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2013年7月の記事

『ALive Final』通信

7月30日(火)

  稽古場最終日。

  まずバンドの皆さんとの合わせ。その後、バンドでの通し稽古。
  広い稽古場に移動したので、初めて「引き」で全体を観ることができたのだが、悪くない。そしてかなり楽しい。加えてバンドのゴージャスなサウンド!  毎度のことながら、それだけでも興奮度が倍増である(当社比)。
  昨日の稽古でもとても良い手応えを感じていたのだが、今日は更なる手応えが。『ALive』シリーズの掉尾を飾るに相応しいショーに仕上がったと思う。

  ところで、『ALive Final』には、加賀谷一肇さんと田極翼さんの他に4名の女性ダンサーが出演しているのだが、公式ページにもチラシにもその情報が記載されていないので、ここでご紹介。木許由梨さん、吉野有美さん、中岡あゆみさん、今野晶乃さんの4名である。
  どうぞよろしく。

  明日は最後の稽古OFF。過酷だった日々を労い、英気を養って劇場入りを迎えたい。

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『ALive Final』通信

7月29日(月)

  稽古前に衣裳のフィッティング。その後、衣裳付きで通し稽古。

  稽古の待ち時間に、ファンタスマゴリックのオリジナル曲を何曲か聞かせてもらう。
  詞を書くのはMARiEさんで、その詞にRiRiKAさんが曲を付けているのだそうだ。思いの外ステキな曲が多くて、ちょっとびっくりした、というか、ファンマゴに対する認識を改めた。
  ただ、曲は素敵なのだが、「SUBWAY」(サンドイッチ屋さんの)の歌であったり、「五右衛門」(パスタ屋さんの)の歌であったり、「100均」の歌であったり……で、真剣なのかふざけているのか、その辺が良く分からない。
  それはどうでもいいのだが、「SUBWAY」の歌などは実際のSUBWAYさんに気に入っていただけたらしく、インタビューの依頼が来たりもしているらしい(ご興味のある方はこちらをどうぞ)。

  閑話休題。

  今まで稽古を重ねて来たこの稽古場とは今日でお別れである。明日はバンドとの合わせとバンドでの通し稽古になるのだが、それはここより広い、別の稽古場で行われる。
  その、ここでの最後の通しで良い手応えを得ることができたのが今日の最大の収穫である。始めて通しをご覧になったスーパーバイザーの岡本さんからも、珍しくお褒めの言葉を頂いた。ひと安心である。

  稽古を終え、稽古場の窓から外を見ると、何ともすがすがしい夕焼け空が広がっていた。先日の豪雨の時には、眼下の幹線道路が暴れ川の様だったのだが嘘の様である。

  この空の様な気持で初日を迎えられます様に。

 

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『ALive Final』通信

7月28日(日)

  青木美保さんの振り固め。のち、通し稽古。

  2回目の通し稽古である。
  前回、やや強引に通した時とは打って変わって、ペース配分、メリハリ、細部のクォリティ等々、格段にアップした。
  そりゃ、前回と同程度の仕上がりでは、連日必死に稽古して来た意味も甲斐も無いワケで。そう言いつつも、作品がどんどん良くなっていくのを目の当たりにするのは、やはり素直に嬉しくもあり。

  今日は舞台監督の森さん、照明デザイナーの広瀬さん、そして照明チームご一行がご観劇。劇場入りが近くなったことを嫌でも思い知らされて、身が引き締まる。
  そして、明日からはバンドのリハーサルが始まる。

  気が付けば7月も残り僅かである。

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『ALive Final』通信

7月27日(土)

  KAZUMI-BOYさんの振り固めデー。

   KAZUMI-BOYさんの稽古は厳しい。その厳しさが「鬼」の様であることは自他共に認める所である、という話には既に触れた。
  だが、 KAZUMI-BOYさんの稽古場は厳しいだけの稽古場ではない。踊り手への要求レベルは確かに高いが、厳しい要求を出す時には、「なぜそうする必要があるのか」「その結果、踊りがどう良くなるのか」など、踊り手のモチベーションを上げる一言が必ずついている。
  生み出すダンスが万人を魅了することは言うまでもないが、 KAZUMI-BOYさんの魅力は、厳しさと愛情が一体となっている稽古場での佇まいにあるのではないか、と思う。

