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2013年8月の記事

『モンテ・クリスト伯』通信 そして『エニシング・ゴーズ』通信

8月30日(金)

  午前中は『モンテ・クリスト伯』の舞台美術打ち合わせ。

  前回の打ち合わせ(7/26)に基づいて、美術デザイナーの二村さんが少し具体的になったエレベーションと平面図を用意して来てくださった。それを元に、場面毎の舞台の使い方、デザイナーの意図、演出上の要望……などなどを意見交換。それぞれが宿題を持ち帰って、更にまた次回。

  午後は『モンテ・クリスト伯』の台本/スコア打ち合わせ。

  ミュージカル『モンテ・クリスト伯』は、2009年の3月にスイスのザンクト・ガレンで初演された。2010年には韓国のソウルに上陸し、再演を繰り返すヒット作となった。そして、それらに続くのが我々の『モンテ・クリスト伯』である。
  ザンクト・ガレン版とソウル版とでは、実は台本と音楽の行き方に若干の違いがある。もちろん後から上演された「ソウル版」が「ザンクト・ガレン版」に手を入れているのだが、では我々は「ソウル版」に準じるのか。今日の打合せのテーマはそれであった。

  今日は岡本プロデューサー立ち合いのもと、音楽監督の八幡茂さん、翻訳・訳詞の竜真知子さん、それに私が顔を合わせ、台本とスコアを1ページずつ追いかけながら「我々のヴァージョン」がどうあるべきかを意見交換した。
  結論としては、概ねは「改良版」であるソウル版に準じるが、幾つかの部分でザンクト・ガレン版を採用する、と言う方向性に落ち着いた。第3のヴァージョンとなる日本版『モンテ・クリスト伯』にご期待いただきたい。

  さて。

  打ち合わせを終えて、『エニシング・ゴーズ』の歌稽古へ。

  今日も昼過ぎから歌稽古が行われていたのだが、私が顔を出した時には玉置成実さんが稽古中であった。玉置さんはギャングのキュートでセクシーな情婦・アーマを演じる。
  玉置さんとは、私は今回が初めてのお仕事である。『スウィート・チャリティ』のタイトル・ロールでミュージカル・デビューされたのが2006年のことなので、もう大ベテランなのだ、と勝手に思い込んでいたのだが……あの時、玉置さんはまだ10代だったのであった。

  びっくり、である。

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『エニシング・ゴーズ』通信

8月29日(木)

  そして本日も歌稽古。

  まずは瀬奈さん単独でナンバーのおさらい。
  そこに田代さんが加わって、今までそれぞれ単独で稽古していたお2人のデュエット・ナンバーを合わせる。お2人は、コール・ポーターの超スタンダード「ユー・アー・ザ・トップ/You’re The Top」をデュエットする。
  そして、田代さんと入れ替わりに鹿賀さんが登場。鹿賀さんと瀬奈さんのデュエット・ナンバー「フレンドシップ/Friendship」を合わせる。こちらも、いままではそれぞれが単独で稽古していたのだが、遂に2人で一緒に歌う日がやって来たのである。
  「ユー・アー・ザ・トップ」も「フレンドシップ」も最高に楽しい、ご機嫌なナンバーである。この顔触れで、帝劇で、生オケでコール・ポーターは最高に贅沢であろう。

  瀬奈さんたちの稽古の後はコーラス稽古。

  『エニシング・ゴーズ』の音楽チームは、音楽監督/甲斐正人さん、歌唱指導/ちあきしんさんと林アキラさん、稽古ピアノ/中條純子さんと宇賀神典子さん(時々國井雅美さんが助けに来る)、そして指揮/塩田明弘さん、と言う陣容である。
  今日は甲斐さん、ちあきさん、アキラさんの3人が揃っての歌稽古であった。揃う人が揃うと、稽古場の活気もテンションもいつも以上に跳ね上がる。

