半ばに過ぎないのに、私はその様子を見ているだけで特別な感情に襲われている。ブロードウェイ・ミュージカルの最良の瞬間がこの7分間にはちりばめられている。

  稽古後は、音響デザイナーの山本浩一さんと打ち合わせ。初日に向けて、各セクション、着々と準備が進行中。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月10日(火)

  稽古前に、瀬奈さん、鹿賀さんとプログラム用の対談。『エニシング・ゴーズ』との出会い、役作りについて、見どころ、などなどを語り合う。

  稽古は「フレンドシップ」のステージングから。

  「フレンドシップ」は1幕5場の終わりにあるミュージカル・ナンバー。瀬奈さんと鹿賀さんのコンビによる軽妙洒脱なナンバーで、ステージングは佐々木有子さん&信彦さんである。
  ナイトクラブの大スターであるリノと、大物(と呼ぶほどのことはない)ギャングのムーンフェイス。普段は別々の世界に暮らしている2人なのだが、何故だかどこかに接点があり、どう言う訳か無二の親友で、会えば会ったで大騒ぎになる。
  そんな2人が「温かくもドライな友情」を称えてデュエットするのが「フレンドシップ」である。日本のミュージカル界を支える2大スターの初デュエット、どうぞお楽しみに。

  「フレンドシップ」のステージングを終えた後は1幕7場を作る。

  1幕7場は再びS.S.アメリカン号のデッキ。航海2日目もそろそろ暮れようとしている。
  訳あって身を隠さなければならない羽目になったビリーと、何かとビリーの世話を焼くムーンフェイス。2人の作戦が巻き起こす船上の騒動が、1幕7場では描かれる。
  7場の終わりにはミュージカル・ナンバー「なんてラブリー“It’s De-Lovely”」があるのだが、この曲も実にコール・ポーターらしい楽曲である。スタンダードになっている彼の代表的な曲のひとつで、ここではビリーとホープによって歌われる。

  このナンバーの途中には結構長いダンスが挿入されている。ビリーとホープが、セントラル・パークで踊るフレッド・アステアとシド・チャリースの様に、ロマンティックなダンスを踊ることになる。
  この振付は大澄賢也さんの担当である。大澄さんには、軽快な「ユー・アー・ザ・トップ」とロマンティックな「なんてラブリー」の2曲の振付を引き受けていただいている。

  新作ミュージカルの稽古は、いつだって骨の折れる、時間の掛かる仕事であるが、『エニシング・ゴーズ』の様な、大きなダンス場面が複数存在するミュージカルの場合は殊更である。
  必然的に、連日遅い時刻までの稽古になるのだが、この場をお借りして、キャストとスタッフの皆さんに心からの謝意を表したい。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月9日(月)

  おさらいデー。1幕1場、2場、3場をおさらい。

  1幕1場には2つのミュージカル・ナンバーがある。「あなたとならば“I Get A Kick Out Of You”」と「旅こそ人生“There’s No Cure Like Travel”」である。
  「旅こそ人生」は既に9月3日にステージングを終えているのだが、「あなたとならば」は後回しにしてあった。なので、おさらいの前に、まずはそのステージング。担当はKAZUMI-BOYさんである。
  これはいわゆるダンス・ナンバーではない。ソング・ステージング、と言うか、歌振りになるのだが、ガッツリ踊るナンバーでは無い時のKAZUMI-BOYさんの仕事ぶりをどうしても見てみたくて、このナンバーをお願いした。その仕上がりは、どうぞ劇場で。

  そしておさらいへ。

  1場をさらった後、2場を微調整。中途で作業が終わっている「ボン・ヴォヤージュ」もラストまでラフにステージング。更にその後、3場を微調整。
  3場にもミュージカル・ナンバーが2曲あるが、そのことは以前記した通り。片やテンポの良い陽気なナンバーで、もう一方はしっとりと落ち着いたロマンティックなナンバーであることも過去に記した。
  で、今日、一同で再認識したのだが、田代さん演じるビリーは、ここまで(ほぼ)出ずっぱりなのだな、と。
  なので田代さんは、連日、誰よりも早く稽古場にやって来て、誰よりも長く稽古場にいて、誰よりも遅く稽古場を出ている……様な気さえする。
  歌って、踊って、恋して、恋され、追っかけ、追われて……、ビリーは本当に大変なやり甲斐のある役である。