  振り固めの後は歌稽古。振り付け、ステージングがひと通り終わったので、今日は動きながら歌をチェック。

  稽古後、『エニシング・ゴーズ』の舞台美術打ち合わせへ。

  『エニシング・ゴーズ』の美術デザイナーは松井るみさんである。松井さんのお名前も多くのチラシでお見掛けする。現在、最も多忙なデザイナーのひとりであろう。それだけ多くの演出家、プロデューサーに信頼されている、ということである。
  今日の打ち合わせには、照明の高見和義さん、舞台監督の廣田進さん、演出助手の末永陽一さんが集まった。豪華客船を作るぞ~!

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『ALive Final』通信

7月26日(金)

  稽古前に『モンテ・クリスト伯』の舞台美術打ち合わせ。

  『モンテ・クリスト伯』の美術デザイナーは二村周作さんである。
  二村さんとは『GOOD』『ハゲレット』などでご一緒した。昨年の『COOLの誕生』も二村さんである。二村さんは若手美術デザイナーのおひとり……と、ずっと思っていたのだが、もはや若手と呼ぶわけにはいかないだろう。今では日本の演劇界を支え、代表するデザイナーのおひとりである。
  それも当然と言えば当然で、初めてご一緒した『GOOD』は既に9年前のことなのであった。
  そして、偶然だが、『モンテ・クリスト伯』の公式ページが本日リニューアル。新ビジュアルはこちらからどうぞ。

  打ち合わせを終えて『ALive Final』の稽古場へ。

  今日は青木美保さん担当のナンバーをさらった後、無謀にも通し稽古。
  未整理の部分が若干残っているにもかかわらず、である。それでも「通してみたい」と言う今の瀬奈さんの気持ちに勇気をもらい、通させていただいた。
  結果として、今日通しておいてとても良かったと思う。予想していたような混乱やトチリはほとんど起こらず、途中で止まる様なことももちろんなかった。瀬奈さんをはじめ、キャストの皆さんのこの10日間の踏ん張りが、しっかりと形になっていた。

  これは『ALive Ⅰ』とも『ALive Ⅱ』とも異なる、3つ目の、新しい『ALive』である。それは、今の「新しい」瀬奈さんの姿が全編に反映されているからだろうと思う。新しいが、どこをとっても実に瀬奈さんらしい。
  今日の時点での上演時間は、途中のMCも含めて約1時間40分。これは、今後もう少し増減があるかもしれないが。

  明日からは最後の追い込み。初日まで1週間を切った。

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『ALive Final』通信

7月25日(木)

  そして今日もまたもや振り付け。今日はKAZUMI-BOYさんデー。

  まず、まだ手を着けていなかった男子2人のナンバーを振り付け。そしてその後、瀬奈さんの加わるナンバーを仕上げ、更にその後、女子も加わり全員で振りのおさらい。

  これでKAZUMI-BOYさんが担当するナンバーの全てに振りが付いた。何はともあれお疲れ様でした。KAZUMI-BOYさんのナンバーには、以前の『Alive』で人気の高かったナンバーもあるし、まったく新しいナンバーもある。
  今回の『ALive Final』では、KAZUMI-BOYさんにはシリアスなシーンばかりを受け持っていただいている。なので、『ニューヨークに行きたい!!』の時の様な愉快なナンバーは今回は無し。

  それは『エニシング・ゴーズ』をお待ちいただきたい。

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『ALive Final』通信

7月23日(火)

  そして今日もまた振り付け。今日は青木美保さんデー。

  瀬奈さんとダンサーの皆さんに、今日は途中からファンタスマゴリックのお2人にも合流していただいて、青木さん担当のナンバーをひと通り当たる。
  連日、次から次へと新しい振りを渡され続けていたダンサーの皆さんにも、今日辺りから落ち着きと、余裕と、そして笑顔が戻ってきた。いい感じである。

  振り付けの後は歌稽古。瀬奈さんとファンマゴのお2人をドッキング。この3人の歌の相性はかなり良いかもしれない。3人とも音楽の感じ方がモダンなのだと思う。

  今日の東京地方は、夕方から激しい豪雨に見舞われた。

  稽古場は一瞬停電したり、雨漏りがあったり、一部のキャストが雷鳴を怖がったり、などはしたが、無事にメニューは消化して稽古を終えた。
  入りの時刻がちょうど豪雨とかち合ってしまった気の毒な人が数人と、帰宅時に鉄道が乱れていたことくらいである。

