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2012年10月の記事

『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信 そして『竜馬の妻とその夫と愛人』千穐楽

10月30日(火)

  稽古前に花緑さんの衣裳合わせ。
  衣裳を着用した花緑さんを見た女性スタッフの声は「フィギュアにして卓上に飾りたい」であった。花緑さんは何を着られてもキュート!

  稽古は2幕の後半を作る。
  稽古は連日、猛烈なスピードで進行しているが、ラスト・シーンまであと少し、と言う所まで辿り着いた。ゲラゲラ笑って、ウットリして、ちょっと切なくなって、そして終盤はジーン……である。

  稽古後は、プログラム向けに座談会。
  キャストの6名に何故か私が加わっている。稽古で集中力を使い果たしたのだろう、私は良いことも愉快なことも話せていなかったと思う。だめだぁ~。

  稽古場を出て下北沢へ。『竜馬の妻とその夫と愛人』が本日無事に千穐楽。
  ご観劇くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。
  今日の千穐楽には三谷君が現れたらしい。カーテン・コールには舞台に上がり(靴を脱がずに!)、B作さんに障子戸で締め出され、障子紙を破いて去った様だ。

  ところで、11月23日は文の日。ミュージカル『シラノ』こんなイベントが告知されている。どしどしご参加ください。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月29日(月)

  稽古前に瀬奈さんの衣裳合わせと仮縫い・パート2。
  「これが一番落ち着く」と瀬奈さんがおっしゃった衣裳は、さて、どんな衣裳でしょう?

  稽古は2幕の中盤を作る。
  2幕は、言うなればロマンティック・コメディである。コメディではあるがほろ苦い。人生の、皮肉な巡り合わせがそこにはあるからである。
  別所さんが、新しい場面に入る毎に「こう言うこと、あるよなあ……」と、しみじみと呟いていらっしゃる。「こう言うこと」とは、やせ我慢であったり、すれ違いであったり、強がりであったり、ためらいであったり、届かぬ思いであったり……、誰の人生にも起こる、ささやかで切ない色々なことである。

  切ないなあ。

  稽古後に瀬奈さんの衣裳合わせと仮縫い・パート3。
  越路吹雪さんが活躍されたのはスターがスターらしかった時代である。なので、今回の衣裳の数々も実にスターらしさに溢れている。スター・瀬奈じゅんをお楽しみに。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月28日(日)

  2幕前半を作る。

  2幕に入ると物語が恋愛の話に移るからだろうか、キャストの皆さんは稽古の合間に恋愛や結婚の話で異常に盛り上がっている。あなたたちは高校生かっ!
  昨日などはいきなり血液型の話になり、その結果判明したキャスト6名の血液型はA、A、A、B、B、ABであった。さて、どれが誰でしょう?
  血液型チェックはスタッフにも及び、結果、このカンパニーはABとBの比率がかなり高いことが判明した。Aの皆さんはさぞ居心地の悪いことであろう。(科学的には何の根拠もありません)

  稽古後は瀬名さんの衣裳合わせと仮縫い・パート1。

  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』は一代記物なので、衣裳の点数はどうしても多くなる。なのでパート1である。今後パート2、パート3がある、と言うことである。
  私は、瀬名さんの衣裳姿はコスチューム・プレイと現代物(とショー)しか拝見したことがなかったので、1950年代風の洋服姿などが殊の外新鮮に映った。何より似合ってるし。

  次々と着替える瀬奈さんもお楽しみに。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月27日(土)

  昨日は大澄賢也さんの誕生日であった。

  そのことを我々が知った時、稽古は既に終了していた。何と言うことであろう。我々は、掛け替えのない大切な仲間の誕生日を祝い損ねたのだ。
  と言う訳で、1日遅れで大澄さんのHappy Birthday!  生ピアノの伴奏で一同がHappy Birthdayを歌う中、蝋燭の灯されたケーキが瀬奈さんによって運び込まれ、大澄さんに手渡された。
  ある意味これは最高のサプライズであったかもしれない。