  田代さんの奮闘ぶりは、どうぞ劇場で。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月8日(日)

  立ち稽古。1幕4場をおさらい、そして1幕5場と6場を作る。

  1幕5場は、S.S.アメリカン号がニューヨークを出港して2日目の午前中。場所は再びデッキ(甲板)である。1幕2場と同様に、登場人物が入れ替わり立ち替わり現れ、短いエピソードを次から次へと繰り広げることになる場面。
  そのエピソードだけを追っかけて行くのであれば、ほんの数人が登場して、次の数人にバトンタッチして行けば良いので芝居もシンプルなのだが、それでは帝劇らしい芝居にはならない。エピソードによっては舞台全体を利用してスケールを大きくもしたい。
  で、僅か6分半のシーンにまたまた半日を費やした。こう言う場面をもっと要領良く作れる人に、1日も早く私はなりたい。

  1幕6場はその日の午後。イヴリン・オークリー伯爵の特別船室が舞台である。そこにリノが現れ、少し遅れてムーンフェイスが登場する。
  リノとムーンフェイスはある計画を立ててイヴリンの部屋にやって来るのだが、それが計画通りには進まずに……。

  芝居の稽古を終えた後、「ユー・アー・ザ・トップ」のステージングのおさらい。

  前回(9月4日)は振りを作った所で時間切れとなり、ディテールを確認する暇も余裕も無かった。なので今日は改めて、落ち着いて、たっぷり時間を取って、「ユー・アー・ザ・トップ」をさらう。
  「ユー・アー・ザ・トップ」は、最もコール・ポーターらしい楽曲のひとつだと私は思う。ここで「コール・ポーターらしい」と言うのは、韻を踏んだ言葉遊びと、固有名詞が次々出て来るスタイルのことを指している。

  大澄さんの情熱と愛情の籠った指導、そして瀬奈さん&田代さんの頑張りで、コール・ポーターらしい素敵なショー・シーンに仕上がったと思う。10月の開幕が待ち遠しい。

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『その場しのぎの男たち』通信

9月7日(土)

  劇団東京ヴォードヴィルショーさんのオフィスへ。その場しのぎの男たちの衣裳と舞台美術の打ち合わせ。

  『その場しのぎの男たち』は、三谷幸喜の脚本、滝大作さんの演出で、劇団の第47回公演として1992年に初演されたコメディである。好評を博した同作は1994年に再演された。
  それから約10年後、2003年から2004年にかけて「劇団創立30周年記念興行」と銘打った再演が行われ、その時から本作の演出を私が受け持つことになった。
  そして、それからまた10年、「劇団創立40周年記念興行」の第4弾として、男たちが帰って来た。

  と言う訳で、まずは衣裳の打ち合わせ。
  今回の再演は、前回(10年前)のヴァージョンに準じることに決めた。理由は「そのヴァージョンがとても良い仕上がりだった」と関係者一同が(特に私が)思っているからである。
  なので衣裳のプランも前回に準じることになる。そもそも衣裳と言っても、実在する明治の政治家たちの話なので、着る物も自ずと決まって来るのであるが。
  とは言っても、衣裳の担当者が変わるので、打ち合わせはやはり必要である。今回、衣裳を担当してくださるのは牧野純子さん。キャストにもスタッフにも前回の経験者が大勢残っている環境でやり難いかもしれないが、どうぞよろしくお願いいたします。

  続いて舞台美術の打ち合わせ。
  美術デザイナーは石井強司さんで、こちらは前回と変わらない。が、舞台監督さんが変わった。今回の舞台監督は、昨年の『竜馬の妻とその夫と愛人』に続いて相川聡さんである。
  美術は、デザインは前回を踏襲するが、コントラストなど、色を若干微調整をすることで石井さんと意見が一致。衣裳も舞台美術も、予定よりかなり早い時間で、さっさと打ち合わせを終えた。