  皆さんが大きな被害に合われていません様に。

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『ALive Final』通信

7月22日(月)

  そして今日も振り付け。前半は青木美保さん、後半はKAZUMI-BOYさん。

  青木さんの今日のメニューは、昨日手を付けたナンバーのおさらいとその続き。これは、コンサートの後半に登場する、楽しくて夢の様な一連のナンバーである。が、振りを渡される方は、楽しいどころではないかもしれない。少なくとも現時点では。

  KAZUMI-BOYさんのメニューも昨日の続き。これは青木さんの「夢の様な」シークェンスの前に来る部分のナンバーである。こちらは瀬奈さんのソロ・ダンス・ナンバーで、打って変わって内省的で大人っぽい。今日のKAZUMI-BOYさんは、この1曲に4時間を費やした。

  別稽古場では、音楽班がファンマゴと歌稽古。更に稽古後、スタッフが集まって本番に向けてのミーティング。大道具の作りのことや、照明、音響、楽器のあれこれ、とか……。

  気が付けば、初日まであと10日しかない!

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『ALive Final』通信

7月21日(日)

  今日も振り付け。振り付けの前半はKAZUMI-BOYさん、後半は青木美保さん。その後、歌稽古。

  今日もKAZUMI-BOYさんは、昨日手を付けた新しいナンバーは寝かせて、またまた新しいナンバーの振り付けに突入。前半の終わりに登場した青木さんが振り付け中のKAZUMI-BOYさんの形相を見て、「鬼みたいですね」とおっしゃった。
  鬼ですけど・・・それが何か?
  青木さんも一昨日振り付けたナンバーの続きをトットと終わらせ、新しいナンバーの振り付けに突入。ダンサーの皆さん、ここが踏ん張りどころです。

  歌稽古、今日はファンタスマゴリックのお2人。

  ファンタスマゴリックは、RiRiKAさんとMARiEさんの女子2人のユニットである。
  RiRiKAさんは元宝塚歌劇団の娘役さんで、当時の芸名は「花咲りりか」。退団後は『ミス・サイゴン』(2008~09年)でエレンを演じたこともある。
  MARiEさんは『ピーター・パン』のマイケルや『レ・ミゼラブル』のガブローシュを演じた子役さんであった。長じて……あ、宇野まり絵だったのか。
  宇野まり絵さんなら知っている。『Chanson de 越路吹雪  ラストダンス』に出ていた、愉快なブログを書く人だ。

  ファンタスマゴリック(略して「ファンマゴ」)のお2人は、基本的にはコーラスを担当することになるのだが、『ALive Ⅰ』『ALive Ⅱ』それぞれの女性キャストたちとも一味違った、素敵なコーラスになりそうである。

  ご期待ください。

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『ALive Final』通信

7月20日(土)

  前半は振り付け、後半は歌稽古。

  振り付けはKAZUMI-BOYさん。昨日手を着けたナンバーはとりあえず寝かせて、新しいナンバーの振り付けに突入。
  そんな鬼の様な……、と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、今回は持ち時間が限られているので致し方ないだろう。そもそも、KAZUMI-BOYさんのブログは「鬼ですけど・・・それが何か?」だし。
  ご自身のことをちゃんと「鬼だ」と自覚していらっしゃるKAZUMI-BOYさんである(ネタバレがあるといけないのでリンクは張りません。ご興味のある方は検索してみてください)。

  歌稽古、今日は瀬奈さん。
  『ALive Final』の歌唱指導はちあきしんさん、稽古ピアノは國井雅美さんである。お2人も前作『ALive Ⅱ』からの続投なので、瀬奈さんとも気心は知れているし、私も打ち合わせの手間が省ける上に、お2人ならクォリティ面でも安心である。
  『ALive Final』は、『ALive Ⅱ』と同様に「休憩なしの1幕のショー」として構成されている。上演時間は1時間30分程度を目指しているが、まだ細部が固まってはいないので、根拠のある数字ではない。
  このショーの中で瀬奈さんは20曲以上を歌う、乃至は踊る、或いは歌い踊る。その歌の部分を、今日は順番におさらい。