  さて。

  稽古前に別所さんの衣裳合わせ。
  別所さんは何を身に着けてもエレガント。洋服屋さんも別所さんの股下の長さをしきりに感心されていた。何役か演じ分ける中では「秦豊吉さん」の変身ぶりが特に楽しい。

  衣裳と言えば、衣裳デザイナーの原まさみさんが、岩谷時子さんからの手紙を見せてくださった。17年前、原さんがロンドンに留学されていた時に遣り取りされた1通だそうである。
  それは、まるで昨日届いたかの様な状態で保存されていた。岩谷さんらしい温かで細やかな文章が、きれいな青いインクで綴られていた。
  私にも、以前岩谷さんから頂いた品が2つあるのだが、そのことはまた改めて。

  で。

  稽古は1幕後半をおさらい。更に2幕冒頭に手を付ける。
  1幕と2幕では芝居のスタイルが異なることは以前記した通りである。1幕が何かをどんどん足して行く「足し算」の芝居作りだとすれば、2幕は「引き算」で芝居を作りたい。
  1幕では戦後ショー・ビジネス史のダイナミズムを、2幕では越路さんのロマンティックな恋愛模様を楽しんでいただければ、と思う。

  そして。

  稽古後はミュージカル『シラノ』 の舞台美術・照明打ち合わせへ。
  『シラノ』は、初演をご覧になった多くの方から「きれいな舞台」だと言われた。更にきれいにはならないだろうか?  が今日の打ち合わせのテーマであった。

  なるといいなあ。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月26日(金)

  1幕前半をおさらい。前回、ざっくりと段取りを付けただけになっているのを芝居に仕立てるべく、少し時間をかけて丁寧にさらう。

  立ち稽古は初日から笑いの絶えない楽しい雰囲気の中で進行していたが、初日のその雰囲気は、いま思えば「本当はちょっとよそよそしかった和気あいあい」であった。が、この何日かで、それが「本物の和気あいあい」に進化した。その進化に「1幕をひと通り当たった安心感」も加わって、キャストのひとりひとりに良い影響が現れている。
  こちらも1巡目では段取りを伝えることに精いっぱいだったのだが、2巡目の今日は芝居のことに専念する余裕も生まれ、稽古の効率も格段に良くなっている。

  今日までのところは手応え十分である。かなり楽しい(そして感動的な)音楽劇になるだろう。

  ところで、先日シアタークリエで行われた「ファン感謝イベント」の様子が公式ブログにUPされている。こちらからどうぞ。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月24日(水)

  顔寄せ。後、立ち稽古。1幕の後半を作る。

  昨日まで6人のキャストと気心の知れたスタッフだけだった稽古場が、今日の顔寄せでは溢れんばかりの人でごった返した。『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』は東宝、コマ・スタジアム、東宝芸能の共同製作なので、集まる人数も膨大なのである。
  いつもは和気あいの稽古場も、顔寄せの間は緊張感が漲っていた。脚本の髙平さんに続いて私も一言述べたのだが、緊張感をほぐす挨拶をしようとして、却って自分を緊張させた。

  今日稽古したブロックには日劇のショー場面が登場する。宝塚、帝劇と来て、今日は日劇である。ここで越路さんはシャンソンを歌う。5人だけで日劇をやっていることは言うまでも無い。
  越路さんの人生を横切った実在の人物も既に大勢登場した。
  小林一三さん、秦豊吉さんに始まり、古河ロッパさん、菊田一夫さん、真木小太郎さん、山本紫朗さん、黛敏郎さん、小林秀雄さん、今日出海さん、石井好子さん、松井八郎さん、佐藤一郎さんと言った、経営者、プロデューサー、演出家、音楽家、文化人……たちである。
  これらの人々を別所哲也さん、大澄賢也さん、柳家花緑さん、宇野まり絵さんの4人だけで演じることは既に記したが、男子の3人は、少ない別所さんで3役、花緑さんは6役を演じ分けなければならない。