  『その場しのぎの男たち』は、下北沢の本多劇場で10月18日(金)に初日を迎える。お楽しみに。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月6日(金)

  稽古前に東宝の社内誌「宝苑(ほうえん)」のインタビュー。今回は『エニシング・ゴーズ』の4名の振付家の皆さんと。
  社内誌なので、残念ながら広く世間の目に触れることはないが、皆さんの意気込みや仕事のスタンスなどを聞くことができて、私的にはとても楽しい時間であった。

  インタビューを終えて稽古場へ。今日は顔寄せである。
  まず初めに東宝の池田取締役がご挨拶。「『エニシング・ゴーズ』が初演された年(1934年)は東京宝塚劇場が開場した年(昭和9年)である」と言うお話をされ、思わず目から鱗が落ちる。
  続いて、担当プロデューサーの岡本さんが、スタッフ、キャスト、そして公演関係者の皆さんをご紹介。そして、僭越ながら私も一言、抱負の様なものを述べる。

  顔寄せの後は歌入り読み合わせ。
  全キャストが揃い、ミュージカル・ナンバーも全て込みで、全編を一気に読み合わせた。とにかく楽しい、抱腹絶倒の2時間10分であった(途中休憩とカーテン・コールは含まない)。
  今後、動きがついた時に、この時間からどの程度変化するのか(延びるのか、はたまた縮むのか?)。今はまだ分からない。が、願わくば、延びても数分であってくれると嬉しい。

  読み合わせを終えて、1幕5場の冒頭にあるナンバー「港ではレディ・フェア“There’ll Always Be A Lady Fair”」をステージング。更にその後、タップのステップ、と言うかルーティーンのワークショップ。
  このワークショップは、1幕の幕切れを飾るナンバー「エニシング・ゴーズ」に必要となるステップを、実際の振り付けに先立って習熟して貰うためのもの。でも、どうせ習熟して貰うのなら、本編に出て来るステップを習熟して貰うのが一石二鳥である。
  と言うことで、結構入念、且つ具体的なワークショップとなった。

  これだけ大掛かりなタップのナンバーは、近年ではちょっと他に例がないだろうと思う。このナンバーを観るだけでも『エニシング・ゴーズ』を観る価値はある、と私は思う。

  明日は稽古OFF。溜め込んでいる先々の仕事を片付けなきゃ。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月5日(木)

  立ち稽古。1幕3場の後半。のち、1幕2場のおさらい。のち、1幕4場。

  1幕3場は、無事に出港したS.S.アメリカン号のデッキ(甲板)が舞台。昨日手を付けた前半ではビリーとリノのストーリーが展開し、今日のメニューである後半ではビリーとホープ・ハーコート(すみれさん)、そしてイヴリン・オークリー伯爵(吉野圭吾さん)のストーリーが展開する。
  ミュージカル・ナンバーは、前半にはリノとビリーの「ユー・アー・ザ・トップ」があり、後半にはビリーとホープの「愛さずにいられない“Easy to Love”」がある。

  まず、ビリー、ホープ、イヴリンの芝居部分を作り、そののち、「愛さずにいられない」を振り付け。
  軽快な「ユー・アー・ザ・トップ」とは打って変わって、こちらはしっとりとした、ロマンティックなナンバーである。お互いに好意を抱いていながらも、それをストレートに出すことのできない心の揺れが瑞々しい。振付は佐々木有子さん&信彦さんである。

  そして1幕2場をおさらい。昨日の「超」ざっくりとした段取りを、「やや」ざっくりとした辺りまで整理整頓。
  そののち、昨日未完に終わったナンバー「ボン・ヴォヤージュ」のステージングに再トライ。新たなコンセプトで前半部分を試験的に作り、上手行きそうな好感触を得る。