  『ALive』シリーズは「コンサート」と称しているが、実際は歌と踊りがふんだんに盛り込まれた「ショー」である。準備にも稽古にも手間が掛かるワケである。

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『ALive Final』通信

7月19日(金)

  振り付けデー。

  『ALive Final』の振付を担当してくださるのはKAZUMI-BOYさんと青木美保さんである。
  お2人とも『ALive Ⅱ』からの続投で、そういう意味では私以上に『ALive』シリーズのことを分かってくださっているので、私も安心して全面的に「お任せ」である。

  KAZUMI-BOYさんとは、前回の『ALive Ⅱ』の後、『ニューヨークに行きたい!!』でご一緒し、幾つかのナンバーを振り付けていただいた(「地獄からのメッセージ」とか「朝食までそばにいて」とか「何よりもケーキ」とか)。
  この『ALive Final』の後も、10月の『エニシング・ゴーズ』で何シーンかをお願いすることになっている。

  青木さんとの付き合いは、私が演出助手時代、青木さんが振付助手時代からになる。演出家と振付家としては『パイレート・クイーン』『Chanson de 越路吹雪 ラストダンス』などでご一緒した。
  青木さんも私もミュージカル・アカデミーの講師でもあるので、アカデミーの試演会などで振り付けていただいたことも少なくない。

  今日は前半が青木さんで、後半がKAZUMI-BOYさんの時間であった。どんなナンバーだったのか、誰に振り付けたのか、など、内容が推測できそうなことは、今日の所は記さずにおこう、と思う。

  妄想を逞しくして、どうぞ本番をお待ちください。

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『ALive Final』通信

7月17日(水)

  ALive Final~Handsome Woman~の稽古が始まっている。

  『ALive』
は、瀬奈じゅんさんのコンサートに付けられたタイトルである。
  2010年の5月にその1回目が東京と大阪で行われ、2回目の『ALive Ⅱ~Hansome Woman~』が2011年の4月に、やはり東京と大阪で行われた。今回はその3回目にしてファイナル公演である。

  私は前回の『ALive Ⅱ』から参加させていただいている。コンサートを演出するという経験は、私にとってはとても敷居の高い、アウェイ感感じまくりの体験であった。が、経験豊富なキャストとスタッフが支えてくださったお陰であろう、こうして今回もお手伝いさせていただけることになった。
  支えてくださった皆さん、ありがとうございました。

  前回の『ALive Ⅱ』で忘れられないのは、本番の3週間前に東日本大震災が発生したことである。我々は『ALive Ⅱ』の正に稽古中に、あの揺れに見舞われた。
  その後の数カ月のことを思い出すと、今、こうして以前と同様に稽古場に通えていることが奇跡の様である。あの時は稽古中、本番の前後に様々な思いが頭を巡った。

  それはともかく、コンサートの内容にどこまで触れたものか、ブログを書いていて、いつも迷うところである。
  出来るだけ内容には触れずに、でも期待してくださる皆さんの好奇心は刺激したい。ネタバレにならない範囲で、その日その日のことを記して行こうと思う。

  それが何よりも難しいのだが。

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『エニシング・ゴーズ』記者会見

7月16日(火)

  東京會館へ。エニシング・ゴーズの記者会見。

  ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』は、1934年に初演されたミュージカル・コメディである。コール・ポーター作詞・作曲の、現在ではスタンダードになっている名曲が全編に散りばめられた、ゴージャス、且つロマンティックなラブ・コメディである。
  今日はその記者会見が行われ、瀬奈じゅんさん、鹿賀丈史さんと共に壇上に上がらせていただいた。

  『エニシング・ゴーズ』は、日本では1989年に日生劇場で初演されている。その時の演出は宮本亜門さんで、宮本さんは演出と共に振付も兼ねている。時に宮本さん31歳。恐ろしき才能の出現、という印象であった。
  その時に主人公のリノ・スウィーニーを演じたのは大地真央さんである。『エニシング・ゴーズ』は1990年、1991年と3年連続で上演される大ヒットとなり、真央さんの代表作の1本となった。