  それぞれの顔写真を参考にして髪型や眼鏡などでご本人に近付いて行くのだが、短時間の支度で外見を似せることにも限度がある。なので、必然的に声や仕草や喋り方を変えて行くことになるのだが、『放浪記』に登場する菊田さんを除いて、それらの人々がどんな喋り方をして、どんな特徴的な仕草をしていたかなどを我々が知る由もない。

  苦難の道は続く(が、実在の人物が新たに登場する度に稽古場は爆笑に包まれている)
 

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月23日(火)

  立ち稽古2日目。昨日の続き、1幕の中盤を作る。

  1幕の中盤で描かれるのは、越路さんが宝塚歌劇団を卒業しシャンソンに出会う時代のエピソードである。今日の稽古は、このブロックにある「帝劇ミュージカルス」場面の振り付けから始まった。
  帝劇ミュージカルスとは、1951年に当時帝劇の社長であった秦豊吉(はた・とよきち)氏がプロデュースした『モルガンお雪』に始まるシリーズの総称である(旧・帝劇です。念のため)。当初それらは「帝劇コミック・オペラ」と呼ばれたが、後に帝劇ミュージカルスと改称された。コミック・オペラとは、今で言えばミュージカル・コメディであろう。

  その帝劇ミュージカルスに、越路さんは乞われて何本も出演した。なので『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』にも帝劇ミュージカルスの場面が登場するのである。
  但し、『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』の出演者は、チラシやホーム・ページに出ている通り、6人のみである。当然のことながら、帝劇のショー・シーンを再現するのにも6人以内で取り組まなければならない。もっと言えば、6人のキャストの内、斉藤由貴さんは「岩谷時子さん」役しか演じないので、実際にショー・シーンに出られるのは最大5人と言うことになる。

  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』は、そんな感じで進行して行く、笑いに満ちた音楽劇である。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月22日(月)

  立ち稽古初日。1幕の前半を作る。

  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』の基本はドラマであるが、決して固い小難しいドラマではない。そもそも脚本の髙平さんは笑いと音楽のふんだんに詰まったショーが大好きな方である。このドラマにも音楽と笑いが沢山詰まっている。

  今日のメニューの最後はショー場面の振り付けであった。振付は、瀬奈さんのコンサート『A Live Ⅱ』や『パイレート・クイーン』でご一緒した青木美保さんである。
  今日手を付けたのは、越路さんの宝塚時代の大ヒット舞台を再現する場面である。いや、正しくは再現ではない。再創造である。再現することが『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』の目的でもないし、再現したくても当時の映像は残っていない(と思う。録音は残っているが)。

  我々が『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』でやるべきことは越路さんの舞台をコピーすることではなく、越路さんの舞台で、舞台と客席との間に生まれたであろう喜びや興奮を現代の劇場に蘇らせることの方だと思う。
  もちろんそれは簡単なことではないが、その簡単ではないことから逃げないことが、『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』に登場する多くのショー・ビジネスの先人たちに対する我々の気持ちを示す唯一の方法なのだと思っている。

  本当に簡単なことではないのだが。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月21日(日)

  稽古が始まった。

  キャストの6名、脚本の髙平哲郎さん、プランナーの皆さんが稽古場に集まった。で、今日は読み合わせ。
  今日の読み合わせは各場毎に止めながら、必要に応じて髙平さんと私が時代背景や場面の狙いなどを補足するスタイルで行った。