  日一日と『エニシング・ゴーズ』らしい稽古場になって来た。

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『エニシング・ゴーズ』通信

8月28日(水)

  歌稽古は順調に進んでいる。

  今日の1番手は田代万里生さん。田代さんは、大学を出たばかりの株式ブローカー見習い、ビリー・クロッカーを演じる。
  田代さんも、他のキャスト同様「『エニシング・ゴーズ』の楽曲は難しい」を連発していらした。絶対音感を持っている田代さんを持ってしても、である。コール・ポーターは「聞く」のと「歌う」のとでは大違いらしい。
  それにしても、田代さんの素敵な歌声で「ユー・アー・ザ・トップ/You’re The Top」「愛さずにはいられない/Easy To Love」「なんてラブリー/It’s De-lovely」などのスタンダードを聞くことができる幸せ!

  途中、歌稽古を中座して振付打ち合わせへ。今日打ち合わせたのは、佐々木有子さんと佐々木信彦さんが担当してくださるパートである。
  『エニシング・ゴーズ』には4人の振付家が関わってくださっている。KAZUMI-BOYさん、大澄賢也さん(キャストも兼ねている)、そして佐々木有子さんと信彦さんである。
  お2人は緻密に、そして論理的に、そのミュージカル・ナンバーの中で何が起こっているのか、何をどう見せるのか、についての建設的な提案をしてくださった。そして、その内の2曲に関しては振りが既に出来上がっている!
  何とも頼もしい振付家チームである。

  ところで、『エニシング・ゴーズ』のアフター・トークショーの開催が決定した。10月10日(木)と17日(木)の、それぞれ昼の部終演後である。詳細はこちらからどうぞ。

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『エニシング・ゴーズ』通信

8月21日(水)

  本日も歌稽古。

  まずは昨日に引き続き瀬奈さん。昨日の曲をさらい、更に残りの2曲を当たる。
  タイトル・ナンバーである「エニシング・ゴーズ」は、1幕の幕切れを飾る大プロダクション・ナンバーであるが、一昨日の日記にもリンクを張らせていただいた通り、既に瀬奈さんはこのナンバーを製作発表で披露されている。更にそれに先立ち『ALive Final』でも歌われた。
  既に何度となく歌い込んでいるので、それ以外のナンバーと比べると、このナンバーの仕上がりがさすがに早い。

  次に登場したのは吉野圭吾さん。吉野さんは大金持ちのイギリス貴族、イヴリン・オークリー伯爵を演じる。
  オークリー伯爵はアメリカの令嬢、ホープ・ハ―コートと婚約中。ニューヨークからロンドンに向かう豪華客船S.S.アメリカン号の船上で結婚式を挙げることになっている。が、伯爵には誰も知らない重大な秘密があり……。
  その重大な秘密にまつわるナンバーが「僕の中のジプシー」である。
  吉野さんは、いつも歌稽古の1回目では音を取るまでに四苦八苦される。今日も例外ではなかった。だが吉野さんは、2回目までには確実に音を自分の物にしていらっしゃる。その変貌ぶりが素晴らしい。

  最後に登場したのは鹿賀丈史さん。鹿賀さんは、指名手配されているそれほど大物ではないギャング、ムーンフェイス・マーティンを演じる。
  鹿賀さんには、瀬奈さんとのデュエットが楽しい「フレンドシップ」、そして、過ごしてきた人生が有無を言わせぬ説得力を感じさせる「青い鳥の様に」などのナンバーがある。
  それにしても、鹿賀さんが力を抜いて歌うコール・ポーターは素晴らしい。正にnice and easyである。

  ところで、始まったばかりの『エニシング・ゴーズ』通信であるが、所用のため私が稽古場を離れなければならないので、明日から数日間のお休みをいただく。

  楽しみにしてくださっている皆さん、ごめんなさい。

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『エニシング・ゴーズ』通信

8月20日(火)