  1996年には青山劇場で、謝珠栄さんによる新演出・新振付で、ニュー・ヴァージョンが上演された。この時もリノを演じたのは大地真央さんである。
  それから17年。日本では3つ目のヴァージョンとして、ついに帝劇に登場するのが今回の『エニシング・ゴーズ』である。
  翻訳/訳詞もヴァージョンが変わる毎に新しくなってきた。今回も新しい台詞、新しい歌詞で新しい『エニシング・ゴーズ』をお届けする。

  公演は10月7日(月)開幕。7月20日(土)よりチケット発売開始(!)である。

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初日! 『王様と私』通信

7月13日(土)

  初日。

  大勢のお客様にお越しいただいた。ご来場、誠にありがとうございました。

  ある舞台が再演されることになると、大抵の場合は初演から2年とか3年の間が開くことになる。が、今回の『王様と私』はやや異例で、昨夏から1年足らずでの再演である。
  2年前、3年前のことになると、強烈な印象を残したこと以外、ディテールなどの記憶は思った以上に風化しているものである。だが、1年前のことだと、かなり詳細な部分まで鮮明に覚えている。
  或いは、「一年後にもう一度その作品に手を入れる機会が用意されている」と知って千穐楽を迎えるのと、そうでないのとの差。その差はとてつもなく大きいと思う。
  今年の『王様と私』は1年以内、且つ、その機会があると知っての再演であった。キャストも大半は続投し、現場のスタッフにも前回の経験者が少なからず残っている。

  今年の『王様と私』が昨年以上のクォリティになっているとしたら、この環境に因るところがとても大きいと思う。そう言う機会を与えられたことに感謝したい。

  『王様と私』には色々なヴァージョンの録音(CD)が存在している。その中で私が好きなのは、映画版のサウンド・トラック(デジタル・リマスター版)である。
  ハリウッド黄金時代のゴージャスなサウンドが、舞台版とは異なる華やかさを醸し出していて素敵だと思う。音楽監督は、長年20世紀フォックスの音楽部長を務め、『王様と私』でもアカデミー賞(ミュージカル映画音楽賞)を受賞したアルフレッド・ニューマン(20世紀フォックス社の有名なファンファーレを作曲した)である。

  このCDの最後に、ブロードウェイ版とは異なる序曲が収録されている。この序曲も6分半を超える大曲なのだが、選曲、構成共に抜群である。『王様と私』の音楽がお好きな方にはぜひ聞いていただきたいと思う。

  これで今年の『王様と私』通信はお終いである。ご愛読、ありがとうございました。次は『ALive Final』通信。来週の真ん中辺りから始まる予定です。

  それではまた、劇場で。

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『王様と私』通信

7月12日(金)

  舞台稽古2日目。

  午後イチからまず舞台稽古、昨日の続き。つまり2幕3場からカーテン・コールまで。その後、大休憩を挟んでゲネプロ。

  私たちの『王様と私』では、劇場の緞帳の代わりにタイトル・ロゴの入ったショー・カーテンがお客様をお迎えしている。デザインをしてくださったのは美術デザイナーの土岐研一さんである。
  このショー・カーテンにはシャムの国の様々な風物が描かれている。目立つ所では、総理大臣を乗せて来る天蓋付きの船や、アユタヤで見つかった白い象、などがあるが、このショー・カーテンの風景を眺めながら開演前のひと時をお過ごし頂くのも一興だろうと思う。

  明日は初日。最高、最良の『王様と私』をお目に掛けたいと思う。

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『王様と私』通信

7月11日(木)

  午前中はテクニカル。午後から舞台稽古。

  舞台稽古1日目の今日は「幕開き」から「2幕の2場」まで。ダブル・キャストのルン・タと子供たちは、交代で順番に各場面を当たって行く。
  昨年の『王様と私』は五反田のゆうぽうとホールで幕を開けたが、ゆうぽうとと比べると今回の東京芸術劇場プレイハウスは、よりタイトで緊密な空間である。その違いが客席からの見え方にも反映されているのだろうか。複数の関係者から、「前回と違って見える」と言う話を聞いた。面白いものである。

  順調にメニューを消化して1日目は無事終了。この続きはまた明日。そして明日の夜はゲネプロである。

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『王様と私』通信

7月10日(水)

