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2012年12月の記事

『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』大千穐楽

12月30日(日)

  シアタードラマシティへ。

  11月16日に亀有で幕を開けた『Chanson de 越路吹雪  ラストダンス』が遂に千穐楽。ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。
  この作品も忘れることのできない大切な1本となった。
  演出の依頼をいただいた時から「これはとても難しい題材である」と感じていた。それが、素敵な音楽劇に仕上がっただけでなく、キャストの全員が掛け替えのない親友となって千穐楽を迎える事になろうとは。芝居作りでは、時としてこんな奇跡の様な事が起こる。

  今日は開演中を舞台裏で過ごした。舞台上に負けず劣らず楽しい、と聞いたからである。そもそも私は舞台裏育ちなので、客席にいるより遥かに居心地もいいし。で、最後の『Chanson de 越路吹雪  ラストダンス』を舞台袖から瞼に焼き付けた。確かに楽しい舞台裏であった。
  カーテン・コールでは花緑さんが自分のスマホを最前列のお客様に渡して、客席から舞台上のキャストの写真を撮っていただく、と言う一幕もあった。
  その時撮られた写真は公式ブログ「まんまるまる絵Blog」で見ることができる(舞台上になぜか私も)

  さて。

  年内のブログ更新はこれでお終いである。
  ご愛読ありがとうございました。どうぞ良い年をお迎えください。

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『シラノ』通信

12月29日(土)

  オケ付き通し、2回目。

  手前味噌に聞こえるだろうことを承知で書かせていただくのだが、今日の『シラノ』は、今までに見たことのない素晴らしい『シラノ』であった。
  その理由はひとつではないだろうが、キャスト、オーケストラ、スタッフ、全員が最高の仕事をした、と言うことであろう。そして、この作品の持つポテンシャルの高さを改めて思い知らされた。
  特に鹿賀さんのシラノ・ド・ベルジュラックが特筆すべき見事さであった。笑わされて、笑わされて、そして泣かされた。
 
  日生劇場では今日から前仕込が始まっている。スタッフ・チームも稽古場と劇場と、今日は二手に分かれている。この稽古場とも今日でお別れだが、こんなに高揚感を感じて稽古場を後にすることも珍しい。

  さて。

  稽古場を出て大阪へ。明日は『Chanson de 越路吹雪  ラストダンス』の大千穐楽。

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『シラノ』通信

12月28日(金)

  オケ付き通し、1回目。

  今日もシラノ、ロクサーヌ、クリスチャンは扮装である。扮装に加えてオーケストラ。稽古着にピアノの伴奏でひと月以上を過ごして来たので、演じ手が感じる負担は少なくあるまい。だが、劇場入りすればこれが常態となる。早く慣れるに越したことはない。
  が、観ている者にとっては、扮装にオーケストラは最高のプレゼントである。仕事場であることを忘れて、思わず一観客になりそうになった。忘れなかったけど。
  通し後は駄目出し。ここ数日で駄目の量が飛躍的に減っている。良い具合に仕上がって来ていることの証左である。 

  今日は御用納め。昨日まではどこもかしこも渋滞だった都内の道路も、今日は順調に流れている様子であった。
  明日からは冬休み、と言う方もいらっしゃるだろう。我々はもう1日、明日が稽古場最終日である。そして2回目のオケ付き通し!

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『シラノ』通信

12月27日(木)

  オケ歌合わせ、2日目。

  今日も大変順調に進行した。予定以上に丁寧に合わせたにもかかわらず、昨日よりも更に早い時刻に終了。そもそも2幕の上演時間の方が1幕より短いせいもあるが。
  オケ合わせ終了後、マエストロの塩田さんが「もう劇場でいいよ」と仰った。早く劇場入りしたくてウズウズしている、と言うことなのだが、それだけ手応えのあるオケ歌合わせだったのだろうと思う。私も「もう劇場でいい」。

  残すところ稽古場もあと2日。明日はオーケストラで通す!

