『竜馬の妻とその夫と愛人』通信
9月20日(木)
今日も読み合わせ。
昨日は通して、だったので、今日は止めながら、2度、3度と読んだ。
稽古のペースは、初参加となる綾田さんが基準となる。綾田さん演じる西村松兵衛とはどんな人物か? 彼はいま何を考えているのか? なぜそんなことを言うのか、するのか? そんなことに想像を巡らせながら、先を急がずに台詞を読んでいただいた。
初演物の稽古は、限られた時間内にあらゆる事を決めて行かなければならないので、大抵の場合、何かをやり残して初日を迎えることになる。それが既成の戯曲でなく書き下ろしで、しかも台本の完成が遅れたりしたら、やり残すのは「何か」程度では済まされない。
『竜馬の妻とその夫と愛人』の初演がそうだった。あの時の私はあらゆることをやり残したのだが、実力の伴ったキャストとスタッフのお蔭で、この芝居は繰り返し再演される様な評価を獲得することができたのだった。
再演は、勢いで開けてしまった初演を振り返り、初演でやり残したことをひとつずつ潰して行くことができる、貴重な機会である。トライアウトを重ねて、観客に見せながら少しずつ芝居を直して行く、と言うシステムが定着していない日本では、再演こそが芝居の水準を高める唯一の機会なのである。
今回、綾田さんが新たに参加してくださったお蔭で、3演目にして今一度、戯曲とじっくりと向き合う時間を頂いた。その幸運には、いくら感謝してもし過ぎるという事はない。
3度目のB作さんは、ちょっと退屈されているみたいだが。
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