  作業は快調なペースで進んでいる。色々なことがタイムテーブルより前倒しで行われている。その分、余力を芝居の中身に振り向けることができる訳である。再演のありがたさであろう。
  セットを飾ってみると、この舞台美術とこの劇場の内装は見事なまでにフィットしている。この劇場の為にデザインされた舞台美術であるみたいな、或いはこの舞台美術の為にこの劇場が設計されたかの様な、とにかく実に似合っている。

  音響チームの調整、照明合わせ、そして舞台監督チームのテクニカル……等々、スタッフの作業は至って順調に進行。
  そして19時より、2幕3場の劇中劇「トーマス伯父さんの小さな家」シークェンスのみ、先行して場当たり。この『王様と私』屈指の大ダンス・ナンバーを先に片づけておけば、明日以降の舞台稽古の能率が格段に上がる。
  スケジュールを立てるにあたってのこう言う部分の判断は経験が物を言う。ミュージカルの経験が豊富なスタッフ・チームのありがたさをつくづく感じるのは、こう言う「痒い所に手が届く」様な配慮を感じられた時である。

  明日からいよいよ舞台稽古。それにしても、連日暑いですねえ。

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『王様と私』通信

7月9日(火)

  東京芸術劇場へ。

  1990年に開場した東京芸術劇場は、音楽向けの大ホール、演劇・舞踊向けの中ホール、そして2つの小ホールに加えて、稽古場やギャラリーなどを備えた複合施設である。昨日記した様に、2011年春から1年半に及ぶリノベーションが行われ、2012年9月にリニューアル・オープンした。
  大ホール、中ホール、2つの小ホールは、それぞれ新たに「コンサートホール」「プレイハウス」「シアターイースト」「シアターウエスト」の呼称が付けられた。『王様と私』が上演されるのは中ホール「プレイハウス」である。

  リノベーションを終えた東京芸術劇場は、エントランス部分のアトリウムからその印象を大きく変えていた。
  虹色に輝いていた巨大な滝は姿を消し、吹き抜けの中央を貫いて一気に5階に達していたエスカレーターもその位置を変えた。アトリウム自身の性格や各劇場へのアクセスなどが再検討された模様である。
  中ホールの場内も、リノベーション以前とは大きく異なっていた。客席のレイアウトをはじめ、床や壁面、劇場設備などが刷新され、これは最早「新しい劇場」だと言っても過言ではないだろう。

  さて。

  今日は終日スタッフ・ワーク。私が出て行っても皆に疎まれるだけの日である。なので、昼過ぎにちょっと顔だけ出して、客席からそれぞれの作業を眺めて、日が落ちる前に帰宅した。

  用事がなくても劇場には顔を出さずにいられない。そう言う困った性質なのである。

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『王様と私』通信

7月8日(月)

  稽古場最終日。最後の通し稽古。

  一昨日、昨日と、通し稽古を観ていらした酒井プロデューサーが、「昨年より更に良くなったね」とおっしゃった。
  身内の感想なので割り引いて聞かなければならないことは十分承知しているが、それでも信頼を寄せている人のひとりが漏らした言葉である。素直に嬉しい。

  明日からは東京芸術劇場へ。明日は終日スタッフ・ワーク、稽古は休みである。
  池袋駅西口に建つ東京芸術劇場は、1年半に及ぶリノベーションを経て、昨秋再開場した。生まれ変わった東京芸術劇場の館内に入るのは今回が初めてなので、それも楽しみである。

  稽古後はALive Final~Handsome Womanの舞台美術打ち合わせへ。

  『ALive Final~Handsome Woman』の美術デザイナーは野村真紀さん、照明デザイナーは広瀬親敬さんである。
  野村さんは東宝舞台に在籍されているデザイナーさんなので、随分以前からの顔見知りである。が、演出家とデザイナーとしてご一緒するのは今回が初めて。
  広瀬さんとも今回が初顔合わせである。広瀬さんは、音楽畑に大きなシェアを持つ照明会社、東京舞台照明のデザイナーさんである。

  新しい出会いが、今まで知らなかった世界を教えてくれることだろう。

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『王様と私』通信

7月7日(日)