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『シラノ』通信

12月26日(水)

  オーケストラとキャストとの合わせ(オケ歌合わせ)、1日目。

  この稽古場は広い。殆どの場合、オーケストラが稽古場に来ると私の居場所は無いに等しくなるのだが、ここはオケがセッティングされてもまだ私のテーブルがある!  すぐ背中がドラムとパーカッションなので、激しい音楽の間は舞台上の声が一切聞こえなくなる難点はあるが。
  オケ歌合わせは台本順に進行。今日は1幕、予定されたメニューを順調に消化した。全員がワイヤレス・マイクを装着し、演奏者のマイクも本番同様にセッティングされた。音響デザイナーは山本浩一さん。山本さんのチームの仕事は、いつもこのスタイルである。

  初演ではオーケストラがバック・ステージで演奏していたので、キャストとコンダクターとがどうやってコミュニケーションを取るか、その調整だけだも困難を極めた。だが、今回はオケピット。その困難は解消された。
  キャストもコンダクターも余分なストレスから解放されて、表現することに専念できる環境になった。それがありがたい。

  明日はオケ歌合わせ、2日目。もちろん2幕。

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『シラノ』通信

12月25日(火)

  2回目の通し稽古。

  今日はシラノ、ロクサーヌ、クリスチャンの3人が衣裳、ヘアを装着した。今回は劇場入りしてからの持ち時間が限られているので、稽古場でできることはなるべくならばやっておきたい。そう言う意図で、多くのスタッフの手を借りて実現したことである。
  コスチューム・プレイの扮装はヴォリュームもあるし、思いの外動きが制約されることが少なくない。なので、本番通りのセットの中で、本番通りの扮装で、着替えも含めてシミュレーションできたことは大変ありがたい。
  スタッフの皆さんのご協力に感謝。

  明日から稽古場にオーケストラが合流する。今日まで1人で稽古ピアニストを務めてくださった國井雅美さん、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

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『シラノ』通信

12月23日(日)

  「いいふみの日」から早くもひと月である。あっという間であった。で、1回目の通し稽古。

  クリエイティブ・チーム、そしてキャストの「初演を振り返ってここを直したい」と言う思いがしっかりと形になっていた初通し稽古であった。そのことに感無量である。
  鹿賀さんのシラノには、この段階に来ても毎回新しい表現がある。職業柄我々は、通し稽古くらいの時期になると「芝居を固めよう」とする方向に走るのだが、鹿賀さんはまだまだ「進化させる」方向を向いている。鹿賀さんのその貪欲な姿勢は、シラノの生き様そのものの様に思える。

  稽古後は照明打合せ。照明デザイナーの成瀬一裕さん、映像デザイナーの栗山聡之さん、演出助手の小川美也子さん、そして舞台監督の北条孝さんと。

  明日は稽古場最後のOFF。明日よりオーケストラのリハーサルが始まる。

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『シラノ』通信

12月22日(土)

  稽古場見学会。

  マエストロ・塩田明弘さんの軽妙な司会でスタート。恥ずかしながら、私も作品の解説や場面の説明などでお手伝い。そして3つの場面をご覧いただく。
  最初は幕開きのナンバー「幕を上げろ」。続いてシラノとロクサーヌの「ベルジュラックの夏」、最後にシラノ、ロクサーヌ、クリスチャンでバルコニー・シークェンス。それらのダイジェスト映像が早くもUPされている。こちらからどうぞ。
  今日は生憎を通り越して嵐の様な天候であった。その中を遥々お越しくださった皆さん、ありがとうございました。稽古場の雰囲気を少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。

  さて。

  見学会を終えて、2幕を通す。

  今日の2幕は1時間05分06秒であった。全体の上演時間は、1幕=約1時間30分、休憩=25分、2幕=約1時間05分、そしてカーテン・コールで、トータル=3時間05分程度に収まるのではないだろうか。
  通した後は昨日同様に駄目出しと抜き稽古。新キャストの4人が、いつも稽古後に自主練をしている。ダブル・キャストなので、稽古量が皆の1/2だしなあ。

  明日は全編を通す。いよいよ、である。

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『シラノ』通信

12月21日(金)

  1幕を通す。

  今日の上演時間は1時間29分30秒であった。これは本番を迎えてもそれほど大きくは変わらないだろう。
  やや盛り沢山に過ぎた初演版をダイエットした効果と、ステージングやドラマの運びをブラッシュ・アップした効果が相俟って、より楽しく、より観易く、より感動的な『シラノ』が出来上がりつつある。作品を深化させることに「再演」が果たす意義をつくづくと感じる。

 通しを終えた後、駄目出しといくつかの抜き稽古。更にその後、明日の稽古場見学会の段取り説明。
  稽古場見学会には、抽選で選ばれた50名ほどのお客様がいらっしゃると伺った。どうやら生憎のお天気となりそうであるが、どうぞお気をつけてご来場ください。

