『王様と私』通信
7月6日(土)
通し稽古。
ミュージカルには序曲(オーヴァーチュア)が付き物であった。
「あった」と過去形で書いたのは、近年のミュージカルでは必ずしもそうではないからであるが、かつては、ミュージカルの大半には華やかな序曲が用意されていた。『王様と私』も例外ではない。
『王様と私』の序曲は、丸々演奏すると5分を越える程の長さがある。序曲では劇中のミュージカル・ナンバーがメドレーで次々と演奏され、幕が上がる前からウキウキとしたり、ロマンティックな気分に浸ったりすることができる。
『王様と私』のオーケストレーションを担当したのはロバート・ラッセル・ベネットである。ベネットは1920年代から60年代にかけて活躍したブロードウェイ/ハリウッドの名アレンジャーであった。
『王様と私』の序曲でメドレーされるのは「Something Wonderful」「I Whistle A Happy Tune」「I Have Dreamed」「Hello,Young Lovers」の4曲であるが、過去の上演やキャスト・アルバムなどでは、この序曲をフル・サイズで聞くことは難しかった。録音でも上演でも、一部割愛された短縮版である場合がほとんどだったからである(少なくとも、私は上演でも録音でも聞いたことがない)。
私たちの『王様と私』では、短縮版ではない(譜面通りの)フル・サイズの序曲をお聞きいただくことができる。
序曲は開演の5分前ほどから場内に流れ始めるので、用事を済ませて、少しお早めにご着席いただくのが良いだろう。もちろん、序曲が始まってからご着席いただいても一向に構わない。
ミュージカルを観る楽しみは、幕が上がる前から始まっているのである。
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