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『シラノ』通信

1月5日(土)

  日生劇場が50周年だそうである。開場は1963年10月20日、演目はベルリン・ドイツ・オペラ『フィデリオ』であった。
  私が初めて日生劇場を訪れたのは高校生の時である。浅丘ルリ子さんがエスメラルダを演じた『ノートルダム・ド・パリ』(1979)を観劇したのが最初であった。独特な華やかさを纏った特別な劇場、という雰囲気が当時からあったが、今ではそれに風格が加わった様に思う。今や都内で最も歴史のある大劇場建築のひとつとなった。
  その歴史ある劇場で、昨年に続いて正月を迎えることができて本当に光栄である。日生劇場には忘れることのできない数々の思い出が詰まっている。

  で。

  お昼から舞台稽古の残りを片付ける。そしてプレビュー。
  プレビューと言うのは、日本の演劇界ではあまり定着していない制度であるが、正式な初日を迎える前に、作品の最後の調整を観客入りで行う、といった試みである。
  最後の通し舞台稽古=ゲネプロに沢山の関係者を招いてその反応を探る、と言ったことは無い訳ではない。が、その時客席を埋めているのはあくまでも関係者であり、今日客席に座っているのは入場料を頂いたお客様である。
  我々クリエイティブ・チームは、そのお客様に周囲を取り囲まれて、1階席中央に確保された3列のエリアに肩を寄せ合って座った。本番なのか、稽古なのか、いやもちろんあくまでも稽古の最終段階なのだが、仕事モードでありながら気配を殺していなければならず、気持ちの持ち様が実に難しく感じた3時間であった。

  お客様が入ることを承知で進めて来たので、ご覧頂いて不都合なことは何もなかったのだが、お客様に囲まれた演出テーブルで過ごす、と言うのは何とも不思議な体験であった。
  何はともあれ、プレビューにご来場くださった皆さん、ありがとうございました。

  さて。明日はいよいよ初日。『シラノ』も、日生劇場での大切な思い出のひとつになります様に!

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