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『シラノ』通信

12月20日(木)

  今日も2幕をおさらい。

  1、2幕合わせて全5場面の中で、2幕の1場が一番難しい、と思う。それまで軽快に、時にはコミカルに進んで来たストーリーが、ここでは大きく捻じれ、思いも寄らぬ方向に動くからである。
  その結果、観客を感情移入させるべき登場人物が次々と入れ替わる。舞台全体が見通せながら、なおかつ複数の個人的なストーリーが同時進行する。
  様々なカットを積み重ねてストーリーを語る映像では、感情移入する対象を次々と変えて行くことも、複数のストーリーを並行して描くことも比較的容易なことである。だが、観客からの視点が変わらない(カメラで言えば引きで据えっぱなしの)舞台では、それをやるには相当の手間が掛かる。それがこの場面を難しい、と思う理由である。

  とは言え、ほぼ満足できる仕上がりにはなって来た。あと一息、である。

  明日は1幕に戻る。上手く行けば通すつもり。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』東京千穐楽 そして『シラノ』通信

12月19日(水)

  シアタークリエの『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』が千穐楽。

  ご来場くださった皆様、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。大変ありがたいことに、公演の後半はチケットの入手が困難な状態が続いたそうである。ご迷惑をお掛けした方がいらっしゃったかもしれない。
  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンスは、この後再び旅に出る。名古屋・中日劇場と、大阪・シアタードラマシティである。お近くの方は是非劇場へ。

  さて。

  私はシアタークリエには顔を出さず『シラノ』の稽古場へ。

  今日はまずロクサーヌの抜き稽古。その後、全体で2幕をおさらい。
  気がつけば、稽古場で過ごすのもあと10日である。クリスマスが終わるとオーケストラもやって来る。そうそう、今回、オーケストラはピットで演奏する。初演ではオーケストラはバック・ステージだったのだが、これも今回の変更点のひとつである(但し東京公演のみですが)。

  寒い日が続く。寒さは当分続くので気をつけて、と気象庁も言っている。外は寒くても、『シラノ』の稽古場は暖かい。

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『シラノ』通信

12月18日(火)

  今日も1幕をおさらい。順調にさらえたので、欲張って2幕1場もおさらい。

  今日は稽古場初登場のモノがあった。鼻である。
  鹿賀さんが本番で着用することになる、特殊メイクで造形された「鼻」。それを今日は実際に着用しての稽古であった。
  鹿賀さんの顔に合わせて特注されたこの鼻は、装着すると自分の声がいつもと違って聞こえるなど、装着者自身には結構負担になるモノなのである。足元も見辛い様で、鹿賀さんも「階段の上り下りが怖い(笑)」と仰っていた。
  なので稽古場の段階で装着していただき、早くその環境に慣れていただこう、と言う作戦なのである。

  シラノの鼻は醜男の象徴の筈だが、鼻を着けた鹿賀さんはどこまでも格好良い。

  話は変わって、『ウェディング・シンガー』の公式ページがリニューアル。昨日の製作発表の様子も記事になっている。こちらからどうぞ。

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『ウェディング・シンガー』製作発表 そして『シラノ』通信

12月17日(月)

  赤坂へ。シアタークリエ3月公演/ブロードウェイ・ミュージカル『ウェディング・シンガー』の製作発表。

  会場は赤坂にあるバンケット・ルーム。結婚披露パーティ風に設えられた会場に、ご応募くださったオーディエンスの皆さんと取材の方が集まってくださった。
  製作発表に登場したのは、井上芳雄さん、高橋愛さん(今回からの新キャスト)、彩吹真央さん(同じく新キャスト)、吉野圭吾さん(同じく同じく)、そして私であった。その様子はUstreamの東宝演劇チャンネルでしっかりとご覧頂くことができるので……何はともあれご覧頂きたい。

  とにかく楽しいことこの上ないハッピーなミュージカル・コメディである。今回でファイナル、とも告知されている。既にご覧頂いた方も未見の方も、是非シアタークリエへ。

  製作発表を終えて『シラノ』の稽古場へ。1幕に戻って1場、2場、3場をおさらい。

  基本ラインは既に問題無く出来上がっている。なので今日は、緩急であったり、メリハリであったり、ニュアンスであったり、テンポや間であったり、芝居がより自然に、且つリアルに伝わるための細部の調整を眼目に稽古。
  全体での稽古を終えた後、更にロクサーヌとクリスチャンの抜き稽古。2人のロクサーヌと2人のクリスチャン。それぞれの良さが少しずつ見えて来た。