  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』は2幕構成で、途中に1回休憩が入る。各幕にはサブ・タイトルが付けられていて、1幕が『夢の中に君がいる』、2幕は『ラストダンスは私に』である。
  1幕では、越路さんが岩谷時子さんと出会った頃からシャンソンの歌い手として押しも押されもせぬスターになるまでが綴られる。その所々で、越路さんが歌うステージ場面が再現されて挿入されることになる。
  2幕では、越路さんのパーソナルなストーリーが語られる。越路さんは恋多き女性であった様だが、その中から舞台美術家・衣裳デザイナーの真木小太郎さんと、夫君となったピアニスト・作編曲家の内藤法美さんとの恋が描かれる。
  2幕でも折々に越路さんの持ち歌が歌われるが、それは1幕での楽曲の扱われ方とは異なり、楽曲がその時々の人物の心象を代弁する、みたいな、そんな使われ方になる。

  初日まで4週間。才能豊かなキャストとクリエイティブ・チームの力をお借りして、文句なしに楽しく、そして感動的なエンターテインメントを作りあげたい。

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『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月19日(金)

  Chanson de 越路吹雪/ラストダンスの音楽打ち合わせ。

  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』は、1930年代末から約40年間に渡って活躍された女優・歌手の越路吹雪さんと、越路さんの生涯の友人であり、また越路さんのマネージャーでもあった作詞家の岩谷時子さんの半生を、越路さんの歌った数々のヒット・ソングを織り交ぜて描く音楽劇である。
  既に先週より歌稽古が始まっていて、明後日からは本格的な稽古も始まるのだが、その稽古に入る前に、全編に流れる音楽のサイズやテンポ、スタイルやアレンジ、ニュアンスや方向性を整理、再確認する打ち合わせであった。

  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』に登場する楽曲は22曲(リプライズなどは数えないで)。越路さんは宝塚歌劇団出身なので、まず宝塚時代の楽曲があり、そして歌劇団卒業後、帝劇や日劇で出演したショーの楽曲があり、シャンソンの第一人者となってからの数々の楽曲がある。
  現在でも広く知られている代表曲も登場するし、通好みの渋い選曲もある。音楽を選ばれたのは脚本の髙平哲郎さんである。

  今日の打ち合わせでは音楽の江草啓太さん、音楽コーディネーターの清水恵介さん、振付の青木美保さん、演出助手の末永陽一さん、舞台監督の落石明憲さん、そして製作チームが集まった。
  台本を前に1人で想を練っていると様々な課題が浮上して途方に暮れることが多々あるのだが、こうして一同が顔を合わせた場で意見交換するとあっという間に解決策が見つかる。
  今日はものすごく作業が進展したし、今まで1人で途方に暮れていたそれぞれの前に垂れ籠めていた霧も晴れた筈である。

  こう言う創造的な瞬間に出会うから芝居作りが止められなくなるのである。

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初日! 『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月18日(木)

  初日。

  ご来場くださった皆さん、お足もとのお悪い中、本当にありがとうございました。
  ザ・スズナリと言う小劇場の良さを目一杯味わっていただける舞台に仕上がったのではないかと思う。例えば、誰かの耳元で何かをささやく時の台詞を、俳優は本当にささやくだけで良い、そんな類の良さである。緊張感とアットホームさが共存している良さ、もあるだろう。

  終演後は客席で初日の乾杯。その席でB作さんから急に一言求められた私は、その場をお借りして駄目出しを済まさせていただいた。これ、能率的でとても助かる。

  これで『竜馬の妻とその夫と愛人』通信は終わりである。ご愛読ありがとうございました。次はChanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信。引き続き、すぐに始まります。

  劇団東京ヴォードヴィルショー第67回公演/創立40周年記念興行第2弾『竜馬の妻とその夫と愛人』は10月30日(火)まで、下北沢のザ・スズナリにて上演中!

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月17日(水)

  ゲネプロ。

  予定の時刻通りに始まり、カーテン・コールまで大過なく無事に通った。上演時間は、カーテン・コールを含めても2時間を切っていた。
  ゲネプロを観た関係者の1人が「今までの『竜馬の妻とその夫と愛人』とは全然違いますね」と言った。その通り、今までのとは全然違う、と私も思う。
  以前のヴァージョンをご覧になった方にも是非観ていただきたい、そんな新しい『竜馬の妻とその夫と愛人』が誕生した。(と言っても、話は一緒だからね、話は。そこんとこ、誤解のない様に!)