  そして1幕4場を作る。1幕4場は、ホイットニーの1等船室とムーンフェイスの3等船室、2つの船室が並んでいる場面。
  片やホイットニーは、ホープの母親、イヴァンジェリン・ハーコート(保坂知寿さん)を夕食に招き、その来室を今か今かと待ち兼ねている。他方、ムーンフェイス・マーティン(鹿賀丈史さん)の部屋にはビリーが転がり込み、青春の悩みを打ち明ける。ムーンフェイスは一肌脱ぐことにして……。
   1幕4場にはミュージカル・ナンバーは無く、2つの部屋を行き来しながら愉快な場面が展開する。

  明日より帝劇の稽古場に移動。そして顔寄せである。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月4日(水)

  立ち稽古。1幕2場をざっくりと。

  1幕2場は「ニューヨーク港に停泊中のS.S.アメリカン号のデッキとタラップ」である。ホイットニーのパスポートを届けに駆けつけたビリーが、まずは船に乗り込む。

  船ではある深刻な問題が勃発していた。

  S.S.アメリカン号は大西洋横断の豪華客船である。当時(設定では1934年)、大西洋横断(ニューヨークからロンドンやパリなど。アメリカとヨーロッパを結ぶ旅)は船旅が主流であった。欧米の列強が競って豪華客船を建造し、次々と新しい船を就航させていた。そしてその大きさと速さと豪華さを、国家の威信を賭けて競っていたのである。
  S.S.アメリカン号も、そんな海運競争に加わる一隻であった。船の人気は、船自体の豪華さや性能もさりながら、どんな豪華なゲストたち(ハリウッド・スターや著名な貴族、大富豪など、いわゆるセレブリティたち)が乗船しているか、にも少なからず左右されていた。
  そして今日、出港を目前にして、我らがS.S.アメリカン号には1人のセレブも乗船していないことが判明したのである。頼りない船長(武岡淳一さん)とその忠実な部下であるパーサー(俵和也さん)の2人は、何とか事態を打開するべく悪戦苦闘していた……。

  そんな騒動をよそに、乗客たちが続々と乗船して来る。そして、大きな汽笛を響かせながら、S.S.アメリカン号はニューヨーク港の岸壁を滑る様に離れる……と言うのが1幕2場のあらましである。

  こう言う場面の成否は、ひとえに人物紹介の手際の良さに掛かっている。毎度のことながら、こう言う場面の稽古にはとても時間が掛かる。
  今日もざっくりとした段取りを付けるだけで半日が過ぎた。こう言う場面をもっと要領良く作れる人に、いつの日か私はなりたい。

  1幕2場の終りには「ボン・ヴォヤージュ」と言うミュージカル・ナンバーがある。今日はこのステージングにも手を付けてもらったのだが、思う所があって途中で一旦打ち切り。コンセプトを練り直して後日再トライさせて貰うことに。佐々木有子さん、信彦さん、ごめんなさい。

  今日の稽古メニューは情け容赦なく、更に「1幕3場の前半まで作れ」と書いてある。なので作る。
  ここにはミュージカル・ナンバー「ユー・アー・ザ・トップ」があり、このナンバーの振付は大澄賢也さんである。大澄さんらしい細やかで粋なステージングで、リノ(瀬奈さん)とビリー(田代さん)が軽快に歌い踊る。

  チャーミングな場面になるだろう。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月3日(火)

  立ち稽古。

  今日から広い稽古場に引っ越した。と言っても、帝劇の稽古場ではない。帝劇内の広い稽古場が使用できるのは、帝劇の今月公演(Dream Boys Jet)の初日が開いてからなのである。

  稽古は台本順に、まずは1幕1場を作る。

  1幕1場はニューヨーク、マンハッタンのナイトクラブが舞台。
  ウォール街の大物株式ブローカー、エリーシャ・ホイットニー(大澄賢也さん)が、部下のビリー・クロッカー(田代万里生さん)を待っている。
  ホイットニーは明朝、ロンドン行きの船に乗ることになっている。その旅の手配の一切合財をビリーに任せたのだが……。
  一方、ビリーはホープ・ハ―コート(すみれさん)からの連絡を待っている。ビリーはホープに一目惚れ。ホープ以外のことは何も視界に入らない。今夜もリノ・スウィーニー(瀬奈じゅんさん)と約束があったことをすっかり忘れて……。