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『シラノ』通信

12月15日(土)

  2幕2場をおさらい。

  2幕2場は、それ以前の場面と異なり静かな場面である。
  この場面が静かなのは、登場人物の年齢が上がったこともあるが、彼ら、彼女たちの感情が静かだからでもある。だが、一見静かなその感情は、どの場面の感情よりも熱く切ない。
  終幕近くでシラノが「望みがない?  ……俺はそうは思わない。」と言うのを聞いた瞬間、危うく泣きそうになった。

  2幕2場を終えた後、シラノとクリスチャンの抜き稽古。この2人が「刎頸(ふんけい)の友」に見えなくては。

  稽古後は『エニシング・ゴーズ』の打ち合わせへ。音楽監督の甲斐正人さん、プロデューサーの岡本義次さんと、音楽の基本的な扱い方について意見交換。

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『シラノ』通信

12月14日(金)

 稽古前に女子の皆さんの衣裳合わせ。
  男子のガスコン青年隊の制服だけでなく、女子の衣裳にもユニフォームが多い。『シラノ』は、制服好きの方には見所の多いミュージカルだと言えよう(それがセールス・ポイントと言う訳ではありません)

  稽古は2幕2場を立ち稽古。
  『シラノ』は1640年のパリを舞台にしている。昨年上演された『三銃士』と同時代の話である。が、2幕2場だけは「その15年後」に設定されている。
  話は逸れるが、『三銃士』の主人公ダルタニャンも、ガスコーニュ地方から恋と冒険を夢見て花の都パリへやって来た青年であった。シラノやクリスチャンたちと同じ「ガスコン」である。
  『シラノ』の原作である戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』にはそのダルタニャンが一瞬登場する楽屋落ちの様な場面があるのだが、作者エドモン・ロスタンが、アレクサンドル・デュマの『三銃士』を大いに意識して『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いたことは疑いの余地がない。

  その15年後の2幕2場であるが、15年という年月がとても素晴らしい効果を上げている。視覚的な意味だけでなく、とても美しく、そして切ない場面だと思う。

  泣きませんでした。

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『シラノ』通信

12月13日(木)

  2幕2場の後半を立ち稽古。

  昨日に引き続き、シラノ・ロクサーヌ・クリスチャンのドラマとガスコン青年隊の群像劇を、順番に整理しつつ、ひとつにまとめる作業。
  この2日間で2幕2場のラフなデッサンは終えた。ディテールや色彩や、もっともっと描き込まなければいけない要素はまだまだ残っているが、デッサンとしての出来は悪くないだろう。

  連日、稽古と並行して衣裳合わせが行われている。今日はガスコン青年隊たちの衣裳合わせ。男性たちの軍服姿が凛々しい。

  明日はいよいよラスト・シーン。泣くもんか。

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『シラノ』通信

12月12日(水)

  2幕1場の前半を立ち稽古。

  まずは幕開きのナンバー「パリの思い出」をステージング。女声コーラスと男声コーラスが何とも美しい。続いて「栄光に向かって」をステージング。こちらは男たちの豪快なコーラスが観る者を大いにわくわくさせる。
  大人数のナンバーを先に片付けた後、改めて幕開きよりストーリーを追って稽古。昨日も記したが、2幕1場では20人近い登場人物が常時舞台上に居続け、その状態で様々なエピソードが展開して行く。あるエピソードは全体で進むが、あるエピソードは少人数でのパーソナルな会話となる。
  初演時の稽古の記憶が既に曖昧で、このシーンを作るのにどのくらい時間を費やしたのか、どの程度試行錯誤したのか、最早良く覚えていないのだが、その初演のミザンセーヌを基に今回のミザンセーヌを作って行く。お陰で今回は能率良く、より効果的なシーンを作ることができている。

  再演で作品が進化している、と言う実感を日々感じながら稽古に取り組んでいる。その機会が与えられたことに感謝。

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『シラノ』通信

12月11日(火)