  稽古前に衣裳の打ち合わせ。

  『エニシング・ゴーズ』の衣裳デザイナーは前田文子さんである。

  このブログにも何度となく名前が登場しているので今更ご紹介する必要も無いと思うが、多忙を極める衣裳デザイナーのおひとりである。瀬奈さんの『三銃士』『ニューヨークに行きたい‼』そして『ALive』シリーズのデザイナーでもある。
  今日はデザイン画を見せてもらいながら、カンパニー全体の衣裳プランを確認。1930年代風の、豪華でエレガントなコスチュームが次から次へと登場する……予定。

  そして午後から歌稽古。トップバッターは瀬名じゅんさん。

  瀬奈さんが演じるのはニューヨークのナイトクラブ界の大スター、リノ・スウィーニーである。リノは、大学を出たばかりの好青年、ビリー・クロッカーに無我夢中。今日もビリーとデートの約束でいそいそと出掛けて来たのだが……。
  瀬奈さんは劇中でコール・ポーターのスタンダード・ナンバー、5曲を歌う。「あなたとならば“I Get A Kick Out Of You”」「ユー・アー・ザ・トップ“You’re The Top”」「フレンドシップ“Friendship”」「エニシング・ゴーズ“Anything Goes”」そして「吹け、ガブリエル"Blow,Gabriel,Blow”」であるが、今日はその内の3曲を稽古。

  瀬奈さんに 続いて、武岡淳一さん(軽薄この上ない船長を演じる)、照井裕隆さん(謎の中国人ルカを演じる)、小寺利光さん(その相棒の中国人ヨハネを演じる)、そしてアンサンブルの皆さんでコーラス稽古。
  コーラス稽古は、まず誰がどのパートを歌うのかを伝え、そしてパート毎に音を確認し、そして全パートで合わせてみる……という具合に進むのだが、パート毎に音を確認する段階で、大抵は「あの心地よいハーモニーがこんな心地よくない音の並びでできていたなんて!」と困惑することになる。
  今日もキャスト一同「?」マークの連続であった。キャストだけではない、稽古ピアノのベテラン勢たちも口々に「これは難しい!」を連発していた。

  『ミー&マイガール』『ラ・カージュ・オ・フォール』のコーラス稽古でも同様のことが起こった。どうやら、シンプルで易しそうに聞こえるナンバーほど、実際には複雑で難易度も高いらしい。

  明日も歌稽古。新しい人も登場。

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『エニシング・ゴーズ』通信

8月19日(月)

  帝国ホテルにて『エニシング・ゴーズ』製作発表イベント。

  ……だったのだが、私は欠席、舞台美術の打ち合わせへ。
  美術デザイナーの松井るみさん、舞台監督の廣田進さん、演出助手の末永陽一さんと、大道具の構造や作りなどついての打ち合わせであった。
  デザインの方向は前回(7月27日)の打合せで出ているので、それに則って、場面毎の具体的な事柄について意見交換。松井さんのデザインは、いつもながら大胆である。
  何しろ、松井さんは『イーストウィックの魔女たち』で帝劇の舞台に巨大な女体像を出現させた前科実績のある人だし。

  話は変わるが、瀬奈じゅんさんがタイトルナンバーを歌う製作発表のムービーがUPされている。こちらからどうぞ。

  さて。

  いよいよ明日から歌稽古が始まる。

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『王様と私』通信

8月17日(土)

  シアター1010(せんじゅ)へ。

  九州、四国、中国、近畿をツアーして来た王様と私が東京に凱旋。今日から3日間、北千住駅前のシアター1010にての公演である。

  シアター1010は、客席数約700のアットホームな劇場である。舞台と客席との関係が良く、とても観易い劇場のひとつだと思う。『王様と私』も一段とアットホームに感じられた。
  ただ、舞台の間口が他の公演地の劇場と比較するとやや狭く、なので今日は開演前に1010向けに場当たり。舞台の中心に向かって一回りコンパクトな、1010ならではの『王様と私』になった。