  今日も通し稽古。

  現在、ニューヨーク、ブロードウェイのブロードウェイ劇場では、ロジャース&ハマースタインの『シンデレラ』が上演されている。
  昨年の『王様と私』通信で『シンデレラ』に触れた時点では、『シンデレラ』はブロードウェイでは未上演であった(その記事はこちら)。作品の誕生から実に56年を経て、『シンデレラ』は晴れてブロードウェイに進出したのである。
  これは、ロジャース&ハマースタインが生み出した作品群が現代でも十分な価値を(作品的にも興行的にも)持ち続けていることの証しであろう。今年のトニー賞では、ウィリアム・アイヴィ・ロングが衣裳デザイン賞を獲得している。

  『シンデレラ』のオフィシャル・ページでは、舞台のスチールやムービー、作品の歴史などをご覧いただくことができる。こちらからどうぞ(但し英語ですが)。

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『王様と私』通信

7月6日(土)

  通し稽古。

  ミュージカルには序曲(オーヴァーチュア)が付き物であった。
  「あった」と過去形で書いたのは、近年のミュージカルでは必ずしもそうではないからであるが、かつては、ミュージカルの大半には華やかな序曲が用意されていた。『王様と私』も例外ではない。
  『王様と私』の序曲は、丸々演奏すると5分を越える程の長さがある。序曲では劇中のミュージカル・ナンバーがメドレーで次々と演奏され、幕が上がる前からウキウキとしたり、ロマンティックな気分に浸ったりすることができる。

  『王様と私』
のオーケストレーションを担当したのはロバート・ラッセル・ベネットである。ベネットは1920年代から60年代にかけて活躍したブロードウェイ/ハリウッドの名アレンジャーであった。
  『王様と私』の序曲でメドレーされるのは「Something Wonderful」「I Whistle A Happy Tune」「I Have Dreamed」「Hello,Young Lovers」の4曲であるが、過去の上演やキャスト・アルバムなどでは、この序曲をフル・サイズで聞くことは難しかった。録音でも上演でも、一部割愛された短縮版である場合がほとんどだったからである(少なくとも、私は上演でも録音でも聞いたことがない)。

  私たちの『王様と私』では、短縮版ではない(譜面通りの)フル・サイズの序曲をお聞きいただくことができる。
  序曲は開演の5分前ほどから場内に流れ始めるので、用事を済ませて、少しお早めにご着席いただくのが良いだろう。もちろん、序曲が始まってからご着席いただいても一向に構わない。

  ミュージカルを観る楽しみは、幕が上がる前から始まっているのである。

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『王様と私』通信

7月5日(金)

  そして2幕をおさらい。

  稽古スケジュールを順調に消化して今日まで来ることができた。気が付けば、明日からは通し稽古態勢に突入である。

  今年の『王様と私』は、全体の作りは昨年のヴァージョンと大きくは変わらない。が、何人かの新しいキャスト(そして子供たち)が舞台に新しい風を吹き込んでくれている。
  衣裳も、デザインの変更は無いが、消耗の激しい物は新たに作り直した。そのために、衣裳チームが今年もバンコクへ生地の買い付けに出掛けて行った。
  舞台美術も、大枠はそのままだが、地平線に当たる部分を新たにデザインしてもらった。
  つまり、第一印象では昨年そのままの再演の様に見えるだろうが、細かな部分にアップデートが施された、2013年版の『王様と私』になっているのである。

  稽古場は残り3日。明日通して、明後日も通して、そして最終日も通す。つもりである。

 

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『王様と私』通信

7月4日(木)

  そしてまたまた1幕のおさらい。

  (よかった、つづいた)ブロードウェイを代表する演劇賞であるトニー賞が創設されたのは1947年である。ここで歴代のトニー賞受賞作品も眺めておくと……

  『キス・ミー、ケイト』(1949)、
『南太平洋』(1950)、
『ガイズ&ドールズ』(1951)、
『王様と私』(1952)、
『ワンダフル・タウン』(1953)、
『キスメット』(1954)、
『パジャマ・ゲーム』(1955)、
『くたばれ!  ヤンキース』(1956)、
『マイ・フェア・レディ』(1957)、
『ザ・ミュージック・マン』(1958)、
『レッド・ヘッド』(1959)、
『サウンド・オブ・ミュージック』『フィオレロ!』(1960/同時受賞)
となっている。

  因みに、ミュージカルに作品賞が贈られる様になったのは第3回からで、なのでリストは1949年からなのである。(もうつづかないかも)