  1幕3場をおさらい。

  前半は昨日に引き続きロクサーヌとクリスチャンの抜き稽古。後半は全体での稽古。
  ロクサーヌとクリスチャンの組み合わせは、いままでの稽古では彩吹さん&平方さん、濱田さん&田代さんであることが多かった。稽古スケジュール上、その組み合わせが能率が良かったからで、それ以上に理由は無いのだが、今日はその組み合わせを変えてみた。
  公演が始まれば上記以外の組み合わせも当たり前のことになるが、今日はちょっと新鮮であった。見ている我々がそうなのだから、ご本人たちはさぞ新鮮であったことだろう。

  今日まで1幕を行きつ戻りつしながら稽古して来たが、これまでのところは順調であった。明日からは2幕に進む。2幕1場はアラスの戦場。大勢が常時舞台上に存在し続ける、ちょっと厄介な場面。

  ところで、『シラノ』の稽古場見学会が開催されることになった。詳細はこちらからどうぞ。

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『シラノ』通信

12月10日(月)

  1幕2場をおさらい。

  今まで分割して稽古していた1幕2場を、ようやく繋げて稽古。
  「『シラノ』は1シーン、1シーンが長い」と言う話は以前記したが、「1シーンが長い」と言うことは、「その1シーンの中に複数のエピソードが盛り込まれている」と言うことでもある。
  エピソード毎に次々とシーンが変わって行くミュージカルと比べると第一印象では単調に感じるかもしれないが、その複数のエピソードが密接に、且つ重層的に絡み合って行くので、ドラマとしての奥行きは深いし、何より飽きさせない。
  演じ手や作り手には、その「密接で重層的」を引き受けなければならないので、難易度の高い作品、と言うことにもなるのだが。

  全体の稽古を終えた後、ロクサーヌ、そしてクリスチャンの抜き稽古。
  今回はロクサーヌもクリスチャンもダブル・キャストである。そしてロクサーヌもクリスチャンも今回からの新キャストである。初演から続投するシラノに対抗するには稽古、稽古しかないであろう。

  長時間の稽古、お疲れさまでした(特に私)

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『シラノ』通信

12月8日(土)

  1幕3場を立ち稽古。

  1幕3場は、この物語で最も有名なバルコニーの場面である。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』のバルコニー場面と双璧の、演劇史に残る名場面だろう。
  「バルコニー上にいる人物とそれを見上げる人物」と言う構図がドラマティック、そして演劇的であるし、「バルコニーに上って行く人物と地面にとどまる人物」という流れがドラマの構造を見事に視覚化している。何よりもこの構造を利用してやり取りされるストーリーが素晴らしい。
  このやり取りの中で歌われるのは、ロクサーヌとクリスチャンの「これが恋」、そしてシラノの「俺の言葉で  くちづけを」であるが、前者がバルコニー上の人物の、後者が下の人物の歌である所が何とも切ない。名場面の名場面たる所以だろう。

  明日は稽古OFF。風邪やお腹に来るウィルスが流行っている様子。どうぞご自愛ください。

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『シラノ』通信

12月7日(金)

  稽古前に青山葬儀所へ。

  今日は森光子さんの本葬である。が、午後は『シラノ』の稽古があるので、本葬が始まる前に献花させていただいた。さようなら、森さん。

  さて。

  稽古は1幕1場をおさらい。そして、まだ手を付けていなかった「相手は百人」のステージング。このナンバーは歌詞とアレンジが変更になったので、ステージングもそれに合わせて微調整。
  これで1幕1場はひと通り手を付け終えた。今回の再演では稽古は先を急がず、「進んでは戻る」を繰り返しつつやって行く作戦である。その作戦は、今のところは順調に推移していると思われる。

  全体の稽古を終えた後、「月から落っこちた」のおさらい。鹿賀さんのキュートさ加減が増している!

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『シラノ』通信

12月6日(木)

  1幕3場を立ち稽古。

  3場は少人数でストーリーが進行する。稽古場も今日は少人数である。
  この場面では次々と誰かが誰かに嘘をつく。
  まず、シラノがロクサーヌに「クリスチャンからの手紙」と偽って自分が書いた手紙を届け、ロクサーヌはクリスチャンを戦場に行かせないためにド・ギッシュに嘘をつく。クリスチャンはロクサーヌと結ばれるためにシラノの力を借りてロクサーヌを騙し、ロクサーヌはクリスチャンと結ばれるために修道士を騙す。
  それらの「その場しのぎでついたささやかな嘘」が、やがてドラマを大きく動かして行くことになるのだが、その時の彼ら、彼女たちは、そのことを知る由もない。