  ひと月ぶりに再会した『王様と私』は、無駄がそぎ落とされ、よりダイナミックに、そしてエレガントに成長していた。ブロードウェイの黄金時代に作られた作品の持つおおらかさとポジティブさが、一際強く伝わる様になったと思う。
  現代のミュージカルでは得ることのできない、この時代のミュージカルが持つ良さであろう。

  シアター1010を終えると、旅の終わりはもう目の前である。千穐楽まで、旅の無事を祈りたい。

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『クリエ・ミュージカル・コレクション』

  ミュージカル・コンサート『クリエ・ミュージカル・コレクション』が発表になった(第1報はこちらから)。

  公演は来年の1月で、タイトルにある通りシアタークリエでの上演である。
  楽しくてお洒落なコンサートにしたい……と言うことは既に告知の文章に書いてあることだが、でもまあ、つまりはそんなコンサートになる……といいなあ。

  この10~15年の間に東宝で上演されたミュージカルの中から、もう一度聞きたいナンバーやキャストに所縁のあるナンバーなどを集めてみる(コレクションする)つもり。

  どうぞご期待ください。

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初日! 『ALive Final』通信

8月2日(金)

  初日。

  朝からスタッフ(主に照明チーム)は修正作業。お昼過ぎから本日のサウンド・チェック。その後、14時からゲネプロ(通し舞台稽古)。
  昨日バタバタと片付けた色々なことが見事に繋がった、完成度の高いゲネプロであった。キャスト、ミュージシャン、スタッフ、そのひとりひとりが役割をしっかりと果たしている様が手に取る様に伝わって来る。
  ゲネプロ終了後、最後の駄目出し。泣いても笑っても初日の幕は開く。ならば、あとは楽しむ以外ない。

  開場は開演の45分前。即ち17時45分である。心配していた空模様も、どうにか持ち堪えた。そして18時35分。定刻を5分押して場内が暗くなる。『ALive Final』、ついに開幕である。
  プロローグからエピローグまで、休憩なしの約1時間45分。場内は日本中のどこよりも暑かったに違いない。
  どのお客様もとても楽しんでくださっている様に私には感じられたが、一階席中通路後方のスタッフ席に陣取った我々は、それ以上に楽しそうだったかもしれない。しかし、誰よりも楽しそうだったのは瀬奈さんご本人だった。
  そんな瀬奈さんを観ることができただけでも私は十分に満足である。

  終演後、瀬奈さんは(『ALive Ⅱ』の時と同じ様に)ロビーに立つ。『ALive Ⅱ』と同様に募金活動を行うためである。なので、この公演にはカーテン・コールは無い。

  これで『ALive Final』通信はお終いである。ご愛読いただきありがとうございました。次は『エニシング・ゴーズ』通信。8月の後半には始まる予定です。

  瀬奈じゅんコンサート『ALive Final~Handsome Woman~』、東京は8月4日まで。大阪は、サンケイホール  ブリーゼにて8月10日と11日である。お見逃しなく。

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『ALive Final』通信

8月1日(木)

  東京国際フォーラム・ホールCへ。

  いよいよ小屋入りである。
  スタッフは朝イチから仕込み。仕込み作業がひと通り終わって、照明のフォーカス作業。並行してサウンド・チェック。休憩を挟んで18時過ぎから舞台稽古。

  ややタイトな持ち時間の中、舞台稽古はテキパキと進んだ。踊りのあるナンバーは場当たりをし、位置決めをし、そして音で通す、と言う手順である。
  それにしても、国際フォーラムのホールCは素敵な空間である。観客としては何度も訪れているのだが、使用する立場としては今回が初めて。空間自体が持っているヴォリューム感、とでも言う様なものがあって、そのスケールがこのショーには良く似合うし素晴らしい。

  明日は初日。
  予報では東京地方の天気は生憎な様子だが、そんな予報を吹き飛ばす様な初日を迎えたい。

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