  明日は待ちに待った初日。天候が心配されるが、どうか夜には雨が上がります様に!

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月16日(火)

  舞台稽古初日。

  朝から照明作り。後、サウンドチェック。夕方より舞台稽古。舞台美術、照明、音響、そして音楽の力で、ザ・スズナリに夢の様に美しい舞台が出来上がった。
  それにしても、チーム・ワークの良いカンパニーである。スタッフの各セクションの繋がり方、キャストとスタッフとの交流など、芝居作りのあるべき姿がそこにはある。東京ヴォードヴィルショーさんの仕事をさせていただくと、継続することの強さを教えられる。

  明日はいよいよゲネプロ。「ゲネプロ」は舞台の専門用語だが、ここを読んでくださる皆さんには説明は不要・・・なのだろうか?

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月15日(月)

  ザ・スズナリへ。

  朝から搬入、そして仕込み。終日スタッフ・ワークである。搬入、仕込みには劇団の若手たちが手を貸してくれた。稽古場に続いて感謝、感謝である(若手たちについて記した過去ブログはこちら)。

  下北沢の小劇場ザ・スズナリで仕事をするのは、これで2度目である。前回は2006年の1月末から2月にかけて上演された、『竜馬の妻とその夫と愛人』の若手公演の時だった。
  若手公演は、B作さんや佐渡さん、あめくさんらが出演した本公演とは別に、劇団の若手たちによって演じられた『竜馬の妻とその夫と愛人』である。
  その時の若手たちの舞台を観ながら、私は「スズナリだったらもっと違う舞台が作れるのではないか」と思っていた。そして舞台の簡単なスケッチも描いてみた。その時のアイデアを実現させたのが今回の「舞台を客席が3方向から囲む」『竜馬の妻とその夫と愛人』である。
  つまり、今回の演出は「構想6年」なのである。実現する機会が与えられるとは、あの時は夢にも思っていなかったのだが。

  さて、作業は順調に進んだ。大道具の仕込みは一段落し、夜には照明のフォーカスもほぼ終えた。
  明日は朝から照明作り。午後には音響チームとミュージシャンとのサウンド・チェック。そしていよいよ場当たり稽古である。

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『ウェディング・シンガー』新ヴィジュアル登場!

  ブロードウェイ・ミュージカル『ウェディング・シンガー』の新ヴィジュアルが公開された。こちらからどうぞ。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月11日(木)

  あっ!

  と言う間に稽古場最終日である。

  今日も粛々と通し稽古。もちろん音楽入り、である。昨日の「楽しい通し」とは打って変わって、今日は適度な緊張感とライブ感の漂う「新鮮な良い通し」であった。
  上演時間は2時間弱。途中休憩は無い。チケットの方は10月21日のみ完売となったが、それ以外はまだ確保可能な模様。参考までに、10日時点のチケット状況が記された劇団ブログへのリンクを張っておく(こちらから)。

  稽古後、B作さんは頻りに「しんどい芝居だなあ」を連発されていた。が、B作さんは前回(2005年)の時もそうおっしゃっていたのである。そのことを申し上げると、「楽しかった事ばっかり覚えてて、しんどいことは忘れちゃうんだよね。で、またやりたくなっちゃうんだよ」とおっしゃった。
  綾田さんも「今まで芝居でこんなに喋ったことないよ」と、B作さんに同調されていた。綾田さんは、松兵衛役の前任者・平田満さんとすれ違った時、平田さんから「大変だよ」と、忠告とも同情とも脅しともつかない言葉を貰ったそうである。

  さて、いよいよザ・スズナリへ。但し、劇場入りは事情があって来週である。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』&『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信 そして『シラノ』