  嘘は、つき通せばいつか真実となる。『シラノ』は、嘘をつくことを通して「真実とは何か?」を考えさせてくれる物語でもある。

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『シラノ』通信

12月5日(水)

  顔寄せ。後、読み合わせ。後、1幕1場前半を立ち稽古。

  顔寄せには大勢の関係者が集まった。
  『シラノ』は東宝・ホリプロ・フジテレビジョン3社の共同製作なので、集まる人数も単純計算で通常の3倍である。加えて、大阪公演を主催してくださる新歌舞伎座の方々もいらっしゃり、都内でも広い方である今回の稽古場もかなりごった返した。

  既に立ち稽古に入って何日も経つが、今日は改めて歌入りで読み合わせ。
  読み合わせが終幕が近付くと、稽古場のあちこちから鼻をすする音がする。読み合わせなのに、である。
  私のテーブルの左隣には翻訳の松岡和子さんと訳詞の竜真知子さんが、後ろには振付の前田清実さんがいらっしゃったのだが、読み合わせを終えて目をやると、お3方とも目を真っ赤にしていらっしゃった。
  初演の時もこんな光景を見た様な気がするが。

  一昨日の稽古休みに、稽古場に本番用の大道具が運び込まれた。これで本番同様の高さや段差を稽古場に再現することができる。スタッフの皆さん、ありがとうございました。

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お知らせが2つ

  お知らせ・その1。
  『ウェディング・シンガー』の製作発表でオーディエンスを募集している。詳細はこちらからどうぞ。

  お知らせ・その2。
  『エニシング・ゴーズ』の上演が発表になった。詳細はこちらからどうぞ。

  どちらも楽しいことこの上ないミュージカル・コメディである。どうぞお楽しみに。

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クリエ初日! 『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

12月4日(火)

  初日。

  越路吹雪さんがホーム・グラウンド、日比谷に帰って来た。
  目の前は東京宝塚劇場である。目と鼻の先には日生劇場があり、歩いて数分で日劇(今は有楽町マリオンであるが)と帝劇が、ヤマハホールも近い。帝国ホテルも日比谷公園も東京會館もある(つい先日までアマンドもあったのだが……)。
  シアタークリエのエントランスには越路さんの写真パネルが飾られ、お客様をお出迎えしている。越路さんが生前使用されていた品々も展示されている。菊田一夫さんの胸像が、それらを嬉しそうに見つめていらっしゃる。

  今日は午後から舞台で簡単な場当たり。シアタークリエから一部スタッフの手が変わる。それに前回の金沢公演から1週間経ってもいるし。
  場当たり終了後、舞台にて初日のお祓い。2週間に及ぶ公演の安全と成功を祈念する。
  そして初日。定刻通り、18時30分に開演。1幕が約1時間15分、20分の休憩を挟み、2幕が約1時間35分。暖かい拍手を頂戴して、無事に初日の幕は下りた。

  ここで『ラストダンス』トリビアを2つ。

  その1。
  舞台の背景を飾っていたセットの壁面。どこかでご覧になっご記憶は無いだろうか。
  あの壁は現・帝劇のロビーの壁を模してデザインされている。『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』のためにイギリスの業者に発注して作られた特注のセットなのである。

  その2。
  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』の音楽の大半は録音である。が、その中のピアノの音だけは録音ではない。舞台に鎮座している自動ピアノが生で奏でている音である。自動ピアノが演奏する生音をPAして、録音のオーケストラの音と同期させているのである。
  ピアノの鍵盤が動いていることにお気づきになった方もいらっしゃると思うが、鍵盤が動いている時は、あのピアノが音楽を奏でている。オーヴァーチュアもアントラクトも録音では無く、あの自動ピアノ君が生で演奏している音なのである。

  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』シアタークリエでの公演は12月19日(水)まで。その後、名古屋へ、そして大阪へと参ります。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

12月3日(月)

  シアタークリエに来ている。

  「残念ながら見逃しました」と言う様な印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれないが、Chanson de 越路吹雪/ラストダンスのシアタークリエ公演は明日からである。「まだ始まって無かったのか」が正しいのである。
  スタッフは、千秋楽を迎えた「Rent」と入れ替わる様に昨晩から道具の搬入。冷たい雨の中、ご苦労様でした。雨男(女)は誰だ?
  今日は終日スタッフ・ワーク。朝から各セクションの仕込み、タッパ合わせ。サウンド・チェックを間に挟みつつ、照明のフォーカス合わせ、その後、照明Cueをプレビューしつつデータの修正。