  立ち稽古初日の今日は、芝居はざっくりと段取りだけを付け、早めにミュージカル・ナンバーのステージングに入る。芝居には「段取りを府に落とすための時間」が必要であるし、ステージングには「物理的に時間が掛かる」からである。
  今日ステージングしたのは、1幕1場の佐々木有子さん+信彦さん担当の部分。事前の打ち合わせが奏功して、短時間で効率良く、クォリティの高いステージングが付いたと思う。と言っても、終了した時は結構良い時間になっていたが。

  明日も立ち稽古。とにかくどんどん先に進むつもり。

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『エニシング・ゴーズ』通信

9月1日(日)

  歌稽古。

  キャストの(ほぼ)全員が揃った。(ほぼ)全員で『エニシング・ゴーズ』(ほぼ)全ナンバーを当たる。
  今日は音楽班も勢揃いした。甲斐さん、ちあきさん、アキラさん、そして塩田さんである。まずは景気付けにタイトル・ナンバー「エニシング・ゴーズ」からスタート。
  以下、大勢のキャストが参加しているナンバーから当たり、段々と少人数のナンバーに移り、最後は水兵のカルテットのナンバーで今日のメニューを終えた。
  1曲歌う毎に甲斐さんのディレクションが入り、それを踏まえてちあきさん、アキラさんが歌い方を調整し、そしてまた歌う……と言うことが(ほぼ)1日かけて行われた。

  今日で稽古の第1クールは終了である。明日1日休みを挟み、明後日からはいよいよ立ち稽古に入る。

  歌稽古終了後、振付打ち合わせ。

  今日のテーマはタイトル・ナンバー「エニシング・ゴーズ」をどう作るか、であった。参加者はKAZUMI-BOYさんと佐々木有子さん、そして佐々木信彦さんである。
  「エニシング・ゴーズ」は、1幕の幕切れにある、タップ・ダンスをフィーチャーした大プロダクション・ナンバーである。

  幕切れに相応しいナンバーを、さて、どう作るか。

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『エニシング・ゴーズ』通信

8月31日(土)

  本日も歌稽古。

  “Anything Goes”をアマゾンなど、オンラインのミュージック・ストアで検索してみると、複数の同タイトルのCDがヒットする。
  1962年のオフ・ブロードウェイ・リバイバル版をはじめ、1987年のブロードウェイ・リバイバル版、1989年のロンドン・キャスト版、2003年のイギリス、ナショナル・シアター版、ビング・クロスビー、ドナルド・オコナー、ミッツィ・ゲイナーら豪華キャストの映画版(1956年)、そして記憶に新しい、サットン・フォスターがリノを演じた最新のブロードウェイ版……などである。

  我々にライセンスされている『エニシング・ゴーズ』の台本とスコアは、1987年のブロードウェイ版に基づいている。ジェリー・ザックスの演出、マイケル・スムーインの振付で、ニューヨークのリンカーン・センターにある円形劇場「ビビアン・ボーモント・シアター」で上演された時のヴァージョンである。
  なので、「観劇前に音楽の予習を」と言う方には、1987年のニュー・ブロードウェイ・キャスト版をお薦めする。この版でリノを演じているのは、『レ・ミゼラブル』のロンドン初演でファンテーヌを演じたパティ・ルポンである。

  『エニシング・ゴーズ』のブロードウェイ初演は1934年に行われた。翌年にはストーリー同様に大西洋を渡り、ウェスト・エンドに上陸。1962年にはオフ・ブロードウェイでリバイバルされ、そして前述の1987年のブロードウェイ・リバイバルへと繋がる。
  この1987年版の上演時に、台本とスコアに大幅な改定が施された。スタッフ・クレジットで「新脚本」と記されているのがその時の痕跡で、以後の上演は(ヴァージョンによってアレンジなどは変わっているが)その時の新脚本とスコアに因っているのである。
  我々にライセンスされているヴァージョンがその時の物である理由もそれであろう。

  さて。

  8月もお終いである。歌稽古も明日で総仕上げ。

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