10月10日はもう体育の日じゃないんだなあ…(水)

  音楽入りで通し稽古。

  綾田さんが雪駄を履き忘れて登場したり、綾田さんが台詞の順番を間違えたり、綾田さんが台詞を失念したり、綾田さんが素に戻ったり、綾田さんのが伝染ったのか、B作さんが台詞を忘れたり……と、愉快な通し稽古であった。
  今日の一番の収穫は、どんなにアクシデントが起こったとしても芝居は続く、と言うことが分かったことと、しかもそれでも面白い、と言うことであった。
  通し稽古の後、カーテン・コールを作る。カーテン・コールも生演奏があるのとないのとでは楽しさが大違いだと思う。

  稽古後は『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』の舞台美術打ち合わせ。

  前回、口頭で打ち合わせた内容を、美術デザイナーの松井るみさんが平面図とエレベーション、それに模型にしてくださった。
  不世出のエンターテイナー、越路吹雪さんの半生を描くとなれば、それはショー・ビジネスそのものを描くことにならざるを得ない。それに相応しい、楽しげな舞台美術になりそうである。

  ここでお知らせ。ミュージカル『シラノ』の東京公演中にアフター・トークショーの開催が決まった。詳細はこちらからどうぞ。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』&『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』通信

10月9日(火)

  稽古前に『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』の音楽打ち合わせ。

  間もなく歌稽古が始まるので、音楽の考え方や作業の進め方などについて、音楽コーディネーターの清水恵介さん、演出助手の末永陽一さんと意見交換。
  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』 は厳密にはミュージカルではないが、ミュージカル的に音楽処理される部分も多々登場する。ミュージカル的でもあり、音楽劇的でもあり、ショー的でもあるのだ。

  午後は『竜馬の妻とその夫と愛人』の稽古場へ。

  音楽入りで、1場、2場をそれぞれさらう。
  音楽が鳴ると、それと張り合って台詞の音量も大きくなる傾向がまだ少し見受けられる。感情が高ぶる、テンションが上がる、声が大きくなるなどは、音楽に因って、ではなく、相手との関係で起こりたい。飽くまでもドラマでありたいのである。

  稽古を終えて 『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』 の衣裳・ヘアメイク打ち合わせへ。

  1週間前の打ち合わせで話されたことを、衣裳デザイナーの原まさみさんが絵に起こして来てくださった。
  『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』 は大河ドラマなので、時空もどんどん飛ぶし、登場するキャラクターも多い。それらをどう効果的に、観客を混乱させること無しに実現するか?

  課題は山積である。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月8日(月)

  1場、2場をおさらい。その後、音楽との合わせ。

  ミュージカルではいつものことだが、ミュージカルではない『竜馬の妻とその夫と愛人』でミュージシャンの皆さんと合わせる日が来るとは思ってもいなかった。
  オープニングから順番に、音楽の入る部分の芝居と演奏を1シーンずつ合わせて行く。サイズやテンポ、演奏のニュアンス、台詞とのバランス……などなどを、キャストの皆さんにもお付き合いいただいて1曲ずつ調整。

  音楽が入ると、キャストの心理としてはどうしても声が大きくなったり熱演したりしたくなる。そうなったとしても問題ないタイプの芝居もある。が、『竜馬の妻とその夫と愛人』は、恐らくそうならない方が良い。
  だが、そうならない様に、いつも(音楽が入っていなかった今まで)通りに演じることが意外と難しい。私は繰り返し「音楽を聞かないでください」と注文することになった。聞かないで、と言ったって聞こえてくるのが音楽なのだが。

  音楽はとても素敵である。ヘンリー・マンシーニと海援隊(フォーク・グループの)がセッションしてる様である。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月6日(土)

  1場、2場をおさらい。

  私の手元に『東京ヴォードヴィルショー』というハードカバーの単行本がある。
  学生時代に購入した本で、奥付には1981年7月31日第1版第1刷発行(初版本!)と記されている。入手したのは出版から間もない頃だったろうと思う。

