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『クールの誕生』通信

8月21日(火)

  3度目の通し稽古。

  2落ち(におち)、という言い方がある。
  初日の出来が大変素晴らしかった場合、2日目の出来は大抵良くない事を言う、芝居の世界のジンクスである。2日目落ち、とも言うが、昨日の通しが余りにも良い出来だったので、今日は2オチだろう、と予測していたのである。

  話は逸れるが、今日は衣裳付きで通した。
  稽古場で衣裳を着用できるのはとてもありがたい。稽古場が本番の仕様に近付けば近付く程、劇場に入ってからの作業が楽になるからである。それに衣裳が俳優に及ぼす影響は思いの外大きい。衣裳で演技が変わってしまう事すらある。

  話は変わるが、今日は鈴木聡さんが顔を出してくださった。
  『クールの誕生』全体をご覧いただくのは今日が初めてである。演出家としては誰に観てもらうよりも緊張する観客が作者である。作者の意図を読み違えてはいないだろうか。通しの間中、私は芝居よりも鈴木さんの横顔ばかりを気にしていた。
  稽古後、鈴木さんは「密度の濃いコメディに仕上がっている」とおっしゃった。初日も近いのに今更注文を出したところで士気も上がるまい、と判断されたのだろうか。それとも、言葉通りにお気に召していただけたのか。

  ついに明日は稽古場最終日。2落ちだったかどうかは、またの機会に。

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