  かめありリリオホールでプレビューの幕を開けたのが先月の16日。それから既に2週間以上が過ぎたが、亀有以後に公演が行われたのは長野、山梨、金沢だけである。亀有を入れてもまだ4ステージを終えたに過ぎない。
  で、ようやくシアタークリエに到着。初日は明日、18時30分に開演である。

  お待ちしています。

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『シラノ』通信

12月2日(日)

  1幕2場の後半を稽古。

  まずは男声コーラスが鳥肌が立つほど格好良い「我らガスコン」をステージング。
  ガスコンと言うのは「ガスコーニュ地方の出身者たち」のことである。ガスコーニュはフランス南部のスペインに近い地方で、ここの者たちは血の気が多く、また剣の達人が多く輩出したことでも知られる。
  そのガスコーニュ出身の若者たちで組織された軍隊が「ガスコン青年隊」で、シラノもクリスチャンもその一員なのである。隊長はカルボン・ド・カステル・ジャルーで、演じるのは佐山陽規さんである。

  ステージングに2時間ほど費やした後、それに続く芝居部分を稽古。そこにはシラノのナンバー「独りで」があり、更にその後、シラノはクリスチャンの訪問を受けることになる。
  『シラノ』はミュージカル・コメディではないが、コミカルな場面がふんだんに登場する。特に1幕は笑える場面の連続で、これはもうシチュエーション・コメディだと言っても過言ではないとさえ思う。

  人生は滑稽なことの連続である。本人が真剣であればある程、周囲にはそれが滑稽に映る。『シラノ』に笑える場面がふんだんに登場するのは、『シラノ』が人生そのものを描いているからなのである。

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『シラノ』通信

12月1日(土)

  1幕2場、ラグノーの店でシラノがロクサーヌと密会する場面を抜き稽古。

  今日は少人数の稽古場であった。
  ミュージカルの稽古場は常に騒々しい。帝劇や日生劇場クラスのミュージカルでは出演者が30~40人に登ることもザラだし、大勢のスタッフが稽古の準備と本番の準備で走り回っている。歌や振りの確認が所構わず行われ、ピアノの音も常に鳴り響いている。やらなければならないことは気が遠くなるほど膨大で、持ち時間は余りにも少ない。
  今日の稽古場はそうではなかった。
  落ち着きがあり、急かされることは誰ひとりとして無く、静かだが緊張は感じず、穏やかで充実した時間が流れていた。

  日頃どんなに慌ただしく稽古場で過ごしていたか、と言うことに気付かされた1日であった。そもそも舞台人は慌ただしくしていないと落ち着かない性分の人々の集まりなのであるが、今日の様な稽古場も悪くない。

  稽古場で、稽古をして、癒された不思議な日なのであった。

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『シラノ』通信

11月30日(金)

  1幕1場の前半をおさらい。その後、1幕2場、3場の読み合わせ。

  『シラノ』の初演は困難を極めた仕事であった。台本やスコアが未完成の状態で稽古に突入し、それらの素材を整理、推敲しながら並行して稽古を進める、と言った状態であったからである。
  幸いなことにその困難は報われ、こうして再演の運びとなっているのだが(多くの関係者、そしてお客様のお陰である)、今になってひとつ困ったことが起こっている。
  主要な人物の動きや段取りは(そもそも自分で作っているので)それなりに記憶しているし記録も残っているのだが、その背景で行われている大勢の芝居は(キャストの皆さんの創意工夫の結果なので)、誰がどこでどんなことをしていたか、その記録が無いのである。
  『シラノ』以外の殆どでは、そう言う部分の動線(ミザンセーヌ)も自分で作っているのだが、『シラノ』の初演ではその余裕がなかった。その結果、初演の困難とは違う種類の困難に現在直面している(泣)。

  話は変わるが、11月23日に行われた「いいふみの日」イベントの様子がエンタメ ターミナルにUPされている。こちらからどうぞ。

  それから『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』の特設展示が12月3日より日比谷シャンテで行われる。その詳細はこちらから。『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』のシアタークリエ公演は12月4日オープン!

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