  内容は、3本の戯曲、コント、多くの舞台写真、それに劇団ゆかりの人々の文章、と盛りだくさんであるが、その分活字も写真も小さい。日々老眼の進行する今の私には、ちょっと辛い文字サイズである。

  その本を『竜馬の妻とその夫と愛人』の稽古場に持参した。
  本は劇団創立8年目に出版されているのだが、劇団は来年で40周年を迎える。目の前の佐藤B作さんや佐渡稔さんら創立メンバーは既に還暦を超えていらっしゃる(とてもそうは思えない)が、本の中のB作さんや佐渡さん、その仲間たちは20代である。
  掲載されているほとんど全ての写真で、20代の劇団員たちは変顔をして写っている。載っているのは舞台写真だから、写真の為の変顔ではない。とすると、20代の彼らは「変顔こそが演技である」と思い込んで舞台に立っていたのではあるまいか。

  稽古後、私はその本をB作さんの前に差し出し、厚かましくも「サインをいただけますか」と言い添えた。B作さんは快く引き受けてくださり、佐渡さんもB作さんの隣に名前を記してくださった。

  その感動的な様子が劇団のブログに写真入りで紹介されている。サインを認めるB作さんの前で、緊張で固まっている演出家にご注目。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月5日(金)

  1場、2場をおさらい。

  今回の竜馬の妻とその夫と愛人の音楽は生演奏である。作曲と演奏は千葉和臣さん(あの海援隊の、あの「贈る言葉」を作曲された)と園田容子さんである。

  園田さんはアコーディオニストでいらっしゃるのだが、アコーディオンではない楽器を少しずつ稽古場に持ち込まれている。
  今日もいくつかの楽器が運び込まれたのだが、それは足踏みオルガンであったり、トーン・チャイムであったり、名前の分からない不思議な音色の物であったり、もはや楽器とは言えない物だったりであった。
  この内のいくつが本番に採用されるのかはまだ分からない。分からないが、どれも優しい音が出る物ばかりである。そして、叩いたり、擦ったり、揺すったりして音を出してみると、どれも心が癒される様な感じの物ばかりなのである。

  せっかくの生演奏なのだから、と思って、今回は音楽の入る箇所を大幅に増やすことにした。今までの初演、再演では音楽は、幕開き、幕間、幕切れ、それに劇中1箇所の、計4箇所にしか入れていなかった。が、今回は20曲を超える。
  因みに、初演では既成の楽曲を選曲して、再演では川崎晴美さん( 『クールの誕生』でも音楽を担当してくださった)に作ってもらった音楽を使用していた。なので、竜馬の妻とその夫と愛人』の音楽は、これで3ヴァージョン目なのである。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月4日(木)

  2場をおさらい。

  昨日の1場同様に、2場をいくつかのブロックに分けて小返し。消化不良部分をひとつずつ潰す。そして最後に2場を通す。今日の段階では、2場は1時間強であった。

  2000年の初演時は台本の完成が遅れて、私もキャストの皆さんも結末を知らないまま稽古に入った。
  冒頭の、覚兵衛と松兵衛が再会して旧交を温める部分で、松兵衛のキャラクターをどのくらい「変な人物」にしておくのが妥当なのか判断がつかず、とにかく思いつく限り幼稚な行動をとらせてシーンを作っておいた。覚兵衛が困惑すればするほど物語的には面白いだろう、と当たりをつけたからである。
  しばらくして三谷君が稽古場に現れて幼稚な松兵衛を見て、「あれはやりすぎ」と嗜められた。今では良い思い出である。

  だったら早く台本をくれっ!