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『王様と私』通信

7月3日(水)

  そして今日は2幕のおさらい。

  (7月2日よりつづく)1950年代のブロードウェイをもう少し理解するために、1940年代のブロードウェイでヒットした作品を見ておくと……

  コール・ポーターの『パナマ・ハッティ』(1940)、
リチャード・ロジャースがオスカー・ハマースタインⅡ世とコンビを組む以前のパートナー、ロレンツ・ハートと発表した『パル・ジョーイ』(1940/映画化された際の邦題『夜の豹』)、
ロジャース&ハマースタインの第1作『オクラホマ!』(1943)、
前出の『オン・ザ・タウン』(1944)、
ロジャース&ハマースタインの第2作『回転木馬』(1945)、
コール・ポーターと並ぶ重鎮、アーヴィング・バーリンの『アニーよ銃をとれ』(1946)、
バートン・レーンの『フィニアンの虹』(1947)、
『マイ・フェア・レディ』のコンビ、ラーナー&ロウの『ブリガドーン』(1947)、
前出の『キス・ミー、ケイト』(1948)、
ロジャース&ハマースタインの第5作『南太平洋』(1949)、
そしてジュリー・スタインの『紳士は金髪がお好き』(1949)などが挙げられる。

  そして1950年代に入って……

  前出の『ガイズ&ドールズ』(1950/映画化された際の邦題『野郎どもと女たち』)、
『王様と私』(1951)、
新鋭リチャード・アドラー&ジェリー・ロスの『パジャマ・ゲーム』(1954)、
日本でもお馴染みの『ピーター・パン』(1954)、
アドラー&ロスのもう1本『くたばれ!  ヤンキース』(1955)、
そして『マイ・フェア・レディ』(1956)、
『ウエストサイド物語』(1957)、
メレディス・ウィルソンの『ザ・ミュージック・マン』(1957)、
ロジャース&ハマースタインの第10作『フラワー・ドラム・ソング』(1958)、
ジュリー・スタインの『ジプシー』(1959)、
そしてロジャース&ハマースタインの第11作にして最終作『サウンド・オブ・ミュージック』(1959)などが並ぶ。

  1940年の『パナマ・ハッティ』は当然ながら1930年代に近い大らかな作風を持ち、1950年代も後半になるほど、今見ても恥ずかしくない近代的なドラマ性と音楽性を兼ね備えた作品が増える。
  その20年の中でロジャース&ハマースタインの足跡を辿ると、2人が一貫して社会性を持ったミュージカルを世に問おうとしてきた創作姿勢が浮かび上がる。ミュージカル作家としての彼らのユニークなところは、その社会性と同時に、見事なまでの大衆性を両立させていた所にある、と私は思うのである。(つづく……かな?)

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速報! 『シスター・アクト』上演決定!

  ミュージカル『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』の上演が決定した。

  原作は、ウーピー・ゴールドバーグ主演で大ヒットした1992年公開のコメディ映画『天使にラブ・ソングを』で(続編『天使にラブ・ソングを 2』も製作された)、ミュージカル版の音楽は、『リトルショップ・オブ・ホラーズ』やディズニーの『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』の、あのアラン・メンケンである。

  第1報はこちらからどうぞ。

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『王様と私』通信

7月2日(火)

  久し振りに1幕に戻っておさらい。

  (6月28日よりつづく)レナード・バーンスタインの手掛けたミュージカルは多くはない。が、そのどれもが演劇史に残る名作である。
  『オン・ザ・タウン』(後に映画化された時の邦題は『踊る大紐育(だいニューヨーク)』)が発表されたのは1944年で、バーンスタイン26歳の時であった。『ワンダフル・タウン』(1953年)を挟んで、『キャンディード』が1956年に、そして『ウエストサイド物語』が1957年に初演されている。
  一方、コール・ポーターも、全盛期は過ぎたとは言え、1948年には『キス・ミー、ケイト』を、1953年には『カンカン』を、そして1954年には『絹の靴下』を発表している。
  6月23日に触れた『マイ・フェア・レディ』が1956年初演で、1950年代はミュージカルが近代的な体裁を整え、洗練されて行った10年だったらしいことがおぼろげながら見えてくる。(つづく)
 

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