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月3日(水)

  1場に戻っておさらい。

  昨日の日記で「果たして覚えているだろうか?」と書いた1場である。が、前半は、想像していた以上の良い出来であった。どの程度の事を想像していたのか、が問題な訳だが。
  未整理部分を調整して小返し、を何回か繰り返し、1ラスまでをひと通りさらった後、最後に1場を通す。今日の段階では1場で50分弱、と言ったところであった。

  稽古の終了予定時刻が今週から21時になった。が、今のところその時刻まで稽古した日はない。出演者僅か4人の芝居なので、そんなに長時間集中力は続かないのである。集中が切れた状態で稽古を重ねても意味ないのである。

  明日は2場をさらう。果たして覚えているだろうか?

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『竜馬の妻とその夫と愛人』『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』『シラノ』通信

10月2日(火)

  午前中はChanson de 越路吹雪/ラストダンスの衣裳、ヘアメイク打ち合わせ。衣裳デザイナーは原まさみさん、ヘアメイク・デザイナーは岩井まみさんである。

   『Chanson de 越路吹雪/ラストダンス』には実在の人物が多く登場するのだが、その人たちをどう造形するか、が今日のテーマであった。次から次へと役を取り換えて行くことになる別所さん、大澄さん、花緑さんはさぞ大忙しな事になるであろう。
  話は変わるが、「ファン感謝イベント」なる催しが10月19日に開かれる。詳細はこちらからどうぞ。

  午後は『竜馬の妻とその夫と愛人』の稽古場へ。2場を最後まで作り、その後、2場をおさらい。

  立ち稽古8日目でラストまで辿り着いた。まあ順当な結果であろう。明日は1場に戻るが、果たして覚えているだろうか?
  話は変わるが、昨日記した「松兵衛サイド」「虎蔵サイド」は私が勝手に呼んでいる事である。ザ・スズナリで場内の案内係の人に「松兵衛サイドの席はどこですか?」などと尋ねると、恐らく「きょとん?」とされるので、ご注意頂きたい。

  稽古後は『シラノの訳詞打ち合わせ。

  今回の再演ではミュージカル・ナンバーの幾つかにも手を加えている。キーを変更したり、サイズを変えたり、アレンジをし直したり、と言った変更であるが、それに伴って歌詞を一部手直しする必要が生じたので、今日はその打ち合わせであった。
  話は変わるが、訳詞の竜真知子さんは、とにかく『シラノ』が大好きでいらっしゃる。今日も、今回の再演がどんなに嬉しいか、という事を瞳を輝かせて語っていらっしゃった。

  3つ目のヤツはあんまり話が変わってないなあ。

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『竜馬の妻とその夫と愛人』通信

10月1日(月)

  10月に入った。立ち稽古7日目。2場の中盤を整理し、2場の前半をさらう。

  今回の『竜馬の妻とその夫と愛人』では、客席が舞台を3方向から囲むことは既に記した。
  メインの客席となるのは、ザ・スズナリの通常の客席がある方向で、なので指定席にはそちらの、階段状になったブロックの椅子席が割り当てられている。
  正面から見て舞台サイド、つまり舞台の上手(かみて)側、下手(しもて)側に設置された席は自由席で、ここからは正面ブロックからでは味わうことのできない独特なアングルからドラマを眺めることができる。下手側を「松兵衛サイド」、上手側を「虎蔵サイド」と呼ぶ。

  何故そう呼ぶのかと言えば、2場で虎蔵が登場した際に、虎蔵は上手に、松兵衛は下手に着座するからである。なので、「虎蔵サイド」から観劇すれば、虎蔵になった気分で松兵衛の狼狽する姿が眺められ、「松兵衛サイド」からは、松兵衛目線で虎蔵の良い男ぶりを鑑賞することができるのである。
  自由席はサイド・ブロックだけでなく、正面ブロックにも設定されていて、指定席エリアの前部、舞台に近い前の列がそうである。

  とにかく自由席は舞台が近い。俳優が近い。あまりの近さに赤面してしまうこと請け合いである。自由席絶賛発売中!

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